基調講演1
Google Cloud Japan代表:阿部伸一氏の講演より
- Googleの方向性として以下の3点が印象に残った。
① グーグルはお客様に対して、「クラウドに合わせてください」というだけではなく、「グーグルクラウドがお客様に寄り添っていく。」これも大事だと考えている。
「オンプレミスから100%クラウドに基幹システムを移行できない顧客に対しても門戸を開く」 という意思表明と受け取った。
② 現行のシステムをPublicクラウドに移す。現行のインフラ、IT基盤をグーグルクラウドの最先端技術を使用して、現代化、進化、様々な事をやっていきたいと考えている。
以下の様な色々な事をやっていくことにより、GCPの魅力を感じて欲しい。と解釈した。
a. GCPのマイグレーションツールを使用して、クラウド上へ移行するサービス
b. 2019年4月にサンフランシスコで発表したAnthosのサービスを提供することにより、オンプレ、AWS、GCP上でもアプリケーション、サービスを動かすことを可能とする(マルチクラウド、ハイブリッドクラウド)
c. GCPへのパイプラインを構築することにより、GCP上の様々なサービス(AI、IoTなど)を提供していきたい。
③ お客様のやりたいこと、課題解決を行っていこうと思っている。様々な顧客とともに活動している。お客様やその先にいるお客様に満足していただけるカスタマーエクスペリエンスを実現するだけでなく、より生産性を高めたり、より利益の向上に役立つお手伝いをITを通じて行っていきたい。
「GCP上のサービスにより課題解決を図る。エンタープライズ市場においてもGCPもお客様と寄り添って、サービスを提供していく。」、より良い未来を目指したGCPの見解と解釈
Google Cloud テクニカル インフラストラクチャ部門 シニア バイス プレジデント:ウルス ヘルツル氏の講演より
- GCPが成長過程に有ることと、Anthosのメリットについて多く語って頂いた印象を受けた。
① クラウドの(2019年)売り上げは年間80億ドルになる見込み。その売り上げ成長はまだまだ上がりそうだ。大阪にクラウドセンターを開設した。グローバルで20番目、アジア太平洋地域で7番目、日本国内では2番目
2019年売上予測:AWSは330億ドル、Azureは110億ドル(MS未公表の為、アナリストによる予測)
2019年時点リージョン:AWSは東京、大阪。Azureは東日本(東京、埼玉)リージョンと西日本(大阪)リージョン
まだまだ売上においては、AWS、AZureには見劣りする。
②世界TOP10企業におけるGCP採用数 業界別集計
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GCPが以下業界で如何に採用されているかの資料の提示
メディア:9社
エネルギー・公共:6社
金融サービス:5社
小売:7社
専門サービス:5社
ソフトウェア:5社
通信:5社
製造・物流:5社
少し古い資料だが、2018年にDriftの調査報告によると、世界のTOP100の(非上場)クラウド企業が使ってるツールランキングで、Top3をGoogleのアプリが占めている。クラウドサービスのG Suite は第3位。ちなみに、AWSの「AWS Route 53」が6位、Azureは「Office365」が12位に含まれる。
グループウェア部門においては、G Suiteを利用している企業が多い為であろうと分析出来る。 グループウェアではGCPが優位だが、PaaS/ IaaS分野においては、AWSがシェアが高いと見ている。一つの資料だけを見て、「GCPの方が、シェアが高いのではないか」と考えてはいけない一例ではないだろうか。複数の観点から資料を分析しないといけない。
③ Anthosの紹介
お客様がGCPのサービスを利用するということは、お客様のサービスをモダナイズすることが出来る。オンプレミスで有ったとしても、Anthosを使用する事により、(開発の)速度の実現、GCPのサービス、セキュリティを利用することが出来る。開発者においても、一度、アプリケーションを作成すれば、それをどこででも使うことができる。OSSなので、ベンダーロックイン無しでイノベーションを可能としている。
<Anthosの特徴>
a. 一度書いたコードを変更なしでどこにでもデプロイできる。
b. オンプレミスやどんなクラウドでも利用できる。
c. デフォルトでも安全に
今年(2019年)に発表したAnthosを強調している。クラウド分野において、AWS、AZureに遅れを取っているGCPの切り札という印象を受けた。Anthosにより実現できるハイブリッド&マルチクラウドにより、AWS、Azureを利用する顧客をGCPに取り込む戦略ではないか。現時点(2019年8月)では、AWS、Azureには、Anthosと類似のサービスは無い。
④ Anthosをテクノロジーパートナーと協力してサービスを提供している。
GoogleはAnthosを戦略的パートナーと協力してサービスを提供している。単にAnthosというプラットフォームを手に入れるだけでなく、インダストリーパートナー、ハードウェアサービスパートナー、ソフトウェアサービスのパートナーのサポートも手に入れている。
「産業界、エンタープライズソフトウェアプロバイダー、ハードウェア企業と協力してAnthosのサービスを提供しているので、お客様の導入時においても、あらゆる機能をサポートしている。」と解釈
⑤ 3つのビジョン
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アプリケーション開発ソリューション
①オンプレミスのモダナイズ
・既存アプリケーションをクラウドに移してから、コンテナ化する。
②クラウドへの移行
・Anthosを使用して、既存アプリケーションをモダナイズしてから、クラウドに移す。
③クラウドネイティブアプリケーションの作成
・クラウドネイティブの新しいアプリケーションも問題なく作成することが出来る。
・開発者は色々なものを自動化し、コードを書くことに集中でき、イノベーションに時間を使うことが出来る。
・チーム全体での可視化ができるので、開発の速度を落とすこともない。
④一貫したセキュリティ、効率性、信頼性
・コンテナで最高のセキュリティ、効率性、信頼性を提供できる。 -
デジタルトランスフォーメーションプラットフォーム
・自分たちの競争優位性を保つためには、自分たちが収集しているデータからインサイトを取り出さなくてはならない。 -
各業界に特化したトランスフォーメーションのためのビジネスツール
DeNA:南場智子氏の講演より
- 10年前に立ち上げた。もともと、経営コンサルタントを行っていた。得意なのは戦略、マーケティング、企業仲間も同様。その議論に費やしていた。
- モノづくりに対する認識が甘かった。システム開発、要件定義だけ行って、作りこみは外部パートナーに丸投げ。そして、開発が終わっていなければならない日に、コードが1行もかけていない状況。始まる前に終わってしまいそうな状態だった。
- しかし、「コンサルタントは信じるな。気を付けろ」というのがテーマではない。
- その後、どうなってやってきたかについて話していきたい。
- 技術をアウトソースに依存している点を反省し、エンジニアの採用に注力した。
- 2000年には、完全な内製化を行えるようになった。
- でも、自分自身はシステムに対しての理解が深まったわけではなかった。経営の言語と技術の言語を両方話せる人材を補佐として、その人の判断を信じて経営していただけだが、DeNAの技術力は強化されるようになっていった。
- 1日のリクエスト数50億を超え、1秒当たり数十万リクエストが集中するような状態でも安定的に稼働するシステムを構築できた。数万代のサーバーが必要かと思われるが、3000代のサーバーでインフラ技術者は数十人。それでもサーバーダウンゼロ、日本でもトップのインフラ技術力を身に着けたと思う。
- 2018年、大きな決断を迫われた。当時の信頼していた技術陣がクラウドかオンプレか大きく論が分かれた。背景として、2015年ぐらいから、本格的にクラウドを利用し始めていたが、まだまだオンプレのサーバーを管理していた。経年劣化の為、故障も増えてきていた。
- その運用の工数もあがっていた。複雑化。
- 「よって、この際、一気にクラウドに移行したほうが良いのではないか?」というクラウド派
- 「オンプレミスこそが我々の強み」というオンプレミス派
- 経営側として、両派に質問しても全く異なる答えで、混乱した。
- クオリティに関しては、工夫により両派、拮抗するレベルに落ち着くという話になったが、話が分かれたのは、オンプレ派は「今、クラウドにシフトすると3倍のコストがかかる。」という。クラウド派は、「1円でも安くするというベンチャー魂を大切にしている。そのようなことは無い」
- 経営層にとって最終的な決め手となったのは「人材」だった。
- エンジニアとして、大事な仕事ではあるが、サーバーメンテナンスなどに時間を取られている。もっと、創造的な仕事に時間を費やしたい。
- 「せっかく培ってきたサーバーサイドの技術の蓄積が生かせなくなるのは残念」と思ったが、それが間違っていると色々と教えてもらった。技術の蓄積があるからこそ、GCPのカタログスペック以上のものをリクエストすることが出来る。そして、GCPと徹底的に議論させてもらった。前向きに議論に答えてくれた。カタログスペックに有る以上のことを出来ないか要求するだけでなく、DeNAの技術の蓄積があるから、「こういう工夫をすれば出来るのではないか?」という指摘も出来た。そして、それにGCPメンバーも応えてくれた。DeNAの技術の蓄積は無駄とはならずに、生かすことが出来た。GCPに生かせ、世界中に生かすことが出来たのではないか。いい決定を出来たと経営層として思っている。
オンプレからクラウドへ移行する際の判断。蓄積した技術をGCPに反映することで無駄にしなかったという経験談は勉強になった。
Google Cloudパートナー & インダストリープラットフォーム部門 プレジデント:タリク シャウカット氏の講演より
実質的な話は無かった。メルペイの曾川さんを紹介したのみ
株式会社メルペイ取締役 CTO:曾川 景介氏の講演より
- メルペイの紹介
- 1,299万人利用
- 年間約5000億円のトランザクション
あくまでも私見だが、メルペイの勉強にはなったが、参考になる情報は無かった。
アクセンチュア株式会社代表取締役副社長 テクノロジーコンサルティング本部 アジア太平洋・アフリカ・中東・トルコ地区 統括本部長:関戸 亮司氏の講演より
金融基幹システム
- 1960~ 第1次オンライン
- 1970 第2次オンライン
- 1980 第3次オンライン
- それ以降、インターネットバンキングサービスが登場したのみ
これからの金融システムの在り方
- 顧客体験をどう変えていくかが問われる。
- 顧客システムをカスタマイズしていくか、ゼロベースで考えていきたい。クラウド、マイクロサービス、セキュリティがキーワードとなる。
- 次世代の基幹系システムをGCPで構築していくことを考えている。
- アクセンチュアで「MAINRI」というサービスを構築した。
- Google Kubernetes Engine、BigQuery、Cloud Spannerをフルに活用している。
- 金融においては、「融資」、「与信」、「資産管理」の基幹機能に新たな「エンドツーエンドの顧客体験」を提供していきたい。
ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社取締役 COO:永吉 健一氏の講演より
次世代のバンキングを考えていきたい。
- 現在、ふくおかフィナンシャルグループの基幹系システムを開発中である。
- 東京 - 福岡間でアジャイルによる開発を行っている。
- GCPを活用しているアクセンチュアさんの「MAINRI」をベースにしている。
- 金融業界はノアの箱舟状態。救うためのノアの箱舟を目指す。
- GCPのサービス「Migrate for Anthos」のβ版が提供されている。これは、仮想マシンをコンテナ化、アクセス環境も可視化してくれる。
Google Cloud データベースプロダクトマーケティング マネージャー:エイミー クリシュナモハン氏の講演より
Cloud SQL について
- まもなく日本にリリースされる。
- GCP上にSQL Serverを稼働させたもの。
- Cloud上に簡単にインポートできるものであり、SQL Server、MySQL、PostgreSQLをサポートしている。(オンプレのDBデータをGCP上のSQL Serverに移行出来る)
- Cloud SQLとActive DirectoryのManaged ServiceもGCP上に展開している。
- Cloud SQLのデータに対してBig QueryでSQLを実行することも出来る。
補足
Qrunchの自分のブログから記事を引っ越しました。