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Jitsi Meet(ビデオ会議システム)のサーバを Docker Compose で起動する手順

Last updated at Posted at 2020-04-06

Jitsi 概要

Jitsi Meet (ジッチ・ミート)とはオープンソース(Apache License 2.0)として開発・利用できるビデオ会議用のシステムです。利用者はブラウザから URL にアクセスするだけで、すぐにビデオ会議が利用できます。ブラウザ以外にも、iOS や Android 対応のアプリが公開されています。

この Jitsi Meet 用のサーバ環境は Docker に対応しています 。自分のドメイン名を使い、自分のサーバ上に Docker Compose で起動する手順をまとめました。 公式ドキュメント をベースに、自分が持つドメイン名のホストで Jitsi Meet を立ち上げるまでの手順です。(なお、ドメイン名を準備しているのは Let's Encrypt の HTTPS 通信にも対応させるためです。単なるセットアップ確認であれば、HTTPS は必須ではありません。)

jitsi-docker.png

事前準備

  • Jitsi Meet を動かす Linux サーバ環境(本手順は CentOS 7.x を前提としています) ※本手順は 2GB のメモリ環境で試しました
  • Docker Engine と Docker Compose のインストール
  • DNS サーバ側で、何らかのホスト名をサーバに対して設定(レコードの追加)
    • ここでは meet.toaru.site というホスト名での設定を想定
    • Let's Encrypt で SSL 証明書を利用するため。利用しなくても Jitsi Meet を試せられるものの、ブラウザ側のセキュリティ設定によっては映像・音声通話が出来ない可能性

Jitsi 設定手順

GitHub リポジトリのクローン

まず GitHub 上のリポジトリを git clone でローカルに保存し、ディレクトリを移動します。

git clone https://github.com/jitsi/docker-jitsi-meet && cd docker-jitsi-meet

Jisti 環境変数用ファイル .env の編集

次に、設定ファイルを準備するため、サンプル用のファイルをコピーします。なお、このファイル .env は Docker Compose で起動する時、環境変数として読み込むために使います。

cp env.example .env

それから .env ファイルを編集します。 vi .env などでファイルを開きます。編集箇所を上からみていきます。

基本設定

基本設定として、9~18行目までは、次のように書き換えます。

#
# Basic configuration options
#

# Directory where all configuration will be stored
CONFIG=~/.jitsi-meet-cfg		← Let's Encrypt の証明書など、基本的な情報などが格納されるディレクトリ

# Exposed HTTP port
HTTP_PORT=80	← 一般的な HTTP 用ポートにします

# Exposed HTTPS port
HTTPS_PORT=443	← 一般的な HTTPS 用ポートにします

# System time zone
TZ=Asia/Tokyo	← タイムゾーンを日本にします

# Public URL for the web service
PUBLIC_URL=https://meet.toaru.site	←このホスト名は皆さんの環境にあわせ変更します。先頭の # を外すのを忘れずにします

Let's Encrypt 設定

Let's Encrypt の設定を追加します(30~36行目)。

#
# Let's Encrypt configuration
#

# Enable Let's Encrypt certificate generation
ENABLE_LETSENCRYPT=1		←「1」が有効です。先頭の # を消します。

# Domain for which to generate the certificate
LETSENCRYPT_DOMAIN=meet.toaru.site	←こちらは、環境にあわせて書き換えます

# E-Mail for receiving important account notifications (mandatory)
LETSENCRYPT_EMAIL=alice@example.jp	← ここは、皆さんのメールアドレスを入力します(Let's Encrypt の有効期限通知が届きます)

.env で最低限の編集が必要なのは、以上の項目です。

セキュリティ設定

.env に含まれるデフォルトのシステム内部パスワードを書き換えるため、次のコマンドを実行します。( 関連情報

./gen-passwords.sh

このスクリプト実行により、元々の .env ファイルは .env.backup に書き換えます。このバックアップ用ファイル中には暗号化前のパスワードが残っていますが、念のため不要であれば削除しておくことが望ましいでしょう。

設定ファイル等の保存用ディレクトリ作成

それから、設定情報を格納するディレクトリを作成します。

mkdir -p ~/.jitsi-meet-cfg/{web/letsencrypt,transcripts,prosody,jicofo,jvb}

メモ:ここで作成する ~/.jitsi-meet-cfg ディレクトリは Let's Encrypt の証明書を格納するなど、重要な場所です。一通りの稼働を確認したら、バックアップ用に控えておくのをおすすめします。また、ホスト名を変更した場合など、トラブルシューティングに困ったら、一旦このディレクトリを別名に変えるなどして、再度 Docker Compose の起動を試すとスムーズに起動できる場合もあります。

Docker イメージの取得と確認

それから、Docker Compose で使うイメージをダウンロードします。コマンドを実行すると、必要な Docker イメージを順次ダウンロードします。

docker-compose pull

docker images コマンドを実行すると、実行に必要な Docker イメージを確認できます。

REPOSITORY                                 TAG                 IMAGE ID            CREATED             SIZE
jitsi/jvb                                  latest              fd8201652975        11 days ago         276MB
jitsi/jicofo                               latest              773ffe263260        11 days ago         277MB
jitsi/prosody                              latest              5734ef478ff3        11 days ago         256MB
jitsi/web                                  latest              

Docker Compose で Jitsi の起動

あとは Docker Compose で起動します。

docker-compose up -d

docker-compose ps コマンドを実行すると、各サービスが稼働中 ( Up ) なのが分かります。

          Name              Command   State                        Ports
----------------------------------------------------------------------------------------------
dockerjitsimeet_jicofo_1    /init     Up
dockerjitsimeet_jvb_1       /init     Up      0.0.0.0:10000->10000/udp, 0.0.0.0:4443->4443/tcp
dockerjitsimeet_prosody_1   /init     Up      5222/tcp, 5269/tcp, 5280/tcp, 5347/tcp
dockerjitsimeet_web_1       /init     Up      0.0.0.0:8443->443/tcp, 0.0.0.0:8000->80/tcp

このコマンドを実行しているバックグラウンドで、 Let's Encrypt 用の証明書発行や、様々な初期設定が進行しています。

どのような処理が進行しているかは 、 docker-compose logs -f コマンドで確認できます。ここでは web サービス(Nginxが稼働しています)のログを確認します。

docker-compose logs -f web

ログを辿ると、次のように証明書の取得が成功したり、有効期限などが表示されています。

web_1      | Obtaining a new certificate
web_1      | Performing the following challenges:
web_1      | http-01 challenge for meet.toaru.site
web_1      | Waiting for verification...
web_1      | Cleaning up challenges
web_1      | IMPORTANT NOTES:
web_1      |  - Congratulations! Your certificate and chain have been saved at:
web_1      |    /etc/letsencrypt/live/meet.toaru.site/fullchain.pem
web_1      |    Your key file has been saved at:
web_1      |    /etc/letsencrypt/live/meet.toaru.site/privkey.pem
web_1      |    Your cert will expire on 2020-07-05. To obtain a new or tweaked

もし - The following errors were reported by the server: のようなエラーメッセージや nginx: [emerg] open() "/config/nginx/nginx.conf" failed (2: No such file or directory) というエラーメッセージが出る場合、証明書の作成に失敗しています。 .env の記述が誤っているか、あるいはファイアウォール等でサーバに HTTP (TCP/80)での通信が出来ない可能性があります。通信に関連する諸設定を確認します。また、ホスト名の記述が間違っている場合は ~/.jitsi-meet-cfg を別名にするなどして、作り直すのも1つです。

最終的には、次のようなログが表示されれば問題ありません。ログの表示は Ctrl-C で中断できます。

web_1      | [cont-init.d] 10-config: exited 0.
web_1      | [cont-init.d] done.
web_1      | [services.d] starting services
web_1      | [services.d] done.

ウェブブラウザでアクセス・動作確認

あとは、ブラウザで https://設定したホスト名 にアクセスするだけです。

「新しいミーティングを開始」でミーティング名(ルーム名に相当します)を入力し、「GO」を押せば大丈夫です。

image.png

音声、動画、テキストでのチャットだけでなく、画面共有機能もあります。

Screenshot_2020-04-07 Jitsi Meet(1).png

Enjoy!

その他、今後の考慮点など

  • 必要に応じてファイアウォール等は検討。このままだと、URLが分かるので誰でもアクセスできてしまう
  • Jitsi には認証機能があるようなので、それも試してみたいところ
  • 利用者が増えた時のネットワーク帯域を計測しないと
  • 長期運用する場合、このまま Compose でよいのだろうか
  • 拡張機能として、録画、文章共有、ディクテーション機能があるので試したい

参考情報

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