企業の採用ページやコーポレートサイトを見たときに、
- 情報開示は十分か
- 働き方の説明は具体的か
- 応募者が不安を感じる表現はないか
といった観点で確認したくなることがあります。
ただし、公開情報だけを見て 「ブラック企業」と断定するのは適切ではありません。
そこで本記事では、Playwright(Claude Codeプラグイン)を使って、企業サイト上の「採用・労務リスク兆候」を整理する方法を紹介します。
目的は、企業を断罪することではなく、応募者目線での懸念点を可視化することです。
結論
やることはシンプルです。
「ブラック企業かどうか」を判定させるのではなく、公開情報から見える採用・労務リスク兆候を整理させる。
この設計にすると、出力がかなり安定します。
なぜ「ブラック企業判定」にしないのか
企業サイトだけでは、次のような内部実態までは分かりません。
- 実際の残業時間
- 上司との関係性
- 評価制度の運用実態
- 離職率の実態
- ハラスメントの有無
そのため、公開情報だけをもとに「ブラック企業」と断定するのは不正確です。
一方で、公開情報からでも次のような兆候は見えます。
- 労働条件の説明が極端に薄い
- 精神論や熱意の訴求が過度に強い
- 成長や裁量を強調する一方で支援体制の説明が弱い
- 評価制度や働き方の説明が曖昧
- 理想像の訴求に比べて、現実的な条件開示が少ない
そこで、断定ではなく兆候分析として扱うのが現実的です。
今回のゴール
本記事で扱うゴールは次の通りです。
- 採用ページや企業サイトの公開情報を巡回する
- 応募者目線での懸念点を整理する
- その懸念を 0〜100点の指標で可視化する
- ただし、その点数は参考指標として扱う
使用するプロンプト
<対象サイトURL> を巡回し、採用ページ・会社概要・制度説明・社員紹介・代表メッセージなどを確認して、応募者にとっての採用・労務リスク兆候を分析してください。
「ブラック企業」といった断定表現は使わず、確認できた事実、気になる表現、情報不足の箇所、過度な精神論、労働条件や評価制度の曖昧さに加えて、潜在的な採用・労務リスクのシグナルも対象にしてください。
潜在的な採用・労務リスクのシグナルとは、公開情報だけでは問題と断定できないものの、応募者が将来的な不安を感じうる要素を指します。たとえば、成長や裁量の強調に対して支援体制の説明が弱い、熱意や覚悟を過度に求める、働き方や残業・評価基準の説明が薄い、理想像の訴求が強い一方で現実的な条件開示が少ない、といった点です。
各項目について「確認できた事実」「懸念の理由」「追加で確認すべき点」を示し、最後に公開情報から見えるリスク兆候の強さを 0〜100点で評価してください。0は懸念がほとんど見られない状態、100は懸念がかなり多い状態とし、点数の根拠を項目別に説明してください。なお、この点数は公開情報ベースの参考指標であり、企業の実態や法令順守状況を断定するものではありません。
このプロンプトのポイント
このプロンプトでは、単に「怪しいかどうか」を聞いているわけではありません。
次のように、見方を構造化しています。
1. 断定を禁止している
まず重要なのは、「ブラック企業」と断定させないことです。
これにより、出力が攻撃的になりにくくなります。
2. 「確認できた事実」と「懸念」を分けている
ここを分けないと、印象ベースの雑な評価になりやすくなります。
例えば、
- 実際にサイトに書いてあったこと
- そこから応募者が感じうる不安
- さらに確認が必要な点
を分けて整理させることで、読み手が冷静に判断しやすくなります。
3. 「潜在的なシグナル」まで対象にしている
ここがこのプロンプトの発展版です。
公開情報だけでは問題と断定できなくても、応募者が違和感を持ちやすい要素はあります。
例えば次のようなものです。
- 「圧倒的成長」「若いうちから裁量」ばかり強調されている
- その一方で、教育体制や支援体制の説明が薄い
- 熱意や覚悟の表現が強い
- 労働条件や評価制度の説明が曖昧
- 理想的な人材像の説明は多いが、実務の現実が見えにくい
こうした要素は、潜在的な採用・労務リスクのシグナルとして扱うと整理しやすくなります。
どう使うのか
使い方はシンプルです。
Step 1. 対象サイトURLを入れる
まずは <対象サイトURL> を、分析したい企業サイトや採用ページのURLに差し替えます。
Step 2. 出力をそのまま信じない
ここが重要です。
AIの出力は便利ですが、公開情報からの推測も含まれます。
そのため、出てきた内容は必ず以下のように読み分ける必要があります。
- 事実として確認できたもの
- 懸念として挙がったもの
- 追加で確認すべきもの
Step 3. 点数は「確率」ではなく「参考指標」として使う
0〜100点の点数は便利ですが、これはブラック企業である確率ではありません。
あくまで、
公開情報から見えるリスク兆候の強さ
をざっくり可視化したものとして使います。
なぜ0〜100点にするのか
「怪しい / 怪しくない」だけだと粗すぎるためです。
例えば、次のような違いがあります。
- 条件開示は薄いが、特に不自然な表現は少ない
- 熱意や裁量の訴求が強く、制度説明も曖昧
- 働き方の説明が少なく、評価制度も見えず、精神論も強い
これらは同じ「懸念あり」でも強さが違います。
そのため、比較しやすいように点数化するのは有効です。
ただし、その意味は確率ではなく参考指標です。
見るべき観点の例
このプロンプトで特に見やすい観点を整理すると、次のようになります。
1. 情報開示の十分性
- 労働条件が具体的に書かれているか
- 福利厚生の記載が曖昧ではないか
- 評価制度やキャリアパスの説明があるか
2. 表現のバランス
- 成長や挑戦の訴求が過度に強くないか
- 熱意や覚悟を必要以上に求めていないか
- 理想像ばかりで現実的な説明が不足していないか
3. 支援体制の説明
- 教育体制やフォロー体制があるか
- 裁量の強調に対してサポートの説明があるか
- 入社後の働き方が想像できるか
4. 働き方の透明性
- 残業や勤務形態の説明があるか
- リモート可否や柔軟な働き方の情報があるか
- 実態が見える情報があるか
Playwrightでやるメリット
通常、こうした分析を人が手作業でやると、
- ページの見落としが出る
- 導線の確認が漏れる
- 何を見たか再現しづらい
という問題があります。
Playwrightを使うと、
- 実際にページを巡回できる
- 確認対象を広げやすい
- 同じ手順で再確認しやすい
という利点があります。
つまり、感覚的なレビューではなく、ある程度手順化されたレビューにしやすいのが強みです。
注意点
この方法には明確な限界があります。
1. 公開情報だけでは内部実態は分からない
当たり前ですが、サイトの文章だけで職場実態の全ては分かりません。
2. 点数は断定ではない
0〜100点は便利ですが、企業の実態を証明するものではありません。
3. 公開記事では実在企業への断定を避ける
Qiitaなどの公開記事では、実在企業名やURLを出して断定的な論評をするのは避けたほうが安全です。
そのため、記事では <対象サイトURL> のようなプレースホルダで紹介するのが無難です。
まとめ
本記事のポイントは次の通りです。
- 企業サイトから「ブラック企業かどうか」を断定するのではなく、採用・労務リスク兆候として分析する
- 「確認できた事実」「懸念の理由」「追加で確認すべき点」を分ける
- 潜在的な不安シグナルも対象にすると、分析の解像度が上がる
- 0〜100点は確率ではなく、公開情報ベースの参考指標として使う
- 公開記事では実在URLや断定表現を避ける
本質は次の一文に尽きます。
断定ではなく、公開情報から見えるシグナルを構造化して整理する。
付録:コピペ用プロンプト
<対象サイトURL> を巡回し、採用ページ・会社概要・制度説明・社員紹介・代表メッセージなどを確認して、応募者にとっての採用・労務リスク兆候を分析してください。
「ブラック企業」といった断定表現は使わず、確認できた事実、気になる表現、情報不足の箇所、過度な精神論、労働条件や評価制度の曖昧さに加えて、潜在的な採用・労務リスクのシグナルも対象にしてください。
潜在的な採用・労務リスクのシグナルとは、公開情報だけでは問題と断定できないものの、応募者が将来的な不安を感じうる要素を指します。たとえば、成長や裁量の強調に対して支援体制の説明が弱い、熱意や覚悟を過度に求める、働き方や残業・評価基準の説明が薄い、理想像の訴求が強い一方で現実的な条件開示が少ない、といった点です。
各項目について「確認できた事実」「懸念の理由」「追加で確認すべき点」を示し、最後に公開情報から見えるリスク兆候の強さを 0〜100点で評価してください。0は懸念がほとんど見られない状態、100は懸念がかなり多い状態とし、点数の根拠を項目別に説明してください。なお、この点数は公開情報ベースの参考指標であり、企業の実態や法令順守状況を断定するものではありません。
