こんにちは、座禅いぬです。そういえばなんでこんな名前なんでしょうね。
先月末にマナビDXクエスト修了生コミュニティ内のLT会で、Obsidianを使った知識整頓の話を聞いて「面白そうやん!」となりました。
もともと2009年ごろからevernoteを使っていたのですが、アプリがどんどん重くなってしまい、すっかり嫌になって使わなくなっていました。その後比較的最近Notionに引っ越したものの、ピンと来ずと、ずっと試行錯誤していたのでした。
さて、最近「Obsidian in Cursor」が話題になっていますね。とても興味深い取り組みだと感じていて、最近いくつかオンラインでセミナーがあったので受講してみたり記事を見て真似してみました。しかしながら、どうも僕には複雑すぎて使いこなせなさそうでした。
一方で最近Cursor、Claude Desktop+MCP、Claude Codeなどを使い始めたので、それらを使ってなるべくシンプルな自分なりの仕組みを追求してみました。
こんな感じ
図にしてみました。
なんか色々書いてますけど要は作業フォルダを同一にするのがやりやすいね、という話です。それでは一つずつ解説していきます。
Obsidian: Zettelkastenで思考を構造化、ピラミッド原則を応用
せっかくObsidianを使うなら、相性が良いとされるZettelkastenの概念を理解しようとメモをとれば財産になるを読みました。
ざっくりまとめると、Zettelkastenとは「アイディアで最強のデッキを組む」みたいな感じで、思考をカードにまとめてコンボを色々考える感じでリンクしていくような人間の思考を促進する手法のようでした。昨今よくあるAIが思考を自動化してくれるという期待とは結構真逆かもしれません。めっちゃ人力。
工夫をすればメモに書いたことの根拠や続きを探すようになるので無限に勉強ができる感じです。そして、アウトプットするときには自然とメッセージとそのサポートによるピラミッド構造になります。これは、「考える技術・書く技術」のピラミッド原則がそのまま応用できる形です。
つまり、自分が何かメッセージを発したいとき(プレゼン、議論、記事などの記述)をするとき、この構造の中にあれば喋る内容は自ずと決まりますし、不足があるなと思えば調べることも自動的に決まります。
また、シンプルにMarkdownのビューアとしても便利です。Mermaidにデフォ対応なため、色々なフレームワークを適用してロジックをくみ上げるのに便利だなと感じています。プラグイン入れたらスライドもそのまま作れます。
思考を文章にして、論理を筆算していく作業に最適!
Claude Desktop: 最強の秘書では?Gmail連携してメモ量産ができる
ObsidianとLINEを連携するのが便利なのはわかっていたのですが、自分にはちょっとハードルが高かったです。LINEは仕事で使うのでなるべく触る時間を減らしたい。そこで色々考えたのですが、かつてevernoteが出る前はGmailの下書きにメモをする手法が流行っていたことを思い出しました。
Gmail連携+MCP連携(filesystem) or GoogleDrive連携で、「今日の日付で下書きに入っているメールはObsidianに入れるメモだから、日本語のタイトルつけてメタデータ付与してマークダウンで保存して」と指示すれば、どこで書いたメモでもメタデータ付きでファイルが勝手に生成されます。
Gmailの下書きならどの端末でも安定して動きますし、あとで編集もしやすいです。もちろん仕事のメールも一括でチェックさせて重要度を付けてもらい、これも課題としてメモにしたり、何でもかんでも思考のきっかけに使えるようになります。
気になることがあれば片っ端からリサーチさせて、良い結果は全部レポートにまとめさせてmdにしてしまうこともできますし、可視化などもやってもらいます。ただ、この辺はChatGPTやGeminiの方が強い部分もあるので、そのあたりは柔軟に使い分けています。このあたりは手のひらクルーする可能性はありそう。
もちろん大前提として議論やポン出しが手軽にできるという旧来の使い方にも多用しています。議論してまとめてMarkdownファイルにすることもできますし、フォルダ内のデータの特徴を調べさせたりもできます。
スケジュール調整もしてくれる、効率化の主役!完全に秘書
Cursor: 最強の編集者。そして鬼のレビューでいっぱい泣く
最初に思うのがClaude Desktopとの使い分けはなんだ?ということだと思います。Cursorは有能な編集者+アシスタントという感じで運用します。コードエディタとしてはあまり使ってなくて、AIテキストエディタという感じ。
- テンプレートファイルを作ったり呼びだしたりできる。ルールで制御する。実際に文章を書くのはcursorで
- Markdownファイルの部分を指定して内容を推敲したり議論できる
- データの一括処理をしてもらう(タグ付けルールの変更時など)
ところで、僕が生成AIを使う上で最も価値があることは自動化ではなく「視点の外注」だと思っています。これを主にCursorで実行しています。例えばメモのテンプレートの最後に、専門家のロールを付与した批判的な意見を500文字程度で書く場所を作っておき、補完をさせるととても厳しい意見が飛んできます。忖度無し、だからいい。
これはとても貴重なことで、確証バイアスを排除するのに有効である可能性があります。メッセージがより確かで豊かなものになる非常に重要な作業です。
逆に、「表現などに思い悩んだらCtrl+K!」はとても時短に効果的なのですが、よほど急いでいるとき以外は使わない方がいいかもしれません。やはりAIに文章を書かせると、やった作業が脳に残らない気がします。自分以外が書いた情報をストックするのは、ネットで検索するのとどれだけの違いがあるでしょうか?
視点の外注が重要。思考のオールはAIに任せるな
Claude Code - とうとう四次元ポケットを使える時代になりました
まだ使い方を見極めていないうちにGemini CLIが出て笑っています。いやー2週間経つとトレンドが変わりますね。いずれにせよ非エンジニアが今やるべきは速度の体験ではないかと思っています。これに関してはは主にポエムを書きます。
AI時代は「課題の共有」が解決策となる
- 新しい手法が出るたびに新規サービス乱立、定番の安定性↓
- 開発コストが下がり、技術知識よりドメイン知識が重要に
マッキンゼーの昔のレポートに、「すべての企業はソフトウェア企業である」というのがありましたが、まさに書いてあることが加速しているのが今の時代だと思います。この速度を、経営者や管理職も絶対体感しておくべきです。
ちなみに「(URL)これを和訳して、(フォルダ)に日本語タイトルを付けたマークダウンとして保存して」とClaude Desktopで指示してObsidianで読み、自分の言葉で要約したものをCursorで作るととても捗るわけです。ぜひやってみてください。
生成AIの活用で、解決できる課題の解像度は高まり続けています。有名な定番ソフトウェアに依存した業務というのは今後減っていき、個々の課題に対して、AIと協業してソフトウェアで課題解決を行うスタイルに今後は変わってい可能性があります。マナビDX Questに出てくるような、企業でサービス内製+データ分析による業務変容はより一般的になりそうです。
ただ、このような解決法はどこで学べばよいのでしょう?「AIに聞け」という返事が返ってきそうですが、その問いを生む力をどこで学ぶべきかが必要になると思います。そのためには、同じような課題を持った人たちのコミュニティに参加し、課題を共有して議論するのが最も効果的なのではないかと僕は考えています。仲間がユースケースという学習教材になってくれます。
これらを踏まえ、DX技術と課題を持った人間のコミュニティは、今後「コミュニティ学習」の場として重要性を増すのではないかと思います。Qiitaもそのようなコミュニティの一つとして今後さらにのびていくのではないでしょうか。
コミュニティ学習で負荷を減らし、新たな学び体験をしよう。楽しいし。
まとめ - AIとの協業は「思考を育てる」であるべき
そもそも人間の思考は自動的なものです(だから認知行動療法なんてものがある、という理解です)。ですので、思考の自動化ではなく、人間の苦手な作業を仕組みやAIで工夫する方向が良いと思われます。
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Obsidian: Zettelkastenを構築。思考をグラフ形式でまとめていくのはアウトプットに直結するため有効。その際はピラミッド原則に基づいてメッセージを積み重ねていく
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Claude Desktop: 気になったことは片っ端からリサーチ。メモはGmailから吸い上げ。レポートとして思考グラフに取り込む。新しい論点は引用か数字・ファクト・ロジックので客観的なメッセージに
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Cursor: テンプレを量産、呼び出し。メタデータの付与、過去の記事との連動、AIと推敲する作業。視点の外注。自動化は最小限がいい
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Claude Code: アイディアをガンガン実装していく。今まで一か月かかっていた問題解決が一日かからない世界を体験
思考の外部化、AIやシステムによる補助が期待できます
さてここからが本題です
この仕組みを活かすためには、Zettelkastenの概念に沿った方がうまくいきそうと感じています。すなわち、情報や知識をストックするのではなく、知見をストックすることに専念した方がよいのではというのが僕の考えです。
例えば、Xで新しいAIサービスが出たときに盛り上がりますよね。それで、サービスの概要をメモに入れたとします。だいたい、触るまでに至らず終わっている人が多数だと思います。
これをZettelkastenの形式に沿い、「いいなと思ったら即メモ」→「メモは清書したメモにするか捨てる」という作業をすることこそが人間の思考を加速するのだと思います。
簡単な例
「このAIがすごい!.md」→「だから何?」
これは何も生み出していませんよね。
- 「Gemini CLIでXが盛り上がってる.md」(仮のメモ)
- 「Gemini CLIは低コストなので今後ユースケースが爆増する可能性がある.md」というタイトルのメモとして清書
- つまりどういうこと?となるので、「(7/15検証)Gemini CLIはClaude Codeに置き換わる可能性がある.md」日付付きで、仮説や疑問文のメモを作成
- ここからは想像の内容です。仮説や疑問文メモは「Gemini CLIはClaude Codeと併用することで開発を加速する.md」などと検証を踏まえファイル名を含めてアップデートする
- なぜ?どうやって?となるので、「Gemini CLIとClaude CodeはMCPで連携した開発ができる.md」「Gemini CLIは検索に強くClaudeはコードのミスが少ないため使い分ける.md」とかいっぱい考えがわいてくる
- それはそれとして2で書いたMarkdownにユースケースを蓄積して、発見があったらファイル名変更or新しいファイルを生成して思考を続けていく
書いてるうちにどんどんGemini CLIを触りたくなってきたのでここまでにしておきますが、どんどん思考は枝を伸ばしていき、やりたいことは増えていきます。間違いも訂正もある前提で言葉にしていきます。AIは詰まったときに相談します。(詰まるの基準: 15分ルール)
この作業をしているうちに大事だなと感じたことが以下の内容です。
メモに必要な要素
- Call-To-Action(行動喚起)につながっていく
- 理解には自分の短い言葉に置き換える作業が必要
- そのままの形でプレゼンに使える
- AIの反論を促しやすい
- why, howにつながりやすく、次の思考を促せる
- 人に伝えるものは自分の言葉であるべき
これを達成するのに最も重要で有効なポイントはなにか、それが今回伝えたいことなのでした。すなわち...
メモのタイトルは「メッセージ」であるべき!