Claude Codeが2026-04-24の24時間で立て続けに2つのマイナーリリース(v2.1.119 → v2.1.120)を出した結果、anthropics/claude-code のIssueトラッカーに同日だけで30件以上の退行バグ報告が投稿された。
本記事では、その中から「現在の作業を実際に止めてしまう」重要度の高い8件を、Issue番号・再現条件・回避策とセットで整理する。いずれも2026-04-24〜2026-04-25にopenのまま、Anthropic側の修正を待っている状態である(本記事執筆時点)。
1. claude --resume 起動時クラッシュ(v2.1.120)
- Issue: #53044 / 重複 #53041
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症状:
claude --resumeを実行するとTypeError: UKH is not a functionでクラッシュ。REPLのonSessionRestoredがundefinedになっている。 - 影響: 既存セッションへの復帰ができない。resumeワークフローに依存している利用者は全員影響を受ける。
- 回避策: v2.1.119以前に戻す。
npm uninstall -g @anthropic-ai/claude-code
npm install -g @anthropic-ai/claude-code@2.1.117
~/.npmrc にバージョンピンを書いておくと自動更新(#53028と連動)で上げ直される事故を防げる。
2026-04-25 12:35 JST 追記: 当該 #53041 は本記事公開後に CLOSED 状態を確認しました。v2.1.121 で
/resumetab-completion 等の修正が入っており、claude --resume自体のクラッシュも解消された可能性があります。実環境での再検証を推奨します(v2.1.117 ピンは引き続き安全な fallback)。
2. claude-opus-4-7 を選んでも claude-opus-4-7[1m] に黙って切り替わる(v2.1.119)
- Issue: #53031
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症状: 起動時に
claude-opus-4-7(200kコンテキスト)を明示的に選んでも、内部でclaude-opus-4-7[1m](1Mコンテキスト)にルーティングされる。ユーザー側からは区別がつかない。 - 影響: 1M版はトークン単価・cache挙動が200k版と異なるため、気づかないまま請求額が増加する。また挙動(長文処理時のretrieval特性など)も変わる。
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回避策:
/modelで選択後、必ず/statusでeffective modelを確認する。200k版を強制したい場合はv2.1.117に戻すか、API経由での直接指定を検討する。
3. リサイズ時のUI重複レンダリング再発(v2.1.119)
- Issue: #53038
- 症状: 過去のバグ #49086 のfixが壊れ、ターミナルをリサイズするとUIが複製されて表示される。
- 影響: 入力済みテキストが二重に見え、どちらが実体か判断できない。ペーストが重複する事故も発生する。
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回避策: リサイズ後は
Ctrl+Lでクリア。根本的にはv2.1.117へのピンで回避。
4. Auto-update機能が動作しない(v2.1.119以降)
- Issue: #53028
- 症状: 自動更新機能が沈黙する。古いバージョンのまま使い続けてしまう(今回に限っては幸運な副作用でもあるが)。
- 影響: セキュリティパッチや今後のfixが降ってこない。手動アップデート運用に戻す必要がある。
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回避策:
claude updateを手動実行、またはnpm install -g @anthropic-ai/claude-code@<specific-version>で明示バージョン指定。
5. WSL2環境下で /mcp メニューが--resume時に凍結
- Issue: #53035
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症状:
claude --resumeで復帰したセッション内で/mcpコマンドを開くとメニューが応答しなくなり、Ctrl+Cでも抜けられない。WSL2固有。 - 影響: MCPツールの切替・状態確認ができない。
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回避策: 新規セッション(
--resumeなし)で開き直す。/mcp操作が必要な場合は--resumeを使わない運用に切り替える。
6. CLAUDE.mdが、コンテキストの1/3未満でも無視される
- Issue: #53040
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症状:
CLAUDE.mdがロードされているのに、記載内容を参照せず、ゼロから推論して間違った回答を出す。コンテキスト使用量が33%未満でも発生する。 - 影響: プロジェクト固有の規約・ツール定義・設計方針が無視される。「CLAUDE.mdを読まないAI」は、4月以降の「Claude-lash」クラスタで最も頻繁に報告されている症状のひとつ。
- 回避策: 明示的に「読み直せ」「CLAUDE.mdに従え」と指示する。それでも無視される場合は、該当箇所を直接プロンプトに貼り付ける。根本対策は今のところ存在しない。
7. sandbox.excludedCommands がネットワーク制限を解除しない
- Issue: #53012
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症状:
sandbox.excludedCommandsでコマンドを例外登録しても、そのコマンドがネットワーク制限を超えられない。macOSで再現。ドキュメント記述と食い違う。 -
影響:
HTTP(S)_PROXYを解釈しないツール(一部のCLI、ネイティブバイナリ)が動作不能。excludedCommandsを信じて設計したワークフローが壊れる。 - 回避策: 該当コマンドはsandbox外で実行する、またはproxy対応ツールに置き換える。
8. Worktree作成がgit merge --ff-onlyで無限ハング(macOS 26.4)
- Issue: #53015
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症状:
worktree作成時、spawnされたgit merge --ff-onlyが標準入力読み込みでブロックし、unix socketに書き込みが発生しないため永久にハングする。macOS 26.4 / Apple Silicon で再現。 - 影響: worktreeベースの並列作業フローが完全に止まる。プロセスkillが必要。
- 回避策: worktreeを使わず、標準ブランチ切替で運用する。または別マシン(Linux等)にworktree操作を逃がす。
参考: HNで54ポイントの「stop hooksが無視される」報告も同時期に浮上
Tell HN: Claude 4.7 is ignoring stop hooks のスレッドでは、stop系hookがexit code 0で沈黙的に失敗し、標準出力が破棄される挙動が報告されている。コメントのコンセンサスは「exit 2 + stderrへ書く」が必須だが、公式ドキュメントでの明記は薄い。Hook運用者は自分のhookのexit codeを再確認したほうがよい。
まとめ: 24時間で8件の退行
v2.1.119とv2.1.120は、24時間という短い間隔でリリースされた割に、retractを伴うようなauto-update事故(#53028)、ユーザーが選ばなかったモデルへのサイレント切替(#53031)、復帰機能そのものの死(#53041/#53044)を一度に持ち込んだ。
最短の退避策は、v2.1.117へピンで戻し、当面は自動更新を切ること。
npm install -g @anthropic-ai/claude-code@2.1.117
# ~/.npmrc に以下を追加して意図しないアップデートを防ぐ
# @anthropic-ai/claude-code:version=2.1.117
Anthropic側がこれらを順次修正する見込みだが、プロダクション作業中はリリース直後のlatestを避け、数日遅れで追従する運用が現状の最も安全な落とし所になる。
関連: トークン消費そのものの最適化(#53031の1M版サイレント切替による請求額増加の背景含む)を扱った書籍を Zenn「Claude Codeのトークン消費を半分にする——800時間の運用データから見つけた実践テクニック」(¥2,500) で公開している。本記事で触れたモデル切替・cache挙動・context使用の話に踏み込んで読みたい場合の参照先として。