22
9

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

クライアントワークを通じて見えたポスト生成AI時代のエンジニア像について

Last updated at Posted at 2024-06-25

背景

2023年のChatGPTリリースを見て、あらゆる領域のあらゆるアプリケーションに生成AIが組み込まれる未来が来ると確信しました(当時の記事)。そこからすぐに生成AI特化の開発会社LangCoreを立ち上げ、1年間の累計で50件を超えるプロダクト開発やコンサル支援を行いました。

たった1年の間で生成AIは大幅に進化をして、エコシステムも充実してきたことで、エンジニアの仕事のあり方はとても変わったなと思います。

クライアントワークを通して、ポスト生成AIのエンジニアに求められる資質が変わってきている実感があります。今回はどんな資質が評価され始めているのか、について書いていきたいと思います。

生成AIによって変わったこと

生成AIによって、大きく次の3つがエンジニアの働き方に影響を与えたなと思っています。
① 知識へのアクセス性が向上した
② 基本的なコーディングタスクの自動化された
③ 自分の領域を広げることができるようになった

知識へのアクセス性が向上した

細かいプログラミングの知識や、コマンドの暗記をしていなくても問題がなくなりました
実装をしていてエラーが出ればすぐにChatGPTに聞くし、実装方法が分からない時は要件を丁寧に生成AIに教えて全部コーディングしてもらいます。

他にも今までであれば、port 8080のプロセスをkillするのにもいちいちコマンドを調べたり暗記をしている必要がありましたが、自然言語で命令をしてやりたいことができるようになりました。

スクリーンショット 2024-06-25 20.30.15.png

基本的なコーディングタスクの自動化された

今までのプログラミングには「何を書くべきかが明確で、あとはとにかくそれをタイピングするだけ」という単調作業がありましたが、それは全て自動化されました

リファレンスになるコードを見せて「この部分だけ変えて」というような指示を出してコードを生成することもできます。

要件をテストコードに落とし込む作業も、一からテストコードを書くことはなくなりました。

CreateXYZやClaude Artifactのようなツールを使えば、自然言語で良さげなUIを作ってくれて、一切プログラミング知識がなくても簡単なWebアプリを作ることもできるようになっています。

自分の領域を広げることができるようになった

今までは新しいことを学ぶことは非常に敷居が高く、重たい腰を上げないとなかなかしんどい作業でした。

アプリケーションエンジニアといえどなかなか全ての領域を学び切ることはしんどかったわけですが、モバイルアプリやChrome拡張、クラウドのIaC、その他今まで触ったことがなかった領域でも生成AIがあれば新規参入が非常に容易になりました

コンサル出身の非エンジニアがChatGPTとペアプロをして、かなりクオリティの高いアプリを作っているのを見て驚愕しました。

専門性の意味が変わってきている

生成AIの出現によってエンジニアの仕事のあり方は大幅に変わって生産性が非常に上がりました。しかしこれは別の捉え方をすると、「AIに仕事を奪われている」とも言えます。

今のところ顕著な変化は起きていない認識ですが、現在進行形でじわじわと仕事を奪われ始めている人がいるなという実感があります。

特に基礎レベルの低いエンジニアだと、知識不足や言語化能力の問題から生成AIとのやり取りでうまく答えに辿り着けていない印象があります。結果的に周りとの差が広がり、単純作業は生成AIが行うのでプロジェクトの中でやれることがない、という状況に陥っているのを観測しました。

従来の「専門性」の定義が変化し単なる技術的知識やスキルだけでなく、AIを効果的に活用する能力複雑な問題を解決する力創造的思考能力などが新たな「専門性」として重要視されるようになっていくのだろうなと思います。生成AIを活用するには全体像を把握して、ゴールを設定する能力が必要で、それがあって初めてゴールに到達するまでのプロセスを効率化できるのだと思います。

この1年どんな資質が評価されたか振り返る

このようなエンジニアの立場や仕事のあり方の変化の中、自分たちが1年間のクライアントワークを通じてどのような部分が評価されているのかを見直しました。

過去の評価結果をまとめた結果、次の4つが共通して評価されるポイントでした。

前のめりなスピード感

  • 早く、前のめりな対応。頼んだ1時間後に終わってる。頼む前から終わっている。
    • 経験と適切な優先度付けに基づくスピード感で、経験のない他の人に頼むよりも10倍早い
  • 質問事項への回答やプロトタイプの実装が全て迅速
  • 短期間でのプロジェクト推進

補足: 生成AIをフル活用することで、他の人たちよりも圧倒的なスピード感を提供できます。結果的に短期間でのプロジェクト推進ができるため、クライアントに喜ばれます。

クライアントを上回る問題解決力

  • 経験に基づいた的確なアドバイス
    • 「すでに一度、似たような課題で頭を捻ったことがある」という経験が大きな時間短縮の価値を提供する
  • 的確な課題分析とソリューション提供

補足: 企画会議では「AIを使ってこんなことができそう(な気がする)」「AIにはこんなことはできない(気がする)」という空想で議論されることがありますが、実際に過去にそれをやったことがある人が喋ると一気に話が前に進みます。実際にものを見せることができると尚良いです。

最新技術への知見と経験の深さ

  • 生成AIの最先端の知見を豊富に保有
  • 知見だけではなく、実用的なサービスに落とし込むためのノウハウを持っている
  • 様々な業界での開発事例を有している

補足: AIを活用したいと思っても日々新しいものが出てきてキャッチアップが大変です。ただコミュニティの盛り上がりが半端ではないのでXを見ているだけで動向はチェックできます。実際に新しいものが出てきたら、触ってみたり開発に使ってみることで、より奥行きのある知見に繋がっていくと思います。

ヒトとコトへの誠実さ

  • 相談から実装まで、状況に合わせた臨機応変な対応が可能
  • 定期的な報告や締め切りの厳守を行う
  • 誠実な人柄

補足: 結局のところ、仕事は人と人で行うものであることは変わりありません。仕事をもらって、継続していくには信頼を積み重ねることはとにかく重要です。

最後に

ChatGPTの出現から激動の1年半でしたが、生成AIはここ数年のトレンドであり続けると思いますし、また10年先には当たり前に浸透していくものかと思います。そんな社会実装を支援していくことと、そして10年先の当たり前になった世界を見据えて自分たちのリスキリングをしていくことは非常に重要なのだろうなと思います。

22
9
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
22
9

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?