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Unicode 正規化と文字操作

Last updated at Posted at 2023-11-03

Unicode 正規化を文字操作に応用します。

合成文字はデータ数と文字数が一致しないなど Unicode の複雑性として言及されることが多いですが、便利な一面もあります。

Unicode 正規化

Unicode には文字の構成要素をまとめて 1 つのコードで表す NFC と、構成要素を別々にコード化する NFD という正規化方式があります。

※ その他 NFKC と NFKD もありますが、この記事では扱いません。

正規化を処理する API として、Python には unicodedata.normalize があります。

濁点

「が」という平仮名を例に説明します。NFC ではまとめて 1 つのコードで表しますが、NFD では「か」と「゛」に分解したコードで表します。

>>> import unicodedata
>>> def tohex(s):
...     return " ".join([f"{ord(ch):04x}" for ch in s])
...
>>> tohex(unicodedata.normalize("NFC", ""))
'304c'
>>> tohex(unicodedata.normalize("NFD", ""))
'304b 3099'
>>> chr(0x304b)
''
>>> chr(0x3099)
''

"\uXXXX" という指定方法もあります。今後はこちらを使用します。

>>> "\u304b"
''

分解すると len が文字数とは一致しなくなることに注意が必要です。

>>> len("")
1
>>> len(unicodedata.normalize("NFD", ""))
2

unicodedata.name で Unicode 規格での文字の名前が確認できます。

>>> unicodedata.name("\u304c")
'HIRAGANA LETTER GA'
>>> unicodedata.name("\u304b")
'HIRAGANA LETTER KA'
>>> unicodedata.name("\u3099")
'COMBINING KATAKANA-HIRAGANA VOICED SOUND MARK'

※ 合成に使われる付加記号類には COMBINING で始まる名前が付けられます。結合文字と呼ばれます。

unicodedata.decomposition でどのように分解されるか確認できます。「か」はこれ以上分解できないため空文字列が返されます。

>>> unicodedata.decomposition("")
''
>>> unicodedata.decomposition("")
'304B 3099'

※ 文字コードが文字列で返されるため、先ほど定義した tohex は不要です。

複数の付加記号

アルファベットには複数の付加記号(アクセント類)が付くことがあり、NFD では記号ごとに分解されます。

>>> tohex(unicodedata.normalize("NFD", ""))
'0063 0327 0301'
>>> unicodedata.name("")
'LATIN SMALL LETTER C WITH CEDILLA AND ACUTE'
>>> unicodedata.name("\u0063")
'LATIN SMALL LETTER C'
>>> unicodedata.name("\u0327")
'COMBINING CEDILLA'
>>> unicodedata.name("\u0301")
'COMBINING ACUTE ACCENT'

decomposition は 2 段階で定義されます。normalize ではこれを一度に処理します。

>>> unicodedata.decomposition("")
'00E7 0301'
>>> "\u00e7"
'ç'
>>> unicodedata.decomposition("ç")
'0063 0327'
>>> unicodedata.name("ç")
'LATIN SMALL LETTER C WITH CEDILLA'

この場合、付加記号の順番を変えても NFC での合成に影響はありません。

>>> tohex(unicodedata.normalize("NFC", "\u0063\u0327\u0301"))
'1e09'
>>> tohex(unicodedata.normalize("NFC", "\u0063\u0301\u0327"))
'1e09'

付加記号の並びで異なる文字を表すこともあります。その組み合わせが規格で定義されているかに依存するため、規則性はありません。

>>> tohex(unicodedata.normalize("NFD", "ǖ"))
'0075 0308 0304'
>>> tohex(unicodedata.normalize("NFD", ""))
'0075 0304 0308'
>>> unicodedata.name("\u0075")
'LATIN SMALL LETTER U'
>>> unicodedata.name("\u0308")
'COMBINING DIAERESIS'
>>> unicodedata.name("\u0304")
'COMBINING MACRON'

ある記号がどのような文字と組み合わせられるかは、Unicode 規格書や Wikipedia で確認できます。

文字操作

通常の利用ではデータ量が抑えられる NFC 正規化が有利です。

文字の操作には NFD が有用です。いくつか例を示します。

濁点を付ける

濁点を表す付加記号を付けるだけです。

>>> def dakuten(ch):
...     return ch + "\u3099"
...
>>> dakuten("")
'ざ'
>>> dakuten("")
'ヅ'

このままだとデータ量が大きくなってしまいます。

>>> len(dakuten(""))
2
>>> tohex(dakuten(""))
'3055 3099'

return の前に NFC で合成した方が良いでしょう。

>>> def dakuten(ch):
...     return unicodedata.normalize("NFC", ch + "\u3099")
...
>>> tohex(dakuten(""))
'3056'

濁点を付加すると文字コードが 1 つ増えるだけに見えますが、例外はあります。

>>> tohex(""), tohex(dakuten(""))
('304b', '304c')
>>> tohex(""), tohex(dakuten(""))
('306f', '3070')
>>> tohex(""), tohex(dakuten(""))
('3046', '3094')

一般的に、ある記号を付けたときの文字コードの変化には規則性がありません。正規化をライブラリに任せれば、文字コードの変化を知らなくても処理が書けるので便利です。

濁点を取り除く

NFD で分解して最初の 1 文字だけを残せば、一律に濁点が取り除けます。

>>> def strip(text):
...     return "".join([unicodedata.normalize("NFD", ch)[0] for ch in text])
...
>>> strip("がぎぐげご")
'かきくけこ'

転写

ある文字から別の文字に書き換えるのにも利用できます。(転写)

古代ギリシア語は付加記号類が多く、アルファベットに転写するため Unicode 正規化を利用しました。

>>> import greektrans
>>> greektrans.romanize("Πάτερ ἡμῶν ὁ ἐν τοῖς οὐρανοῖς·")
'Páter hēmôn ho en tóès ūranóès;'

基本的には濁点を付ける例と同じことをやっています。当初は NFD で分解せずに NFC 正規化された状態で処理していたため、変換部分はすべてテーブルに依存していました。NFD で分解して扱うことによって、コードで付加記号を明示的に記述できるようになりました。記号の変更にも対応しやすいです。

転写の詳細はこちらを参照してください。

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