はじめに
Google が公開した AI ネイティブ IDE Google Antigravity を試してみました。
私は普段、VS Code + GitHub Copilot を使って開発していますが、
同じ VS Code ベースでありながら、Antigravity は
「AI がコード提案だけでなく、プロジェクト全体を見て行動する」
という設計思想を持つ IDE です。
UI や操作感は VS Code に近い一方で、AIアクションが常に提示されるなど、
これまでの VS Code とは異なる開発体験が得られます。
本記事では、
- Antigravity がどんな IDE なのか
- VS Code とどこが同じで、どこが違うのか
- 導入時のポイント(インストール・初期設定・日本語化)
- 実際に触って感じたメリット・デメリット
を、VS Code + Copilot ユーザーの視点でまとめます。
Antigravity が自分の開発環境にフィットするかを判断する材料になれば幸いです。
Google Antigravity の概要
Antigravity は、Google が提供する VS Code ベースの AI 統合型 IDE です。
エディタ部分や基本操作は VS Code に近く、ショートカットや設定構造も互換性があります。
特徴
Antigravity の主要な特徴は以下のとおりです。
- VS Code を基盤とした UI と操作性
- Google Gemini が IDE に組み込まれている
- AI からの提案・アクションが常に画面に提示される設計
- プロジェクト全体の構造や依存関係を解析してアクションを生成
- パッチ形式でコード修正提案が届き、承認で自動適用される
あくまで VS Code に近い見た目を保ちながら、
IDE 内に AI のアクションパネルが組み込まれている点が特徴です。
料金(2025年時点)
Antigravity は現在 Publish Review(プレビュー)期間中のため無料で利用できます。
Google アカウントでログインするだけで使用可能で、API キーも不要です。
- 個人利用:無料
- チーム / エンタープライズ向けプラン:未公開
日本語対応
Antigravity は VS Code ベースであるため、
VS Code Japanese Language Pack をそのまま使用可能です。
- UI 全体を日本語化できる
- Gemini に対する日本語プロンプトも自然に通る
このため、日本語環境の IDE としても問題なく利用できます。
VS Code + Copilot ユーザー視点から見た Antigravity
共通するポイント
Antigravity は VS Code をベースとしているため、以下の要素はそのまま利用できます。
- ファイルツリーやタブなどの UI レイアウト
- キーボードショートカット
- 設定メニューの構造
- OpenVSX 経由での拡張機能インストール
- Marketplace を VS Code 公式に変更することで、普段使っている拡張機能もそのまま利用可能
このため、VS Code からの乗り換えや併用が容易である点は大きな特徴です。
異なるポイント(Antigravity 独自の部分)
VS Code と決定的に異なるのは、IDE の中心に AI アクションが組み込まれていること です。
- AI がコードの改善点を画面上に提示する
- パッチ形式で修正案が生成される
- 開いていないファイルを含む、プロジェクト全体を対象とした解析
- 各問題に対して「AI に任せる」操作がワンクリック
- リファクタリング提案が構造化されて提示される
VS Code が「手動でコードを書く IDE」であるのに対して、
Antigravity は AI の提示するアクションを承認しながら進める IDE という性質が強くなっています。
Copilot と Antigravity の AI の位置づけ
| 観点 | VS Code + Copilot | Antigravity |
|---|---|---|
| AI の役割 | コード補助(補完・チャット) | 改善提案・パッチ生成・リファクタ |
| コンテキスト範囲 | 開いているファイル中心 | プロジェクト全体を解析 |
| 修正方法 | 補完・チャットベース | パッチ形式でまとめて提示 |
| 操作フロー | 人間が必要に応じて使う | AI が提案し、人間が選ぶ |
Antigravity は 補助AI というより、
IDE に統合された“行動型のAI” の性質が強い点が特徴です。
Antigravity の導入とセットアップ
インストール
1. 公式サイトからインストーラーをダウンロード
2. インストーラーを実行してインストール
- VS Code の設定をインポートする選択肢がある
3. 初回起動時に Google アカウントでログイン
初期設定
File > Preferences > Antigravity Settings
Agent
- AI がどこまで変更できるかを制御する設定
- デフォルトは許可範囲が広いため、必要に応じて制限する
Browser
- AI にブラウザ操作を許可するかどうか
Editor
Antigravity はデフォルトで OpenVSX となっている。
普段 VS Code で使っている拡張機能をそのまま使いたい場合は、
Marketplace の URL を VS Code 公式のものに変更しておくと良い。
- Marketplace Item URL
https://marketplace.visualstudio.com/items - Marketplace Gallery URL
https://marketplace.visualstudio.com/_apis/public/gallery
Notifications
- AI 提案やエラー通知に関する設定
Tab
- 自動補完やタブ操作に関する設定
日本語化(拡張機能)
UI を日本語化したい場合は、以下の拡張機能を導入する。
- Japanese Language Pack for Visual Studio Code
メリット・デメリット
Antigravity を VS Code + Copilot ユーザーの視点で利用した際の
主なメリットとデメリットをまとめます。
メリット
-
VS Code ベースのため導入が容易
既存の操作感・設定体系・拡張機能をほぼそのまま引き継げる -
AI アクションが IDE に統合されている
コード改善や修正案が自動で提示され、パッチとして適用できる -
プロジェクト全体を対象とした解析が可能
開いていないファイルも含めた問題検知やリファクタ提案が行われる -
日本語環境を構築しやすい
VS Code の Language Pack が利用でき、Gemini の日本語対応も良好 -
プレビュー期間中のため無料で試せる
導入コストがゼロで、既存環境と併用しながら比較できる
デメリット
-
AI の変更範囲が広いため、調整を誤ると意図しない修正が入る可能性がある
特に Agent 設定は用途に応じて制限したほうが安心 -
操作フローが VS Code と異なる部分がある
「AI の提案を承認して進める」という新しい流れが加わるため、好みが分かれる -
細かな挙動がプレビュー段階ならではの部分もある
開発中のため、安定性や機能仕様が今後変わる可能性がある -
今後の料金体系が未確定
公式料金が公開されていないため、長期的な利用コストは不透明
まとめ
Antigravity は、VS Code を基盤としながら
AI によるコード改善・パッチ生成を IDE の中心に据えたツールです。
普段 VS Code + Copilot を使っている場合でも、
操作感や環境構築がほとんど変わらず導入できる一方で、
開発フローは「AI の提案を確認しながら進める」スタイルへと変化します。
- VS Code と高い互換性がある
- Gemini によるプロジェクト全体の解析が統合されている
- 日本語環境も構築しやすい
- プレビュー期間中は無料で試せる
既存環境を維持しながら
AI 主体の IDE を体験するには適した選択肢 だと感じました。
VS Code との併用も容易なため、
まずは試しに導入し、自分の開発スタイルに合うかを確認してみるのが良いと思います。

