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コイルガン、レールガンは銃刀法に触れないのか

Last updated at Posted at 2021-12-08

はじめに

この記事は「コイルガン、レールガンは銃刀法に触れないのか」という題ではありますが基本コイルガンについてのみ記述します。コイルガンとレールガンは似て非なるものですが悪しからず

筆者は法律の専門家ではありません。その点ご了承下さい
また、引用はすべて2021年12月08日時点での内容である点に注意してください

2023-01-28 追記

昨今の社会情勢の影響で銃刀法改正の流れになっており,この記事はもはや参考にならないものとなっている点に注意してください.詳細が分かり次第追記改定するか,新たに記事を作成します

追記ここまで

銃刀法に触れないのか

コイルガンの名の通り銃っぽいものではあるので念の為事前に確認しましょう
以下に昭和三十三年法律第六号 銃砲刀剣類所持等取締法(以下銃刀法とします)の銃器関係の部分の引用を示します。

まずはそもそも銃とは何なのかを見ていきましょう

第一章 総則
(定義)
第二条 この法律において「銃砲」とは、けん銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)をいう。

銃刀法では「火薬を用いて金属の弾を発射するもの」を銃砲、「圧縮空気を用いて弾を発射するもの」を空気銃と定義しているようです。また当然ながらそのエネルギーも重要な要素と見て取れます

それでは「内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギー」と「人の生命に危険を及ぼしうるもの」とは何なのか、昭和三十三年総理府令第十六号 銃砲刀剣類所持等取締法施行規則にそれらしき記述がありましたので引用します

(弾丸の運動エネルギーの値の測定の方法)
第二条 法第二条第一項又は第二十一条の三第一項の内閣府令で定める弾丸の運動エネルギー(単位は、ジュールとする。以下同じ。)の値の測定は、次に掲げるものに基づき算出することにより行うものとする。
一 水平方向に発射された弾丸が弾道の上における銃口から水平距離でそれぞれ〇・七五メートルの点と一・二五メートルの点との間を移動する速さを、室内においてその温度が二十度から三十五度までのものである場合に測定したときにおける測定値
二 弾丸の質量の測定値

(人の生命に危険を及ぼし得る弾丸の運動エネルギーの値)
第三条 弾丸の運動エネルギーにつき法第二条第一項の内閣府令で定める値は、弾丸を発射する方向に垂直な当該弾丸の断面の面積(単位は、平方センチメートルとする。第九十九条において同じ。)のうち最大のものに二十を乗じた値とする。

(人を傷害し得る弾丸の運動エネルギーの値)
第九十九条 弾丸の運動エネルギーにつき法第二十一条の三第一項の内閣府令で定める値は、弾丸を発射する方向に垂直な当該弾丸の断面であつて当該弾丸の前端からの距離が〇・三センチメートル以内のものに係る面積のうち最大のものに三・五を乗じた値とする。

かなり明確に規定されていますね

続いてコイルガンの定義を確認しましょう
徳島大学のある発表資料を引用させていただきます

コイルガンとは、コイルに電流を流した際に発生する磁界の引力を利用して磁性体を加速し、発射する装置である

これらから「銃刀法における銃」と「コイルガン」の要点を整理すると以下の通りとなります

銃刀法における銃(装薬銃砲)
  -火薬によって金属製弾丸を発射するもの
銃刀法における銃(空気銃)
  -圧縮空気によって弾丸を発射するもののうち一定以上のエネルギーを持つもの
コイルガン
  -電界の引力によって磁性体を発射するもの

表にすると

発射方式 エネルギー
装薬銃砲 火薬 規定なし
空気銃 圧縮空気 弾丸の先端3mm以内の部分の断面積の最大値(cm2)*20(J)
コイルガン 電界の引力 規定なし

装薬銃砲と空気銃の違いは主に発射方式の違いということになります。火薬が使われていれば装薬銃砲、圧縮空気ならば空気銃といった具合です。ただし火薬によって非金属性の弾丸を発射するものの場合はこの限りではなさそうですがどうなんでしょうか

それはそうと、これを見る限りコイルガンは装薬銃砲でも空気銃でもないので銃刀法の規制からは外れるようです。だから皆さん自作されているんですけど
エネルギーの規制もないのでトンデモナイ威力のを作っても法的には問題はなさそうです。

だからといって、、、

ここまでの内容からコイルガンを制作するのは銃刀法に違反しないであろうということがわかりました
ですが、ずっとこのままであるとは限りません

例えば、誰かがコイルガンを用いて何かしらの事件を起こしたとしましょう。考えたくないことですが世の中誰が何をしてもおかしくはありません
それが誰かを殺害、あるいは傷害した事件であった場合、間違いなく法改正の動きになることは間違いありません。すると銃砲の定義が「前略)金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲、電磁銃及び空気銃」のようなことになりかねません。そうなってしまうと趣味の範囲で楽しまれている方々に対して大迷惑となってしまいます。**当然のことですが他人を殺傷する目的で高威力のコイルガンを作ろうとするのは絶対にしてはいけません。**また、そのつもりはなくても動作確認中等に人に当たってしまって怪我をさせてしまうことがないように、十分に安全に気を付けて制作に取り組むようにしてください。

例えば、発射する際、充電前に人や壊れやすいものが無いことを確認することをおすすめします。撃つ前に確認する様だと暴発したときに対処ができません。

最後に

ここまで色々と長ったらしく書いてきましたが、一番伝えたい事はもちろん「安全第一」です
試作する際、まずは低電圧から作りはじめ、そこから徐々に電圧を上げ、コイルの巻数を増やし、危なくないように作りましょう。いきなり300Vとかやめて下さいね、危ないので

この記事では主に法的な面から攻めましたが、もちろん扱ってるのは高電圧ですので感電にも気をつけなくてはなりません。僕も気をつけてはいましたが何度か感電しました。イタカッタ
安全対策は多ければ多いほどいいです。高電圧箇所には絶縁処理をする・短絡しそうなところにはビニールテープを巻いたり熱収縮チューブを付けたりする、などなど

安全には十分気をつけつつ、楽しんで実験、工作を行っていきましょう。

続きの話についてはこちらから

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