この記事では、OS X 10.11 (El-Capitan) に最小限の LaTeX 環境 (2015/2016) を構築するための手順をまとめています。目標は、LaTeX 環境を最低限のコンポーネントで使えるようにすることです。
補足 (2017/11/10):
下記の手順は、MacTeX 2017 に対応しなくなったので、新しい記事を書きました。よって、この記事のタイトルと内容も MacTeX 2015/2016 を追記しました。
MacTeX 2017 に対応した記事は macOS Sierra に最小限の LaTeX 環境 (MacTeX 2017) を構築です。
実際に使用している環境:
- ハードウェア: MacBook Pro (Retina, 13-inch, Late 2013)
- OS: OS X El-Capitan version 10.11.1
- パッケージ マネージャー: MacPorts version 2.3.4
主な手順:
- TexLive のサブセットである BasicTeX をインストール
- TexLive パッケージ管理である
tlmgr
を使って環境を最新版に更新 - Ghostscript をインストール
- 日本語環境を構築
- 次は?
なお、ここで説明する手順は、LaTeX 環境がインストールされていないことが前提としています。すでにインストールされている場合は、https://tug.org/mactex/uninstalling.html を参照して先にアンインストールしてください。
TexLive のサブセットである BasicTeX をインストール
BasicTeX は https://tug.org/mactex/morepackages.html から入手します。インストーラ BasicTeX.pkg
が提供されているので、ダウンロード後に実行してください。インストールが完了すると、次のディレクトリーにファイルが配布されます。
/usr/local/texlive/2015basic/
- メインのファイルが配置されている場所です。
2015basic
は、2015 版の BasicTeX をインストールした場合です。これ以降、パッケージをインストールすると、このディレクトリ下に配置されます。 /Library/TeX/
- 配布データの保存場所です。このディレクトリにあるファイルは、特に見ることはないでしょう。
/Library/PreferencePanes/TeXDistPrefPane.prefPane
- システム設定用パネルです。
TexLive パッケージ管理である tlmgr
を使って環境を最新版に更新
TexLive のパッケージを更新したり、新しいパッケージを追加や削除するには、コマンドラインベースの管理プログラム tlmgr
を使います。Terminal を起動して、次のコマンドで TexLive 自身と全てのパッケージを最新版に更新します。
$ sudo tlmgr update --self
$ sudo tlmgr update --all
Ghostscript をインストール
この記事 BasicTeX - Smaller Download によれば、pdfLaTeX を使う場合 Ghostscript は必要ないが、eps フォーマットの画像を他のフォーマットに変換したり dvi ファイルを処理したりするときに便利であると書かれています。とりあえず、ここでインストールすることにします。
インストール方法は、TeXLive からインストール パッケージ Ghostscript-9.6.pkg を入手するか、パッケージマネージャ MacPorts などを使ってインストールします。
日本語環境を構築
次は、日本語文章を作成できるように、日本語文章をコンパイルする最低限のパッケージのインストールとその設定を行います。ここは、OS X 10.11 El Capitan への対応 をもとにまとめています。
まず、日本語フォントのマッピングを行います。これには、jfontmaps
と cjk-gs-integrate
パッケージをインストールします。
$ sudo tlmgr install jfontmaps cjk-gs-integrate
なお、今回は、OS X El-Capitan version 10.11 という日本語フォントの構成が前のバージョンから変更されているので、正常にマッピングできるように、jfontmaps
のバージョンを確認しましょう。
$ tlmgr info jfontmaps
tlmgr: package repository ftp://ftp.kddilabs.jp/CTAN/systems/texlive/tlnet
package: jfontmaps
category: Package
shortdesc: Font maps and configuration tools for Japanese fonts
(中略)
installed: Yes
revision: 38527
sizes: run: 453k, bin: 25k
relocatable: No
cat-version: 20151002.0
(省略)
ここで、jfontmaps
の revision が 38527、つまり cat-version が 20151002.0 以上であれば問題ありません。
次は、cjk-gs-integrate
を使って日本語フォントへのシンボリック リンクを張ります。
$ cd /usr/local/texlive/2015basic/texmf-dist/scripts/cjk-gs-integrate
$ sudo perl cjk-gs-integrate.pl --link-texmf --force
$ sudo mktexlsr
それから、作成されたシンボリックリンクを使って、実際に日本語フォントへのマッピングを設定します。
$ sudo updmap-sys --setoption kanjiEmbed hiragino-elcapitan
$ sudo updmap-sys --setoption kanjiEmbed hiragino-elcapitan-pron
N シリーズとそうでないフォントの違いは、「ヒラギノ明朝 Pro」と「ヒラギノ明朝 ProN」の違い を参照してください。
これで、日本語フォントが LaTeX で使えるようになりました。後は、日本語文章をコンパイルできるように最低限のパッケージをインストールします。
$ sudo tlmgr install ptex ptex2pdf jsclasses latexmk
ptex
ptex
(platex
) をインストールします。必要なパッケージも一緒にインストールされます。ptex2pdf
ptex2pdf
をインストールします。
jsclasses
jsarticle
と jsbook
をインストールします。latexmk
latexmk
をインストールします。参照や目次などを生成するときに、自動で必要なコンパイルをしてくれるので、latexmk
自体は一度だけで実行すれば済みます。次は?
今回インストールしたのは BasicTeX という最低限の LaTeX 環境なので、次は、LaTeX パッケージ管理コマンド tlmgr
を使って、必要なパッケージをインストールすればよいのです。
ちなみに、私の環境では、下記のパッケージをインストールしています。
-
collection-fontsrecommended
推奨されている色んなフォント -
biblatex
参考文献 -
biber
参考文献 -
lastpage
総ページ数の参照 -
lipsum
ランダムな文章 -
titlesec
セクションの代替ラベル -
wrapfig
画像を文章と一緒に取り込む -
sidecap
画像のキャプションを両側に配置できる