オンプレミスからBoxへのデータ移行方針について
みなさんこんにちは🙂↕️
アットマーク・テクノロジーの酒井です。
今回は、オンプレミスからBoxへのデータ移行方針についてまとめてみました。
オンプレミスからBoxへデータ移行するにあたり、方針等で悩まれている方の参考になれば幸いです。
はじめに
従来のオンプレミス型ファイルサーバーまたは他クラウドストレージからBoxへの移行プロジェクトを実施するにあたり、その方法・手順・注意点を体系的にまとめました。
Boxはクラウド型コンテンツマネジメントプラットフォームとして、ファイル共有、コラボレーション、セキュリティ管理を効率的に行うことができます。またBox AIやBox Hubを利用することにより、業務効率の向上が期待されます。
移行の目的
- オンプレミスのストレージ環境の老朽化によるリスク回避
- 災害対策(BCP)の強化
- モバイル・リモートワーク対応の強化
- ファイル共有の利便性向上とセキュリティ強化
- コスト削減(物理サーバー保守・更新費用等)
移行計画概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象システム | オンプレミスファイルサーバー、Google Drive、OneDrive など |
| 移行先 | Box(BusinessまたはEnterpriseプラン) |
| 移行方式 | 手動移行、一括アップロード、Box移行ツール利用 |
| 移行期間 | 約1〜3ヶ月(データ量と社内調整により変動) |
| 利用ツール | Box CLI、Box Shuttle、Box Drive、Rclone、PowerShellスクリプトなど |
| 主な課題 | ファイル命名制限の違い、パーミッション移行、ユーザー教育 |
移行手順
Step 1:現状把握・移行対象の選定
- 移行対象データの棚卸し(容量・ファイル数・階層構造)
- 不要データの整理(アーカイブ・削除)
- 移行対象ユーザー・フォルダの選定
Step 2:Box環境の準備
- Boxアカウント・フォルダ構成の設計
- ロール/アクセス権限の設計(閲覧、編集、共有)
- Box管理者コンソールでユーザーの一括登録
- SSO認証設定(Entra ID、Okta等)
Step 3:移行方法の選定とツール準備
- 小規模移行:Box DriveやWeb UIからのアップロード
- 中〜大規模移行:Box Shuttle、Box CLI、サードパーティー製移行ツール(DMB,Rocket Uploaderなど)
- スクリプト自動化:PowerShell や Python を使ったバッチ処理で効率化
Box shuttleとは
概要
Box Shuttle は、他のクラウドストレージやオンプレミスのファイルサーバーから Box へデータを安全かつ効率的に移行するための公式移行ツール/サービスです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | Box, Inc.(公式サービス) |
| 対象 | 中〜大規模のデータ移行(法人・企業向け) |
| 対応元 | ファイルサーバー、SharePoint、Google Drive、Dropbox、OneDriveなど |
| 特徴 | 高速、安全、正確な大規模データ移行 |
主な特徴
1. 高性能な移行エンジン
- 数TB・数百万ファイルの移行にも対応。
- 帯域幅やネットワークの制限に最適化。
2. メタデータ・権限も保持可能
- 作成者・更新日などのメタデータを維持。
- 元のアクセス権限をBox用にマッピング。
3. 柔軟なマッピングと変換
- フォルダ構造やユーザー名の変換が可能。
- 標準化や命名規則に合わせた移行ができる。
4. 詳細なレポート機能
- エラー・移行完了ログ・処理件数などの出力。
- 移行監査や管理者報告にも活用可能。
移行ステップ
-
事前調査と要件整理
- 対象データ量や構造、ユーザー数を把握。
-
スコープ・設計
- 移行対象フォルダ・ユーザー・権限の確認。
-
テスト移行
- 一部のデータで整合性や設定の検証。
-
本番移行
- 実環境での一括移行。夜間や休日の実施が推奨される。
-
レポートと完了確認
- エラー確認、報告書作成、必要に応じて再移行。
適しているケース/不向きなケース
| 適しているケース | 不向きなケース |
|---|---|
| 数十GB~数TBのデータ移行 | 数百ファイルの手動移行 |
| 正確なメタ情報・権限維持が必要 | メタ情報不要な簡易移行 |
| 複数システム・ユーザーを一括管理 | 単独ユーザーでの利用 |
利用料金
- Box Shuttleは有料サービス(Box Businessプラン以上向け 1部プラン無償利用可能)。
- standardプランとadvancedプランがあり、standardプランは無償だが、移行に制限があり
- 移行対象の容量・構成に応じて個別見積もり。
- 導入時はBox営業担当またはパートナー企業との調整が必要。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 向き不向き |
|---|---|---|
| Box Drive | デスクトップ同期型、手動移行向け | 小規模用途 |
| Box CLI | コマンドライン自動化 | IT知識必須 |
| Rclone | オープンソース、スクリプト運用可能 | 無保証/権限制限あり |
| Box Shuttle | 公式サポート付き、大規模移行対応 | 高機能・有料 |
補足情報
- Box Shuttleは、一度限りの移行だけでなく差分移行や段階移行にも対応。
- 標準プランには含まれておらず、追加契約またはパートナー経由での提供が一般的。
Step 4:テスト移行
- 一部フォルダでテスト移行を実施
- ファイルの整合性、アクセス権限、リンクの動作確認
- 問題があれば手順修正
Step 5:本番移行
- 夜間・休日など稼働影響の少ない時間帯に実施
- 完了後に関係者に通知
- 不整合ファイルの確認と再アップロード
Step 6:ユーザー教育・サポート体制整備
- 利用マニュアルの配布
- 操作説明会やQ&Aセッションの実施
- 初期1ヶ月のヘルプデスク対応強化
注意点・リスクと対策
| リスク | 対策 |
|---|---|
| ファイル名の制限(文字数、記号) | Boxの命名ルールに従い事前にリネーム |
| アクセス権限の不整合 | 権限設定ポリシーの明文化と事前設計 |
| 大容量ファイルのアップロード制限 | ※1 アップロード制限に注意し分割対応 |
| ユーザーの操作習熟不足 | トレーニング・マニュアル整備・FAQ整備 |
| リンク切れ(共有URLの変更) | Boxでの新規共有URL発行、周知の徹底 |
※1 Boxでのプランごとにおけるアップロード制限
- 無料の個人用アカウント: 250 MB
- Starter: 2 GB
- Business: 5 GB
- Business Plus: 15 GB
- Enterprise (およびDigital Suites): 50 GB
- Enterprise Plus: 150 GB
- Enterprise Advanced: 500 GB
今後の展望
Boxを単なるストレージとしてではなく、ドキュメント管理・承認フロー(Box Relay)や生成AI(Box AI)やポータルサイト(Box Hub)や外部共有・契約書管理(Box Sign)など業務改善ツールとして活用することで、さらなる業務効率化・DX推進が期待されます。
まとめ
Boxへの移行は、組織全体のデジタル化と業務効率化を推進する上で有効な取り組みです。計画的な準備と段階的な実行により、業務への影響を最小限に抑えつつ、安全かつ円滑なデータ移行が可能となります。