プロジェクトのフォルダを別の場所へ移しただけで、Claude Code のこれまでの会話の履歴が一つも出てこなくなった——という事故があります(GitHub の起票 #70470)。危険なコマンドを打ったわけでもなく、ただフォルダを移動・リネームしただけで起きます。
結論から言うと、履歴は消えていません。 仕組みを知っていれば、移す前に防げますし、移したあとでも取り戻せます。実機で確認した内容をまとめます。
~/work/myapp を ~/projects/myapp へ移した(または名前を変えた)。コードも git の履歴も無事。ところが新しい場所で Claude Code を開いて /resume を押すと、これまでの会話が一つも出てこない。
Claude Code の会話の履歴は、プロジェクトの中ではなく、ホームの下に保存されています。
~/.claude/projects/<プロジェクトのパスをエンコードした名前>/
エンコードの規則は単純で、フルパスの区切り / を - に置き換えるだけです。手元で確認するとこうなっていました。
/home/namakusa/projects/cc-loop
→ ~/.claude/projects/-home-namakusa-projects-cc-loop/
この中に、セッションごとの .jsonl ファイルが並びます(手元のあるプロジェクトでは 246 個)。これが履歴の実体です。
フォルダを移すと、パスをエンコードした名前も変わります。Claude Code は新しいパスから名前を計算して、その名前のディレクトリ(まだ空)を見にいくので、「履歴がない」ように見える。古い名前のディレクトリの中に .jsonl はそのまま残っています。 エラーも警告も出ないので、知らないと「消えた」と諦めてしまいます。
古いディレクトリを、新しいパスに対応する名前へ付け替えれば、履歴がまた紐づきます。
ls ~/.claude/projects/ | grep work-myapp
mv ~/.claude/projects/-home-namakusa-work-myapp \
~/.claude/projects/-home-namakusa-projects-myapp
移動先で既に会話を始めていてディレクトリがある場合は、上書きで新しいぶんを潰さないよう、.jsonl だけを「既存を上書きしない」指定で移します。
mkdir -p ~/.claude/projects/-home-namakusa-projects-myapp
cp -n ~/.claude/projects/-home-namakusa-work-myapp/*.jsonl \
~/.claude/projects/-home-namakusa-projects-myapp/
cp -n(既存を上書きしない)が肝です。
- 先に
ls ~/.claude/projects/で、いまのプロジェクトに対応する名前を控える。 - コードを移したら、履歴のディレクトリも同じ規則で付け替える。「コードを動かしたら、履歴も同じだけ動かす」とセットで覚える。
- 大事な会話があるなら、移す前に
cp -rでディレクトリごとバックアップを取る。
フォルダの移動は Claude Code の外(シェルやファイラー)で起きるので、フックでは止められません。この事故は、フックではなく手順の知識で防ぐ種類のものです。
ある状態が絶対パスをキーに外部へ保存されているとき、そのパスが変わると紐づけが黙って切れます。会話の履歴はその典型ですが、パスを鍵にしたキャッシュやプロジェクト単位の設定でも同じことが起こり得ます。エラーが出ないぶん気づきにくいので、起こり得ると知っておくこと自体が予防になります。
実機で 800 時間以上 Claude Code を自律で動かしながら踏んだ、こうした「黙って失われる」事故(データの消失、暴走、設定の沈黙の上書き、無断の課金など)と、その防ぎ方を第3章まで無料・以降も毎月更新にまとめた本があります。散らばった起票や記事から自分で寄せ集めるより、検証済みで整理された一冊で済みます。
- Claude Code 事故防止ハンドブック(Zenn、¥800)
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無料の予防フックの集まりも公開しています:cc-safe-setup(npm・MIT)。
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