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この記事は、Metal Advent Calendar2016の12日目です。

これまで、MetalのGPUコンピューティングについて解説記事を書いてきました。
[iOS] MetalでGPUコンピューティング (1) 最小限のコードの記述と特性の把握
[iOS] MetalでGPUコンピューティング (2) 群知能
[iOS] MetalでGPUコンピューティング (3) MTLDevice
[iOS] MetalでGPUコンピューティング (4) MTKView
[iOS] MetalでGPUコンピューティング (5) MTLLibrary
[iOS] MetalでGPUコンピューティング (6) MTLCommandQueue
[iOS] MetalでGPUコンピューティング (7) MTLCommandBuffer

本記事では、前回に引き続きAppleが提供するサンプルコードの解説を行います。

扱うサンプルコードは、前回と同じライフゲームのアプリ、MetalGameOfLifeです。
MetalGameOfLife

IMG_5933.PNG
(実行画面)

今回は、サンプルコード内のMTLComputeCommandEncoderについて解説を行います。
MTLComputeCommandEncoderはGPUによる並列コンピューティング用の設定や関数をエンコーディングするためのメソッドの集合体です。

MTLComputeCommandEncoderはクラスではなくプロトコルです。
MTLComputeCommandEncoderのオブジェクト(エンコーダー)は、MTLCommandBufferのオブジェクト(コマンドバッファ)により生成されます。そして、エンコーダーによってエンコードされたコンピューティング用のコマンドはコマンドバッファに格納されます。

エンコーディングは、MTLCommandBufferオブジェクトの生成の都度行われます。

繰り返しになるのですが、このサンプルコードは、主に以下のファイルで構成されています。

AAPLRender.h
AAPLRender.m
AAPLViewController.h
AAPLViewController.m
Sharder.metal

このうち、AAPLRender.mには並列コンピューティング及び描画のCPU側のロジックが、Shader.metalには頂点シェーダー、フラグメントシェーダー、GPUコンピューティング用のシェーダーが書かれています。

ここからは、サンプルコード内におけるMTLComputeCommandEncoderの使用箇所を解説していきます。
AAPLRender.mに以下の記述があります。MTLCommandBufferのcomputeCommandEncoderメソッドによりエンコーダーが生成されています。この記述は毎フレームごとに呼ばれる箇所にあります。

AAPLRender.m
id<MTLComputeCommandEncoder> commandEncoder = [commandBuffer computeCommandEncoder];

また、以下のコードでは、MTLComputePipelineStateのオブクジェクトをエンコーダーに設定しています。MTLComputePipelineStateのオブジェクトは、シェーダー内に記述されたこれから実行されるコンピューティング用の関数を含んでいます。

AAPLRender.m
[commandEncoder setComputePipelineState:self.simulationPipelineState];

以下のコードでは、エンコーダーに使用するリソースの指定を行なっています。リソースはシェーダー内の関数の引数として渡されます。

AAPLRender.m
[commandEncoder setTexture:readTexture atIndex:0];
[commandEncoder setTexture:writeTexture atIndex:1];
[commandEncoder setSamplerState:self.samplerState atIndex:0];

上記では、関数へのインプット用のテクスチャ、アウトプット用のテクスチャ、サンプラーが渡されています。テクスチャ、サンプラーにはそれぞれ識別用にインデックスを振ります。バッファを用いて数値データを渡したい場合も、同様にインデックスを振ります。
この辺り、詳細は後の記事で紹介したいと思います。

以下のコードでは、GPUのスレッド及びスレッドグループ数の指定を行い、並列コンピューティング用の関数を、スレッドグループ及びスレッドグループ内のスレッド用にエンコードします。

AAPLRender.m
MTLSize threadsPerThreadgroup = MTLSizeMake(16, 16, 1);
MTLSize threadgroupCount = MTLSizeMake(ceil((float)self.gridSize.width / threadsPerThreadgroup.width), ceil((float)self.gridSize.height / threadsPerThreadgroup.height), 1);
...
[commandEncoder dispatchThreadgroups:threadgroupCount threadsPerThreadgroup:threadsPerThreadgroup];                                    

スレッド及びスレッドグループに関しては後の記事で詳細を解説したいと思います。

以下では、endEncodingメソッドによりエンコーダーからのコマンドが完了したことを宣言しています。この宣言があると、これ以上エンコーダーを使用することはできなくなります。

AAPLRender.m
[commandEncoder endEncoding];

サンプルコード内には毎フレーム必ず呼ばれる箇所の記述もありますが、画面をタップした際に実行される箇所もあります。そこでは異なるMTLComputePipelineStateオブジェクトを指定し、異なるコンピューティング用の関数を指定しています。

AAPLRender.m
[commandEncoder setComputePipelineState:self.activationPipelineState];
[commandEncoder setTexture:writeTexture atIndex:0];
[commandEncoder setBytes:cellPositions length:byteCount atIndex:0];
[commandEncoder dispatchThreadgroups:threadgroupCount threadsPerThreadgroup:threadsPerThreadgroup];

このように、MTLComputeCommandEncoderはコマンドバッファに対して各種のコマンドをエンコードする役割を担っています。

今回はライフゲームのサンプルコード内におけるMTLCommandQueueの解説を行いました。
次回以降、さらに他の箇所についての解説を行なっていきます。