5
7

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

XRvのインストールと使用方法

Last updated at Posted at 2018-09-07

はじめに

Cisco IOS XRは、高信頼が求められる通信事業者のネットワーク機器のOSとして広く普及している。Cisco IOS XRv 9000ルータ(以下、XRv)は、仮想化された汎用x86コンピューティングプラットフォームで動作し、IOS XRソフトウェア機能を提供する。本稿では、XRvのインストール方法を整理し、簡単な動作確認をする。なお、GNS3(ネットワークシミュレータ)と組み合わせて動作させることもできるが、ハードウェアリソースが限られるため、本稿ではGNS3を使用しない方法を述べる。

環境

本稿では、以下の環境でXRvのインストールを実施した。

名前 バージョン
MacBook Pro(Early 2015) macOS High Sierra(10.13.6)
VirtualBox 5.2.18
IOS XRv 9000(デモ版) 6.0.0

VirtualBoxのインストール

VirtualBoxは仮想マシンを動作させることのできるソフトウェアである。XRvをVirtualBox上で仮想ルータとして動作させるため、公式ページからお使いの環境(本稿ではmacOS)に合わせてVirtualBoxをダウンロードし、インストールをする。VirtualBoxのインストール方法はQiitaでも多くの方が説明してくれているので、ここでは割愛する。

XRvのインストール

XRvの入手方法

XRvの入手は容易ではないかもしれない。XRvはCisco社の製品であるが、かつてはiosxrv-k9-demo-x.y.zというファイル名のデモ版がCisco Upload Pageからダウンロードできたようであるが、本稿執筆時(2018年8月16日現在)にはダウンロードファイルが存在しない。XRv 5.4以降のバージョンでは、ライセンス認証をしなければデモ状態(200kbps制限)として動作する(参考)ので、製品版を入手してデモ状態で動作させれば良いのだが、Cisco.com ID(旧 CCO ID)にService Contractが必要で、特にCisco社のパートナー企業にお勤めでない場合は入手の敷居が高い。

XRvの構築

本稿では、XRv デモ版(iosxrv-k9-demo-6.0.0.ova)をVirtualBox上で動作させる。手順は以下の通りである。

XRvのインポート

VirtualBoxを起動し、VirtualBoxマネージャーの仮想アプライアンスのインポートからiosxrv-k9-demo-6.0.0.ovaをインポートする。設定は後で変更するため、ひとまずインポートボタンを押し、XRvを構築する。
 2018-08-17 14.33.44.png

XRvの設定変更

VitualBoxマネージャーの設定から下記変更を行う。

  • 名前の設定

    • 「一般/基本」から「名前」を所望の値に変更する。ここではxrvとした。
     2018-08-17 14.40.26.png
  • システムリソースの設定

    • 「システム/マザーボード」の「起動順序」からフロッピーと光学のチェックを外す。
    • 「メインメモリー」を所望の値に変更する。ここでは必要最小限となる2048MBを割り当てた(2GB未満だとXRvの起動に失敗する。バージョンによって異なる場合があるので、起動に失敗したらより多くのリソースを割り当ててください)。
     2018-08-17 14.43.24.png
    • 「システム/プロセッサー」の「プロセッサー数」を所望の値に変更する。ここでは必要最小限となる1を割り当てた(バージョンによって異なる場合があるので、起動に失敗したらより多くのリソースを割り当ててください)。
     2018-08-17 14.43.28.png
  • オーディオの設定

    • 「オーディオ」から「オーディオを有効化」のチェックを外す。
     2018-08-17 14.54.24.png
  • ネットワークの設定

    • 「ネットワーク/アダプター1〜アダプター4」の設定を変更する。

    • VirtualBoxとXRvのインターフェースの対応関係はAppendixに整理しているが、「アダプター1」を管理用、「アダプター2~4」をデータプレーン用として設定する。

    • 「アダプター1」は、「ネットワークアダプターを有効化」をチェックを入れ、「割り当て」をブリッジアダプター、「名前」をen0:Wi-Fi(macの場合)、「アダプタータイプ」を準仮想化ネットワーク(virtio-net)にする。

      • 「名前」には、ホストOSからXRvへのSSH接続のため、ホストOS(ここではmacOS)からアクセス可能なインターフェースを指定する。
      • 「アダプタータイプ」をvirtio-net以外にすると上手く動作しない。
       2018-08-17 15.37.06.png
    • 「アダプター2~4」は、「ネットワークアダプターを有効化」をチェックを入れ、「割り当て」を内部ネットワーク、「名前」を所望のネットワーク名、「アダプタータイプ」をvirtio-netにする。

      • 「名前」が同じアダプターは同一ネットワーク(ここではブロードキャストドメイン)に属する。
      • 「アダプタータイプ」をvirtio-net以外にすると上手く動作しない。
     2018-08-17 16.00.04.png  2018-08-17 16.00.07.png  2018-08-17 16.04.22.png
  • ポートの設定

    • 「ポート/シリアルポート/ポート1」から、「シリアルポートを有効化」にチェックをいれる。この設定によりXRvにシリアル接続が可能になる。
    • 「ポート番号」をCOM1、「ポートモード」をホストにパイプ、「存在するパイプ/ソケットに接続」のチェックを外し、「パス/アドレス」に所望のコンソール接続先パス名を入力する。
     2018-08-17 16.11.59.png
コンソール接続の準備

macOSでコンソール接続するために、[socat] (https://github.com/craSH/socat)をインストールする。macOSのパッケージマネージャーであるHomebrewが既にインストールされていれば、下記コマンドでインストールできる。

macOS
$ brew install socat
XRvの起動と接続

VirtualBoxマネージャーからXRvを起動する。起動後、接続先として設定したシリアルポートのパスに接続する(ここでは/tmp/xrv)。これから何度も使用するコマンドとなるので、コマンドをシェルスクリプト化しておくと良い。

macOS
# socat [シリアルポートのパス] stdio,raw,echo=0,escape=0x1a
$ socat /tmp/xrv stdio,raw,echo=0,escape=0x1a

# socatから抜けるときは「ctrl+z」(escapeで指定)

接続後、XRvの起動を確認できる。初回起動時には、ユーザ名やパスワードの設定を求められるので、所望の値を入力する。
 2018-08-17 16.37.21.png

数分後、Usernameの入力画面まで到達すれば、構築は完了である

XRvの動作確認

ネットワーク構成

下図のようなネットワークを構築し、簡単な動作確認を行う。

クローンの作成

作成したXRvのクローンを作成し、相互接続を確認する。ここではCE1~4、PE1~2、Pの計7台のXRvを構築した。

クローン時には、「すべてのネットワークカードのMACアドレスを最初期化」にチェックをいれ、新しい名前を入力する。
 2018-08-18 7.30.16.png

「すべてをクローン」にチェックをいれ、クローンボタンを押す。
 2018-08-18 7.30.37.png

クローン後、以下の設定変更が必要である。

  • ネットワークアダプタ2~4の内部ネットワークの名前
  • シリアルポートのパス/アドレス

Appendix

VirtualBoxとXRvのインターフェース対応表

VirtualBox XRv
アダプター1 Mg0/0/CPU0/0
アダプター2 Gi0/0/0/0
アダプター3 Gi0/0/0/1
アダプター4 Gi0/0/0/2
5
7
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
5
7

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?