【完全初心者向け】Maven を使った Spring Boot の環境構築
会社とプライベートでつまずくポイント付き
1. 想定読者と前提知識
- Spring Boot を触り始めて 1 ヶ月の初心者
- Java の基本文法はなんとなく理解している
- Maven という言葉は聞いたことがある程度
- IntelliJ または Eclipse を少し使ったことがある
2. 記事のゴール
- 自宅 PC で Spring Boot(Maven)の環境構築ができる
-
mvnコマンドでアプリを起動できる - 「会社では動くのに家では動かない」原因が理解できる
- バージョン差異・IDE 設定・プロキシなどの落とし穴を避けられる
3. Spring Boot × Maven でできること
● Spring Boot とは?
Java で Web アプリを作るための“便利セット”。
設定より実装に集中できるように、必要なもの(Tomcat、設定、依存)が最初から揃っています。
● Maven の役割
- 依存関係の管理(必要ライブラリの自動ダウンロード)
- ビルド
- テストの実行
- jar/war の生成
pom.xml = 設計図(依存の一覧) です。
4. 環境構築の準備
● Java のインストール(会社と自宅の違い)
| 項目 | 会社 | 自宅 |
|---|---|---|
| JDK バージョン | 統制されている(例:11 固定) | 自由に選べるのでズレやすい |
| インストール権限 | 管理者が実施 | 自分で入れる |
| バージョン差異 | 起きにくい | 起きやすい(最頻トラブル) |
起きがちな問題:
Spring Boot 2.x は Java17 非対応 → コンパイルエラー
Spring Boot 3.x は Java17 以上必須 → Java11 だと起動しない
● Maven のインストール
- 会社:IDE にバンドルされていることが多い
- 自宅:PATH 設定が必要
mvn -v
で確認できます。
● IDE 設定(初学者が詰むポイント)
- Lombok の有効化
- JDK のプロジェクト指定
- プロジェクトエンコーディング
会社ではテンプレが配られることが多いため、自宅で全部手動で設定する時に混乱しやすいです。
5. Maven プロジェクトを作る
● Spring Initializr を使う
https://start.spring.io/
設定例:
- Project: Maven Project
- Language: Java
- Spring Boot: 3.x
- Dependencies: Spring Web
ZIP をダウンロードして解凍すると、以下のフォルダができます。
src/
main/
java/
resources/
pom.xml
● 依存関係(Dependencies)とは?
pom.xml に書いたライブラリを Maven が自動でダウンロードしてくれます。
6. アプリを起動してみる
● 起動コマンド
mvn spring-boot:run
デフォルトでは http://localhost:8080 が立ち上がります。
● 最小のサンプル API
src/main/java/com/example/demo/HelloController.java
package com.example.demo;
import org.springframework.web.bind.annotation.GetMapping;
import org.springframework.web.bind.annotation.RestController;
@RestController // ← APIエンドポイントを持つクラス
public class HelloController {
@GetMapping("/hello") // ← /hello にアクセスすると実行される
public String hello() {
return "Hello Spring Boot!";
}
}
● 動作確認
http://localhost:8080/hello
7. 会社とプライベートでつまずきやすいポイント
① Java バージョン問題(最も多い)
- 会社 → JDK11
- 自宅 → JDK17
→ Spring Boot のバージョンによっては 動かない
② Maven リポジトリ問題
| 項目 | 会社 | 自宅 |
|---|---|---|
| リポジトリ | 社内 Nexus / Artifactory | Maven Central |
| アクセス制限 | あり | なし |
| 依存解決 | プロキシ必須 | すぐ通る |
→ 会社で依存解決が通らないのはプロキシ or 社内リポジトリ設定の問題
③ プロキシ設定(会社)
- 会社ネットワーク下では
settings.xmlにプロキシ設定が必要 - 自宅は不要
④ IDE 設定
テンプレプロジェクトがないため、
Lombok・JDK パス・ビルド設定を手動で設定しないと動かない。
⑤ OS や PATH の違い
- Windows の PATH を間違える
- Java の複数バージョンが共存している
-
JAVA_HOMEが古いまま
8. 例え話で理解しよう(初心者向け)
● Maven = 「食材を集めてくれる料理キット」
- pom.xml → 買い物リスト
- Maven Central → 大きなスーパー
- Maven → 買い物係
あなたは「カレーを作りたい(Spring Web を使いたい)」と書くだけで
必要な材料(ライブラリ)を Maven が勝手に集めてくれます。
● 会社 vs 自宅 = 「違うスーパーを使っている」
- 会社 → 社内専用スーパー(Nexus)
- 自宅 → 普通のスーパー(Maven Central)
だから
「家では動くのに、会社だと依存が落ちてこない」
という問題が頻発します。
おわりに
この手順通りに進めれば、自宅で Spring Boot + Maven の開発環境が構築できるはずです。
特に「会社では動いて、自宅では動かない」問題の多くは Java のバージョン と Maven の設定 が原因です。
環境が揃えば、あとはたくさんコードを書いて慣れていきましょう!