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X68000のネットワーク環境について

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X68000をネットワークに接続する手段としてどんなものが存在したのか、過去の純正LANボードからの歴史をまとめてみました。
(抜けや誤りがありましたらご指摘いただけると幸いです)

市販製品

LANボード CZ-6BL1/6BL2 (SHARP)

シャープ純正の周辺機器として発売されていたLANボードです。

X68000発売当時はまだネットワーク製品が非常に高価だった時代で、このLANボードも定価268,000円(CZ-6BL1)、298,000円(CZ-6BL2)と、本体がもう一台買えてしまうほどの値段でした。また、対応しているLAN規格も同軸ケーブルを用いた10Base5(CZ-6BL1/6BL2)、10Base2(CZ-6BL2)のみで、現在一般的となった10Base-T以降のツイストペアケーブルを用いたLANに接続するためには変換アダプタが必要でした。

おそらく、一般のX68kユーザーでこれを使っていた人はほとんどいなかったものと思われます。以下のページはそんな純正LANボードについて貴重な情報がまとめられています。

過去にヤフオクで出品されていたこともあります。添付の「ネットワークドライバ」というフロッピーディスクでドライバや対応コマンド等が提供されていたようですが、後述のESP/Xとはソフトウェアの互換性はなかったようです。

Ethernet Starter Pack for X680x0 (ESP/X) (計測技研)

X68kの周辺機器やシステム周りのソフトウェア開発等で知られる計測技研が販売していたLANアダプタです(1994年7月頃発売? 定価88,000円)。

SCSIインターフェースによってX68kと接続するEthernetアダプタ(Ether+)とTCP/IPドライバ、基本アプリケーションのセットで販売されていました。
Ether+とは、アメリカのCompatible Systems社が発売していたSCSI接続のEthernetアダプタで、以下のようなものです(右の白い箱の方)。

Ether+

以下のページに当時のSCSI Ethernetアダプタについての説明があります(英文)。特にSCSIインターフェースが標準で他の拡張手段に乏しかったMacでよく使われていたようです。これに計測技研の方でX68k用のドライバとTCP/IPドライバ、ライブラリを開発してセット販売していたというわけです。

付属のアプリケーションでftpやtelnetなどが使えたほかに、ネットワークアプリケーションを開発するためのライブラリも付属していました。

ESP/Xが画期的だったのは、EthernetアダプタのドライバとTCP/IPドライバが完全に分離されていて、TCP/IPドライバやライブラリ等のソフトウェアが無償配布されたことです。
このおかげで、Ether+以外のLANアダプタでも、そのドライバを開発すればTCP/IPやアプリケーションはESP/Xのものがそのまま利用可能ということになりました。このため、ESP/XのTCP/IPドライバ(inetd.x)やそのAPIはX68kのネットワーク環境の事実上の標準となっています。

これ以降のものはすべて同人ハードウェアでの展開となります。

Neptune-X系

Neptune-X

当時、IBM-PC互換機用のLANカードとして安価で売られていたNE2000コンパチのISA接続LANカードをX68kから利用するというプロジェクトです。
ISAバスをX68kの拡張スロットのバスに接続するためのバスブリッジ基板で、X68k用ユニバーサル基板の上にTTL ICを組み合わせて作る自作ハード(Shi-MAD.氏作)と、それを元にPLD化した基板を起こして販売されたもの(AMALTHEA氏作)が存在したようです。

Neptune-X自身のドライバと、前述の計測技研ESP/XのTCP/IPドライバの組み合わせによってネットワーク環境を実現します。

Neptune-Evolution / Neptune-Evolution II

Neptune-XのLANカード接続用のISAスロットに加えて、SIMMスロットによる増設RAMの機能を備えた拡張ボードです(DEKO氏/志那虎製作所 作)。

Nereid系

Nereid

ISAスロットにLANカードを挿す代わりに基板上にNICを直接実装し、更に増設RAM、バンクメモリ、USBインターフェースの機能を持った複合拡張ボードです(X-PowerStation 作)。
ネットワーク機能のドライバとしては、Neptune-X用のものがそのまま利用できます。

Nereid Replica / Nereori

Nereidの頒布終了後に公開された基板データをもとに作成されたレプリカ基板と、更に他の同人ハードのMIDIインターフェース(midiori)の機能を統合した拡張ボードです(TOMO 氏作)。

シリアル接続系

IIJ-PPP

PPP(Point-to-Point Protocol)はシリアルポートを使って2つの機器間でデータ通信を行うためのプロトコルです。
IIJ-PPPはIIJによってPPPを実装したもので、そのX68k移植版(Argrath氏作)を用いてネットワークにアクセスします。このため、インターネット接続された他のマシンとX68kがシリアルポートで接続されている必要があります。

X68kに別途ハードウェアを追加することなくネットワークに接続できますが、通信にシリアルポートを用いるため通信速度は他の手段と比べると遅くなります。

SCSI接続系

RASETHER (RaSCSI)

RaSCSIはRaspberry Pi(ラズパイ)を用いてSCSI機器をエミュレーションするデバイスです(オリジナルはGIMONS氏作ですが、これを元にした派生基板がいくつか存在するようです)。

ここで使われているラズパイのネットワーク接続をブリッジして、SCSI-Ethernetアダプタとして動作する機能がRASETHERです。SCSI接続でX68kからのネットワーク接続を実現します。

dypether (BlueSCSIv2 DaynaPORTエミュレーション)

BlueSCSI v2はRaspberryPi Picoを用いてSCSI機器をエミュレーションするデバイスです。
これにDaynaPORT SCSI/LinkというMacで使われていたSCSI-Ethernetアダプタをエミュレーションする機能があり、そのX68k用ドライバdypether.x(hyano氏作)を用いてネットワーク接続を実現します。

アプローチとしては、ESP/XのEther+やRaSCSI/RASETHERと同様のものです。

X68000 Z用

zusbether

瑞起から発売されている復刻版X68kの X68000 Z で、本体背面のUSBポートにUSB LANアダプタ (BUFFALO LUA3-U2-ATX) を接続してネットワークに接続します(@yunkya2 作)。

このドライバは、X68000 Z内のX68000エミュレータからUSBポートを利用するための機能 ZUSB を利用しています。ZUSB がまだX68000 Z公式エミュレータに統合されていないため、現時点では非公式のエミュレータを動かせるHACKER'S EDITIONでないと動作しません。

こちらもNeptune-XやNereidなどと同様に、計測技研TCP/IPドライバとの組み合わせでネットワーク環境を提供します。

TCP/IPオフロード系

イーサネットじょい君

ジョイスティックポートに接続して利用するLANアダプタです(@yunkya2 作)。電源もジョイスティックポートから取るため接続が非常に簡単です。

使用しているLANコントローラW5500はチップ自体にTCP/IPのネットワーク処理を行う機能を持っているため、他の接続手段のようにX68k側でTCP/IPドライバを動かす必要がなく、本体の負荷を軽くすることができます。
一方で、ジョイスティックポートを利用してデータを1ビットずつソフトウェアで転送する仕組みのため、通信速度はあまり速くありません。

WiFi+PCMパイルダー for PilederX

サウンド拡張ボード PilederX に搭載されているPCMパイルダーを差し替えることで、X680x0にWiFi接続機能を追加する拡張基板です(@yunkya2 作)。

PilederXはMIDIインターフェース、MercuryUnitV4互換PCM音源、MKMU-1O互換FM音源の3つの機能を、それぞれ基板上のソケットに装着したRaspberry Pi Pico(ラズパイPico)上のソフトウェアで実現しています。

WiFi+PCMパイルダーは、その中のPCM音源パイルダーのラズパイPicoを無線LAN機能を備えたラズパイPico2 Wに交換することで、PilederXのサウンド拡張機能に無線LAN機能を追加するものです。

こちらもTCP/IP処理はPico2 W内で行うためX68k側に負荷がかからない上、拡張ボードで直接X68kのバスに接続されているため高速に通信できます。

X68000エミュレータのネットワーク対応

ここまではX68k実機やX68000 Zでのネットワーク機能について記述しましたが、X68000エミュレータの一部にもネットワーク機能に対応しているものがあります。

XM6 TypeG Nereidエミュレーション

X68kエミュレータXM6 TypeGで提供されているNereidエミュレーション機能を用いると、エミュレータが動作するWindows PCのネットワークアダプタをエミュレーション環境上から利用できるようになります。

じょいぽーとU君 + イーサネットじょい君

TNB製作所さんの「じょいぽーとU君」を用いると、X68k実機のジョイスティックポートと同等の機能がUSB経由でX68000エミュレータから利用できるようになります。これとイーサネットじょい君の組み合わせにより、じょいぽーとU君対応の以下のエミュレータからネットワーク機能が使用できるようになります。

  • XM6t
  • XEiJ+t

まとめ (X68000のネットワーク接続方法一覧)

名前 開発/発売元 (敬称略) 接続形態 注釈
CZ-6BL1/6BL2 SHARP 拡張スロット 他の環境とアプリが非互換
ESP/X 計測技研 SCSI Ether+を使用
Neptune-X Shi-MAD. / AMALTHEA 拡張スロット NE2000が必要
Neptune-Evolution / Neptune-Evolution II DEKO/志那虎製作所 拡張スロット NE2000が必要 LAN+メモリ複合ボード
Nereid X-PowerStation 拡張スロット LAN+USB+メモリ複合ボード
Nereid Replica TOMO 拡張スロット
Nereori TOMO 拡張スロット LAN+USB+メモリ+MIDI複合ボード
IIJ-PPP Argrath RS-232C 外部にLAN接続PCが必要
RASETHER GIMONS SCSI RaSCSIを使用
dyptether hyano  SCSI BlueSCSI v2を使用
zusbether @yunkya2 USB X68000 Z HACKER'S EDITION用
イーサネットじょい君 @yunkya2 ジョイスティックポート TCP/IPドライバ不要
WiFi+PCMパイルダー @yunkya2 拡張スロット TCP/IPドライバ不要 要PilederX (MIDI+PCM+FM複合ボード)
Nereidエミュレーション PI. & GIMONS (エミュレータ) XM6 TypeGのエミュレーション機能
じょいポートU君 + イーサネットじょい君 TNB製作所 (エミュレータ,USB) エミュレータのジョイスティックポート接続機能
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