私「止まっている光(ドレスト光子)で量子コンピュータをつくったら簡単じゃないでしょうか?」
[小嶋泉先生] (https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%B6%8B%E6%B3%89)「おお、そうだね。」
※ドレスト光子のシンポジウムに参加した時の、小嶋泉先生と私の会話です。それに気をよくして、ドレスト光子で量子コンピュータはつくれないかと妄想してみました。絶望的に難しいので、いくつかステップを踏むことを提案してみます。提案は、ドレスト光子で簡単にできて、ビジネス的に意味ある技術を開発しつつ、だんだんと量子コンピュータに近づく、道筋の提示です。
ドレスト光子とは
光(電磁波)が、波長÷2π以下の領域では、伝播しないで止まっている状態のことです。近接場光と呼ばれる物理現象ともいえますが、ナノ構造の物質にまとわりつき様々な相互作用をするという意味をこめて、ドレスト光子と大津先生は命名されています。
波長の長い電波の領域では、近傍界と呼ばれてる物理現象です。マクスウェルの方程式から導かれる現象なので、理論的には150年以上前からわかっていたはずです。電波の世界では、上記のように近傍界としてよくしられていましたが、電波の領域でも積極的に利用しようとしたのはつい最近のように私には思えます。近傍界では、距離でエネルギーが減衰しないことを使ったのが、10MHzという低い周波数(長い波長)では、磁界共鳴方式のワイヤレス給電技術です。もう少し周波数が高い領域 20GHz あたりは、電磁界結合などと呼ばれて、慶応大学の黒田先生が盛んに研究されています。電磁界結合は、ワイヤレス給電と同じように少しずれても減衰しないので注目され、商用化がすすんでいます。Thruchipというメモリの結合に使うベンチャーがアメリカで存在感を出しています。ThruchipのCEOは、元トランスメタの人で4,000コア以上のRISC-V CPUを発表したDavid R. Ditzelです。
電波の領域では、減衰しないことが利用されはじめていますが、近接場光という名称の光の領域では、波長よりも短い光になることが顕微鏡の領域で使われています。通常の伝播光をつかった顕微鏡は、光の波長よりも短い対象は観察できませんが、近接場光をつかった近接場光学顕微鏡がより短い対象も観察できる技術として実用化されています。
光になると、量子的な相互作用も意味がある領域になります。光はもともと、クーロン力を媒介する素粒子なので、原子の中で、消滅、発生を発生を繰り返していて、原子内にとどまっているもののはずです。私達が目にする光(電磁波)は、外に飛び出した状態です。ドレスト光子は、原子内にもない、でも外にもいかない。原子(というかナノ構造)のまわりでウロウロしている状態です。ドレスト光子は、電子とも相互作用する上に、熱(フォノン)とも相互作用します。何が起こっているかほとんどわかっていません。ただ、光(フォトン)も熱(フォノン)もボーズ粒子なので、コヒーレントな状態になり、ボーズ凝縮のような状態になります。つまり、巨視的に扱えるはずです。常温で、光とちがってとびまわらず、そして、レーザーのように巨視的な量子状態が簡単にできるならば、量子コンピュータの素材としていいのではないかと思った次第です。
酸素で表面研磨
東大のYatsui研で酸素研磨の論文でました。
ドレスト光子の研究をすすめるためには、まず、ドレスト光子が役立ちお金を生むことが大切です。量子コンピュータへの道は長いので、まずは、金のかからない誰でもできる簡単な研究で、ビジネス的にドレスト光子で、意味のある成果を出すことがドレスト光子の研究を続ける上で重要です。そんなテーマとして、酸素で表面研磨 を選びました。塩素を使った表面研磨はすでに実用化されています。資料は、これです。酸素で可能かどうかは不明なのですが、表面の突起物にドレスト光子が発生するのは確からしいので、そのための研究です。ただ、ビジネス的に意味がないとまずいので、酸素で表面研磨を目指しましょう。パラメータは、表面研磨の対象(ナノ構造)、光(紫外線かな)、熱(アニール)です。実験は、簡単に操作できる熱を使います。常温から150度ぐらいまでやればいいのではないでしょうか? 表面の状態がどこかの温度で変化したら万々歳です。どんな温度で、どんな光をあてたら効果があるかは、事前にわかりそうならいいですね。酸素でどうしてもダメなら、オゾンでやってみるのもありです。温度も、もっと高温がいいかもしれません。
微細加工 熱アシスト(HAMR)を使う
突起物にドレスト光子ができる条件が、わかったらの話ですが、そこから先は、突起物をいろいろつくって条件をつめることになります。ナノ構造の突起物を作る方法は、いろいろありますが、どうせなら、ドレスト光子(近接場光)をつかうのはどうでしょうか?
次世代ハードディスクのヘッド用として開発され、そろそろ実用になりそうな技術として、熱アシストがあります。リンク先にあるように、近接場光をつかっています。50ナノメートル程度の加工が可能そうです。TDKは、10年近くこの技術の開発をしていてやっと今後、数年後に新製品がでそうです。この技術で、非常に狭いスポットを加熱することができます。これをナノ加工につかえないでしょうか? 熱で変化する素材をディスクの表面に塗布しておけばできそうな気がします。まったくの素人発想なので、まったく無理なアイデアかもしれません。ただ、もし、可能だったら、TDKにとってもよいビジネスになるのではないかと思うのですが、どうでしょうか? ディスクを作っているメーカーにとっても、うまくいけばよいビジネスになるではないでしょうか? まだ、誰もやっていない領域のように見えます。