症状: 大きな文脈を使っていないのに、課金の関門で止まる
Claude Code を Opus 4.8 で使っていると、長い会話でもないのに、ある時から「1M context credits required」のような表示が出て、作業が止まることがあります。/clear で会話を新しくした直後に起きる、という報告も複数あります。
不思議なのは、自分では大きな文脈(数十万トークンの巨大な入力)を使っているつもりがない点です。普通のサイズのセッションなのに、なぜ1M(100万トークン)の文脈の課金の関門に当たるのか。これは2026年6月時点で、anthropics/claude-code の起票の中で最も多く報告されている痛みの1つです(#62199、#64764、#61692 など、横断する複数の報告)。
なぜ起きるのか
中核の構造はこうです。Opus 4.8 が、標準のサイズの文脈でも、1M context の階層に振り分けられてしまう経路があります。1M context の階層は、購読の利用枠とは別に、購入したクレジット(API の前払いの残高)で課金されます。だから、購読の枠は残っているのに、1M の階層に乗った瞬間、別の財布(クレジット)の関門に当たって止まる、という食い違いが起きます。
つまり、これは「文脈を使いすぎた」のではなく、「使うつもりのない大きな階層に振り分けられて、別の課金の関門に当たっている」状態です。/clear の直後に起きやすいという報告は、セッションの作り直しのときに、この振り分けが起きやすいことを示唆しています。
対処(実機で確認できているもの)
上流(Anthropic 側)の振り分けの挙動なので、利用者の側で完全に消す保証はありません。そのうえで、効くものから順に整理します。
1. 1M context を切る環境変数を、シェルの export で渡す
環境変数 CLAUDE_CODE_DISABLE_1M_CONTEXT=1 で、1M の文脈の階層への振り分けを止められます。
# claude を起動するシェルで export してから起動する
export CLAUDE_CODE_DISABLE_1M_CONTEXT=1
claude
2つ、大事な注意があります。
-
settings.jsonのenvブロックに書くだけでは効かない場合があります。 設定ファイルのenvはサブプロセスには渡るのに、アプリの振り分けのロジックには反映されない、という沈黙の無視の不具合が報告されています(#63479)。確実なのは、claudeを起動する親のシェルでexportしてから起動する経路です。 - これは推論の質を下げる設定ではありません。 1M の「文脈の窓」を使わなくするだけで、モデルの推論の能力そのものは変わりません。1M の長い文脈が本当に必要な作業でなければ、切って問題ありません。
2. Opus 4.7 に切り替えて切り分ける
/model claude-opus-4-7
この振り分けの急増は Opus 4.8 で報告されています。Opus 4.7 に切り替えて関門が出なくなるなら、原因が 4.8 側の振り分けにあることの切り分けになります。4.7 の能力で足りる作業なら、これがいちばん手早い回避です。
3. 「0ドルのクレジットを置けば通る」は当てにしない
クレジットの残高を0ドルにすれば関門を通れる、という期待を持つ人がいますが、これは当てになりません。関門はリクエストの開始の時点で評価されるため、設定を変えても、アプリの完全な再起動なしには反映されないことが多いです。加えて、0ドルは「正の利用枠がある」状態とは限りません。設定を変えたら、claude を完全に終了して起動し直してください。
4. 実際にどのモデルに乗っているかを確認する
自分のセッションが実際にどのモデル ID で動いているかは、Claude Code が対話ごとに書き出す記録から確認できます。
# 直近のセッションの記録から、使われているモデル ID を見る
grep -ho '"model":"[^"]*"' ~/.claude/projects/*/*.jsonl 2>/dev/null | sort | uniq -c
ここに claude-opus-4-8 と 1m を含む階層が出ていれば、振り分けが起きている裏付けになります。
さらに費用を読めるようにしたい人へ
この関門は、6月15日の課金分離(claude -p や自動化が別の月の枠に分かれる変更)とも地続きです。自動化や並列の使い方ほど、見えないところで枠やクレジットを食う、という構図が共通だからです。
- 無料の防衛として、
cc-safe-setup(GitHub、MIT)に、この1M の階層への振り分けと課金の急増を警告するsubscription-api-billing-warnerなどの hook を置いています。npx cc-safe-setupで入ります。 - 検索で来た人向けの無料の解説の頁も用意しています: Claude Code の使用上限と1Mの課金ゲートの解説。
- もっと深く、トークンとクレジットの消費を構造から半分にしたい人には、Claude Codeのトークン消費を半分にする(¥2,500)にまとめています。はじめにと第1章は無料の試し読みです。
まずは今日、export CLAUDE_CODE_DISABLE_1M_CONTEXT=1 を起動のシェルに入れて、関門が消えるかを試してみてください。消えなければ、settings.json 側の沈黙の無視(#63479)に当たっている可能性が高いので、起動のシェルでの export の経路を確かめるのが次の一手です。
Claude Code は毎月のように仕様が変わり、費用の膨らみ方も事故の新種も毎月出ます。「先月から何が変わったか・今すぐ直すべき設定や貼るべき hook はどれか」を毎月15日ごろ短く受け取りたい人には、Claude Code 事故まとめ(無料・月次)もあります(本は腰を据えて読む手引き、便りは毎月の鮮度で走らせる運用の線、という住み分けです)。