なぜ講師向けの記事を書いたか?
どうもラクーンホールディングスのシュウヤです!
今年、私は事業部を含めた新卒向けの技術研修の総指揮と講師を務めました。技術についての記事は多くある一方で、技術者視点での研修を実施する際のコツについては情報が少ないため、役立てるかなと思い記事を書きました。
この記事を読むと何が分かる?
- 講師側が「避けるべきこと」を学べる
なぜバッドプラクティスなのか?
研修にはベストプラクティスはありませんが、バッドプラクティスは存在します。研修にベストプラクティスが存在しないのは、時と場所と人によってベストプラクティスが異なるからです。研修を実施する側(講師)も、受ける側(生徒)も、それぞれ異なる人間です。また、日や時間、体調によってもベストプラクティスは変わります。しかし、バッドプラクティスは存在します。バッドプラクティスの特に問題な点は、何も考えずに講師を務めようとすると勝手にバッドプラクティスになってしまう点です。なので、バッドプラクティスを学べば、最低限の質は担保できると考えました。
背景
目次
- これから講師を務める人が読むべきバッドプラクティス
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準備編
- 研修の目的を理解せずに資料を作成する
- 目的と手段が逆になった資料を作成する
- 他研修とのつながりを無視して資料を作成する
- 既存の資料を使いまわす
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本番編
- 資料をすべて説明してからハンズオンを実施する
- 講師が質問をせず一方向で説明をする
- グループワークを実施しない
- 休憩時間中雑談をしない
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準備編
ここでは研修を実施するまでに必要な準備の時にしてはいけないことを学びます。重要度だけで言えば、準備編の方が本番編よりも重要です。準備編でバッドプラクティスを学び準備をすることである程度の品質が担保された研修資料が作りあがるでしょう。一見これらのバッドプラクティスは当たり前のことに見えます。しかし、いざ、研修を行おうとするとついやってしまったりしていますので注意しましょう。
研修の目的を理解せずに資料を作成する
全てのバッドプラクティスの中でこれが最もバッドでしょう。研修には必ず目的があるはずです。その目的を見失えば、ちぐはぐな資料が生まれます。生徒側からしても、なぜ学んでいるのかわからなくなりますこの研修が何を目標にしているのかわからず、生徒の意欲が下がるかもしれません。料理を例にとると「おなかを満たしたい」と「おいしいものが食べたい」では作る料理が変わってきます。これを理解しないと、どんなに品質の良いものでも満足度が下がります。すでに何の研修をやるか決まっている場合には、なぜそれが実施しているかについて確認をとったり考えることが必要です。
目的と手段が逆になった資料を作成する
これもよくありがちなバッドプラクティスです。自分たちができることから資料を作り始めてしまうということです。この結果として研修の目的を満たさない資料が出来上がります。例えば、自分が作れる料理にチャーハンがあったので、チャーハンを大量に作り客にふるまいます。しかし、客は少量で美味しい高級料理をあじわって食べたいと思っていました。これは満足度が下がりますし、チャーハンである必要はないでしょう。このように目的から手段を考えることが大切となってきます。
他研修とのつながりを無視して資料を作成する
研修の目的を理解してよし!資料を作成しよう!といきなり一人で資料を作成すると失敗します。研修は複数あることが常です。研修毎に教える内容が全く関係ない場合、研修を受ける側からすれば体系的に理解することは難しくなります。結果として本来の目的を達せない場合があります。ベルトコンベーア式で、一つの商品を作るときそれぞれの部品が意味を成して一つの商品を作ります。そうでなければ、商品はちぐはぐな商品となります。このように資料同士の関係性というのにも注意すべきです。
既存の資料を使いまわす
完璧な研修というのもは存在しません。状況によって最適な研修は変わるからです。例えば研修資料に猫ミームやジョージメンズコーチを入れたとします。今は流行っているので理解の促進に役立ちますが、これを知らない世代に向けて、当時流行っていたミームが研修資料を理解する助けとならず、むしろ認知的負荷が高くなってしまいます。
本番編
ここでは研修本番の時のバッドプラクティスについて学びます。生徒が見る場所はこの研修を実際に受けるときです。しっかりと学んでおくと良いかと思います。
資料をすべて説明してからハンズオンを実施する
誤解のないようにすべてを理解してもらってから実践してもらおうと考える人に陥りがちです。人間の短期記憶は7項目±2の情報を保持できると言われています。例えば、変数の扱い方を学ぶというのが目的とすれば、概念として変数とは何か、宣言とは何か、代入とは何かと、実際に書く上での宣言、代入などを含めての7±2となります。つまり、講師が一生懸命にすべてを説明した後にハンズオンを実施しても、生徒側は、ほぼ覚えていません。定期的にハンズオンを実施することが必要となるでしょう。
講師が質問をせず一方向で説明をする
資料を説明する時に全く生徒に質問をしない講師がいます。一方向だと生徒側にとっては集中力を欠き理解力が下がります。生徒側に講師が積極的に質問をすることで緊張感と集中力を維持して理解力の向上に充てることができるでしょう。
グループワークを実施しない
グループワークを実施することは中々難しいでしょうが、絶対に必要だと思います。理解力の促進、責任感、コミュニケーションの向上などが挙げられます。役割分担をすることで緊張感と集中力が生まれます。これは理解力の向上を促します。また。生徒側が仕事は一人ではできないということを理解し、協調性やコミュニケーションを促進することが期待できます。
休憩時間中雑談をしない
集中力を高く保つために休憩時間をとる研修は多いと思います。他方で、休憩時間中に生徒側と講師側の雑談を必須だと考える人は少ないと感じます。しかし、休憩時間中の雑談は非常に大切です。生徒側が何を考えていて研修に対してどう思っているかを聞き出すことが出来ます。更に、生徒が講師へ信頼感を生むことも期待できます。講師の○○さんが言うんだから頑張るかなどモチベーションが下がっている生徒に対しても効果が期待できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?単純な積み重ねのように思えるかもしれませんが、実は多くの落とし穴が存在し、研修を慎重に進める必要があることをご理解いただけたと思います。これが誰かの役に立てば幸いです。