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XRvのインストールと使用方法

Last updated at Posted at 2018-09-07

はじめに

Cisco IOS XRは、高信頼が求められる通信事業者のネットワーク機器のOSとして広く普及している。Cisco IOS XRv 9000ルータ(以下、XRv)は、仮想化された汎用x86コンピューティングプラットフォームで動作し、IOS XRソフトウェア機能を提供する。本稿では、XRvのインストール方法を整理し、簡単な動作確認をする。なお、GNS3(ネットワークシミュレータ)と組み合わせて動作させることもできるが、ハードウェアリソースが限られるため、本稿ではGNS3を使用しない方法を述べる。

環境

本稿では、以下の環境でXRvのインストールを実施した。

名前 バージョン
MacBook Pro(Early 2015) macOS High Sierra(10.13.6)
VirtualBox 5.2.18
IOS XRv 9000(デモ版) 6.0.0

VirtualBoxのインストール

VirtualBoxは仮想マシンを動作させることのできるソフトウェアである。XRvをVirtualBox上で仮想ルータとして動作させるため、公式ページからお使いの環境(本稿ではmacOS)に合わせてVirtualBoxをダウンロードし、インストールをする。VirtualBoxのインストール方法はQiitaでも多くの方が説明してくれているので、ここでは割愛する。

XRvのインストール

XRvの入手方法

XRvの入手は容易ではないかもしれない。XRvはCisco社の製品であるが、かつてはiosxrv-k9-demo-x.y.zというファイル名のデモ版がCisco Upload Pageからダウンロードできたようであるが、本稿執筆時(2018年8月16日現在)にはダウンロードファイルが存在しない。XRv 5.4以降のバージョンでは、ライセンス認証をしなければデモ状態(200kbps制限)として動作する(参考)ので、製品版を入手してデモ状態で動作させれば良いのだが、Cisco.com ID(旧 CCO ID)にService Contractが必要で、特にCisco社のパートナー企業にお勤めでない場合は入手の敷居が高い。

XRvの構築

本稿では、XRv デモ版(iosxrv-k9-demo-6.0.0.ova)をVirtualBox上で動作させる。手順は以下の通りである。

XRvのインポート

VirtualBoxを起動し、VirtualBoxマネージャーの仮想アプライアンスのインポートからiosxrv-k9-demo-6.0.0.ovaをインポートする。設定は後で変更するため、ひとまずインポートボタンを押し、XRvを構築する。
 2018-08-17 14.33.44.png

XRvの設定変更

VitualBoxマネージャーの設定から下記変更を行う。

  • 名前の設定

    • 「一般/基本」から「名前」を所望の値に変更する。ここではxrvとした。  2018-08-17 14.40.26.png
  • システムリソースの設定

    • 「システム/マザーボード」の「起動順序」からフロッピーと光学のチェックを外す。
    • 「メインメモリー」を所望の値に変更する。ここでは必要最小限となる2048MBを割り当てた(2GB未満だとXRvの起動に失敗する。バージョンによって異なる場合があるので、起動に失敗したらより多くのリソースを割り当ててください)。  2018-08-17 14.43.24.png
    • 「システム/プロセッサー」の「プロセッサー数」を所望の値に変更する。ここでは必要最小限となる1を割り当てた(バージョンによって異なる場合があるので、起動に失敗したらより多くのリソースを割り当ててください)。  2018-08-17 14.43.28.png
  • オーディオの設定

    • 「オーディオ」から「オーディオを有効化」のチェックを外す。  2018-08-17 14.54.24.png
  • ネットワークの設定

    • 「ネットワーク/アダプター1〜アダプター4」の設定を変更する。
    • VirtualBoxとXRvのインターフェースの対応関係はAppendixに整理しているが、「アダプター1」を管理用、「アダプター2~4」をデータプレーン用として設定する。
    • 「アダプター1」は、「ネットワークアダプターを有効化」をチェックを入れ、「割り当て」をブリッジアダプター、「名前」をen0:Wi-Fi(macの場合)、「アダプタータイプ」を準仮想化ネットワーク(virtio-net)にする。
      • 「名前」には、ホストOSからXRvへのSSH接続のため、ホストOS(ここではmacOS)からアクセス可能なインターフェースを指定する。
      • 「アダプタータイプ」をvirtio-net以外にすると上手く動作しない。

     2018-08-17 15.37.06.png
    - 「アダプター2~4」は、「ネットワークアダプターを有効化」をチェックを入れ、「割り当て」を内部ネットワーク、「名前」を所望のネットワーク名、「アダプタータイプ」をvirtio-netにする。
    - 「名前」が同じアダプターは同一ネットワーク(ここではブロードキャストドメイン)に属する。
    - 「アダプタータイプ」をvirtio-net以外にすると上手く動作しない。
     2018-08-17 16.00.04.png
     2018-08-17 16.00.07.png
     2018-08-17 16.04.22.png

  • ポートの設定

    • 「ポート/シリアルポート/ポート1」から、「シリアルポートを有効化」にチェックをいれる。この設定によりXRvにシリアル接続が可能になる。
    • 「ポート番号」をCOM1、「ポートモード」をホストにパイプ、「存在するパイプ/ソケットに接続」のチェックを外し、「パス/アドレス」に所望のコンソール接続先パス名を入力する。  2018-08-17 16.11.59.png
コンソール接続の準備

macOSでコンソール接続するために、socatをインストールする。macOSのパッケージマネージャーであるHomebrewが既にインストールされていれば、下記コマンドでインストールできる。

macOS
$ brew install socat
XRvの起動と接続

VirtualBoxマネージャーからXRvを起動する。起動後、接続先として設定したシリアルポートのパスに接続する(ここでは/tmp/xrv)。これから何度も使用するコマンドとなるので、コマンドをシェルスクリプト化しておくと良い。

macOS
# socat [シリアルポートのパス] stdio,raw,echo=0,escape=0x1a
$ socat /tmp/xrv stdio,raw,echo=0,escape=0x1a

# socatから抜けるときは「ctrl+z」(escapeで指定)

接続後、XRvの起動を確認できる。初回起動時には、ユーザ名やパスワードの設定を求められるので、所望の値を入力する。
 2018-08-17 16.37.21.png

数分後、Usernameの入力画面まで到達すれば、構築は完了である

XRvの動作確認

ネットワーク構成

下図のようなネットワークを構築し、簡単な動作確認を行う。

クローンの作成

作成したXRvのクローンを作成し、相互接続を確認する。ここではCE1~4、PE1~2、Pの計7台のXRvを構築した。

クローン時には、「すべてのネットワークカードのMACアドレスを最初期化」にチェックをいれ、新しい名前を入力する。
 2018-08-18 7.30.16.png

「すべてをクローン」にチェックをいれ、クローンボタンを押す。
 2018-08-18 7.30.37.png

クローン後、以下の設定変更が必要である。

  • ネットワークアダプタ2~4の内部ネットワークの名前
  • シリアルポートのパス/アドレス

Appendix

VirtualBoxとXRvのインターフェース対応表

VirtualBox XRv
アダプター1 Mg0/0/CPU0/0
アダプター2 Gi0/0/0/0
アダプター3 Gi0/0/0/1
アダプター4 Gi0/0/0/2
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