本記事はNECソリューションイノベータ Advent Calendar 2024の12/10(火)の記事です。
今日はCloud Native Community Japan(以下CNCJ)という組織について紹介していきます。興味お持ちの方はぜひコメントを残していただけると幸いです。
Cloud Native Community Japanとは
CNCJ は、Cloud Native Computing Foundation (以下 CNCF) の日本分会になります。
2023年9月の時点で、クラウドネイティブ技術はまだ日本に浸透しておらず、OSS コントリビューション活動も盛んではないという状況がありました。CNCF Ambassador は、日本には一人しかおらず、「KubeCon+CloudNativeCon(KubeCon)」における日本人の登壇者数も一桁にとどまっていました。またCNCFと連携している国内コミュニティも存在していませんでした。
このような状況を受け、2023年11月8日、CNCF や日本のコミュニティで活動している有志が集い、CNCJ を立ち上げたというのが経緯になります。CNCJ は、ベンダ中立な場として、CNCF のアップストリームと日本のコミュニティ・企業・団体を繋ぎ、日本における CNCF およびクラウドネイティブの普及促進を図ると共に、日本からのクラウドネイティブにおける OSS コントリビューションおよび技術革新を促すことを目的として、活動しています。
過去イベントの様子
CNCJが立ち上がって以来、四半期に一回イベントを開催しています。今まで合計3回開催し、それぞれの様子をご紹介します。
- キックオフミートアップ
2023年12月1日に、CNCJ 発足を記念しキックオフミートアップが渋谷スクランブルスクエアにある株式会社サイバーエージェントのセミナールームにて開催されました。来場者は約140人で満席となり、かなり盛況でした。
スペシャルゲストとして、CNCF の CTO である Chris Aniszczyk 氏を基調講演にお招きし、日本におけるクラウドネイティブ技術利活用とコントリビューション活動の現状、将来に対する予測と期待について語っていただきました。また過去のプロジェクトを振り返って、2017年に WebAssembly が盛んになり、その後サーバレス Knative、軽量 Kubernetes k3s、オブザーバビリティ OpenTelemetry、eBPF といった世界を変えるプロジェクトが次々と登場され、未来は期待できるという話もありました。
他のセッションでは、SIG-Docs のKubernetesのサイトの日本語翻訳がまだまだ足りていないということも言及されています。英語ドキュメントが計1465件あるのに対し、日本語ドキュメントは364件しかないのが現状です。コントリビュータとレビューアが足りていない中、積極的に貢献しようと呼びかけています。
- KubeCon採択スペシャル
CNCFのフラッグシップイベント「KubeCon+CloudNativeCon(KubeCon)」に登壇することは、社外や国外のネットワーキングを行う絶好の機会であるだけでなく、自身の信頼性や権威を高めるための素晴らしいチャンスでもあります。しかしこのような会議で発表するためにはCFP(Call For Proposals)を提出して採択される必要がありますが、毎年CFPを提出する人が非常に多く、競争は非常に激しい状況です。
そこで、過去に「KubeCon+CloudNativeCon (KubeCon)」に登壇した経験や、CFPの審査経験がある日本人の方々を招き、経験談を語っていただきました。
最も強調していたのは、タイトルが非常に重要であること、そしてしっかりと書くことです。CFPの提出者は多いため、タイトルによって、説明文を詳しく読むかどうかが決まることもあります。また、失敗を恐れず、挑戦を続けることが大切という話もありました。競争が非常に激しい中で、失敗しても落ち込まず、そこから学び、CFPを書く戦略を調整し続けることが重要だとのことでした。
- Let's become Kubestronaut
「Kubestronaut」とはCNCFのプログラムで、Kubernetesの認定試験5種(CKA, CKAD, CKS, KCNA, KCSA)に合格した方が「Kubestronaut」として認定されます。イベントでは日本の Kubestronaut タイトル取得者を招き、資格取得への道のりや経験を共有いただきました。
登壇者の一人は「このプロジェクトを通じて多くのネットワークができ、世界中の人々と仕事する機会も得られ、多くの経験や知識を広げる貴重なチャンスにもなった」と語っていました。また学習方法について、試験予約後にアクセスできる公式の模擬試験は本試験より難しいとされていて、しっかり準備することで本番での成功に役立つと多くの人が感じているとのことです。
上記のように、CNCJは各コミュニティメンバーを全面的にサポートし、皆さんに交流の場を提供することを目的としています。次回のイベントは現在企画中ですが、詳細が決まり次第、随時CNCJの公式ウェブサイトで公開する予定です。ぜひ楽しみにお待ちいただければ幸いです。
他にご質問や気になる点がございましたら、また他に相談したい方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にお声がけください。
サブグループとSIGの紹介
CNCJ内部には、テーマごとに分けられたグループも運営されています。それぞれのイベント開催頻度に基づいて、さらにサブグループとSIG(Special Interest Group)に細分化されています。活動頻度が高く、定期的にイベント開催するのはサブグループで、不定期的なのはSIGに分類されます。
今存在しているサブグループはセキュリティ関連の Cloud Native Security Japanで、次にContainer Runtime Meetupと共催で、コンテナランタイムセキュリティをテーマとしてイベントが12/16(月)に開催する予定です。
SIGとしては、 Kubernetes Upstream Training Japan(詳細は NECソリューションイノベータ Advent Calendar 2024アドベントカレンダーの12/4の記事 にご参照ください。)、Cloud Native Sustainability Japan、eBPF Japan、Wasm、またはBiz(OSPO推進するためのサポートの提供による、企業OSS貢献の促進を目的としています。)があります。
どのチームも活発に活動しており、さらに多くの有志の方々が集まり、知見を共有することを期待しています。過去のイベントの一部のビデオは「Cloud Native Community Japan」公式Youtubeチャネルにアップロードしていきますので、ご興味のある方はご視聴いただき、もしよろしければチャンネル登録もお願いいたします。
またWasmとBizチームは近々イベントを開催する予定ですので、こちらも詳細が決まり次第、随時ホームページで公開する予定なので、イベントの最新情報を受け取りたい方は、ぜひCNCJの公式ウェブサイトをJoin、また公式Xアカウントをフォローしていただければ幸いです。イベントで皆さんにお会いできることを楽しみにしています!