第三章.SESエンジニアとして働きだして。
さぁ、前記事で書いていたSES企業について書いていこうと思う。
最初に書いておくと、筆者自身幸か不幸かこの会社では1つの現場しか経験していない。
いわゆる長期にあたって働けたいい現場というやつである。
そう、人によってはいい現場というやつ。
筆者はこの現場最終的に1年半ほどいたが、この現場が嫌になり退職を行うことになった。
どんな案件だったの?どんな働き方をしていたの?
あんまり細かいことを書くと問題になるのでざっくり言うと、金融システムの保守・改修案件でした。
案件名のみ聞くと不満が出なさそうな感じがするが、筆者が不満に思った点を挙げさせていただく。
1.コーディングの機会がない。
一番の不満はこれに尽きる。
確かに、業務の中で触れるシステムのなかで、Java・ShellScriptのソースに触れることはあった。
しかし、これらのソースを一から書くことは一切なかった。
えっじゃあ、1年半なにしていたの?という事になるのだが、上記ソースを組み合わせたバッチ処理の作成+テストだ。
ここで言うバッチ処理???といのはわかりやすく言うと、プログラムA・B・Cがあるとする。
これらを、時間ごとに動かしていく一連の流れをバッチ処理というのだ。(13:00にプログラムAを動かす→14:00にプログラムBを動かす・・・といった流れを
作ってやるイメージ。)
つまり、既存のプログラムを組み合わせて一つの処理を作るのだ。問題はバッチ処理の作成は既存のソフトのGUIを使用して登録するだけになるので
コーディングする機会が全くない。これが非常に堪えた。(これが後の転職活動にも響く。)
2.クッソみたいなセキュリティ体制。
次に挙げさせてもらうのが馬鹿みたいなセキュリティ体制だ。
これに関しては金融システムを扱う上では仕方のないことなのかもしれない。
具体的に書いていくと
・使用端末の外部ネットの接続禁止+執務室へのスマホ持ち込み禁止。
要するにインターネットが使用できません。
実際の業務中に困った例を挙げると、
簡単なエラーコードが出て調査したい→調べる事は出来ずに内容をメモして執務室の外へ→その後、スマホで検索し、その内容をメモし再度執務室へ戻る。といった流れになる。
もうね、アホかと。こんな事してたら全然仕事が進みません。
これが、顧客情報を扱っている案件なんだからしょうがないだろ!!って言われればそれまでなんですが、それなら現場を変えて
貰えばいいだけなんで。元請けで高い給料を貰っているならともかく、所詮こっちは安月給のSESなんで。
(まぁ、当時の僕は未経験で案件なんて選ぶ余裕なんてなかったからそんな事は言えずだらだら居たわけなんですが・・・)
逆に良かった点を挙げていく。
1.ドキュメントの作成を学ぶにはもってこい。
振り返ってみるとこのドキュメント作成能力が身についたのが一番デカかった。
こういった一つのバグが大きな問題につながるシステムを作る現場だと、設計書等のドキュメントの作成がかなり緻密に行われる。
1つのシステム作成期間のほとんどをドキュメント作成に費やしているイメージだ。
一度こういったドキュメント作成を経験すると、システムを作る中でどのドキュメントに必要な情報が載っているかなんとなく
わかってくるので、開発案件にアサインされた際にもこの能力は十分に生かされるはずだ。
今後、SEとして食べていくにはこの能力は必要不可欠なので、本当にいい経験をできたと思っている。
2.システムの仕様書から担当システムの動きを読み解く能力が身についた。
金融や、業務系のシステムの物凄いざっくりとした流れって、インプットのデータを色々な処理を経由して最終的にアウトプット(画面なり、DBなり)する事
で成り立っている。
アホみたいに多いドキュメントからこのインプットを探し、最終的なアウトを把握するのもなかなか苦労した。
ただこの業務の中で、上記の考え方を身に着け、自分なりの解説まで加えて人に説明できるようになったのはかなりの経験になったと思う。
SE・PGなんて資料を渡されてあとは自分で把握してねなんてしょっちゅうあるし。
3.質問する能力が身についた。
2.と繋がる事が多いのだが、有識者に質問するという事も大切だ。
筆者は、これまでの経験でIT技術者の人って結構人に説明して気持ちよくなる人が多いと感じている。
そいう有識者ってただ質問されることを嫌う傾向がある(筆者は正直、聞かれたら普通におしえるのだが・・・)
そこで、自分なりに仮設を立てつつ、少しアホなふりをして有識者に気持ちよく話してもらうようにする。
この技術はとても重要だと思う。偏屈な奴は普段の雑談がクッソおもろなくないので、ここから切り口を作って
仲良くなるしかないのだ。
とにかく聞き上手になること。これが、未経験エンジニアの身を守る事にもつながるので、非常に重要だと思う。
・なんで辞めたの???
コーディングの経験を積めないからである。
ちょうどこの現場を1年ほど勤めた時、自社の会社から後輩が一人この現場にアサインされた。
後輩にこの現場の業務を伝えたところ出てきた一言「え?コーディングできないんですか?辞めようかな・・・」
衝撃だった。当時は未経験入社という事もあってまだまだこの現場で学べる事もいっぱいあるはず・・・と思っていたのだ。
しかし、確かに本来自分がやりたかった開発業務とはかけ離れている。
なんとかしなければ・・・当時の自分はそう考えた。
もし、貴方が筆者と同じ境遇にいた場合大体以下の2択の選択肢が出てくるはずだ。
①自社営業に相談し、現場を変えてもらう。
②転職
筆者が選んだのは②転職である。
なぜ②転職を選んだのかここで解説してく。
①を行おうとしたとき、自社の営業に相談することになるのだが、先ほど記載したようにこの会社には営業はおらず、社長が現場営業も
行っている。
普通はこのまま、社長に相談する流れになるはずだったのだが、筆者はそうしなかった。なぜか。
・入社してから社長からの現場に対するヒアリングが一切なかった。
現場どう?先輩とうまくやれている?といったフォローが一切なかったのである。
向こうからすると未経験を雇ってやっているのだから、特段問題がなければそのまま現場で働くのは当然と思っているのかもしれない。
だからこそ、特段現場に関するヒアリングを1年にわたって行わなかったのだろう。
ただ、こちらから言わせて貰うと、それはそちらの職務怠慢ではないだろうか?
こちらはきちんと欠勤もなく、SESエンジニアとして現場へ労働力を提供しているのだ。SESの会社はエンジニアがその現場で
困っているか、別現場への希望がないのかといった定期的なフォローを行うのは当然だろうと筆者は思う。
言ってしまえば、レンタル機材を出しているのに、定期メンテは行わずに放置しているようなものだ。
こういった事から会社への帰属意識なんて無いに等しく、そんな会社なら転職した方が早いと考え転職に至ったのである。
※SES営業の方、エンジニアへのフォローを適当にしているならエンジニアは簡単に会社を捨てますよ?
②転職に関して。
この時、自分としては以下の企業への転職を希望していた。
①自社開発企業
②受託開発企業
SESは特に嫌だった。どうしても現職の対応的に現場に投げてエンジニアの将来を考えずに
搾取するビジネスモデルにしか見えなかったのである。
さて、ここでいつものサクセスストーリーなら、自社開発に入れました!!となるだろう。
だが、この記事は悲しい現実をひたすら書いてく記事なのだ。
まぁ、その・・・①、②共に書類選考で全落ちでした(半ギレ)
落選の理由はコーディングを伴う開発経験が一切ないから、当然である。
開発業務において、コーディングできないような奴を雇ったって良いことないだろうし
わざわざそんな奴に高い金払って雇うメリットなんてないしね。(20台前半ならともかく、筆者なんて当時30だったし。)
そこで考えを変える。
とりあえず開発経験を積めるSESを探して潜り込もう!!
だが、大手のSES系は開発経験がないため、書類選考で落とされる事が多々あった。
最終的に中小企業系(現職よりは大きいが・・・)のSESで割りとあっさり内定がでた。
これがちゃんとした開発経験者であるならかなり早い段階でけりが着いていたはずだ。
この時、筆者が重視していた点を挙げていく。
①営業がちゃんとエンジニアとコミュニケーションを取っる文化があるか。
②面接時にこちらが開発案件にかかわりたいとPRし、アサインしたい案件について
きちんとヒアリングしていてくれるか。
この2点を重視した。
幸い現職はこの①、②の条件をしっかり守ってくれていて、筆者の希望通り開発案件(言語はJava)へアサイン
する事が出来た。
給与に関しても、ようやく一人暮らしでもそこそこ貯金できる金額を出してくれていたので、迷うことなく転職に
踏み切る事が出来た。(上がり幅や、内容に関しては別記事に書くことにします。)
転職先が決まったらさっさと上長に報告して、退職の意思を伝えよう。
基本的に社内規定で決まっている期間内で退職の意思を伝えて退職するように宣言すれば問題ないはずだ。
ただ、SESだと契約期間等があるので契約更新が終わる節目だと辞めやすいので、そこは注意しておこう。
まぁ、最悪次の人員そろえるのは会社の役目なんで知らんで通が、狭い業界なのでもめないで辞めるには越したこと
ことはないしね。
自分の時は、上長に辞める事を伝える→上長「社長に直接言って。それは僕の仕事じゃないから。」→???????
それはお前の仕事だろ・・・という一連の流れがあって少し面倒くさかったですが・・・
さて、ここからが現実を伝える記事になので皆さんお待ちかね、給与についてのお話だ。
1年半エンジニアとして働いて、一応転職という形になったのでどういうくらい給与が上がるのかな~
月給:25.7万(諸手当含む)
年収:348.4万(年2回のボーナス含む)
ようやっと・・・手取り20万を超えましたね。
一人暮らし(地方だけどね)でも切り詰めれば貯金もそこそこしながら生活できる水準になりました。
年収50万UPだね。やっぱり月の手取りが20万を超えたのが嬉しかったなぁ・・・
あと、残業代がみなし残業にならなかったのが結構デカい。これだけでかなりモチベーションが上がります。
つーか、SESで搾取してんのに、そこからみなし残業とかでさらに搾取するの鬼すぎんだろ・・・(前の会社)
と転職した際の動きに関して記載してみたが、どうだっただろうか?
初現場に関してもJavaの開発現場にきちんとアサインできたし、給与も上がったして結構成功の転職だったと自負している。
ただ、これに関しても個人的にはメリットデメリットがあると思うので、そこもまとめていこう。
メリット
・給与が上昇する。
これに尽きる。特に今回の筆者の様に未経験からの転職の場合、確実に上がる。
やはり、未経験エンジニアというのは、単価が低いためどうしても安くならざるを得ない。
今までの経験上客先と自社の単価交渉の機会は年2回とった感じだ。
そこから上昇分の単価が素直に自身の給与に反映されるかは会社次第だ
(少なくとも筆者の所属している会社ではそういう事はない。だって、単価の割には大して年収が上がんないし・・・)
デメリット
・転職した先の持ち案件が良いとは限らない。
ここが恐ろしいところである。SESエンジニアなんて、今までの業務で何をしていたかによって成長度合いが変わるし、評価も変わる。
ここがちゃんとしていないと、貴重な時間を無駄にしてしまう。
ここはきちんと転職先の持ち案件・商流については担当者へ質問するなりして調べておこう。
・転職回数の増加
この会社クソだな!!となって筆者の様に1年半で辞めるのは短期離職の形で履歴書残ってしまうのであまりお勧めしない。
雇う会社も短期離職者は嫌だろうしね。せっかく技術力があるのに書類選考で落とされるなんてマジでもったいない。
もしあなたが幸運にも最初の入社したSES企業できちんとした開発業務に携われているなら悪いことは言わん。最低2年は耐えていた方がいい。
できれば3~5年ほど経験を積めば短期離職なんて見られないだろうし、実務経験者なので確実に待遇UPして、転職する事ができるだろう。
また、きちんと会社へ案件変更のお願いを行う事もしたほうが良いと思う。転職は最終手段だ。
ここで最初のSES企業への転職時にこうしていればよかったという点を述べていこう。特に筆者みたいな向上心のないキャリアチェンジを行う人は参考にしてほしい。
①企業選びをきちんとしよう!
なにを今さら・・・となるがここはもの凄く後悔している。
当時は年齢の事もありとりあえずSESでもなんでもいいから、潜り込んで開発経験を積めればいいと考えていたのである。
では、どういった点を重視すればいいか?確認点を記載していこう。
・SESでも大手企業であること。
そりゃそう。大手であれば商流も上の方だろうし、持っている案件も豊富だ。そうなれば必然的に先輩社員とのセットで開発現場にアサインされる
可能性も高くなる。
恐らくだが、営業からエンジニアへのフォローも手厚いだろう。
そこで開発経験を積めれば占めたもので、後々の現場面談も楽々パスすること出来るようになり、もしもの際の転職活動にも苦労する事はなくなるだろう。
年齢がいっていると入社難易度が比較的高くなるだろうが、悪いことは言わん大手に行け。
ふぇ・・・大手SESに入れないよぉ・・・という限界落ちこぼれのあなた(筆者もそうだ)。
安心してくれ。中小SESでも開発経験を積んでいけば、現場アサインに苦労しなくなる程度にはなれる。
次に中小SES探しで注意した方がいい点を挙げていく。
・営業がきちんとしているか?
ここで言うところのきちんとしているかは、営業がエンジニアへのフォローを行い開発現場を探せるかという点である。
もちろん会社自体が持っている案件数についも確認は必須だ(最近はなんの現場にアサインしたかの確認を行う方がいいだろう。)
また、面接時に営業の方と話す機会があればその人にどういったエンジニアへのフォローを行っているのか確認を行う事もいいだろう。
確認できるのであれば、商流はどの程度といった確認も行えればベストだ。
・会社がエンジニアを開発案件へアサインする意思があるのか確認を取ること。
確実ではないが、会社へ自分は開発案件で経験を積みたい事をきちんとPRし、なんならそうじゃなければ
入社しないぐらいも言い切っていいだろう。
筆者はそこの意思表示や、確認を行わずにとりあえず経験を積むためと、よーわからん現場にアサインされてしまい後悔することになった。
以上が筆者がIT業界に転職して経験したリアルについてだ。
みんながみんなこんな事にはならないだろうが、向上心がない系の人には少しは参考になるのではないか?
次は、転職して開発経験を積めるようになったSES企業でのリアルについて述べていこう。