Access for Windows から ACS に移行する時に、印刷への影響を検討することは重要です。
ここでは、基本機能の比較をします。
3つの印刷方法
ACS での印刷には3つの方法があります。
PDT/PDF による印刷
エミュレーターが、プリンターの印刷命令に変換する方法です。印刷する文字のデータはエミュレーターがプリンターに合わせて、Shift_JIS や JIS コード に変換し、プリンターに送ります。
プリンターの印刷命令に変換するため、対応しているプリンターが必要です。
HPT による印刷
HPT(Host Print Transform)の機能で、IBM i 上でプリンターの印刷命令に変換する方法です。
リモート OUTQ や LPR での印刷と同じ変換を使います。印刷する文字のデータはShift_JIS や JIS コード に変換され、プリンターに送信されます。
プリンターの印刷命令に変換するため、対応しているプリンターが必要です。
JPS による印刷
JPS(Java Print Service) は、Java の印刷機能を使う方法です。
Java と Windows 上のプリンタードライバーの組み合わせで、印刷されます。
Windows 用の プリンタードライバーがあれば、機種を問わずに利用できる印刷方法です。
1.1.7までは、スプールを HPT でテキストにして、そのテキストデータを印刷するだけだったのですが、1.1.8 から、ACS 内でレイアウトして印刷するようになりました。
JPS印刷の詳細は下記に書きました。
IBM i Access Client Solutions の JPS 印刷
外字の印刷
下記のようになります。
方法 | 可・不可 | 使われる外字 |
---|---|---|
PDT/PDF | 〇 (1.1.8.4より) | Windows外字から専用イメージファイルを生成 |
HTP | 〇 | CGU外字 |
JPS | △ | monospaced で Windows外字 |
PDT/PDF での外字利用に関して RFE が受理され、1.1.8.4 以降 PDT/PDF が印刷できるようになりました。ACS の acslaunch_win-XX.exe で 外字イメージファイルを生成し、所定のフォルダーに置くという手順が必要です。詳しくは、「IBM i Access Client Solutions 1.1.8.4 で PDTモード印刷で外字を印刷する」に記載しました。
HPT の場合、CGU で登録されている文字をイメージで送ることで印刷します。
JPS で印刷する場合は、フォントで monospaced を選択すれば、Windows外字 が使われます。物理フォントを選択すると、印刷されません。これは 5250 と同じです。
1399 拡張文字の印刷
ここで言う 1399 拡張文字とは、Unicode 由来で CCSID 1399に追加された、対応する Shift_JIS コードを持たない文字のことです。正式な言い方ではありませんが、とりあえず、こう呼んでおきます。
下記のようになります。
方法 | 可・不可 | 使われる文字 |
---|---|---|
PDT/PDF | 〇 | ACS 組み込みフォント |
HTP | × | - |
JPS | 〇 | Windowsフォント |
PDT/PDF は、1.1.8.2 から ACS に組み込まれているフォントのイメージを送ることで、Shift_JIS コードを持たない文字も印刷可能になりました。
SE70600 - OSP-ACCESS CLIENT SOLUTIONS ADD PDT SUPPORT FOR EXTENDED SHIFT_JIS CHARACTERS
HPT は、IBM i 上に1399文字に対応したフォントがないため、印刷できません。
JPS は、Java と プリンタードライバーが、印刷を行います。
印刷の再現度
方法 | 再現度 |
---|---|
PDT/PDF | 〇 |
HTP | 〇 |
JPS | △ |
PDT/PDF や HPT は、プリンターのコマンドを直接制御しているため、これまでと同等は印刷が可能です。
しかし、JPS 印刷は Java の印刷機能を呼ぶだけで、印刷結果は Java と プリンタードライバーに任せられます。
そのため、以前と同じ印刷結果が得らえないこともあります、
2020-05-11 PDTで外字印刷が可能になったことを記載
「All About ACS」では IBM i に対する新しいクライアント「IBM i Access Client Solutions」の情報をいろいろ提供していきます。
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