1
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

Udemy講師がコース企画ネタ切れを脱出 — 他分野の勝ちパターンを借りる『アナロジー思考』で50個量産した話

1
Posted at

はじめに

Udemy でコースを作り続けている人なら、一度は「ネタ切れ」の壁にぶつかったことがあるのではないでしょうか。私もそうでした。Python の入門コースをすでに何本か出していて、次のテーマを考えようとしても、頭に浮かぶのは「データ分析入門」「Web スクレイピング入門」「業務自動化入門」といった、すでに山ほど競合がいるありきたりな企画ばかり。困って AI に「Python の新コース案を出して」と聞いても、返ってくるのは同じくらい平凡な提案です。

この記事では、その状況を打破するために試した アナロジー思考 という発想法を紹介します。「他分野の勝ちパターンを借りてくる」というシンプルな考え方ですが、これを真面目に手順化したら 30 分で 50 個のコース企画案を量産 でき、しかも上位案には自分で見ても「これ作りたい」と思えるものが並びました。Udemy 講師の方はもちろん、ブログ・登壇資料・授業設計などコンテンツのネタ出しに困っている方の参考になれば嬉しいです。

本記事は AI の支援を受けて執筆しています。ただし、掲載する情報の選定・構成・内容の確認はすべて筆者自身の判断と方針のもとで行っています。情報の正確性については最善を尽くしていますが、ご利用の際はご自身でもご確認いただくようお願いします。


アナロジー思考とは何か

一言で言えば、アナロジー思考とは 「ある分野で確立された成功パターンを、別の分野に持ち込んで再構築する発想法」 です。「類推」と訳されることが多いですが、ここで重要なのは「形を変えて移植する」というニュアンスです。

たとえば、Python の文法解説コースを考えるとき、普通は「変数」「if 文」「for 文」と教科書通りに並べます。これは王道ですが、新規性は出にくい。ここでアナロジー思考を使うと、こんな問いが立てられます。

  • もし 鬼滅の刃の「呼吸の型」 風に Python 構文を体系化したらどうなる?
  • もし 寿司職人の仕込み の発想でデータ準備の重要性を教えたら?
  • もし 野球の打順 の組み立て方でデータ処理パイプラインを設計したら?

どれも「Python の入門コース」という枠は同じなのに、借用元が変わるだけで全く別の体験のコースになります。これがアナロジー思考の威力です。

なぜこの発想法が強いのか

アナロジー思考が効く理由は、私の体感では3つあります。

  1. 借用元の勝ちパターンは既に実証済み — 鬼滅の型・野球の打順・寿司の仕込みは、長年磨かれて多くの人を熱狂させてきた構造です。それを借りるということは、検証済みの設計図を流用するということ。ゼロから魅力的な構成を考えるより圧倒的に早く、確実です。
  2. 既存×既存の組み合わせだから新規性が出やすい — 「Python 入門」も「鬼滅の呼吸」も単体ではありふれた要素ですが、掛け合わせた瞬間に競合がほぼ存在しないオリジナル企画になります。完全に新しいものを思いつくのは難しくても、既知の組み合わせなら無限に作れます。
  3. 比喩で説明できるので学習者の理解が直感的 — 「データ前処理の重要性」と言われてもピンと来ない初心者も、「寿司職人の仕込みと同じで、目に見えない準備が品質の8割を決めるんですよ」と言われれば一瞬で腹落ちします。教える側にとっても、教わる側にとっても、強い武器になります。

要するに、アナロジー思考は 「強い構造を借りて、新しい組み合わせを作る」 という、コンテンツ制作者にとって極めてコスパの良い発想法なのです。


手順1: 10分野×5アイデアで50個を量産する

ここからは実際に私が踏んだ3ステップの手順を、再現できる形で紹介します。最初のステップは 数で攻める です。質を最初から狙うとアイデアが出ないので、まずは50個を量産することに集中します。

借用元になる10分野を決める

まずアイデアの素材となる「借用元の分野」を10個選びます。ここで意識したのは ジャンルのバランス です。同じ系統の分野ばかりだと出るアイデアが偏るので、5系統からそれぞれ2分野ずつ拾う形にしました。

系統 借用元の分野
ストーリー系 少年漫画・週刊連載/探偵小説・ミステリー
スポーツ系 野球(部活動・プロ野球)/マラソン・ランニング
職人系 料理・寿司職人/武道(剣道・柔道・空手)
表現系 音楽(楽器・バンド・合奏)/落語・お笑い・話芸
体験系 旅行・観光/レゴ・プラモデル・モノづくり

ポイントは 自分が普段から触れていて、勝ちパターンが直感的に分かる分野 を選ぶことです。詳しくない分野だとアナロジーが浅くなります。

カードフォーマットでアイデアを構造化する

次に、1アイデア=1カードの形式で量産します。私が使ったカードのフォーマットは5項目です。

### {タイトル}
- 借用元: {どの分野の何を借りたか}
- 借用パターン: {その分野での勝ちパターン}
- コース概要: {Python コースとしての具体イメージ}
- 特徴: {このコースならではの魅力}

このフォーマットを決めておくと、AI に依頼するときも統一された形式で返ってきやすくなり、後のスコアリングが圧倒的にラクになります。

AI に渡したプロンプト

実際に Claude に投げたプロンプトはざっくりこんな形です。

Python 初心者向け Udemy コースのアイデアを、
「{分野名}」の勝ちパターンを借用して 5 個生成してください。

各アイデアは以下のカード形式で出力してください:
- タイトル
- 借用元({分野名} の何を借りたか具体的に)
- 借用パターン(その分野での勝ちパターンの本質)
- コース概要(Python 初心者が学ぶ内容として具体化)
- 特徴(このアイデアならではの魅力)

借りる観点は教え方・没入の仕掛け・商品設計・題材選び・マーケのいずれでも OK。
ありきたりにならないよう、その分野ならではの「型」「儀式」「文化」を活かしてください。

これを 10 分野ぶん繰り返すだけで、5×10=50 個のアイデアが手に入ります。AI と対話しながら微調整した時間を含めて、私の場合は 約 30 分 で50個のリストが完成しました。

ありがちなのは「分野名だけ伝えて任せる」やり方ですが、これだと出力が薄くなります。勝ちパターンの本質を言語化させる ステップを必ず入れること、これが手順1の肝です。


手順2: 4軸スコアリングで上位15個に絞る

50個も出すと「これは絶対やりたい」「これは正直微妙」という濃淡が見えてきます。次のステップは絞り込みです。直感ではなく軸を決めて採点することで、選定の納得感を高めます。

4つの評価軸

私が使った評価軸は次の4つです。各軸を 5 段階で採点し、合計 20 点満点で評価します。

評価観点
アナロジー鮮やかさ 借用パターンが「なるほど!」と刺さるか・記事映えするか
新規性 既存の Python 初心者コースには無い切り口か
動機訴求力 「これなら学びたい」と学習者が思える魅力
教育効果 実際に Python 初心者が上達できる設計になっているか

意図的に外したのは「実現可能性」です。最初から「実装できそうか」を気にすると、無難な案ばかり残ってしまいます。実現可能性は後で詰めれば足りるので、ここでは アイデア自体の魅力 だけを評価しました。

スコア表の抜粋

実際のスコアリング結果から、上位 10 個だけ抜粋するとこうなりました。

順位 タイトル要約 アナ 新規 動機 教育 合計
1 読者への挑戦状(推理デバッグ) 5 5 5 5 20
2 打順を組む(データ処理) 5 5 4 5 19
3 仕込み 7 割(寿司職人) 5 5 3 5 18
4 一汁三菜(基礎セット) 5 5 4 4 18
5 段位制度(武道の帯) 5 4 5 4 18
6 道場破り(他言語経験者向け) 5 5 4 4 18
7 コード進行(パターン暗記) 5 4 4 5 18
8 お土産(実用スニペット集) 5 4 5 4 18
9 容疑者リスト(消去法デバッグ) 5 4 4 5 18
10 素組み(コピペで完成体験) 5 4 5 4 18

トップ 1 の「読者への挑戦状」は4軸すべて満点という珍しい結果になりました。古典ミステリーの「ここまでの手がかりで犯人は分かるはず。読者よ、推理してください」というあの仕掛けを、デバッグ学習に持ち込むアイデアです。能動的に推理させる構造そのものが教育効果と没入の両方を生むので、当然と言えば当然なのですが、点数化してみて初めて「これは自分が一番作りたい案だ」と確信できました。

採点のコツ

何案も採点してみて気づいたのは、採点する前に各軸の「5 点とはどういう状態か」を言語化しておく と判断がブレないということです。たとえば「アナロジー鮮やかさ」の 5 点は「借用元の世界観が記事タイトルだけで伝わり、SNS で拡散したくなるレベル」と決めておく、といった具合です。

あと、迷ったら点数を下げる。これも効きます。50 個並ぶと採点が甘くなりがちなので、判断に迷ったら 1 点引くルールにすると、上位だけがくっきり浮き上がります。


手順3: 上位15個を10章カリキュラムまで詰める

ここまでで「やりたい15個」が決まりました。最後のステップは、上位案を 10 章構成のカリキュラム まで具体化することです。アイデアは具体化して初めて「実装可能なのか」「本当に魅力的なのか」が見えてきます。

代表的な3案がどう具体化されたかを紹介します。借用元のメタファーが章タイトルにまで染み込んでいる ことに注目してください。これがアナロジー思考の真骨頂です。

1位「読者への挑戦状」推理デバッグコース

章タイトル
1 探偵事務所開設 〜推理の七つ道具を揃える〜
2 第一の事件「動かない Hello」 〜エラーメッセージは現場の遺留品〜
3 第二の事件「消えた変数」 〜NameError とスコープのアリバイ〜
4 第三の事件「型違いの容疑者」 〜TypeError の動機を暴く〜
5 第四の事件「ゼロで割った男」 〜論理バグは黙って犯行を重ねる〜
... ...
9 デバッガ捜査一課 〜breakpoint() で現場検証〜
10 最終事件「読者への挑戦状」 〜100行コードに潜む3人の真犯人〜

エラーメッセージは「遺留品」、変数の中身を見る print 文は「指紋採取」、デバッガは「現場検証ツール」。すべての技術用語にミステリーの文脈が与えられているので、覚えること自体が楽しくなる構成です。

2位「打順を組む」データ処理コース

章タイトル
1 開幕戦 〜野球で学ぶデータ処理の全体像〜
2 1番バッター 〜出塁率の高い「読込」を作る〜
3 2番バッター 〜繋ぎの「前処理」で塁を進める〜
4 3番バッター 〜チャンスメイクの「型変換」〜
5 4番バッター 〜クリーンアップの「集計」で得点〜
... ...
9 9番バッター 〜次回へ繋ぐ「可視化・出力」〜
10 日本シリーズ 〜未知データに即興で打順を組む〜

データ処理は本来「読込→前処理→変換→集計→可視化」という抽象的な工程ですが、それを打順に置き換えるだけで「1番は出塁が仕事」「4番はクリーンアップ」と役割の意味が一発で伝わります。さらに、打順という枠組みを通して 単一責任の原則 という設計思想が自然に身につくのも美しい点です。

3位「仕込み7割」職人コース

章タイトル
1 暖簾をくぐる 〜寿司職人と開発者の共通点〜
2 魚を見る目 〜要件ヒアリングという最初の仕込み〜
3 下処理の作法 〜データを観察する技術〜
4 酢飯を炊く 〜開発環境という土台作り〜
5 出汁を取る 〜ライブラリ選定と最小実験〜
6 まな板に並べる 〜設計図(疑似コード)を書く〜
7 いよいよ握る 〜短く書く Python 本番コード〜
... ...
10 弟子卒業試験 〜未知の依頼を仕込みから握りまで〜

「コードを書く時間より、書く前の準備のほうが重要」という、初心者が一番見落としがちなメッセージを、寿司職人の世界観で強烈に伝える構成です。「酢飯を炊く=環境構築」と言われると、無味乾燥に見える venv 作成や requirements.txt 整備にも、急に意義が宿ります。

3案を並べてみて改めて感じるのは、章タイトルだけで世界観が立ち上がる という点です。Udemy のコース一覧で目に留まる確率は、サムネイル+タイトルでほぼ決まります。アナロジーで世界観を構築すると、それだけで競合との差別化が成立してしまいます。


やってみて気づいた4つのこと

50 個を量産・採点・具体化してみて、いくつか発見がありました。これからアナロジー思考を試す方の参考になればと思い、共有します。

1. アナロジーが鮮やかなほどスコアが高い

これは想定通りでしたが、想像以上に明確でした。「借用元の特徴的な構造(読者への挑戦状・打順・仕込み)」がそのままコース全体の骨組みになっているアイデアほど、4軸合計で高得点になります。逆に、借用元の名前だけ借りて中身が普通の Python コースになっているものは点が伸びません。抽象→具体の翻訳がきれいに通っているか が鍵です。

2. 借用元が初心者に馴染み深いほど刺さる

野球・寿司・ミステリーなど、誰もが一度は触れている題材から借りたアイデアは、説明なしで世界観が伝わります。一方、マイナーなジャンルから借りると、いくらアナロジーが鋭くても受講者にメタファーが伝わらず、効果が落ちます。借用元の知名度 は、思っている以上に大事な評価軸です。

3. 同じ分野からも複数パターンが借りられる

たとえば野球からは「打順」「素振り」「監督采配」「甲子園」「バッテリー」と、5つの異なる勝ちパターンを借りることができました。1分野=1アイデアではなく、1分野=複数の独立した借用パターンの集合 と捉えると、アイデアの母数が一気に増えます。

4. スコアリングが「自分が本当に作りたいもの」を浮き彫りにした

副次的だが大きな発見でした。50 個を採点する作業は、単なる絞り込みではなく 「自分は何を面白いと感じるのか」を可視化するワーク でもあります。私の場合は「能動的に考えさせる構造」「世界観の統一」「現場で本当に使えるスキル」に高得点をつける傾向が見えました。これは今後のコース企画の意思決定に効いてきそうです。


まとめ — 誰でもできるアナロジー思考のススメ

最後に、この記事で紹介した手順を3ステップにまとめます。

  1. 借用元となる分野を 10 個決め、各分野から 5 案ずつ計 50 個を量産する — カードフォーマット(タイトル/借用元/借用パターン/コース概要/特徴)で AI と対話。所要時間は 30 分程度。
  2. 4 軸(アナロジー鮮やかさ・新規性・動機訴求力・教育効果)で採点し、上位 10〜15 個に絞る — 実現可能性は意図的に外す。判断に迷ったら 1 点下げる。
  3. 上位案を 10 章構成のカリキュラムまで具体化する — 章タイトルにまで借用元の世界観を染み込ませる。ここで実装可能性も初めて検討する。

必要なのは「他分野で自分が好きなものをいくつか持っていること」と「Claude や ChatGPT のような AI ツール」だけです。Python 初心者向けコースに限らず、プレゼン資料・登壇テーマ・授業設計・ブログ記事の切り口 などにも応用できる、汎用性の高い発想法だと感じています。

「ネタが出ない」と悩んでいる方は、まず 自分が好きな他分野を10個挙げる ところから始めてみてください。野球でも、料理でも、ジョジョでもいい。その分野で長年磨かれてきた勝ちパターンは、あなたが今作りたいコンテンツの素晴らしい設計図になります。借りられるものは堂々と借りる。それがアナロジー思考の本質です。

私もこの 50 個リストから、まず1位の「読者への挑戦状」推理デバッグコースを実際に制作してみる予定です。完成したらまた、その制作記をどこかでお話しします。それまでに、この記事を読んでくれた誰かが先にアナロジー思考で何かを世に出してくれていたら、それはそれで最高に嬉しいです。

1
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?