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DTM のはじめかた

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408 Request Timeout のおはきゅうと申します。いつもお世話になっております。

先日の文学フリマ東京 40 では大変お世話になりました。

このたび当サークル「408 Request Timeout」は文学系の頒布イベントに初出展を果たし、『深夜三時の叙情(リリシズム)』という短編集を刊行いたしました。

初出展であったにもかかわらず完売に至ったということで、大変嬉しいかぎりでございます。お立ち寄りいただいた皆様、お買い上げいただいた皆様にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。

文学フリマ東京 41 にも出展を予定しております。次回も何卒お立ち寄りいただけますと嬉しい限りです。またお会いできる日を心待ちにしております。

ところで、当サークルはとあるシステムエンジニアの会社の部活動として、文芸はもとより創作活動ならなんでも、という趣旨にて発足したものです。というわけで、文芸以外にも裾野を広げていきたいと考えております。私はかねてより作曲を趣味としており、この創作部にて何か音楽系のことをやれたらいいなと思っておりました。

そのような中で、DTM に興味がある、やってみたい、という方が部内にいらっしゃったので、僭越ながら DTM のことはじめについてしたためてみようと考えた次第です。これは部内に限らず、色々な方に見ていただけると嬉しいなと思い、サークルの Qiita より記事を出しました。私自身、最近 DTM をあんまりやれてないのですが、これを契機にしてまたぼちぼち曲を作っていけたらいいなと思っております。

DTMをするまえに

説明を始める前に、あなたにお伺いしたいことがあります。

それは 「あなたの一番好きな曲はなんですか?」 というものです。

J-POP でしょうか。アニソンでしょうか。ゲーム音楽?それとも洋楽?インスト系、クラシック、民族調の音楽とかはどうですか?

特に思いつかない人、多すぎて決められない人、光り輝く一番の曲がある人。カラオケの十八番、好きな人が好きだった歌。人生を変えた曲、素通りした曲。どんな人にも、そうした音楽がたくさんあったんじゃないかと思います。

音楽が好きな方はたくさんいますが、それを「自分も作ってみたい」というところにまで昇華させる方はあまりいないのではないでしょうか。

「音楽が好きだ」という気持ちは作曲に欠かせないものです。まずはその気持ちを忘れずに突き進んでもらえればと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。

DTMとはなにか

Desktop Music の略。読んで字のごとく「卓上での音楽」であり、コンピュータを用いて行う楽曲制作全般を指す。作曲用のソフトウェア「DAW」を使用し、「プラグイン」と呼ばれるソフトウェア音源・エフェクターや「VOCALOID」をはじめとする音声合成ソフトウェアを用いて楽曲を作成する。また、録音したメロディやボーカルをソフトウェア上で合成し、周波数の兼ね合いや音圧を調整して1つの楽曲にしていく「ミキシング」といった作業も行う。もちろんスピーカーやアンプ、マイクや実機のエフェクターなども接続し、連携できる。

DTMでつかうもの

必要なもの(最小構成)

PC

PC の RAM は 16GB 以上を推奨。作曲ソフトや音源は基本重いので、メモリはあればあるほどよい。OS は Windows を推奨。たしかに MacBook を使ってトラックメイクしている人はなんかかっこいい雰囲気がある。しかし MacOS は対応していない音源がけっこうあったり(ただし一昔前ほどではないが)、後方互換性(OS のアップデートがあっても古い音源等が使える、等)が Windows ほどではない、という点であんまりおすすめできない。MacOS はアップデートするたびに何かしら動かなくなっているイメージがある。一方 Logic Pro(後述)という作曲ソフトを使いたいなら逆に Mac しかない。私は現在、64GB の Mac mini(Intel CPU) に Bootcamp で Windows を載せてやっています(もともとマカーだったが嫌になってやめた)。

DAW

要は作曲用のソフトウェア。Digital Audio Workstation の略。日本では「ダウ」と呼ばれる。海外では「ドー」と発音する。これがあって初めて PC で作曲ができる。フリーのものもあったりアップデートするたびにお金がかかったりするものまでピンキリだ。基本的な機能自体はどの DAW も似通っているので、最初は UI が気に入ったフリーのものから使ってみる、という感じで色々サイトを見たりインストールして試してみたりするといいと思う。
曲をいくつか作っていくうちに、それぞれの DAW が持つ特性について理解が深まったり、自分が作りたい曲のジャンルが定まってきたり、また使い勝手に好みが出てきたりするはず。そうなったらアップグレードや乗り換えを検討するとよい。

以下、代表的なものをいくつか紹介する。

ヤマハ スタインバーグ Cubase

いわゆる「業界標準」の DAW。
開発会社のスタインバーグは近年ヤマハに買収された。ヤマハの子会社のソフトウェアだけあって基本的に諸々強い。また、音声合成システム「VOCALOID」と互換性が強い。
DAW に組み込んで使える音源やプラグインの標準となっている VST(拡張子 .vst)はこのスタインバーグが開発した。要は老舗。ただ、最上位モデルはとても高いし、アップデートのたびにお金がかかる。あとメモリエラー(SEGV)でよく落ちる。開発言語は C++。だからなのかしら。
下位グレードのものを買ってみて、機能が追加で欲しければアップグレードしてみるとよい。
使っている人…中田ヤスタカ、TeddyLoid、私

ImageLine FL Studio

トラックメイク(ハウスで流れているループものとか電子音楽系とかを作る的な)が非常にやりやすい DAW。
昔は Windows 版しかなかったが、現在は Mac OS も対応されている。付属のエフェクター(後述)が非常に優秀。また、世界中で利用者が多いため How to 動画がたくさん投稿されており短時間でのレベルアップが可能。EDM の大家たちはけっこう FL Studio だ。
価格自体そこまで高くないのにアップデートが無料。唯一の欠点は英語版しかないこと。だがそんなことは些事である。
使っている人…BANVOX、Avicii

Apple Logic Pro

Apple の DAW。
Apple が Emagic という譜面作成ソフト開発の企業を買収して開発を進めてできたソフト。付属の音源がとにかく良い。下位互換のソフトに無料の GarageBand という DAW がある。問題は Windows に対応していないこと。Mac で始めるならもうこれでいいだろう。
使っている人…Ayase(YOASOBI)

PreSonus Studio One

もともと無料でとっつきやすかった DAW。
出力される音が綺麗(個人の感想です)。DAW によって内部の信号処理の仕様がそれぞれ違うので、同じ音を再生しているようであっても DAW が異なるとその出力(となるバイナリデータ)は異なる。昔は無料版があったので初学者の入門に最適な DAW だったが、最近その無料版の提供が終わったらしい。残念。
使っている人…n-buna(ヨルシカ)、きくお

Avid Pro Tools

真の業界標準。プロのサウンドエンジニアは最終的にこのソフトウェアで仕上げをする。上級者向け。本物の老舗。出音の機構がほかの DAW と違うらしい。ほとんど原音が出る唯一の DAW だとか。

ほかにも Bitwig Studio、REAPER、Domino など、フリーのものでもたくさんある。容量の許す限り色々インストールして試してみると面白いかもしれない。

必要なもの(+α)

単に「曲を作るだけ」ということなら、上述の PC に DAW をインストールしてしまえばそれは可能だ。PC にイヤホンをつなげば作業はできるし、DAW 自体に最低限必要な音源やエフェクターなどは入っている。

しかし、「いい曲」や「自分の思ったこだわりの曲」とかを作るとなると、その構成だけではうまくいかなくなるかもしれない。まず、PC にイヤホンをつないでいるだけのモニター環境で、本当に「再生されたとおりの正しい音」が聴けているのか?といった疑問が出てくる。サウンドのモニター環境は PC 自体のスペックや居住している環境の変電設備に影響されてくるので、自分が作業中に聴いていた音とアップロード後にリスナーが聴く音とがかなり異なっている、ということはありうる。さらに、DAW 付属の音源よりも質の高い音源を求めるなら基本的にサードパーティーで有料のものを使う必要があるだろうし、ボカロ曲を作りたければ VOCALOID ライブラリも購入する必要が出てくる。また、もともと楽器をやっていた人なら自分で演奏した生音を録音して、それを楽曲に取り入れたりもしたいだろう。

そうした理由から、再生環境や楽曲自体のクオリティを上げていくには、ハード・ソフト両面で課金が必要になってくる。もちろん、DAW 付属の音源やエフェクターだけでクオリティの高い曲を作ることは不可能ではない。しかし、調整すべきパラメータの多さや無料版であるがゆえの機能の少なさなど、お金をかけないかわりに手間と時間がかかることになるのは必至だ(しかし、そうした手間を省かないでシンプルな機能だけを駆使して1曲作ってみることは、音声処理についての解像度を上げて実力を格段にアップさせるためのとてもいい機会になる)。経験を積むにつれてこだわりややりたいことが強く出てきたら、環境のアップグレードを検討するとよい。

より楽曲のクオリティを上げていくために必要なものを、ハード・ソフトの2つの区分で見ていこう。

ハード(機材系)

モニタースピーカー

音をモニターする専用のスピーカー。一般に、市販のスピーカーというものはイコライジング(低音を強くしたりなど、出力の際に特定の周波数帯に強弱をつける)されているため、作曲時に要求される原音に近い音が出ない。モニタースピーカーは、そのような音への味付けを廃して、なるべくナマの音に近いものが出るようになっているスピーカーだ。

YAMAHA HS Series

IK Multimedia iLoud Micro Monitor

モニターヘッドホン

市販のヘッドホンについてもイコライジングされているものがほとんどだ。モニターヘッドホンも、モニタースピーカーと同様にどの周波数帯もフラットに再生される仕様になっている。媒体による聴こえ方の差分をなくすために、スピーカーとヘッドホン両方で作業をして、聴き比べができるとよい。

SONY MDR-CD900ST

SHURE SRH440A

コンデンサーマイク

歌う人、楽器の生音を使う人用。ソフトウェア音源の音だけではなく録音した生音を楽曲に取り入れたいと考える人もいるだろう。ボーカル曲を作るならなおさらだ。そういった場合はこのコンデンサーマイクというものを使うことになる。
コンデンサーマイクが普通のマイク(ダイナミックマイク)と違うところは、より繊細な音が集音できるというところだ。ダイナミックマイクがライブやイベントの拡声に適しているのに対して、コンデンサーマイクは録音に適しているといえる。

audio-technica AT2020

オーディオインターフェース

略称は AIF。名称のとおりオーディオの境界となる機器。まず、スピーカー、ヘッドホン、マイクなどの機器を DTM で使おうとすると、それらは基本的に全部 PC につながないといけなくなる。しかし、端子の数の都合上、不足なく全部をつなげることは難しいかもしれない。また、PC の端子から再生される音はあまり質がよくなかったりするため、音の感じがわからずに作業に支障が出たりもする。
オーディオインターフェースとは、そうした音の道筋を整えるためのハブ役になる機器だ。オーディオインターフェースには端子の穴がいくつもあり、各種機器をそこに全部つないで作業ができる。また、内部に整流回路を持っているので出音が綺麗になる。PC に全部を直繋ぎするよりも作業がはるかにはかどる。

MOTU M2

Steinberg UR22C

ソフト(音源など)

プラグイン

DAW 上で読み込んで使えるソフトウェア音源やエフェクターを総称して「プラグイン」と呼ぶ。DTM に限らずあるソフトウェアで読み込んでアタッチメント的に使えるツールのことはプラグインと呼ぶだろう。それと同じである。作曲の経験を積んでいくにつれて、今よりもっと幅広いジャンルの曲を作りたくなったり、DAW 標準の音源では満足できなかったりするだろう。憧れのアーティストの真似したい音が DAW 標準では表現できないということもある。そういう場合は、DAW 標準の音源ではなくサードパーティー製の淵源を別途購入し、DAW 上に読み込んで使用することになる。
音源は以下に紹介する Komplete や Quantum Leap RA のようななんでも入っている総合音源系のものや、Serum のような単一音源で提供されているものもある(もっとも Serum はシンセサイザーなので真に単一音源と呼んでいいわけでもないとは思う)。また、iZotope の Ozone のような、ミキシング・マスタリング用プラグインのパッケージもある。

これらのプラグインは基本的に DAW に標準で入っている類似の音源よりもはるかにクオリティの高い音が出るし、音色の数も多い。唯一の欠点は、これらすべてを買おうとしたら相当な額になってしまうことだ。自分のやりたいことをよく見極め、うまく取捨選択されたい。

以上、まずは機材関連について紹介してみた。ソフト系の各種インストール方法はググれば出てくるので試されたい。

打ち込みや音楽理論などについては気が向いたら書くかも…?

written by おはきゅう

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