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OpenChain JapanAdvent Calendar 2024

Day 13

SPDXの仕様を日本語訳しよう!

Last updated at Posted at 2024-12-12

はじめに

OpenChain Japan Working GroupにはSPDXの仕様の日本語訳のプロジェクトがあります。その名の通り、SBOM(Software Bill of Materials)のフォーマットの一つであるSPDX(System Package Data Exchange)の仕様を翻訳するプロジェクトです。

これから本格的に日本語訳が始まるので、技術文書の日本語訳の意義について語り、SPDX日本語訳プロジェクトの紹介を行います。

The summary in English is available at the bottom of the page.

OpenChain Japan Working Groupについて

OpenChain Japan Working GroupThe Linux FoundationOpenChainプロジェクトの日本での活動グループです。OSSコンプライアンスのためのベストプラクティスの共有や共通課題の解決を図るために日本語で議論が行われています。

なぜ日本語訳をするのか?―技術文書を翻訳する意義―

グローバル化が進み、英語教育も充実しているなか、なぜ日本語訳が必要なのかをまとめてみました。

正しい情報・技術普及のため

技術文書の翻訳は、正確な情報を広く普及させるために欠かせません。最新技術やグローバル基準を正確に翻訳することで、言語や国籍に関係なく、誰もが適切な知識を得ることができます。特に、誤訳が重大なミスにつながる分野では、正しい情報が世界中で共有されることは安全性や信頼性を高めます。正確な翻訳を通じて、技術が安全に普及し、すべての人がその恩恵を受けられるようになります。

コミュニティ活性化のため

技術文書が翻訳されることで、言語の壁を越えた参加が促進され、コミュニティの活性化につながります。特にオープンソースでは、母国語で理解できる文書があると、貢献者やユーザーが増加しやすくなります。これにより、問題解決のスピードやアイデアの交換が活発化し、コミュニティ全体の成長が加速します。多様な視点が集まることで、より優れた技術やソリューションが生まれやすくなります。

グローバルなコラボレーションのため

グローバルなコラボレーションは、各国の強みを生かし、技術の発展を加速させる重要な要素です。言語は、グローバルコミュニティとのコラボレーションにおいて、一つの障壁になっています。技術文書を翻訳することで、国や文化を超えた協力が可能になります。世界中の技術者や研究者が同じ文書を参照し、共通理解を持つことで、国際的なプロジェクトが円滑に進行します。翻訳を行うことで、異なるバックグラウンドを持つ人々が連携するための基盤となり、新たな技術革新や発展の機会を生み出します。

例えば、Linux Foundationでは、Linux Foundation Japan は、日本の研究機関と協力して機械翻訳システムを実装し、プロジェクト資料やユーザー インターフェイスの翻訳を迅速化しています。Linux Foundation Japan Operations VPの福安氏は以下のように語っています。

迅速な翻訳こそ、より大きなエンゲージメントを育む鍵です。

Anthony Williams, “Enabling Global Collaboration: How Open Source Leaders Are Confronting the Challenges of Fragmentation,” The Linux Foundation, January, 2023.
日本語版:グローバル コラボレーションの実現


また、翻訳に参加することは、参加者にとって以下のようなメリットがあります。
  • 技術文書への理解が深まる
  • 開発者でなくても参加できる
  • 貢献者として成果物に名前が残る
  • 語学力が向上する

技術文書の翻訳は、必ずしもプログラミングの経験や専門的な知識を必要としません。翻訳対象の言語の知識と、文書を読み解く能力があれば、誰でも参加することができます。そのため、開発者だけでなく、翻訳者や言語に興味のある人など、幅広い層の人々がコミュニティに貢献できます。

技術のグローバル化が進む現代において、技術文書の翻訳は、最新の情報を世界中の開発者やユーザーへ届けるために不可欠です。世界中の開発者と協力し、一緒に技術の発展に貢献しましょう!

SPDX日本語訳プロジェクトについて

SPDX日本語訳プロジェクトは、OpenChain Japan Working GroupのSPDX日本語訳チャネルにてプロジェクトを進めています。現在は、リポジトリや翻訳者用のメーリングリストの準備の段階となっています。2024年12月11日にメーリングリストが作成されました。

本記事は2024年12月時点の情報です。以下の日本語訳プロジェクトの内容は変更される可能性があります。

SPDXについて

SPDX V3.0は、2024年4月に公開されました。現在はSPDX V3.0.1の開発が始まっています。SPDX V3.0は、SPDX V2.3から大きな変更がありました。この変更については@nori0428さんが以下の記事で説明しています。

日本語訳はどこで管理されるの?

日本語訳するのはこちらの仕様のページです。

githubにてソースが公開されており、spdx-3-modelspdx-specを翻訳していきます。spdx-3-modelは、SPDX V3のモデルに関するドキュメントやソースが管理されているリポジトリで、spdx-specは、SPDXの仕様のページに関するソースが管理されているリポジトリです。

spdx-3-modelの日本語訳については、以下のページで翻訳に関するデータモデルが説明されていますが、現在ソースの管理方法については確定していません。(確定したら更新したいと思います。)

spdx-specは、docsフォルダの中に日本語用のフォルダを作り、以下のように仕様に含まれる各mdファイルを日本語に訳したmdファイルを追加していく予定です。

spdx-spec/
├── bin
├── docs
│   ├── annexes
│   ├── css
│   …
│   ├── ja  <--------------------------------------------------------追加予定
│   │   ├── annexes
│   │   │   ├── license-matching-guidelines-and-templates.md
│   │   │   ├── pkg-url-specification.md
│   │   │   ├── rdf-model.md
│   │   │   ├── spdx-license-expressions.md
│   │   │   └── spdx-lite.md
│   │   ├── front
│   │   │   ├── copyright.md
│   │   │   └── introduction.md
│   │   ├── licenses
│   │   │   ├── CC-BY-3.0.md
│   │   │   └── Community-Spec-1.0.md
│   │   ├── conformance.md
│   │   ├── index.md
│   │   ├── references.md
│   │   ├── scope.md
│   │   ├── selializations.md
│   │   ├── symbols.md
│   │   └── terms-and-definitions.md  
│   ├── licenses
…   …
│   ├── symbols.md
│   └── terms-and-definitions.md
├── etc
…

是非日本語訳にご参加ください!

OpenChain Japan Working GroupのSPDX日本語訳チャネルで翻訳のプロジェクトを進めています。Slackに参加するにはこちらを参照ください。

SPDXの仕様を日本語訳することで一緒にOSS貢献しませんか?
ご参加お待ちしています!

English Summary: Let's Translate SPDX spec into Japanese!

The OpenChain Japan Working Group is leading a project to translate the SPDX (Software Package Data Exchange) specification into Japanese. SPDX is a standard format for Software Bill of Materials (SBOM), essential for tracking software components. Translating technical documentation like SPDX is crucial for spreading accurate knowledge, enhancing community engagement, and facilitating global collaboration. Accurate translations ensure that Japanese developers and organizations can access essential information without language barriers, promoting safe and effective use of technology. By removing linguistic obstacles, more contributors can engage in open-source projects, accelerating innovation. The SPDX Japanese translation project, managed through the OpenChain Japan Working Group, is preparing mailing lists and repositories for contributors. As of December 2024, the project has created mailing lists and started organizing translation tasks. This initiative aims to ensure that the global open-source community, regardless of language, can collaborate seamlessly and share knowledge effectively. Join us!

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