この記事は AIHubMix が作成しました。料金や上限などの数値は、各社の料金ページ、ドキュメント、公開モデル API をもとに2026年10月26日に確認したものです。
TL;DR
- OpenRouter と AIHubMix は、どちらも1つのキーで500以上のモデルを使えるゲートウェイです。Claude、GPT、Gemini、Grok のトークン単価はどちらもベンダーの定価で、差はありません。
- 違いが出るのは4点です。クレジット購入時の手数料(OpenRouter の Standard プランはカード払いで5.5%、AIHubMix はなし)、オープンウェイトモデルのルーティング、1つのキーで使えるプロトコル、フォールバックを設定する場所です。
- OpenRouter からの移行は、多くの場合 base URL、API キー、モデル ID の3点の変更で済みます。ただしハマりどころが3つあります。
- 自前のプロバイダーキー(BYOK)、24時間待てるバッチ処理、欧州内での処理、SAML SSO と契約上の SLA が必要なら、OpenRouter のほうが向いています。
どちらでも使える機能
比較の前に共通点を押さえておきます。どちらのゲートウェイでも、次のものが使えます。
- 1つの API キーと1つの残高で、OpenAI、Anthropic、Google、オープンウェイト系の各ラボの500以上のモデル
- OpenAI Chat Completions、OpenAI Responses、Anthropic Messages の各エンドポイント
- プリペイド式のクレジット(Claude、GPT、Gemini、Grok などはベンダー定価でのトークン課金)
- 呼び出しがエラーになったときの別モデルへの自動フォールバックと、モデルを選んでくれる自動ルーター
- テスト用の無料モデル。画像、動画、音声合成、音声認識のモデルも同じキーで利用可能
- キーごとの利用上限と、カード・Alipay・暗号資産でのチャージ
比較表
数値は各社の料金ページ、ドキュメント、公開モデル API をもとに2026年10月26日に確認したものです。
| OpenRouter | AIHubMix | |
|---|---|---|
| クレジット購入時の手数料 | 5.5%(Business は8%) | なし |
| Claude、GPT、Gemini、Grok | ベンダー定価 | ベンダー定価 |
| プロトコル | Chat、Responses、Messages | 同じ3つ + Gemini ネイティブ |
| オープンウェイトモデル | 実際に処理したプロバイダーの価格で課金 | モデル ID ごとに1つの価格 |
| フォールバックの設定場所 | リクエストまたはプリセット | API キー |
| 自前のプロバイダーキー | 月$25Kまで手数料なし、超過分は5% | 非対応 |
| バッチ・Flex 料金 | 約半額 | 非対応 |
| 無料モデル | 25以上、$10購入後は1日1,000回 | 67個、$1入金後は1日100回 |
| ゼロデータ保持 | 全プランで利用可能 | デフォルトで有効 |
| リージョン内ルーティング | EU または US(Business) | なし(Google Cloud、米国) |
| チャージ方法 | カード、Alipay、USDC | カード、Alipay、暗号資産 |
表のうち2行には補足があります。
- 無料モデル:OpenRouter の無料モデルは、クレジットを$10購入するまでは1日50リクエストが上限です(API Credit & Rate Limits)。AIHubMix では、初回チャージ前でも無料モデルに10リクエストまで送れます。AIHubMix の上限はライブ JSON で公開されていて、運用チームが変更します。
- ゼロデータ保持(ZDR):どちらもデフォルトではプロンプトをログに残しません。OpenRouter の ZDR オプションはさらに踏み込み、プロンプトを保持しないプロバイダーのエンドポイントにだけルーティングします。AIHubMix の ZDR の対象は自社のゲートウェイで、上流のプロバイダーは独自の保持ポリシーを持つ場合があると規約に記載されています。
リクエストの経路で違う3つのポイント
1. オープンウェイトモデル:1つの ID の裏に多数のホスト
Claude のようなクローズドモデルは、ベンダー自身か、ベンダーからライセンスを受けたパートナーを通じてしか提供されません。一方、オープンウェイトモデルは誰でもホストできます。そのため OpenRouter では、支払う価格も、実際に得られるものもホスト次第で変わります。
GLM-5.3 を例にとります。2026年10月26日時点で、OpenRouter には GLM-5.3 のエンドポイントが47個掲載されていました。
- 入力価格は100万トークンあたり$0.07〜$2.80
- そのうち30個は fp4、nvfp4、fp8 のいずれかの量子化としてタグ付け
- Z.AI 自身のエンドポイント(これも fp8 のタグ付き)は$1.40 / $4.40
- OpenRouter のモデル API に表示される代表価格(入力$0.07)は、これらのうち最安のエンドポイントの価格で、Z.AI の価格ではない
この差が効いてくるのは、ルーティングの仕組みのためです。OpenRouter はデフォルトで価格に応じて負荷分散します。直近30秒に大きな障害がなかったプロバイダーの中から、価格の2乗の逆数で重み付けして1つを選ぶ仕組みです。つまり z-ai/glm-5.3 へのリクエストは、安いホストに送られる可能性がもっとも高くなります。OpenRouter 自身のドキュメントも、量子化モデルについて次のように注意を促しています。
"may exhibit degraded performance for certain prompts"
(特定のプロンプトでは性能が低下する場合がある)
プロバイダーを自分で指定したいときは、リクエストボディに provider オブジェクトを入れます。
{
"model": "z-ai/glm-5.3",
"provider": { "order": ["z-ai"], "allow_fallbacks": false },
"messages": [{ "role": "user", "content": "Review this diff for race conditions." }]
}
この例は Z.AI を指定し、フォールバックをオフにしています。フォールバックがオフなので、そのプロバイダーが落ちているときはリクエストが失敗します。もう少し緩い方法が quantizations フィールドです。精度でフィルタしつつ、残ったホストの間では引き続き OpenRouter に負荷分散させられます。
AIHubMix では、1つのモデル ID に掲載価格は1つだけで、プロバイダーを指定するパラメータはありません。GLM-5.3 の入力・出力価格は$1.13 / $3.94で、Z.AI 自身のエンドポイントより安くなっています。オープンウェイトモデルでホストの選択肢の広さと最安値を求めるなら、OpenRouter のマーケットプレイスのほうがどちらも上です。リクエストごとにプロバイダー設定を管理したくないなら、ID ごとに価格が1つのほうがシンプルです。
2. フォールバック:リクエストに書くか、API キーに持たせるか
どちらも、最初のモデルが失敗したら別のモデルで再試行できます。違うのはルールを書く場所で、それによってクライアント側がルールを知っている必要があるかどうかが決まります。
OpenRouter では、リクエストに models リストを渡すか、プリセットを保存して @preset/<name> をモデル名として送ります。どちらの場合も、クライアントは OpenRouter 固有の指定を送る必要があります。
AIHubMix では、モデルマッピングとフォールバックをコンソールで API キーに設定します。クライアントはこれまでどおりのモデル名を送り続け、キーがそれを実際のモデルに書き換えます。呼び出しがエラーになったときのバックアップも、順番付きで並べておけます。課金は最終的に応答したモデルに対して行われます。これが効くのは次の2つのケースです。
- 特定のモデル名しか受け付けないツール(Claude 形式の ID しか受け付けないクライアントなど)
- フォールバックの順番を変えるためだけに再デプロイできないアプリ
自動ルーターもどちらにもあります。OpenRouter は openrouter/auto です。AIHubMix では model: "auto" を送るとデフォルトでコスト優先で選び、ほかに auto:quality_first、auto:balanced、auto:latency_critical も指定できます。どちらもルーティングに手数料はかかりません。
3. プロトコル:共通の3つと、AIHubMix だけの1つ
どちらも OpenAI Chat Completions、OpenAI Responses API、Anthropic Messages に対応しています。そのため Anthropic Messages を使う Claude Code も、Responses API を使う Codex も、どちらのゲートウェイでも動かせます。
AIHubMix は4つ目のプロトコルとして、Google のネイティブ Gemini API を /gemini/v1beta/models/{model}:generateContent で提供しています。Google の SDK で書いたコードや、Gemini 形式しか話せないツールは、接続先を https://aihubmix.com/gemini に向ければ、リクエストの形はそのままで使えます。OpenRouter のドキュメントには Gemini ネイティブのエンドポイントが記載されていないため、Gemini 形式のクライアントは、先にほかの形式へ移植する必要があります。
Claude Code の場合、AIHubMix での設定は環境変数3つです。ANTHROPIC_BASE_URL=https://aihubmix.com、AIHubMix のキーを入れた ANTHROPIC_AUTH_TOKEN、claude-sonnet-5-5 などのモデルを指定した ANTHROPIC_MODEL です。ただしプロトコルの対応状況はモデルによって異なるので、エンドポイントを前提にする前に、AIHubMix のモデル一覧で各モデルのページを確認してください。
料金:定価は同じ、違いはチャージ時の手数料
OpenRouter の料金ページには、推論にはマークアップをせず、どのプランでもプロバイダーの定価を支払うと明記されています。手数料がかかるのはクレジットを購入するときです。
- Standard プラン:カード払いは5.5%(最低$0.80)、暗号資産は5%
- Business プラン:8%
- 手数料は返金されません
AIHubMix はクレジット購入時に手数料を上乗せしません。カードと暗号資産でのチャージは Stripe を経由し、$15以上のチャージなら Stripe の決済手数料を AIHubMix が負担します。$15は最低チャージ額でもあります。Alipay でのチャージも手数料はかかりません。
よく使われる7モデルについて、各社のチャージ条件を含めた100万トークンあたりの価格(入力 / 出力)は次のとおりです。
| モデル | ベンダー定価 | AIHubMix | OpenRouter(手数料込み) |
|---|---|---|---|
| Claude Opus 5.5 | $4 / $20 | $4 / $20 | $4.22 / $21.10 |
| Claude Sonnet 5.5 | $2 / $10 | $2 / $10 | $2.11 / $10.55 |
| GPT-6.1 Sol | $2 / $10 | $2 / $10 | $2.11 / $10.55 |
| Gemini 3.8 Flash | $0.75 / $3.75 | $0.75 / $3.75 | $0.79 / $3.96 |
| Grok 4.7 | $2 / $6 | $2 / $6 | $2.11 / $6.33 |
| GLM-5.3 | $1.40 / $4.40 | $1.13 / $3.94 | $1.48 / $4.64 |
| Qwen3.8 Max | $2 / $6 | $1.69 / $5.07 | $2.11 / $6.33 |
表の前提は次のとおりです。
- ベンダー定価は、OpenRouter に掲載されているベンダー自身のエンドポイントの価格です(GLM-5.3 は Z.AI、Qwen3.8 Max は Alibaba)。
- OpenRouter の列は、その価格に Standard プランのカード手数料分として1.055を掛けた値です。
- AIHubMix の価格はモデル一覧から取りました。
- Gemini 3.8 Flash の$0.75 / $3.75は2026年12月31日までの価格です。Google の料金ページには、2027年1月1日からは$1.50 / $7.50と記載されています。
- いずれも2026年10月26日に確認しました。料金はモデルごとに異なり、変わることもあるので、ワークロードを移す前にモデルのページを確認してください。
試算例:定価ベースで月$1,000分を Claude Sonnet 5.5 と Gemini 3.8 Flash に使うチームの場合、OpenRouter Standard では$1,000分のクレジットを買うのに$1,055かかります。年間では$12,660となり、AIHubMix の$12,000と比べて、同じトークンに$660多く払うことになります。リージョン内ルーティングが使えるセルフサービスプランの OpenRouter Business では手数料が8%なので、月$1,080です。
ただし、手数料だけでコストが決まるわけではありません。BYOK、バッチ、Flex 料金を使う場合は OpenRouter のほうが安くなります。詳しくは後半の「OpenRouter のほうが向いているケース」で説明します。
OpenRouter から AIHubMix への移行
- AIHubMix のコンソールで、クイックスタートに沿ってキーを作成し、クレジットをチャージします。最低チャージ額は$15です。無料モデルから始めることもできます。
- 使っている SDK に合わせて base URL とキーを変更します。
- OpenAI SDK:
https://aihubmix.com/v1 - Anthropic SDK:
https://aihubmix.com - Google の SDK:
https://aihubmix.com/gemini
- OpenAI SDK:
- モデル名を書き換えます。AIHubMix では
vendor/プレフィックスを付けず、Claude のバージョンはハイフンでつなぎます。
| OpenRouter の ID | AIHubMix の ID |
|---|---|
| anthropic/claude-sonnet-5.5 | claude-sonnet-5-5 |
| anthropic/claude-opus-5.5 | claude-opus-5-5 |
| openai/gpt-6.1-sol | gpt-6.1-sol |
| google/gemini-3.8-flash | gemini-3.8-flash |
| z-ai/glm-5.3 | glm-5.3 |
OpenAI SDK を使っている場合、コードの変更は次のようになります。
import os
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
base_url="https://aihubmix.com/v1", # 移行前: https://openrouter.ai/api/v1
api_key=os.environ["AIHUBMIX_API_KEY"], # 移行前: OpenRouter の API キー
)
resp = client.chat.completions.create(
model="claude-sonnet-5-5", # 移行前: anthropic/claude-sonnet-5.5
max_tokens=8000,
messages=[{"role": "user", "content": "Summarize this changelog in three bullets."}],
)
print(resp.choices[0].message.content)
コメントの付いた3行が変更箇所です。max_tokens=8000 をあえて指定している理由は、次のハマりどころで説明します。
ハマりどころ
Claude の長い回答が途中で切れる
原因:AIHubMix の Chat Completions では、Claude の max_tokens を省略すると4,096になります。そのため長い回答は途中で止まります。
対処:Chat Completions で Claude を呼ぶときは、上のコードのように max_tokens を指定します。
Claude Opus へのリクエストが実行前に拒否されることがある
原因:Claude Opus のような高額モデルを呼ぶ前に、AIHubMix は残高が「出力単価 × max tokens」をまかなえるかを確認し、足りない場合はリクエストを拒否することがあります。
対処:高額モデルを使うときは残高に余裕を持たせます。max_tokens を現実的な値にしておけば、このチェックで止められずに済みます。1つ目の対処とあわせると、「max_tokens は指定する、ただし現実的な値で」が基本です。
OpenRouter 用のルーティング指定が引き継がれない
原因:provider、models、@preset/... 形式のモデル名といった OpenRouter 固有の指定には、AIHubMix のリクエストボディで相当するものがありません。前述の request.json の provider もそのひとつです。
対処:ルーティングは API キー側に移します。フォールバックはリクエストではなく、コンソールで AIHubMix のキーに設定してください。
OpenRouter のほうが向いているケース
次のような場合は、チャージ手数料が問題にならないか、ほかの要素のほうが大きくなります。
- 自前のプロバイダー契約がある:OpenRouter では、自前のプロバイダーキーで処理したリクエスト(BYOK)は、定価ベースの推論が月$25,000までは OpenRouter の手数料がかからず、それを超えた分は定価の5%です。Anthropic や OpenAI に直接支払っているなら、そのトラフィックに5.5%はかかりません。AIHubMix には BYOK がなく、すべての利用をクレジット残高から課金します。
- 処理を待てる:OpenRouter の Batch API は同期呼び出しの約半額で、結果は24時間以内に返ります。AIHubMix にはバッチ用のエンドポイントがありません。また、一部のベンダーは OpenRouter 経由で、優先度が低い代わりに安い Flex エンドポイントを提供しています。GPT-6.1 Sol の Flex エンドポイントは$1 / $5で、通常価格の半額です。トークン代がおよそ半分になるので、5.5%の手数料よりはるかに大きな差になります。
-
プロンプトを欧州内で処理する必要がある:OpenRouter Business では、
eu.openrouter.aiに送ったリクエストは EU/EEA、英国、スイスのプロバイダーエンドポイントにだけ送られます。ホスト型の AIHubMix ゲートウェイは米国の Google Cloud で動いています。データの所在地に要件がある場合は、AIHubMix のエンタープライズプランのプライベートデプロイについて問い合わせてみる価値があります。 - 調達要件に SSO と SLA がある:OpenRouter の Enterprise プランには SAML SSO、SCIM、契約上の SLA が記載されています。AIHubMix のエンタープライズページでは、プライベートデプロイとボリュームに応じた個別価格を提供しています。
- オープンウェイトモデルを最安のホストで使いたい:量子化されたエンドポイントでも構わない場合です。
まとめ
- Claude、GPT、Gemini、Grok のトークン単価は OpenRouter も AIHubMix もベンダー定価。差が出るのはクレジット購入時の手数料で、OpenRouter Standard のカード払いは5.5%、AIHubMix はなし
- オープンウェイトモデルは、OpenRouter ではデフォルトで、価格で重み付けされた多数のホストに振り分けられ、AIHubMix では ID ごとに価格が1つ
- フォールバックは、OpenRouter ではリクエストかプリセット、AIHubMix では API キーに設定。手を入れられないクライアントも、キー側の設定でそのまま動かせる
- AIHubMix は OpenAI と Anthropic の形式に加えて、Google のネイティブ Gemini API も1つのキーで使える
- 移行は base URL、キー、モデル ID の変更が基本。
max_tokens、残高チェック、OpenRouter 固有のルーティング指定に注意 - BYOK、バッチや Flex、欧州内での処理、SAML SSO と SLA が必要なら OpenRouter のほうが向いている
OpenRouter からの移行を検討しているなら、まずは無料モデルで試しながら、base URL、キー、モデル ID の3点を差し替えてみてください。
参考
- OpenRouter Pricing(OpenRouter)
- Provider Routing(OpenRouter ドキュメント)
- API Credit & Rate Limits(OpenRouter ドキュメント)
- AI Models & Pricing(AIHubMix)
- モデルマッピングとフォールバック(AIHubMix ドキュメント)