概要
前回の サーバスペックの変更 に続き、「クローン」機能でディスクをコピーし、内容が同じサーバを作成する手順を学びます。( チュートリアル目次はこちらです )
説明
クローン機能とは?
「クローン」機能とは、仮想サーバの「ディスク」領域および領域に福間無データをコピー(複製)する機能です。ディスク1つ1つに対してクローン機能を使えます。このクローン機能を使えば、ロードバランサを使い、サービスやシステムをスケールアウトしたい場合に便利です。
前回のスペックアップでは、「新しいサーバに対し、ディスクをつけかえ」ていましたが、クローンは「元のサーバとディスクはそのままで、新しいサーバにクローン(複製)したディスクを取り付ける」作業になります。そのため、スペックアップを考えている場合でも、今稼働しているシステムやサービスに影響を与えたくない、たとえば停止させたくない場合にも、このクローン機能が活用できます。
なお、スペックアップではサーバを停止しての作業が必要ですが、クローン機能によるディスクのコピー作業にサーバの停止は不要です。ただし、ディスクに書き込みが完了していないデータはクローン時にコピーされないため、注意が必要です。特にデータベースなどでは注意が必要です。仮に OS 上からはファイルやデータが存在しているように見えていたとしても、ディスク領域に書き込みが完了していない場合があります。
完全にディスクの整合性を保持したい場合や、バックアップ用途としてのクローン利用を検討されている場合は、サーバをシャットダウンの上、クローンを行います。
サーバとディスクのクローンを作成する手順
クローン機能の使い方
クローン機能を使うには、ディスクに対してのみ行う方法と、サーバとディスクを対象にする方法があります。今回のチュートリアルでは、後者のサーバとディスクの両方をクローン機能で複製する方法を紹介します。
まず、サーバ一覧で、対象サーバの右端にある「▼」をクリックし、「クローン」を選択します。
あるいは、サーバ一覧からサーバの行をダブルクリックし、詳細画面上に表示される「クローン」をクリックしても、クローン機能を利用できます。
次は「サーバ追加」画面に移ります。初期状態で利用しているシンプルモードはサーバ追加ができないため、次のような説明が画面に表示されます。表示を消すにはチェック印をクリックします。
画面一番上の「サーバプラン」は、通常はそのまま変更する必要はありません。クローン元のサーバのスペック(CPU・メモリ)が選択された状態です。必要があれば、スペックを変更できます。
それから画面を下にスクロールし「ディスク」が表示されます。こちらの画面は一切触りません。「ディスクソース」はコピー元のディスクやアーカイブを指定する項目です。「マイディスクをコピー」が選択されており、ディスク選択で表示されているディスクが、クローン元のサーバになっていることを確認します(下図の例では myserver です)。
さらに下の「ディスク修正」では、「ディスクの修正をする」にチェックを入れ、管理者(root)パスワード、OS がサーバ内で認識するホスト名を入力します。このディスク修正を行えば、新しいサーバの IP アドレスにあわせて、自動的にディスク内のネットワーク設定情報を書き換えます。
ディスク修正とは、クローン先の新しいディスクに対し、 OS のファイルシステム領域はそのままに、OS が認識するホスト名、管理者パスワードなどを変更できる機能です。ディスク修正の詳細については 公式ドキュメント をご覧ください。
もしも、ここでディスク修正を誤って行わなかった場合は、新たに起動したらサーバがネットワークで通信できなくなります。理由は、新しいサーバに自動で割り当てられる IP アドレスと、サーバ内で設定されていた IP アドレスの情報が違うためです。もしもネットワーク経由でサーバに接続できなくなった場合は、再度ディスクに対してディスク修正機能を使って再設定する必要があります。あるいは、 コンソール 機能を使い、ウェブブラウザからサーバにログインし、手動で設定を書き換えなくてはいけません。
画面上には「選択されたディスクソースは動作保証外です。ディスクの作成に失敗する場合があります」と表示されていますが、これまでの手順の操作であれば、正常にディスク変更ができます。これは、さくらのクラウドが提供しているパブリックアーカイブでサーバを作成し、なおかつ、ネットワークやシステムに関連する情報を手動で書き換えていないからです。ディスク修正で支障がある設定についての詳細は、公式ドキュメント をご覧ください。
なお、この時点でディスク修正をしなければ、今のネットワーク情報も含めてファイルシスムをそのまま新しいディスクへコピーします。バックアップとしてディスク内容を保持したい場合は、ディスク修正をしないほうが望ましいでしょう。
さらにスクロールします。「NIC」では特に変更しませんが、必要があればスイッチに接続したり、ネットワーク・インターフェースをサーバに持たせない(切断した状態)も選択できます。
次は、さらにスクロールし「サーバの情報」では名前やタグなどが編集できます。このにある「名前」とはコントロールパネルで表示するサーバの名前であり、ディスク内の OS が認識するホスト名ではないのにご注意ください。あくまでも表示用ですので、わかりやすいものや、漢字カナ混じりで記入できます。デフォルトでは「クローン [のサーバの名前]」です。
ページ一番下の「作成数」では、いくつ複製を作るかどうかも選べます。下図の例では、初期状態の「1」が選択されたままです。そして、最後に「作成」をクリックします。
操作確認画面では「作成」をクリックします。
あとは、各ステータスが「成功」するのを待ちます。一般的にディスクのコピーには数分ほどかかります(容量によって時間は変わります)。、最後に「閉じる」をクリックします。
クローンしたサーバの動作確認
サーバが起動したら、一覧画面上に2つのサーバ(元のサーバと、クローンしたサーバ)が表示されています。サーバの IP アドレスが表示されていますので、 SSH でログインしたり、ウェブブラウザで IP アドレスを開いて WordPress の画面が表示されることを確認しましょう。
「マップ機能」でネットワークを確認
コントロールパネルの左メニューで「マップ」をクリックすると、対象ゾーン内で起動しているサーバやアプライアンス(ロードバランサなど、仮想的な装置にあたるリソースです)のネットワーク接続図を表示できます。マップ画面を通し、各サーバをクリックしながら詳細メニューの表示や電源操作も行えます。
下図は現在の構成です。「共有セグメント」がインターネット側に接続している共有ネットワークであり、そこに2台のサーバがつながっています。
サーバのアイコンをドラッグすると左右に移動できます。いろいろ触りながら、動作をお試しください。
振り返り
今回は「クローン」機能を使って、動いているサーバのディスクをコピー(複製)し、元のサーバとおなじような環境を作成しました。クローンの作業時「ディスク修正」を行うことで、IPアドレスの自動修正やログイン用パスワード等の再設定ができます。次回は アーカイブを仮想マシン・イメージのテンプレートとして使う方法 です。