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2026年度版:既存基幹システムを活かすAIエージェント導入の考え方

Last updated at Posted at 2026-01-04

はじめに

某SI会社2Gのひらいです。

2025年から、AI活用は 「チャットで質問する」「文書を要約する」といった使い方から、
AIがシステムを操作し、業務を支援・遂行する「AIエージェント」 の段階へ進みつつあります。

一方で、企業システムの現場では、次のような前提を持つケースがほとんどだと思います。

  • すでに基幹システムは導入され、長期間運用されている
  • 簡単に作り替えられるものではない
  • AIをいきなり業務の中核に組み込むことには抵抗がある

本記事では、こうした現実を踏まえたうえで、
既存の基幹システムを活かしながらAIエージェントを導入するための、SIとしての現実的な考え方と構成を整理します。

AIエージェント導入における基本前提

AIエージェント導入を検討するにあたり、次の前提を重視しています。

  • 既存の基幹システムは作り替えない
  • 人が行っている業務操作を、AIエージェントからも呼び出せる形にする
  • 最終的な判断や責任は人が担う

AIを万能な存在として扱うのではなく、
業務の一部を担う、役割を持った存在として設計することが重要だと考えています。

AIエージェント対応APIの導入

この前提を実現するための中核となるのが、AIエージェント対応APIです。

AIが業務を支援・実行するためには、業務システムを操作するためのインターフェース(業務API)が必要になります。

構成イメージは次のようになります。

AIエージェントには、状況に応じて「どの業務APIを、どの順序で呼び出すか」を判断する役割が求められます。
こうしたAIエージェントが、外部のAPIを安全かつ整理された形で扱うための仕組みとして、MCP(Model Context Protocol) が登場しました。

MCPは、AIエージェントに対して

  • 利用可能なAPIの一覧
  • 各APIの役割や用途
  • 呼び出し時の引数や前提条件

といった情報を整理し、AIが参照できる形で提供するための仕組みです。

本構成では、AIエージェントはMCPサーバーを介してこれらの情報を取得し、状況に応じて適切な業務APIを選択・実行します。

これにより、業務フローをコード上で過度に固定することなく、業務ルールの変更や業務API追加にも柔軟に対応できる構成を取ることができます。

なお、MCPはあくまでAIエージェント向けの補助レイヤーであり、既存の業務APIや基幹システムそのものを作り替える必要はありません。

想定される業務APIの種類

AIエージェント対応APIといっても、特別なAPIを新しく考える必要はありません。
基本的には、人が日常的に行っている業務操作をAPIとして整理することになります。

代表的な業務APIの種類を、以下に整理します。

種類 主な操作内容 想定される業務例
マスタ系API 登録 / 更新 / 削除 / 参照 取引先マスタ、商品マスタ、部署・担当者マスタ
伝票系API 登録 / 更新 / 修正 / 取消 受注・発注伝票、請求・支払伝票
帳票作成API 帳票生成 / ファイル出力 見積書、請求書、納品書、各種レポート
参照・検索API 条件指定検索 / 一覧取得 在庫一覧、進捗一覧、履歴参照
集計・分析API 集計 / サマリー取得 売上集計、実績集計、稼働状況の把握
ステータス更新API 状態遷移 / フラグ更新 承認済み・確定・完了などの状態更新

これらのAPIは、AI専用のものとして切り出すのではなく、人の業務と共通で利用される業務APIとして設計することが重要です。

AIエージェントが動く「3つのトリガー」

AIエージェント導入では、「何をきっかけに動くのか」 をあらかじめ整理しておくことが重要です。

代表的なトリガーは次の3つです。

1. 自然言語チャット

利用者が自然言語で指示を出し、情報整理や判断材料の提示を行うケースです。

2. スケジュールトリガー

  • 日次・月次処理
  • 定期チェック
  • レポート生成

定常業務の負荷軽減に向いています。

3. データ登録・関係性トリガー

  • データ登録・更新を契機に発動
  • 関連データを横断した条件判定

業務イベントをきっかけに、通知や次アクションの提案を行う用途に適しています。

導入プロセス

AIエージェント導入は、試して終わりでは価値が出ません。実運用を前提に、次の流れで進めることが重要です。

  1. 業務・基幹システムのヒアリング
  2. AIエージェントの役割定義・API設計
  3. エージェント連携に必要な実装
  4. 検証・フィードバック対応
  5. 本番環境への導入・運用開始

「検証・フィードバック対応」では、「業務で使えるかどうか」を利用者目線で確認すること が重要になります。

おわりに

AIエージェント導入は、「AIを入れること」そのものが目的ではありません。

  • 既存基幹をどう活かすか
  • AIをどこに、どの役割で配置するか
  • 業務として安全に回せる構成になっているか

これらを整理した上で、業務API整備と検証を含めた段階的な導入が重要になります。

こうしたAIエージェント構成を実現するために、特別な仕組みを一から作り込む必要はありません。既存のクラウドサービスを活用することで、現実的な形で構成することができます。

例えば、Amazon Web Services(AWS)には、AIエージェント実行基盤を実現するサービスが一通り揃っています。

  • AIエージェントを実行するためのマネージドな基盤
  • イベントやスケジュールをトリガーに処理を起動する仕組み
  • 業務APIを安全に公開・制御するためのサービス
  • 実行結果を追跡・監査するためのログ管理機能

次回は、今回ご紹介した構成をAWS上でどのように実装・運用していくのか
AIエージェントの実行基盤や設計の考え方に、もう一段踏み込んでいきたいと思います。

それでは!

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