1.はじめに
本記事では、Google CloudのCloud Load BalancingとCloud CDNのランニングコストを計算するときに、間違えた点と料金計算ツールが何を計算しているのか、を記載します。
本記事は、Googleの方に質問した回答をもとに記載しています。
「Google Cloudのランニングコスト算出は完璧だ!!」という見積もり作成力がプロの人向けではありません。
(むしろ、記載間違いや認識間違いがあれば、ご指摘いただけると幸いです。)
2.コスト計算の結果が認識とずれてしまった話
Google Cloudの料金計算ツールを使用して、「Cloud Load BalancingとCloud CDNを併用した場合」と「Cloud Load Balancingのみを使用した場合」のコストを比較した結果、「Cloud Load Balancingのみを使用した場合」のコストの方が安くなってしまいました。
一般的にCloud CDNを使用すると料金が安くなると言われており、なぜ併用したパターンの方のコストが大きくなってしまうのか…?
→原因は「ロードバランサーのみの場合のインターネットデータ転送料金のコスト計上漏れ」と「CDNを使用した場合のoutbound転送料金2重課金」です。
簡単に、コスト計算ツールを使用しながら、見積もり失敗パターンと見積もり成功(と認識している)パターンを比較してみます。
計算するために、前提条件がたくさんいるので、今回は以下のように適当に仮置きしておきます。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| ロードバランサーの種類 | グローバル外部ALB |
| CDNのキャッシュヒット率 | 60% |
| クライアントからロードバランサー背後のWebサーバへのリクエストデータ量 | 1,000GiB |
| Webサーバからクライアントへのデータ転送量 | 1,000GiB |
| クライアントからのリクエスト数 | 1million |
3.失敗パターン
失敗した見積もりパターンを記載していきます。
3.1 (失敗例)ロードバランサーのみ使用した場合
1カ月ごとの前提条件からロードバランサーの料金計算ツールで入力する値を以下の表の通りとしました。
| 項目 | 入力値 |
|---|---|
| ロードバランサーの種類 | グローバル外部ALB |
| 転送ルール | 1ルール |
| ロードバランサで処理された受信データ | 1,000GiB |
| ロードバランサで処理された送信データ | 1,000GiB |
結果は、6,422円/1Mです。(2025年12月1日時点)
3.2 (失敗例)ロードバランサーとCDNを併用した場合
ロードバランサーとCDNを併用した場合を記載します。
前提条件から、ロードバランサーとCDNの料金計算ツールに入れる値は以下の表の通りとしました。
| 項目 | 入力値 | 備考 |
|---|---|---|
| キャッシュ データ転送(送信)※Asia Pacific | 1,000GiB | ロードバランサーで処理された送信データと同じ |
| キャッシュ フィル※Asia Pacific | 400GiB | キャッシュヒット率60%とし、1000GiB×40%がキャッシュフィルとして発生すると仮定 |
| キャッシュ ヒット | 1million | クライアントからのリクエスト数 |
| 項目 | 入力値 | 備考 |
|---|---|---|
| ロードバランサーの種類 | グローバル外部ALB | - |
| 転送ルール | 1ルール | - |
| ロードバランサで処理された受信データ | 400GiB | キャッシュミスの40%がかかる |
| ロードバランサで処理された送信データ | 400GiB | キャッシュミスの40%がかかる |
Cloud CDNの金額は、15,010円です(2025年12月1日時点)
ロードバランサーの金額は、4,233円です。(2025年12月1日時点)
つまり、合算すると19,243円となります。
3.3 失敗した見積もりの金額比較
では、改めて誤った見積もりの金額を比較すると、以下のようになります。
「CDN使用しているのに、CDN使用しているほうが金額大きくなるってどういうこと??」という事象が発生しました。
| パターン | 金額 |
|---|---|
| ロードバランサーのみ | 6,422円 |
| ロードバランサーとCDN | 19,243円 |
4.正しい(と認識している)パターン
では、改めて前提条件を変えないまま、計算入力を正しい(と認識している)ものに修正していきます。
4.1 ロードバランサーのみ使用した場合
ロードバランサーの計算に関しては、何も変更はありません。
3.1で計算した結果6,422円/1Mをそのまま使用します。
一方で、インターネットデータ転送料金の金額計算が追加で必要になります。
これはロードバランサーのエッジから各クライアントへ転送されるデータに対して、料金が課金されるものです。
ロードバランサーの料金計算ツールには含まれておらず、Date Transferで計算する必要があります。
| 項目 | 入力値 | 備考 |
|---|---|---|
| Network Service Tier | Premium | - |
| データ量 | 1000GiB | ロードバランサで処理された送信データと同じにする |
| Source Location | Tokyo | LBバックエンドのリージョン |
| Destination Location | Asia | クライアントのリージョン |
結果は、18,241円/1Mです。(2025年12月1日時点)
ロードバランサーの料金とインターネットデータ転送料金の金額を合算します。
6,422円 + 18,241円 = 24,633円/1M
4.2 ロードバランサーとCDNを併用した場合
では、続いてロードバランサーとCDNを併用した場合のコスト計算を修正していきます。
まずは、Cloud CDNの入力値、こちらは3.2で計算した結果と変わりなしです。
そのため、金額は、15,010円です。
| 項目 | 入力値 | 備考 |
|---|---|---|
| キャッシュ データ転送(送信)※Asia Pacific | 1,000GiB | ロードバランサーで処理された送信データと同じ |
| キャッシュ フィル※Asia Pacific | 400GiB | キャッシュヒット率60%とし、1000GiB×40%がキャッシュフィルとして発生すると仮定 |
| キャッシュ ヒット | 1million | クライアントからのリクエスト数 |
続いて、ロードバランサーの料金計算を修正します。
修正する箇所は、ロードバランサで処理された送信データになります。
キャッシュミス分に関しては、ロードバランサーからの送信データ料金ではなく、キャッシュフィルでコストが発生するらしいです。
| 項目 | 入力値 | 備考 |
|---|---|---|
| ロードバランサーの種類 | グローバル外部ALB | - |
| 転送ルール | 1ルール | - |
| ロードバランサで処理された受信データ | 400GiB | キャッシュミスの40%がかかる |
| ロードバランサで処理された送信データ |
|
結果、ロードバランサーの金額は3,504円となります。
CDNの金額とロードバランサーの金額を合算します。
15,010円 + 3,504円 = 18,514円
ちなみに、インターネットデータ転送料金の計算は不要になります。
Cloud CDNを有効化した場合は、CDNのキャッシュ データ転送(送信)が適用されるためです。
4.3 見積もりの金額比較
では、改めて見積もりの金額を比較すると、以下のようになります。
CDNとロードバランサーを使用したほうが見積金額は安くなりました。
Cloud CDNを使用することの利点として、インターネットデータ転送料金がかからない、ロードバランサーのデータ処理費用が安くなるという利点があるようです。
| パターン | 金額 |
|---|---|
| ロードバランサーのみ | 24,633円 |
| ロードバランサーとCDN | 18,514円 |
5.最後に
料金計算ツールがどのようにコストを計算してくれているのか、サービスを組み合わせるとどのようになるのか、を考えると、ランニングコストの算出って、難しすぎると常々思います。
公式ホームページでわからない点は、きちんとサポートに問い合わせするのが良いと思います。
本記事で「間違っているよ」という点を見つけてくださった方は、教えていただけると幸いです。




