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Google Earth Engineを使って植生の分布について調べてみた

Last updated at Posted at 2022-12-02

はじめに

Google Earth Engine(以後、GEE)は、衛星画像といった地理空間情報を分析・可視化を可能にするプラットフォームです。以下の記事では、Google Earth EngineではNDVIという指標を用いて植生の分布を調べることができると、簡単に説明しました。

今回の記事では、どのようにNDVIという指標で、どうしてその指標を用いると植生の分布がわかるのか解説していきたいと思います。

Google Earth Engineを使って植生の分布について調べてみた

人工衛星は何を記録しているのか

まずはじめに、人工衛星が何を記録しているか説明していきます。昔の自分は、Google Earthの衛星画像や気象衛星の影響で、人工衛星は写真を撮っているものだと思っていました。しかし、それは少し違っていました。

地球観測衛星は、地球のはるか上空の宇宙から、大気や地表面近くの地球環境の状態や自然現象を測定するために、主に地球から放射・反射される電磁波を観測しています。(こちらより引用)

観測される電磁波は、上記のページに記載のある通り、紫外線や可視光、赤外線などが挙げられます。可視光を処理することによって、私たちの見える写真となっているわけです。

私たちが見ている物の色に違いがあるのは、物体が反射・吸収する光の波長が違うからであり、そのことは可視光以外の電磁波にも当てはまります。物体が反射・吸収する電磁波の波長によって、その物体が何であるかわかることができたりします。そのことを利用した一例が、こちらの記事で紹介した、NDVIを利用した植生の分布の推定です。

NDVIとは

NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)は正規化植生指標と呼ばれ、植物が反射する電磁波を利用して植生の状況を判断するために用いられる指標の一つです。植物が近赤外線を強く反射し、赤色光を強く吸収することから、NDVIは以下の式で定義されています。

NDVI = \frac{IR - R}{IR + R}
  • $IR$ : 衛星データ(近赤外域)の反射率
  • $IR$ : 衛星データ(可視域赤)の反射率

上記の内容は、国土地理院のページより引用しました。

植物があればあるほど赤色光は吸収されるため、$R$の値は小さくなります。そうなると$NDVI$の値は大きくなります。逆に植物の量が少ないと赤色光はあまり吸収されなくなるので、$R$の値は大きくなり、$NDVI$の値は小さくなります。このことから、$NDVI$の大小によって植物の量を推定できるわけです。

名古屋市の植生の分布を可視化してみる

前回紹介したExampleではカンザスシティの植生分布を推定していましたが、今回は名古屋市の植生分布を推定してみようと思います。今回利用する

こちらの記事で紹介したExampleを少し変えて、名古屋の植生分布を推定してみたいと思います。今回はMODISという放射計で測定されたデータを利用していきます(MODISの説明)

NDVIを計算するには近赤外線と赤色光の情報が必要ですが、それらは先ほど紹介したデータの中にあり、それらを使って計算していきます。

  • 近赤外線:sur_refl_b02
  • 赤色光:sur_refl_b01
// MODISが観測した2022年8月に観測されたデータ
var images = ee.ImageCollection('MODIS/061/MOD09GA')
                .filter(ee.Filter.date('2022-08-01', '2022-08-31'));

// 先ほどのデータの1枚目を取得
var image = ee.Image(images.first());

// NDVIを計算する
// 近赤外線:`sur_refl_b02`
// 赤色光:`sur_refl_b01`
var ndvi = image.normalizedDifference(['sur_refl_b02', 'sur_refl_b01']);

// カラーパレット
// NDVIが大きい緑、小さいと白になる
var palette = ['FFFFFF', 'CE7E45', 'DF923D', 'F1B555', 'FCD163', '99B718',
               '74A901', '66A000', '529400', '3E8601', '207401', '056201',
               '004C00', '023B01', '012E01', '011D01', '011301'];

// マップの中心は名古屋市
Map.setCenter(136.9059794183006,35.18392745436158, 8);

// 地図に表示
Map.addLayer(ndvi, {min: 0, max: 1, palette: palette}, 'NDVI');

上記のスクリプトの実行結果は、以下です。解像度が粗いので、あまりズームできないのはご容赦ください...

スクリーンショット 2022-12-02 23.11.45.png

名古屋市の中心部はあまり植物がないことが考えられますね。

さいごに

今回は、Google Earth Engineを使って植生の分布について調べてみました。簡単に植生の分布が推定できてしまうのは興味深いですよね!今後もこのようにGoogle Earth Engineを使った記事を投稿していく予定です!

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