この記事は クラウドワークス グループ Advent Calendar 2024 シリーズ3の19日目の記事です。
はじめに
こんにちは。2024年11月からクラウドワークスグループへ参画した株式会社インゲートの@8suma3です。
私は現在、ネットワーク分野の受託開発チームに所属しており、今月で所属から9か月が経ちました。
この9か月間で私個人が感じたチームの課題と、その課題に対する日々の改善策を実例をもとにご紹介いたします。
所属当初のチームとして課題に感じたこと
一人でも案件を完結できてしまうエンジニア集団
案件の規模にもよりますが、各メンバーはやろうと思えば一人でも案件を対応できてしまうので、普段からこと細かく情報を共有しておく必要性があまりない印象でした。
ただし、案件が立て込んで複数人で協力して進めなければいけない時には、各自で一から受領資料に目を通し情報収集するときもあるので、情報のインプット方法やメンバー間で共有する方法はまだまだ改善の余地があると感じていました。
過去案件に関する情報や、各案件で得た知識の掘り起こしが難航
過去案件の資料を読み漁ったとしても、なぜその手順になったのか、なぜその設計になったかなど当時の設計者の意図までは記録されておらず、個人のスキルや過去の経験をもとにくみ取ることがほとんどの状態でした。
また、時にはスイッチ/ルータ、時にはファイアウォールなどと、その時々で扱う機器ジャンルが異なることもあるため、久々に触る機器と対峙した際に、これまでの頭の中の記憶だけでは、なかなか当時の感覚を取り戻すのが難しい場面もありました。
経験の浅いメンバーへのOJT環境としての役割定着が難航
私たちのチームでは、経験の浅いメンバーが受託開発チームへの参画を通してスキルアップする方法を模索しておりますが、案件主担当メンバー、若手メンバーそれぞれがやりやすい環境はまだまだ確立しておらず、各主担当メンバーの属人的な育成方針や案件遂行方法で何とか完了までもっていくような状況でした。
実現したいこと
情報共有
「特定の人の頭の中にしかないため、逐一確認しないといけない」といった状況を避けたい。主担当メンバーが、自分で案件の既存情報を整理・意訳した情報や、顧客との打ち合わせの中で確定した内容を可視化し、他メンバーが円滑に把握できるようにしたい。
担当している案件を誰かに引き継ぐことになってから引き継ぎ資料を作るのではなく、普段の業務から自身の頭の中を可視化してスムーズに引継ぎできるようにしたい。
自身の言語化力向上
未来の自分や他人が、自分の書いた文章を見たときに、その案件に関する情報やスキル知識に差があっても、インプットしやすい表現や書き方を心掛ける意識を身に着けていきたい。その先で、顧客視点に立った仕事(顧客の課題抽出や提案内容など)にいい影響をもたらしていきたい。
頭の中を空っぽに
複数案件を並行して進めていると、自分の頭の中だけでは処理しきれなくなることがあるため、できるだけ頭の中の情報を文章化してはきだし、頭の記憶容量を増やしたい。
進捗管理
各メンバーが抱える案件のタスクやスケジュールを可視化し、残タスクの情報や困りごとなどをリアルタイムで確認、共有できるようにしたい。また、どこが更新されたかがぱっと見でわかるとうれしい。
一つの媒体で完結
上記の実現したいことが、1つの媒体で完結できるような仕組みにしたい。業務中に検討したこと、思いついたことは全て1つの媒体に集約。各自で、一からあちこち資料を読んで、その案件に関する知識量のスタートラインに立つようなことがないよう時間を少しでも減らしていきたい。
現在の改善策:Microsoft「OneNote」
業務に関する全ての情報を書きなぐり、リアルタイムで状況把握
現段階では、OneNoteが最適解になっています。各メンバーが、頭の中を整理するために行っていること(例えば、既存構成の概要図をかいたり、資料の内容を要約してメモに残したり)をOneNoteに集約するところから始動しております。
この仕組みにより、各メンバーが収集した情報はOneNoteに集約され、例えば、業務がたてこみ一人で抱え込んでしまう人や、報連相が得意ではない人がいても、各タスクの進み具合が可視化され、状況に応じてまわりがフォローできるようになりました。
上図のように、各案件で作成する資料ごとに項目を分け、その項目配下で設計・検討した内容を書きなぐる方針にしました。その他、必要な項目を自由に追加しています。各項目配下のタイトルに関しては、一目でわかるようなネーミングを心掛けています。
各タイトルの右側にある「・」は、自分が未読状態の他ユーザの更新箇所となっていて、どのページに更新があったのかがわかります。残念ながらページ内をお見せすることができないのですが、更新箇所にはマーカーラインがついてて確認しやすいのも便利です。
また、OneNoteでは、キーワード検索機能があるため、過去案件の記憶があいまいな場合でも、キーワードから調べたい内容にアクセスできる方法もあるので便利です。
OneNoteによる情報共有文化がもたらした影響
各自の情報収集・整理過程が可視化
これまでは、メンバーのスキルや経験値によって、同じ資料やコンフィグから読み取れる情報量に差がありましたが、それら解釈情報や疑問点などが可視化され、例えば、資料を見たときに意識する各自の視点を今後の参考として吸収することができるようになりました。
報連相スキル向上に向けたトレーニング
現在、今年新卒入社のメンバーや、新卒入社3年目の若手メンバーもチームに在籍しており、さまざまな案件への参画を通じて知識・経験を得ている状況ですが、
自身がOneNoteに書いたり、他メンバーが書いた情報を通じて、「わからないことがわからない状態」から「ここに書いてある ”〇〇” の理解が難しい」などと言語化しやすくなったことで相談しやすい状況になり、周りもOneNoteを見れば何がわからないのかがあらかじめ把握できるようになりフォローがしやすくなりました。
【まとめ】今後の課題
ひとまずOneNoteに書くハードルを下げていきたい
現状まだ、受託開発チームの全員がOneNoteに書いてくれている状況ではありません。ただ、OneNoteの存在価値を理解してくださっており、定期的に中身を見てくれていることは普段のやり取りの中で実感しております。
暫定対処として、OneNoteに書いてくれているメンバーが携わる案件から可視化していき、各案件に一人はOneNoteを書くメンバーがいる状態になるように案件フォローをしております。
いずれは、自分のスキルアップのためにもOneNoteに書いた方が得だと思ってもらえるように、各メンバーが抱えるハードルを下げる方法を一緒に考え、ともに体現していけたらと思います。
ぜひ、皆さんが実践されている情報共有方法も教えてください!