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VPCルータでインターネット上に安全なサーバ環境を作る(2) - VPCルータ編

Last updated at Posted at 2020-03-17

概要

今回は「VPCルータ」編、その2です。その1では環境構築をしました。インターフェース上で安全性の高い環境を作るため、前回は VPC ルータとスイッチを準備し、スイッチを VPC ルータと接続しました。まだの方は、 こちらを先にご覧ください

今回は、スイッチのローカルネットワーク環境上にサーバを準備し、インターネット側との通信疎通を確認します。

説明

VPCルータ内のローカルネットワークとは

image.png

VPCルータ内部のネットワークは、インターネット側から直接通信できない閉じたネットワークです。そのため、このネットワークは不用意に内外と通信しないため、VPC外にあるサーバ環境に比べると安全と言えるでしょう。

VPCルータの内部にサーバを置いても、このサーバにはそのままでは SSH ログインもできませんし、ウェブサーバを起動してもインターネットからアクセスできないでしょう。

サーバを作成の後、NAT 設定を自分で行ったり、リモートアクセス(VPN)接続をしたクライアントPCからは接続できます。つまり、意図しないインターネット側からのアクセスを防げます。

スイッチに接続するサーバを作成する

ここではまず、このVPCルータ内部のネットワークに新しいサーバを作成し、スイッチ配下のローカルネットワークに接続する設定を行います(改めて、ここで追加するサーバはインターネット側に直接接続しません)。

まずサーバを作成します。 サーバの作成手順 は通常とほぼ変わりません。唯一変わるのが、 ネットワークの接続先 設定です。

サーバを作成するには、左メニューの「サーバ」をクリックし、画面右上の「追加」をクリックします。また、以後の説明では「シンプルモード」を前提としていますが、詳細モードでも同じ様にローカルネットワーク側へ接続設定ができます。

image.png

そして、ディスクイメージ選択では「CentOS 7.7」を選択します。サーバプラン選択は「1 仮想コア / 1 GB」、ディスクプランを選択は「20 GB SSD プラン」とします。

それから画面を下にスクロールすると「接続先のネットワーク」の項目があります。これは、サーバのネットワーク・インターフェース(NIC)を、どのネットワークに接続するか指定します。。ここでは初期状態で「インターネット」が選ばれていますが「 スイッチ 」をクリックします。そして、スイッチ下の「▼」をクリックし、前回作成した「 ローカル接続スイッチ 」という名称のスイッチを選択します。
image.png

画面をさらにスクロールし、「サーバの設定」部分で、それぞれ必要項目を記入します。

  • IP アドレスの設定 … 「 固定IPアドレスの利用 」が選ばれたままにします。
  • IP アドレス … 「 192.168.0.100 」にします。
  • ネットマスク … 「 /24 」にします(192.168.0.1~192.168.0.254 までの IP アドレス範囲のネットワークと通信と可能とするためです)。
  • ゲートウェイ … 「 192.168.0.1 」にします(VPCルータのゲートウェイアドレスを、この 192.168.0.1 にしているためです。ネットワーク設計によっては、好きな IP アドレスをご利用ください)
  • 管理ユーザのパスワード … 通常のサーバ同様、任意のパスワードを入力します。

image.png

あとは、ホスト名に「devlocal」などを入力し、「作成」をクリックします。

image.png

確認画面は通常通り進め、サーバの作成と起動するまで待ちます。

VPCルータの電源操作とサーバ疎通の確認

image.png

サーバの作成が終われば、左メニューの「マップ」をクリックし、各サーバやスイッチとの説属状況を確認します。下図のようになっていますか? VPCルータと繋がっているスイッチに、今回作成したサーバが繋がっている状態です。

image.png

この状態で、サーバをクリックすると各種メニューが表示されます。「コンソール」をクリックすると、コンソール画面が表示されますので起動してみましょう。

image.png

コンソール画面では、「一度画面をクリック」するとキー入力を受付可能になります。「login:」では「root」を入力し、「Password:」では先ほど入力した管理者用パスワードを入力します。

image.png

このコンソール上で ping -c 3 1.1.1.1 を入力し、インターネット側との疎通を確認します。この状態では下図の通り、 Destination Host Unreachable (対象ホストに到達できない)とメッセージが表示され、疎通できていません。理由はなぜだか分かりますか?

image.png

この時点で疎通していない理由は「VPCルータ」の電源が入っていないからです。 前回の手順 では「VPCルータ」を作成するまでしか行っていません。 現実世界のルータと同様に、VPCルータも「電源」が入っていないと通信できません

電源を入れるには、このマップ上で「VPCルータ」をクリックし、「電源操作」→「起動」を選びます。確認画面では「実行」をクリックし、起動画面ではステータスが「要求」から「成功」に変わったら「閉じる」をクリックします。

image.png

あるいは、「アプライアンス」→「VPCルータ」一覧から、対象のVPCルータをクリックして、画面右上の「電源操作」→「起動」でも同じ動作になります。

image.png

起動が完了すると、画面の VPC ルータの電源状態が緑色(起動中)となります。起動後、数十秒ほどすると設定の読み込みが完了します。これでようやく、サーバはインターネット側と疎通できるようになりました。

image.png

もう一度コンソールから ping -c 3 1.1.1.1.1 を実行しましょう。次の様に ping の応答があり、VPC ルータを経由したインターネットへの疎通が確認できます。

image.png

今回はサーバ作成の後に VPC ルータを起動しましたが、もちろん予め VPC ルータを起動しておくこともできます。VPCルータが起動済みであれば、追加したサーバは、起動直後からインターネットと疎通できるようにも設定できます。

振り返り

インターネット上でありながら、不特定多数がアクセスできない安全なローカルネットワーク環境を作るには、VPC ルータを使います。VPCルータにスイッチを接続し、そのスイッチにサーバを接続すると、インターネットに接続しないサーバ環境ができます。

ちなみに、このサーバにインターネット側から SSH ログインしたり、このサーバ内でウェブサーバなどを動かす時は NAT 設定を行います。不特定多数にサーバを公開する必要がなければ、L2TP や PPTP 接続による認証と暗号化を行い、安全にアクセスすることもできます。

次回はリモートアクセス(VPN)接続の設定方法をみていきます。

なお、今回ご紹介した他にも VPC ルータには多くの機能があります。各機能の詳細については VPCルータ のドキュメントをご覧ください。

参考情報

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