「トークンを節約するには」の記事はもう山ほどある。/clear する、/compact する、Sonnet から始める、CLAUDE.md を絞る、MCP を減らす——どれも正しい。でも、これらはターミナル(CLI)を前提にした最適化で、VS Code の拡張機能で Claude Code を使っている人が踏む、拡張だけの落とし穴には触れていない。
その一つが、起票 #71478 で報告されている事故だ。離席している間に、Max の枠が数分で焼き切れていたという。
何が起きたか(報告の要約)
報告によると、VS Code の拡張機能が起動の時に直前のセッションを自動で再開するのだが、そのセッションが 629MB(画像63枚・道具の結果1195件)まで肥大していた。拡張は起動のたびにこの巨大な文脈を読み直すため、本人が席を外している間に Max の利用枠が数分で消費され、気づいた時には枠が尽きていた、とのことだ(ここは報告の伝聞として書いている。私自身がこの629MBのセッションを再現したわけではない)。
ターミナルで --resume を自分の意思で叩く人は、この形にはなりにくい。問題は、拡張が「最後のセッションを黙って自動で再開する」ことと、そのセッションが画像や長い道具の履歴で肥大していることが重なった時に起きる。IDE を使い続けたい人ほど踏みやすい。
こわいのは、離席中に・警告なく・巻き戻せない形でお金(枠)が溶けることだ。一般的な「/clear しよう」の助言は、この自動再開には効かない。再開されるのは、あなたが /clear する前の、重いセッションだからだ。
まず自分の重いセッションを見つける(ここは手元で確かめた手順)
セッションの実体は ~/.claude/projects/ 配下の .jsonl だ。サイズの大きい順に並べれば、再開した時に高くつくセッションがすぐ分かる。
ls -lS ~/.claude/projects/*/*.jsonl 2>/dev/null | head
一番上に数百MB級のものが並んでいたら、それが「再開した瞬間に枠を焼く」候補だ。画像を多く貼ったセッションや、何十回も道具を呼んだ長いセッションが、ここに来やすい。
拡張で枠を焼かないための自衛
機構そのものの修正は提供側の仕事だが、利用者の側で今できる手当てがある。考え方は「重いセッションを、自動再開の経路から外す」ことだ。
-
重いセッションを退避して、拡張に新しいセッションで始めさせる。 上で見つけた巨大な
.jsonlを、projectsの外の保管用のフォルダへ移しておけば、拡張は直前の重いセッションを自動再開できなくなり、軽い状態で立ち上がる。中身は消さず、移すだけにする(後で--resumeの対象から外れるが、ファイルは残る)。 -
起動の直後に使用量を見る。 拡張で開いた直後に
/usageや/statusで枠の減りを一度確認する癖をつける。自動再開で一気に減っていれば、その場で気づける。離席する前の30秒の確認が、数時間ぶんの枠を守る。 -
セッションを短く・画像を軽く保つ。 一つのセッションを延々と引き継がず、タスクごとに新しいセッションで始める。画像を貼る作業は専用のセッションに隔離し、終わったら引き継がない。再開が軽くなる。
これは機構のバグそのものを直すものではない。だが、自動再開で焼ける枠を「気づけない・巻き戻せない」損失から、「軽くて気づける」状態に変えられる。
もう少し深く、費用の機構ごと塞ぎたい人へ
今回のは「拡張の自動再開」という一つの経路だが、Claude Code の費用が想定外に膨らむ経路は他にもある。背景で「完了した」風の処理が裏で枠を焼き続ける型、既定のモデルが通知なく上位へ切り替わって自動の補充が重なる型、購読しているのに従量で課金が走る型——いずれも「気づいた時には終わっている」静かな費用の事故だ。
これらを、検出(記録の .jsonl やログでどう確かめるか)と予防(設定でどう先回りするか)の形で一冊にまとめている。800時間以上、Claude Code をほぼ自律で動かす中で実機で追いかけた費用の機構を、同じ品質の成果をより少ないトークンで出すための手順として整理した本だ。
拡張の自動再開で枠を焼かれた経験があるなら、第1章の「自分のログから消費を測る出発点」だけでも、まず無料で試してみてほしい。
この記事は GitHub の起票 #71478 を出発点に、利用者の側で今できる自衛をまとめたものです。事故そのものは報告の伝聞として、検出と自衛の手順は一般的な原理として、区別して書いています。
Claude Code を安全に使うために、破壊的操作や設定の事故を未然に止める無料の hook 群(MIT ライセンス)を公開しています → cc-safe-setup(npx cc-safe-setup)。導入もアカウント登録も不要です。
さらに、800時間の運用データから、トークン消費の削減・事故の検知と復旧などを主題別にまとめた手引きも公開しています。気になる人は著者の本の一覧から、価格と評価を見て選べます。