1. はじめに
2025年7月に開催された SORACOM Discovery 2025 にて、ソラコムは「生成AI × IoT」の融合という新たな技術戦略を発表しました。その目玉のひとつが、Claudeなどの生成AIとSORACOM APIをつなぐ新機能、SORACOM MCP Server です。
この MCP Server は、生成AIが SORACOM API を直接操作できるようにするための仕組みで、ClaudeなどのAIツールから自然言語でSORACOMのデータにアクセスできるようになります。たとえば「先月の利用料金を教えて」と指示するだけで、APIを通じて実際のデータを取得し、グラフ化して表示することも可能です。
本記事では、SORACOM MCP Server と Claude for Desktop を組み合わせて、SORACOM APIを自然言語で操作する方法を紹介します。
2. 必要な環境と準備
今回は、SORACOM MCP Server と Claude for Desktop を連携させていきます。
以下に、環境構築の手順をまとめました。
✅ 必要なツール一覧
ツール名 | 用途 | インストール方法 |
---|---|---|
Claude for Desktop | Claude をローカルで使うためのアプリ | 公式サイトからダウンロード |
Node.js / npm | MCP Server の実行環境 | Node.js公式で導入 |
SORACOM MCP Server | Claude と SORACOM API をつなぐ中間サーバー | npm 経由でインストール |
SORACOM アカウント | APIアクセスに必要 | SORACOM公式で作成 |
🛠️ Claude for Desktop のインストール
Claude for Desktop は、Anthropic が提供する Claude をローカル環境で利用できるアプリケーションです。以下の手順でインストールします:
- 公式サイトにアクセス
- OSに応じたインストーラーをダウンロード(macOS / Windows / Linux)
- インストール後、起動してログイン
🛠️ Node.js / npm のセットアップ
SORACOM MCP Server は Node.js ベースで動作します。以下の方法でインストールしてください。
- Windows: Node.js公式サイトからインストーラーを使用
インストール後、以下のコマンドでバージョン確認できます。
node -v
npm -v
🛠️ SORACOM MCP Server のインストール
npm を使って MCP Server をインストールします。
npm install -g @soracom-labs/soracom-mcp-server
🔐 SORACOM アカウントと API キーの準備
ClaudeがSORACOM APIにアクセスするには、SORACOMの認証情報が必要です。以下の手順で取得します。
SORACOMユーザーコンソールにログイン
「ユーザー管理」→「APIキーの作成」
「認証キー ID」(authKeyId)、「認証キーシークレット」(authKeySecret) を取得
3. MCP Server の設定方法
Claude for Desktop に SORACOM MCP Server を認識させるには、設定ファイルを編集する必要があります。
📁 設定ファイルの場所
OS | 設定ファイルのパス |
---|---|
macOS | ~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json |
Windows | %APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json |
Linux | ~/.config/Claude/claude_desktop_config.json |
Windowsの場合は、「開発者モード」になっている前提とはなりますが、「メニュー」→「開発者」→「アプリ設定ファイルを開く」より設定ファイルを開くことができます。
⚙️ 設定内容の追加
以下のように mcpServers
セクションを追加します。
今回は、認証キーを使用する方法で試しました。
{
"mcpServers": {
"soracom": {
"command": "npx",
"args": ["@soracom-labs/soracom-mcp-server"],
"env": {
"SORACOM_AUTH_KEY_ID": "your-key-id",
"SORACOM_AUTH_KEY": "your-token",
"SORACOM_COVERAGE_TYPE": "jp"
}
}
}
}
🔄 Claude for Desktop の再起動
設定ファイルを保存したら、Claude for Desktop を再起動します。正しく設定されていれば、Claudeのメニューに「soracom」が表示されるようになります。
4. Claude for Desktop で操作してみる
Claude for Desktop に SORACOM MCP Server を設定すると、ClaudeがSORACOMのAPIを自然言語で操作できるようになります。ここでは、どんなことができるのか、そして実際に試してみた操作例を紹介します。
🧠 Claude for Desktop を使ってできること
Claude は、SORACOM MCP Serverを通じて以下のような操作を自然言語で実行できます:
- SIM一覧の取得
- 通信量の確認
- 利用料金の集計
- 通信履歴の取得
- SIMの位置情報の取得
- グラフや表での可視化
これらはすべて、SORACOM の REST API をバックエンドで呼び出して実現されています。ユーザーはAPIの仕様を知らなくても、自然言語で指示するだけで操作が可能です。
💬 実際に使ってみた例
以下は、Claudeに実際に話しかけてみた例です。
例:「過去半年の利用料金の推移をグラフで見せて」
Claude が処理を開始し、グラフ化するコードも記述します。
処理が終わると、下の図のようにグラフ化まで完了します。自然言語だけでこれだけ出来るのはすごいと思います。
このような感じで、自然言語で指示をすることでやって欲しい処理を行うことが出来ます。
以下のサイトに、利用可能なツール一覧が公開されているので、どんな感じで使えるかのイメージが湧いてくると思います。
6. まとめ
本記事では、Claude for Desktop と SORACOM MCP Server を組み合わせて、SORACOMのAPIを自然言語で操作する方法を紹介しました。
Claudeに「SIM一覧を表示して」「利用料金をグラフで見せて」と話しかけるだけで、SORACOMのデータにアクセスできる体験は、まさに次世代のIoT操作と言えるでしょう。
✅ 今回のポイントまとめ
- Claude for Desktop と SORACOM MCP Server を連携することで、SORACOM API を自然言語で操作可能に
- MCP Server の設定は JSON ファイルを編集するだけで簡単に導入できる
- Claudeは表やグラフなど、視覚的な出力にも対応しており、データの可視化が容易
7. 参考リンク・資料
本記事の執筆にあたり、以下の公式ドキュメントや関連資料を参考にしました。セットアップや応用に役立つ情報が多数掲載されていますので、ぜひご活用ください。
🔗 公式ドキュメント・ツール
- SORACOM MCP Server GitHub
- Claude for Desktop
📚 イベント
- SORACOM Discovery 2025 イベントページ