背景・目的
ナレッジ管理ツールは数多く存在しますが、「ローカルファースト」「プレーンMarkdown」「Git管理可能」という条件を満たすものは多くないように感じます。
Obsidianは2020年にリリースされ、100万人以上のアクティブユーザー(2024年公式発表時点)と2,000以上のコミュニティプラグインを持つMarkdownベースのナレッジ管理アプリです。
本記事では、Obsidianの基本概念からインストール、セキュリティ初期設定、日常運用(Daily Note)までを体系的に紹介します。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| これは何 | ローカルファースト・Markdownベースのノートアプリ兼ナレッジ管理ツール |
| 何ができる | ①Markdownでメモを書く ②[[Wikilink]]でノート間を接続 ③グラフビューで知識を可視化 ④プラグインで柔軟に拡張 |
| 料金 | 個人利用は無料。従業員2名以上の企業での業務利用は商用ライセンス($50/user/年) |
| 対応OS | macOS / Windows / Linux / iOS / Android |
| データ形式 | プレーンテキスト(.md)。ベンダーロックインなし |
最短手順: dmgダウンロード → Vault作成 → セキュリティ4設定 → 最初のノート作成(所要10分)
概要
Obsidianの特徴
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| ローカルファースト | ノートはローカルの.mdファイル。クラウドに送信されない |
| 高速 | デスクトップアプリのためローカルファイルを直接読み込み |
| オープンフォーマット | Markdown = どのエディタでも開ける。データは永続的に自分のもの |
| 双方向リンク |
[[ノートA]]と書くと、ノートA側にもバックリンクが自動表示 |
| グラフビュー | ノート間の関係をネットワーク図で可視化 |
| プラグイン | 2,000以上のコミュニティプラグインで柔軟に拡張 |
| Git親和性 | .mdファイルなのでgit管理・差分表示・PRレビューが自然にできる |
基本用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| Vault | ノートの保管庫 = 1フォルダ。.obsidian/に設定を保持 |
| Wikilink |
[[ノート名]]形式の内部リンク。双方向に接続 |
| バックリンク | 他のノートから現在のノートへのリンク一覧 |
| タグ |
#tagで分類。階層タグ(#dev/aws)も対応 |
| プロパティ | ノート先頭のYAMLメタデータ(tags:, created:等) |
| Daily Note | 1日1ページのジャーナルノート。コアプラグインとして標準搭載 |
実践
1. インストール
-
https://obsidian.md/download から.dmgをダウンロードし、Applicationsにドラッグします
Homebrewユーザーは以下でもインストールできます:
brew install --cask obsidian -
Applicationsの下にObsidianがインストールされていますので起動します
2. Vault作成とセキュリティ設定
-
※ 保管庫(Vault)は単なるフォルダです。中に
.obsidian/ディレクトリが自動生成されます。 -
起動時の注意点:
- 「Create new vault」または「Open folder as vault」を選択する
- 「Open vault from Obsidian Sync」は選ばない(クラウド同期になるため)
- Obsidianアカウントの作成やサインインは不要
セキュリティ初期設定
企業のPCで利用する場合、初回起動後に以下4項目を設定します。各項目の詳細手順はスクリーンショット付きで後述します。
| # | 設定パス | 操作 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | Settings > Core plugins > Sync | 無効 | 有効にするとノートがObsidianのクラウドサーバーに送信されるため |
| 2 | Settings > Core plugins > Publish | 無効 | 有効にするとノートがWebサイトとして公開されるため |
| 3 | Settings > Community plugins | Restricted mode を有効のまま維持 | 出所不明のサードパーティプラグインによるデータ送信を防止 |
| 4 | Settings > Files and links > Advanced > Allow URI callbacks | 無効 | 外部アプリケーションからObsidianを操作されることを防止 |
-
これにより、Obsidianは完全にローカルだけで動作し、外部へのデータ送信が発生しません。
-
プラグインが必要になった場合は、Restricted modeを解除して個別にインストールできます。ただしデータを外部に送信するプラグインは避け、ローカルで完結するプラグインのみ選択します
設定手順
左下の歯車アイコンをクリックして設定画面を開きます。
① Core plugins > Sync: オフ、Publish: オフ
コアプラグインを選択し、同期(Sync)とパブリッシュ(Publish)をオフにします。
② Community plugins: Restricted mode が有効であることを確認
コミュニティプラグインをクリックし、制限モードが有効(「制限モードを終了する」ボタンが表示されている状態)であることを確認します。
③ Files and links > URI callbacks: オフ
ファイルとリンク > 高度な設定で「URIコールバックを許可」がオフになっていることを確認します(デフォルトでオフです)。
同僚との共有(オプション)
チーム内でノートを共有したい場合は、OneDriveやSharePoint等のローカルマウントフォルダ内にVaultを作成する方法が安全です。Obsidian自体はネットワーク通信せず、ファイルシステムレベルで同期が行われます。
3. 最初のノートを書く
-
Cmd+Nで新規ノート作成します。Markdownで記述します# AWS S3のライフサイクルルール ## 概要 S3のライフサイクルルールを使うと、オブジェクトの保存クラスを 自動的に変更したり、期限切れ時に削除したりできます。 ## 設定例 - 30日後: Standard -> Standard-IA - 90日後: Standard-IA -> Glacier - 365日後: 削除 ## 関連 - [[S3バケットポリシー]] - [[コスト最適化戦略]] -
[[S3バケットポリシー]]と書くだけでリンクが作成されます。リンクをCmd+クリックすると、空のノートが新規作成されます
4. Daily Noteで日常運用する
-
Cmd+Pでコマンドパレットを開きます -
下記の内容を入力してみます
## 予定 - 11:00 デイリースクラム - 14:00 設計レビュー ## 今日やること - PR のレビュー対応 - テーブル設計の修正 ## タスクキュー - Terraformモジュールのリファクタリング方針を考える - 来週の勉強会のネタ決め ## メモ - 設計レビューで出た話: CQRSパターンの導入検討 - [[CQRSパターンについて]] ## 日報 - PR対応完了。テーブル設計は明日に持ち越し。
Daily Noteの運用のコツ
下記の記事が参考になります。
- 毎朝、前日のDaily Noteの内容をコピペして引き継ぐ
- タスクキューは「いつかやる」を雑に積む場所。毎朝軽く確認する
- メモに書ききれない話題は
[[リンク]]で別ページへ
考察
- Obsidianの特徴は「プレーンMarkdown+ローカル保存」です。このシンプルさにより、数年後もデータを読める可能性があります
- プラグインにはセキュリティリスクがあります(サンドボックスなし)。公式リポジトリのもののみ使用を推奨します
- 既にMarkdownで技術メモやナレッジを蓄積している場合、そのフォルダをObsidianで「Open folder as vault」するだけで、追加のセットアップなしにグラフビューやバックリンクの恩恵を受けられます。書く場所を変えずに閲覧体験だけ向上させるアプローチが手軽に効果を得られます
参考














