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社会を変えたい会社で未経験かつ入社半年のPdMが学んだ5つのこと

Last updated at Posted at 2025-12-12

この記事はLITALICO Engineers Advent Calendar 2025 カレンダー3 の13日目の記事です。

はじめに

こんにちは。LITALICOでプロダクトマネジャー(以下PdM)をしている@0c0です。
タイトルの通り、2025年の7月に未経験ながらPdMとして入社し、LITALICO仕事ナビというマッチングメディアを担当しています。
 
この記事では、今年の7月に未経験でPdMとして入社した私がLITALICOという会社の中で直面した日々の色々な失敗談から得た学びを書き連ねてみました。

この記事では、以下のような方を主な対象としています

  • 新人のPdMを育成する方
  • 他の組織にPdMの役割を説明したい方
  • PdMとして初心を思い出したい方
  • ビジョンを起点にプロダクト開発ができていないと感じている方

ちなみに! 当たり前ですが、まだまだあるべきPdM像は模索中です!
そこは違うよというツッコミ含めて、リアクションいただけますと嬉しいです🙇

私が入社した経緯:コンサルから事業会社へ

まず私の入社した経緯を話す中でLITALICOがどんな会社なのか、簡単に説明させてください。
(確かにポエムのタグついてるけどそこから振り返るのかよと思った方もいると思いますが、ごめんなさい)

経歴

  • 前々職:インフラエンジニア(2年間)
    新卒でほぼフリーターをしていた私は、生活苦からSESの会社に拾ってもらい、キャリアをスタートさせました。エンジニアという肩書きだったのですが、運用設計が中心で、今もコードを書くとかはほぼできません
  • 前職:コンサルタント(7年間)
    設計楽しいなというのと、身近な課題を経営スキルで解決できるのかもと思える会社に出会い、コンサルタントに。
    後半は飲食チェーンのセルフレジのUX/UIを企画させてもらったり、新規事業の立ち上げに関わったり、ひとりでRPAをひたすら作ったりしていました。その経験が今のキャリアに繋がっています

これまでずっとクライアントワークをしてきたのですが、前職に入社した時点から考えていた"身近な課題を解決するための行動"を起こしたい、そして、コンサル時代に並行して通っていたMBAにて事業会社の人たちと触れ合う中で、自身でリスクを取る/意思決定の責任を負う経験がないことに課題を感じ、事業会社に転職しました。
事業会社の中でもPdMをやりたくて、そして社会課題の解決を目指している企業(少なからず自分にとってそう信じられる)に携わりたくて、LITALICOに辿り着きました。

LITALICOという会社

LITALICOは「障害のない社会をつくる」ことをビジョンとして掲げ、2005年の創業以降障害福祉領域を中心に事業を展開させています。

image.png
参考:2026年3月期第2四半期 決算説明資料

その中でも、最も規模が大きいのはLITALICOワークス事業です。
ワークス事業の詳細は、以下の記事を是非読んでみてください!

LITALICOは、この領域では数少ない上場企業であり、手前味噌ではありますが業界のリーディングカンパニーのひとつ。
そのため、社内のあらゆる挑戦が業界をつくる/アップデートすることに繋がっており、刺激的な環境です。
私はこの業界自体は未経験ですが、兄に身体障害があり、母も障害福祉の領域で働いていた中で、当事者を囲む環境や障害福祉の現場に疑問を持っていました。
ビジョンや事業内容に共感しながら、自身が持つ疑問に対して解像度を高くしていける今の仕事は、まだ半年ですがとても充実しています!

未経験で半年間PdMをして学んだ5つのこと

さて、やっと本題に辿り着きました!
ここからは、私が入社半年で感じていることや学んだことについて触れていきます。

(前提)PdMとは?

と、その前に、PdMという職種やプロダクトマネジメントについても触れておきます。
会社や担当プロダクトの特性、ステージ/フェーズによって、PdMの担う業務が異なるため、一概に説明することは難しいのですが、PdMとはプロダクトを成功させることがミッションです。
そのためには、PdMが自ら目指すべき方向を指し示し、チームを率いて、プロダクト開発を行う必要があります。

PdMとPM(プロジェクトマネジャー)の違いについては、昨年のアドベントカレンダーの@m20inaさんの記事で詳しく説明していますので、こちらを参照ください。

 
もう少し具体的に見ていくと、プロダクトの全体像としては下図のようになると言われています。
プロダクトには4つの階層(Core/Why/What/How)があり、この整合を図りながら仮説検証を行うことがPdMには求められます。
私自身は、前職の経験やMBAで一通りは学んでいるものの、赤枠で示した通り、この中だと比較的ビジネス面にできることが寄っています。元コンサルなのにロードマップ周りのスキルが極めて弱いという残念な点以外は、UXの部分に課題があると言えます。

PdM経験マッピング.png
 

PdM業務で学んだこと

では、こんな私がLITALICOで半年間PdMをやってみての学びを振り返ってみましょう!

一.全部はできないと悟るべし🫵

いきなり消極的な教訓が出てきてびっくりですが、正直PdMの業務範囲広すぎます!!
優先度をつけないと、全部やろうなんていくら時間があっても足りません。
自分の業務だけでなく、他チームからの依頼も然りです。
今、プロダクトにとって何を優先すべきなのかを見定めて、それ以外は後に回しましょう。
このとき、判断基準をオープンにしてお伝えすることが大切です。
コミュニケーションに失敗して他チームから依頼しづらい関係性になってしまっては、プロダクトの成功なんて夢のまた夢です。

では、優先度が高いこととは何か? 
ーー投資対効果(ROI)の大きいもの、ではなくあえて言いましょう。
ビジョンであると。
 

二.ビジョンにこだわるべし🫵

私は、ビジョンをプロダクトに落とし込むことがPdMの果たすべき一番の役割と捉えています。
後述する戦略やユーザーの解像度は確かに大事なのですが、PdMが一番成し遂げるべきは会社の業績を上げることでも、ユーザーの要望に応えることではなく、ビジョンに沿う新しい価値を社会に届けることではないでしょうか(いや、まぁ業績も大事なんですけど、後からついてくるというか……)。
もちろん戦略策定のプロセスやユーザーの声を受けて、ビジョンを見直すこともあります。フェーズによっては明文化されたビジョンがないこともあるでしょう。
ですが、その場合もやっぱりビジョン(実現したい世界観)が一番にあるべきだと思うのです。

こんなことを思うようになったのは前職での経験があったからなのですが、この会社に入って、より強く思うようになりました。

例えば、マッチングメディアにおいて一覧の順序は極めて重要です。「最新順」や「価格が安い順」などあると思いますが、特に「人気順」がユーザー視点では使いたくなるところではないでしょうか。
実際そのような機能があれば、とてもよく使われると思います。しかし、私たちは"その人が自分に合った働く場所を探す際に、人気という物差しを使うべきではない"と考え、極力人気という要素を排除し、その人に合った形での並べ方へと改善していこうとしています。
イラスト19.png

日々、1つ1つの機能において、これが実現された世界は本当にハッピーかをチームで議論できることが弊社の素敵なところだなぁと思っています。
私も日々"これが実現された世界は本当にハッピーか"を自分に問いかけ続けたいと思っています。
 

三.事業戦略をちゃんと作るべし🫵

前段でパッションに溢れたことを言ったのですが、ビジョン実現のためにも戦略を考えることはすごく大事です。
そしてしみじみ思うのが、教科書的な戦略策定のスキルって馬鹿にならんということです。

私が担当しているのはマッチングメディアですが、動画配信サービスと求人サイト、結婚式場メディアでは特性が違います。
商材がモノかサービスか、利用頻度や嗜好性が高いか低いかによって、同じマッチングサービスでも勝ち筋は変わってきます。
特定の業界で起こったことが、別の業界で展開されることは往々にしてありますし、市場が十分に大きいのか/ビジネスが成立するのか、ビジョンを考えるにあたってもマクロトレンドの読み方を学んでおく必要があるでしょう。

弊社の事業は、新しい取り組みも多く、純然たる競合がいないことも多いです。その中で戦略を策定することは難しい部分も多いと感じています。
しかし、戦略がなければ、どんなに素敵なビジョンがあっても、どんなに地道なユーザー理解を行っても、成果に繋がりません
そして、この半年で痛感しているのが、戦略を考える時間を作らないと、いつまで経っても戦略はできあがらないということです!! ほんとに優先度大事!!!!!
(そういう話だったのか、これは)

是非、この記事を読んだ皆さんには"戦略を考える/業界を俯瞰して捉える時間"を、予定をブロックして強制的に作っていただきたいと思います!
何故ならば、プロダクトの戦略を考えるのはPdMにしかできない仕事だからーー。
 

四.ユーザーの解像度を上げるべし🫵

戦略を考え、実行に移す際にもPdMには重要な役割があります。それは、戦術(施策)の企画立案です。

この辺りからはプロダクト開発として、実際にデザイナーやエンジニア、組織によってはリサーチャーやマーケターと協働して推進していくことになります。

このとき、PdMに求められるのは施策の筋の良さです。
顧客のペインを深く理解し、何を解くべきかを明らかにします。解像度が粗いと、実際には使われない機能を量産することになります。
 
例えば、私が担当するマッチングメディアで掲載する施設情報の入稿率が悪かったとします。
このとき、何も考えないと「入稿自動化」とか、「入稿が必須な項目の削減」とかをしたくなってしまいます。
ですが、実は入稿担当者は"自分たちの個性をちゃんと表現したい"、"他の施設とは違う表現をしたい"ということに悩んでいたとすると、先に書いた対応はあまり有効ではないかもしれません。
それに、アクセスしてくれるユーザーのためにも定期的に情報を更新してくださることが理想です。そのためには、プロダクトにて入稿したくなる、定期的に更新したくなる仕組みを作るほうが重要そうです。
イラスト19.png

このように、PdMはユーザーを深く理解し、プロダクトを立ち上げ、改善していくことが求められます。
そして、この半年で痛感しているのが、現場に行く/ユーザーに会いにいく時間を作らないと、いつまで経っても顧客理解は深まらないということです!! ほんとに優先度(以下略)!!!!!

そろそろ皆さんも分かってきたことでしょう、優先度の大事さが……。
(どちらかというと、私の計画性のなさが深く理解されつつある気もしますが、それだけやりたいことが多い環境だということにしてください)

ユーザーインタビューの勘所については、@machi_machiさんの記事がとてもタメになるので是非読んでみてください!

 

五.モニタリングすべき数値が何かを問うべし🫵

最後に、施策をリリースしたら結果をモニタリングし、次に活かします。
このモニタリングが、地味に奥が深いと個人的には感じています。
※厳密には施策の効果モニタリングと日々の業績モニタリングは異なりますが、ここではまとめてモニタリングと呼んでいます

そもそもKPIをモニタリングすることは、"経営管理"とも言われます。
何をKPIとしてモニタリングするかは、事業が目指すべき方向を指し示し、その方向に人を動機づけます
実際に、KPIベースで目標設定をされていることも多いのではないでしょうか。

私は、目下プロダクトのモニタリング指標の見直しに取り組んでいます。
担当するプロダクトはこれまで"ユーザーからの問い合わせ数"を最上位指標としてきました。
しかし、よくよく見ると同じユーザーが同じ施設に何度も問い合わせていることがあるのです。
私たちの価値が"ユーザーと施設がマッチングし、利用決定が生まれた際に生じる"のだとすると、問い合わせ数を追求するモニタリングはなんだかちょっとずれていそうです。
また、『四.ユーザーの解像度を上げるべし』で挙げた施設の入稿についても、現在は施設のアカウントのアクティブ度合いをモニタリングする指標はありません。

ビジョンに、そして戦略に即して、何をモニタリングするべきなのかはPdMとして意思を込めるべき部分だと思います。
ビジョンも戦略も、まずは正しい数字の把握から始まります。
既にモニタリング指標が定められている方は、この機会に改めて何故この指標が大事なのかを問い直してみてはいかがでしょうか?
(個人的にこういう指標としては株式会社サンリオの「サンリオ時間」が好きです)

おわりに

つらつらと、半年間PdMをしてみての脳内を書き連ねてみました!
偉そうなことも色々書いたのですが、総じて時間の使い方が大事だなぁと感じています。
目下の悩みでいうと、ビジョン実現のためにも何をどの順番で登っていくか、ロードマップ仮説が必要で、そのための時間を作らないと、いつまで経ってもロードマップは(以下略)!!!!

 
 
話を戻しまして、、、
PdMの失敗は、デザイナーやエンジニアの頑張りを無駄にします。セールスの皆さんが懸命に受注に繋げてくれた顧客に失望を与えます。
ですが、成功すればその分、みんながそのプロダクトを愛し、誇りに思うチームができる。
その重みを肩に背負って猫背になりながらも引き続き頑張っていこうと思います!(猫背なのは姿勢が悪いだけ)
来年の今頃にはもうちょっと具体の成果の話ができていることを期待して、、、、、、
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!! 

明日のアドベントカレンダーは@iwafsさん、@m_suganeさん、@EXcEption2zeroさんの3名です。乞うご期待✨

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