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通信制大学生のエンジニア就活戦略――「新卒」と「中途」の狭間で詰まないために

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3行まとめ

  • 通信制大学生は、卒業年度・年齢・職歴・在学中の就労可能性がずれやすく、新卒採用にも中途採用にも乗りにくいことがある
  • そのため、卒業後の新卒就活だけに賭けず、在学中から個人開発・技術発信・ハッカソン・開発アルバイトなどで実績を作る必要がある
  • 求人媒体だけでなく、直接応募・技術イベント・紹介につながる接点など、自分の状況を説明できる入口を増やすことが重要である

注:
本記事は、筆者自身の経験と観測に基づく考察です。
通信制大学生全体を統計的に代表するものではありません。

通信制大学生の強みについては、記事の後半で解説しています。
また、記事末尾に付録として「まずやることリスト」「就活ルート早見表」を掲載しています。
時間のない方はそちらへ飛んでください。

はじめに

若年・未経験寄りの通信制大学生がエンジニア就職を目指すとき、一般的な新卒就活の記事がそのまま役に立つとは限らない。

通信制大学生は、卒業年度、年齢、在学中に働ける時間、学習歴、職歴の有無が、一般的な通学課程の大学生とずれることがある。そのため、求人サービスや企業側の採用制度の中で、「新卒」とも「中途」とも扱いにくい位置に置かれやすい。

筆者自身、通信制大学に在学しながらエンジニアとして正社員就職することを検討した時期がある。
筆者は障害による体調面での制約があり、最終的にフルタイムで働くことそのものに馴染まないと判断したため被雇用型の就職は選ばなかったが、その過程で、通信制大学生が一般的な就活導線に乗りにくいことを実感した。

ここでいう「新卒に乗りにくい」とは、単に新卒求人サイトに登録しにくいという意味だけではない。
卒業年度が読みづらい、在学中から働ける、年齢や職歴が一般的な学部生とずれる、卒業前に正社員就職したい、といった条件が重なると、企業側の「新卒採用」「既卒採用」「中途採用」のどれに当てはめるかが曖昧になる、という意味である。

この記事では、その経験をもとに、(すでに実務経験のある社会人学生ではなく)職歴がない・エンジニアとしての職歴がまだない通信制大学生がエンジニア就職で詰まらないために、在学中から何をしておくとよいかを整理する。

注:
この記事でいう「通年型インターン」とは、サマーインターンのような比較的短期(数ヶ月程度)の職業体験ではなく、通年で企業の開発業務に関わる働き方を指す。
雇用形態は、インターン、アルバイト、業務委託などさまざまである。勤務時間も、週数日・パートタイムの場合もあれば、フルタイムに近い場合もある。
大事なのは名称ではなく、実際の開発業務に継続的に関わり、コードレビュー、チーム開発、運用、改善などの経験を積めるかどうかである。

この記事の想定読者

この記事は、主に次のような人を想定している。

  • 通信制大学に在学しながらエンジニア就職を目指している
  • 通信制大学で情報系の授業を履修している、または独学でプログラミングを学んでいる
  • 職歴がない、またはエンジニアとしての職歴がまだない
  • 新卒就活だけでなく、インターン、業務委託、アルバイト、正社員就職も視野に入れたい
  • 通学課程のような研究室、サークル、学内インターン情報が少なく、どう実績を作ればよいか分からない
  • 体調、障害、家庭事情、地方在住などの理由で、一般的な就活ルートに乗りにくい

逆に、すでに情報系学部に在籍しており、研究室推薦や大学経由のインターン導線がある人には、この記事の内容は少し特殊に見えるかもしれない。

この記事で扱うのは、あくまで「通信制大学生が、大学側に用意された就活導線が少ない状態で、どうエンジニア就職の入口を作るか」という話である。

用語説明

通信制大学では、特にコロナ禍以後、未就業の若年学生が以前より可視化されてきた。
しかし、こうした層を前提にした就活用語や採用カテゴリはまだ整理されているとは言いにくい。この記事にも既存の用語のみでは説明しきれない事象が含まれる。
以下、記事内の用語について説明するが、一般的でない呼称・用例についてはその旨を明記する。

用語 この記事での意味
新卒採用 卒業予定者を対象にした採用。多くは卒業後入社を想定
通年採用 応募時期を限定しない採用。ただし、学生・既卒・中途の扱いは企業による
通年型インターン 数ヶ月の短期体験(サマーインターンなど)ではなく、継続的に開発業務に関わるタイプの学生インターン(この記事での便宜的な呼称
開発アルバイト 非正規雇用契約で開発業務に関わる働き方のうち、企業側の扱いがインターン扱いではないもの(この記事ではこの意味で使う
業務委託 雇用ではなく契約で業務を受ける働き方

結論:卒業後の新卒就活だけに賭けない

結論から言うと、通信制大学生がエンジニア就職を目指すなら、卒業後の新卒就活だけに賭けるより、在学中から「作る」「発信する」「人とつながる」「小さく働く」のどれかを始めた方がよい。

通信制大学の授業だけで、エンジニア就職に必要な実務経験やチーム開発経験が自然に手に入るとは限らない。通学課程のように、研究室、先輩後輩関係、学内イベント、長期インターン情報が流れてくるとも限らない。

だからこそ、通信制大学生は自分で実績と接点を作りに行く必要がある。

ここで言う「小さく働く」は、いきなり正社員になることだけを意味するものではなく、

  • 通年型インターン
  • 開発アルバイト
  • OSSへの貢献
  • ハッカソンでのチーム開発
  • (業務委託)
  • (小規模な受託開発)

このような開発に継続的に関わる経験を積むことを指す。

通信制大学生は、こうしたものも含めて「実際に手を動かし、人と関わり、成果物を作る経験」を在学中から積んでおくことが重要である。

ただし、業務委託や受託開発は、納期・契約・品質保証・保守責任が発生する。
未経験のうちは、いきなり一人で本番サービスを請け負うより、既存チームに入る開発アルバイト、インターン、OSS、ハッカソンなどから始めた方が安全な場合もある。

卒業前に正社員就職しようとすると、「新卒」でも「中途」でもない扱いになりやすい

通信制大学生が在学中に正社員就職を目指そうとすると、求人サービスや企業側の想定から外れることがある。
一般的な通学課程では、同学年の学生が同じ時期に卒業し、卒業後4月入社を目指すことが多い一方で、通信制大学では履修ペースや卒業時期が個人によって大きく異なることがあり、この前提がそのまま当てはまらないからだ。

一般的な新卒採用は、「卒業予定年度」がはっきりしている通学課程の大学生を前提に設計されていることが多い。
ところが通信制大学生の場合、卒業年度が流動的だったり、年齢が一般的な大学生と違ったり、在学中からフルタイムで働くことも(それが現実的な選択肢かどうかは人それぞれとはいえ)制度上可能だったりする。

注:
通信制大学では、授業時間が固定されていない場合が多く、制度上は在学しながら働く余地が大きい。
ただし、単位取得・体調・生活との両立は別問題であり、全員にフルタイム就労を勧める趣旨ではない。

では中途採用に乗ればよいのかというと、それも簡単ではない。
職歴がない場合、「未経験中途」として扱われることになり、学生としてのポテンシャル採用とも、経験者中途採用とも違う中途半端な位置に置かれやすい。

筆者自身、卒業前に正社員就職を検討したとき、「通年採用は既卒のみ」「卒業前の新卒採用はしていない」といった理由で応募できない企業が多かった。

求人サイトやエージェントも、通信制大学に在学しながら就職したい学生を想定した導線は少なかった。

一般的な新卒求人サイトは、「何年卒か」が明確な学生を前提にしていることが多い。
一方で、中途向けの求人サイトやエージェントでは、職歴なしの通信制大学生は「未経験中途」として扱われやすい。
しかし、その場合は「入門教材を一通り終えた程度の未経験者」のようなフローに入れられてしまい、在学中に自学自習や個人開発を積んできた通信制大学生の状況とは合わないことがある。

つまり、通信制大学生は、

  • 学生ではあるが、一般的な新卒採用に乗りにくい
  • 職歴がないため、経験者中途採用にも乗りにくい
  • 在学中に働ける時間はあるが、それを前提にした求人導線が少ない

という谷間に落ちやすい。

筆者が就活をしていた2025年当時、一部の学生向け学習・就活支援サービスでは、コミュニティ内で柔軟な進路相談を受け付けているケースもあった。

ただし、求人サービス側が対応していても、掲載企業側が同じ前提で受け入れてくれるとは限らない。

実際には、「通年採用」と書かれていても既卒者向けだったり、「卒業前の新卒採用はしていない」と案内されたりすることがあった。つまり、サービスのUIや相談窓口が柔軟でも、最終的に企業側の採用制度が通信制大学生の在学中就職に対応していないことがある。

だから、通信制大学生が在学中からエンジニアとして働きたい場合、求人媒体に登録するだけでなく、企業ごとに確認することが大切になる。

たとえば、次のような点は早めに確認した方がよい。

  • 通信制大学に在学中でも応募できるか
  • 卒業前からフルタイムで働けるか
  • 新卒採用ではなく、通年型インターン・アルバイト・業務委託・中途採用として応募できるか
  • 卒業時期が一般的な新卒就活とずれても選考対象になるか
  • 既卒扱いになるのか、学生扱いになるのか
  • 在学しながら正社員として働くことは可能か

通信制大学生は、求人サービスのカテゴリに自分を無理やり当てはめるよりも、自分の状況を説明したうえで「この形で応募できるか」を確認した方がよい。

開発インターン求人だけに頼ると詰まりやすい

通年型の開発インターンや開発アルバイトは選択肢になる。

ただし、そうした求人は首都圏に偏っていたり、週数日出社を前提としていたり、フルタイムで働ける求人が少なかったりする。
通信制大学生は時間の自由度が高い一方で、その自由度をそのまま活かせる求人が多いとは限らない。

Wantedlyのように比較的柔軟な応募がしやすいサービスもあるが、求人が東京圏に偏りやすい傾向にあり、関西や地方在住の通信制大学生にとっては、使いづらさを感じることもある。

また、完全リモート・未経験可・学生可の求人は人気が高く、競争も激しい。条件のよい求人ほど、通学課程の学生、スクール卒業生、既卒者、独学者など多くの応募者が集まる。

通信制大学生にとっては、求人媒体で探すだけでなく、技術イベントで知り合った企業に直接相談する、スタートアップに直接応募する、ハッカソンで出会った社会人エンジニアから紹介を受ける、といった動き方が重要になる。

求人媒体は使ってよい。

ただし、「求人媒体に登録すれば、自分に合う求人が自然に流れてくる」とは考えない方がよい。

通信制大学生こそ、学外で自分を知ってもらう

通学課程の学生は、研究室、サークル、学内イベント、先輩後輩関係から就活情報が入ってくることがある。
もちろん、通学課程の学生でも大学や専攻によって就活導線の強さは大きく違う。

ただ、通信制大学生の場合、そうした偶発的な接点がさらに生まれにくいことがある。
通信制大学生は、そのような学内ネットワークを持ちにくい。大学内で自然に企業情報やインターン情報が流れてくるとは限らない。

そのため、通信制大学生が学外の技術コミュニティに出ていくことには大いに価値がある。
その結果、リファラルや直接応募につながることがあるからだ。

リファラルというと「コネ採用」のように聞こえるかもしれないが、ここで言いたいのは、誰かに無理やりねじ込んでもらうことではない。
自分が何を作っているのか、何に関心があるのか、どの程度動けるのかを知ってもらい、応募や相談の入口を作るということだ。

通信制大学生の場合、履歴書や求人サイトのプロフィールだけでは、自分の状況をうまく説明しにくいことがある。

  • なぜ通信制大学なのか
  • どのくらい時間を使えるのか
  • 何を学んできたのか
  • どの程度コードを書けるのか
  • どのような働き方を希望しているのか

こうしたことは、イベントや面談で直接話した方が伝わりやすい。

だから、通信制大学生は「求人を探す」だけでなく、「自分を知ってもらう場所に出る」ことが重要になる。

自分を知ってもらう接点はどこで作るか

リファラルや直接応募の入口を作る場所として、特に使いやすいのは次の3つである。

ハッカソン

学生向けハッカソンでは、メンターとして参加している社会人エンジニアと知り合えることがある。
また、他大学の学生から通年型インターンや開発アルバイト、就活の情報を得られることもある。

学生・社会人混合のハッカソンでは、社会人と同じチームで開発することもある。短期間で一緒にものを作るため、単なる名刺交換より濃い接点が生まれやすい。

ハッカソンは、受賞しなくても意味がある。

GitHubにチーム開発の履歴が残る。
発表資料やデモ動画をポートフォリオにできる。
限られた時間で要件を切り、動くものを作る経験にもなる。
初対面の人と役割分担して開発する練習にもなる。

通信制大学生は、通学課程の大学生よりもチーム開発の機会が少なくなりやすいが、ハッカソンは不足しがちなチーム開発経験を意識的に作る場として使いやすい。

交通費・宿泊費補助や賞金のあるハッカソンもあるため、金銭的に余裕がない学生でも参加できる場合がある。

カンファレンス

大きめのカンファレンスは全国から参加者が集まるため、地方在住でも「遠征して参加する」ハードルが比較的低い。学生向けスカラシップや参加費補助が用意されていることもある。

企業ブースで話したり、懇親会でエンジニアと話したりすることで、求人サイトでは見つけにくい情報が得られることもある。

カンファレンスは、すぐに就職へつながらなくても意味がある。

自分の関心分野を見つける。
現場で使われている技術を知る。
登壇者や参加者の話から、学習の方向性を決める。
企業がどのような技術課題に取り組んでいるかを知る。

こうした情報は、独学だけでは得にくい。

技術イベント・勉強会

connpassなどで探せる技術イベントや勉強会も有効である。現地開催だけでなく、オンライン開催やパブリックビューイング形式のイベントもある。

小規模な勉強会では、登壇者や参加者と話しやすいこともある。

また、LT登壇をすると、自分の関心や作っているものを知ってもらうきっかけになる。
LTのテーマは、最初から高度でなくてもよい。

  • 最近作った小さなアプリ
  • ハッカソンで学んだこと
  • 通信制大学で情報系科目を学んで感じたこと
  • 独学で詰まったこと
  • OSSに小さく貢献してみた話
  • 自分の学習環境を改善した話

こうしたテーマでも、十分に話す価値がある。

大事なのは、自分が何をしている人なのかを外に出すことだ。

なお、これらは未経験エンジニア全般に有効な行動だが、通信制大学生の場合、学内の研究室・先輩後輩・キャリアセンター経由の接点が弱くなりやすい。そのため、同じ行動でも重要度が高くなる。

通信制大学の授業は、実務の代わりではなく基礎体力として使う

通信制大学の情報系科目だけで、エンジニア就職に必要な実務経験が揃うとは限らない。

しかし、大学の授業が無意味なわけではない。

コンピュータの仕組み、ネットワーク、データベース、情報セキュリティ、アルゴリズム、情報倫理、統計・データ分析などは、独学だと後回しになりやすい。
大学の授業は、実務の前提になる基礎体力として使うとよい。

独学でWebアプリを作っていると、どうしてもフレームワークやライブラリの使い方に意識が向きやすい。しかし、仕事で長く開発を続けるなら、表面の技術だけでなく、基礎的な考え方も必要になる。

  • なぜこの設計にするのか
  • なぜこのデータ構造を使うのか
  • なぜこの通信が危険なのか
  • なぜこの認証方式が必要なのか
  • なぜこの処理は遅いのか

こうした問いに向き合うとき、大学で学ぶ基礎が効いてくることがある。

国内のWeb系、自社開発系、スタートアップなどを中心に考えるなら、必ずしも学士(工学)が必須とは限らない。
そのため、情報工学にこだわらず、自分の関心がある分野を専攻し、プログラミングや開発経験は大学外で積むという選択肢もある。

たとえば、心理学、教育学、福祉、経営、法律、デザイン、社会学などを学びながら、それぞれの分野の課題を技術で解決する方向もある。

ただし、将来的に海外でエンジニアとして働きたい場合や、研究開発、低レイヤ、機械学習などの分野を目指す場合は、学位分野や専門性が効いてくることもある。そこは自分の目指す領域に合わせて考えたい。

通信制大学生ならではのポートフォリオを作る

ポートフォリオは、ただ「作ったもの」を並べればよいわけではない。

練習としてTodoアプリを作ることは悪くない。CRUD、認証、DB設計、デプロイ、テストなどを学ぶ題材になるからである。

しかし、就職活動で見せるなら、「なぜそれを作ったのか」がほしい。

一般に、ポートフォリオでは「何らかの問題を技術で解決した」ものが強い。
通信制大学生の場合、自分の学習環境、履修管理、レポート締切、オンラインコミュニティ、地域、体調、専攻、関心領域など、通信制大学生だからこそ気づける課題があるかもしれない。

たとえば、

  • 履修計画を管理するツール
  • レポート締切を可視化するアプリ
  • 通信制大学に特化した学習ログ記録サービス
  • オンライン学生コミュニティの運営支援Bot
  • 体調や学習時間の波を記録するツール
  • 地方在住者向けの技術イベント参加管理ツール
  • 読書メモや論文メモを整理するツール
  • 学習仲間を見つけるためのマッチング支援ツール
  • スクーリングや面接授業の日程管理ツール

などである。

通信制大学生の強みは、通学課程の学生と同じ経験を再現することではない。
むしろ、通信制大学という環境で学んでいるからこそ見える課題を、技術で解決できることにある。

もちろん、最初から社会的に大きな課題を解決しようとしなくてもよい。自分が困っていることを少し楽にするツールでよい。

大事なのは、

  • 誰のどんな課題を解決したのか
  • なぜその技術を選んだのか
  • どこまで自分で考えて作ったのか
  • 使ってみて何を改善したのか
  • 今後どう発展させたいのか

を説明できることである。

なお、ここまで書いたのは「着眼点の差別化」の話であり、エンジニアの選考としてはあくまで技術的な点をメインで見ていくことになる。
そのため、当然ながら、課題のニッチさだけで勝負するのではなく、「一般的なサービスとしてどれだけクオリティが高いか」「技術的な選定理由が論理的か」といった技術的アプローチの深さをアピールすることが求められる。

その際、Webアプリに限らず、モバイル、IoT、ハードウェア、サーバー、データ分析など、学生のうちに手広く触っておくと、自分がどの領域に向いているのかも見えやすい。

通信制大学生は、カリキュラム外で自由に動ける時間を作りやすい。その自由度を使って、自分の関心に合う技術領域を探すとよい。

高額なプログラミングスクールに行く前に考えたいこと

民間のプログラミングスクールを全否定するつもりはない。

独学の入口として役立つ講座もある。質問できる環境があることで学習が続く人もいる。体系的に学ぶために、スクールが合う人もいるだろう。

ただし、通信制大学生がエンジニア就職を目指す場合、「スクールに通ったこと」自体は強い実績になりにくい。

むしろ評価されやすいのは、

  • 自分で学習計画を立てたこと
  • 何かを作って公開したこと
  • 分からないことを調べて解決したこと
  • チーム開発やレビューを経験したこと
  • 自分の関心領域と技術を結びつけたこと

である。

通信制大学生は、そもそも自学自習の環境にいる。そのため、「自分で学び、自分で作れること」自体が強みになりうる。

高額なスクールに申し込む前には、次の選択肢も考えたい。

  • 公式ドキュメントを読む
  • 無料・低額の入門講座を使う
  • 技術書を買う
  • 小さな個人開発をする
  • ハッカソンに出る
  • 技術コミュニティに参加する
  • クラウド利用料や開発環境にお金を使う
  • 42 Tokyoのような「教わらない」タイプの学習環境を検討する
    • ただし、地理的・時間的・体力的に受講可能な場合に限る

スクールが悪いわけではない。

ただし、「スクールに通えば就職できる」と考えるのは危険である。

通信制大学生の場合、スクールに通うことよりも、自分で作ったもの、自分で調べて解決した経験、人と一緒に開発した経験をどう作るかを優先した方がよい場合もある。

体調・地理・金銭面の理由でリアルイベントに行けない場合

リアルイベントに行けるなら、行った方がよい。

ハッカソン、カンファレンス、勉強会、LT会などは、人と知り合い、自分を知ってもらう場として強い。

しかし、通信制大学生の中には、体調、障害、家庭事情、地方在住、金銭面などの理由で、リアルイベントへの参加が難しい人もいる。

その場合でも、できることはある。

  • オンライン勉強会に参加する
  • オンラインコンテストに参加する
  • 個人開発を公開する
  • OSSに小さく貢献する
  • DiscordやSlackの技術コミュニティに参加する
  • GitHubのプロフィールを整える
  • ポートフォリオサイトを作る
  • 技術記事を書く
    • 学習ログは個人ブログやScrapbox、Notionなどに残す
    • QiitaやZennには、詰まった点の解決方法、技術検証、比較、実装メモなど、他の人にも役立つ形に整理した記事を書く

LT会やカンファレンスなど、勉強会へのオンライン参加は、現地参加に比べると交流しにくいことが多い。
それでも、最新の知見を得たり、登壇資料を読んだり、イベント後に感想記事を書いたりすることはできる。

オンラインコンテストは、自宅にいながら実績を積める。
以下、アピールポイントにしやすいオンラインコンテストの例を挙げる。

これらのコンテストがすべての職種に直結するわけではないが、継続的に取り組んだ履歴は、自学自習の証拠になる。

Aizu Online Judgeのようなオンラインジャッジは、アルゴリズム学習の練習場所としては有用だが、就職活動で外部に見せる実績としては見せ方に工夫がいる。解いた問題数だけでは、実力がどの程度なのか採用側に伝わりにくいからである。
就職活動でアピールするなら、「何問解いたか」よりも、レーティング、順位、メダル、チームでの参加経験、解法記事、提出したNotebook、作成したWriteupなど、外から見て分かりやすい形に残るものを意識した方がよい。

個人開発者としてサービスをリリースするのもアピールポイントになる。小さくても、実際に使えるものを公開し、改善し続ける経験は強い。収益化できれば、それ自体が収入にもなる。

OSSへの貢献も、やり方によってはチーム開発やレビュー文化に触れる経験になる。最初から大きな機能追加を狙わなくてもよい。

  • ドキュメント修正
  • Issueの再現
  • テスト追加
  • 小さなバグ修正
  • 翻訳
  • サンプルコードの改善

こうした小さな貢献から始めればよい。

また、体調や単位取得の事情で卒業年度の見通しが立たない場合、無理に「○○年卒」として新卒就活のスケジュールに乗ろうとすると、かえって苦しくなることがある。
その場合は、既卒・第二新卒・中途・業務委託・アルバイトからの採用など、卒業年度に縛られないルートも検討してよい。

通信制大学生にとって大事なのは、「一般的な就活スケジュールに無理やり合わせること」ではない。

自分の体調、生活、学習状況に合わせて、働き始めるタイミングとルートを設計することである。

面接では「通信制大学の自由度をどう使ったか」を語る

通信制大学に在学していること自体が悪いわけではない。

しかし、面接では「なぜ通信制大学なのか」「在学中に何をしていたのか」を聞かれる可能性がある。

その場合、通信制大学を選んだ事情そのものより、その環境で何を積み上げたかを説明できるようにしたい。

たとえば、次のような説明だけでは弱い。

通学制の大学に行けなかったので通信制大学にしました。

もちろん、経済的事情、体調、障害、家庭事情、地理的条件など、通信制大学を選ぶ理由は人それぞれである。それ自体を隠す必要はない。

ただし、就職活動では、単に「通信制大学を選んだ事情」「通信制大学だったからできなかったこと」を説明するだけでなく、「通信制大学だったからこそ何をしたか」を語れるようにしたい。

たとえば、

通信制大学の自由度を使って、学業と並行して個人開発、ハッカソン、技術発信に取り組みました。

通信制大学で自学自習を続けながら、大学外の技術コミュニティに参加し、チーム開発の経験を作りました。

通信制大学で学んだ情報系の基礎と、自分で作ったWebアプリの経験を組み合わせて、エンジニアを目指しています。

このように説明できると、通信制大学であることが単なるマイナスではなく、自分で動いた経験として伝わる。

通信制大学生にとって重要なのは、通学課程の大学生と同じ学生生活を送ったように見せることではない。

通信制大学という環境をどう使い、自分で何を積み上げたかを説明することである。

まとめ

通信制大学生は、通学課程の大学生と同じ就活導線に乗れるとは限らない。

卒業年度がずれる。
在学中に働ける。
でも新卒採用には乗りにくい。
中途採用では職歴なし未経験として扱われる。
学内の先輩後輩や研究室から情報が流れてくるとも限らない。

だからこそ、在学中から自分で実績を作り、人とつながり、働く機会を取りに行く必要がある。

通信制大学生がエンジニア就職を目指すなら、求人サイトに登録して待つだけではなく、

  • 作る
  • 発信する
  • 人と会う
  • 小さく働く
  • 直接応募する
  • 紹介や直接応募につながる接点を作る
  • オンラインでも実績を残す

ことが重要になる。

ただし、通信制大学生には強みもある。

通信制大学ならではの自由度を使って、個人開発、技術発信、ハッカソン、OSS、通年型インターン、開発アルバイト、直接応募などを積み上げれば、通学課程の大学生とは違う形でエンジニア就職を目指せる。

通信制大学生は、通学課程の大学生の真似をしなくていい。

通信制大学という環境をどう使い、自分で何を積み上げたか。

そこを語れるようにすることが、エンジニア就職への第一歩になる。

付録

まずやることチェックリスト

最初にやる

  • GitHubプロフィールを整える
  • 小さくても公開できる個人開発を1つ作る
  • 作ったもののREADMEを書く

次にやる

  • 技術記事を1本書く
  • connpassで興味のある勉強会を探す
  • オンライン勉強会に参加する

余力があればやる

  • ハッカソンやオンラインコンテストに参加する
  • LT登壇する
  • OSSに小さく貢献する
  • 企業に問い合わせるための自己紹介文を用意する
    • 現在の所属・学習状況
    • 作ったもののURL
    • GitHubやポートフォリオ
    • 希望する働き方
    • 稼働可能な時間
    • 応募・相談したい理由 など

就活ルート早見表

ルート 向いている人 注意点
新卒採用 卒業年度が明確で、卒業後入社を目指す人 卒業時期や年齢がずれる場合は確認が必要
既卒採用 卒業後に就職活動する人 新卒扱いされるかは企業による
第二新卒 卒業後に一度就職し、短期の職歴がある若手 通信制大学在学中の学生が自動的に第二新卒扱いになるわけではない
未経験中途 学生枠ではなく中途枠で応募する人 実務経験なしだと競争が厳しい
通年型インターン 在学中に開発経験を積みたい人 勤務地・稼働時間・学生扱いの条件に注意
開発アルバイト 雇用契約で小さく実務経験を積みたい人 シフト・出社条件・スキル要件に注意
業務委託 ある程度自走できる人 契約・納期・保守責任に注意

※本記事の推敲・構成整理には生成AIを一部利用していますが、内容の判断・経験談・最終的な文責は筆者にあります。

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