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ソフトウェアエンジニアが起業してCEOになった話

Last updated at Posted at 2022-12-01

株式会社アンチパターンの小笹(@yuki.ozasa)です。
CEO兼VPoEという肩書きを自称し、日本CTO協会では法人会員兼コントリビュータとして活動させていただいております。

機会を賜りましたので、日本CTO協会の新しいバリューに沿ったエピソードをお伝えできればと思います。

それは一ソフトウェアエンジニアであった私が2019年7月に起業するまでに至ったお話です。
自分にとっては自然な流れで起業していますが、Give Firstということで書かせていただきます。

ソフトウェアエンジニアになってからCTO見習いになるまで

中高キリスト教系の学校に通っており、チャプレンの方からいただいたユング心理学の本にを読んだことをきっかけに、大学時代には心理学を学んでいました。
大学で学んだりサークル活動など仲間と共に過ごしたりする中で、自分自身が目指したいのは個性が発揮されて個人が輝くような社会であると感じるようになりました。
そのためには人々が多くの時間を費やす「働く」ということがもっとポジティブなものとして捉えられるような社会にしたいと思いました。
一時は専門職に就くことも考えましたが、そういった考えが芽生えたため、ビジネスの世界に飛び込むことにしました。

結果、BtoBマーケティングを変革し「働く」を変えるといったような理念を持ったベンチャー企業に新卒で入社いたしました。
この時点では、ソフトウェアエンジニアリングには触れてもいなかったのですが、内定者アルバイトでマーケティングSaaSのカスタマーサポートを経験したことでソフトウェアへの関心が高まり、自ら勉強をし始めました。

勉強をしてみると、今まで社会の中で見えてこなかった世界が一気に広がった感覚があり、のめり込んでいきました。
当時ソフトウェア開発の内製化PJなども担わせていただき、組織拡大の機運も高かったことで早くからマネージャの職にも就かせていただきました。

思い起こせば、2015年か2016年あたり、当時アパレルテック系企業のCTOとしてイベントに登壇されていた今村さん(BuySell Technologies 取締役CTO / 日本CTO協会理事)のお話をお聞きして、CTOという役職を初めて知りました。
経営とテクノロジーを繋げる役割はどちらにも関心の強かった私からして魅力的であり、それからは「CTO見習い」という肩書きで活動するようになったことを覚えています。

起業の契機

起業の一つの契機になったと今思うのは「CTO見習い」として参加させていただいたAWS re:Inventです。
そこにはソフトウェアエンジニアリングとビジネスが一体となり、熱狂している様相が見て取れ、海外、特に米国との圧倒的な差を見せつけられたような気がいたしました。
発表される新サービスも自分たちではまだ活用に至れないような先進的なものばかりで、ワクワクと同時に付いていけていない自分に焦りを感じたことを覚えています。

そんな体験ののち、帰国をし、マネージャとして活動していました。
その頃には組織外のエンジニアやエンジニアマネージャ、CTOとも交流させていただく機会が増えていました。

現場の不満や経営者への啓蒙活動の苦労など、色々な話を見聞きしてきました。
交流をする度に自分はこのままここにいていいのだろうかと疑問が強くなっていきました。

そんな違和感がずっと続いている中で、同僚とも話し込み、自分が成し遂げたいと思っていることは何なのか言語化するワークを長い時間をかけて行いました。
そこでまとめてきたものが「日本のソフトウェアエンジニアを憧れの職業へ」という現在の会社で掲げている理念です。

この理念を実現するのには自分たち自身で社会を変えていく必要があると考え、まずは自らがビジネスを興すために起業をすることにしました。
Think Big, Start Small というには、大きな一歩だったような気もします。

なお、起業に関して言えば、身の回りに起業経験者が多いと起業しやすいというデータもあるようです。
(馬田隆明さんによるこちらの記事で取り上げられています)
私の場合、父母とも起業家であることもあり、自分の成し遂げたいことが見つかった時に起業するという手段を通じて社会へ発信していくことは自然なことでした。

現在感じている課題

そのような流れで、2019年7月より、理念を掲げ、ビジネスを作り、組織を作り、資金を集め、多くの方のご支援を賜り、何とか起業家として活動しています。
Fail Fast, Learn Fast として、色々なことにチャレンジし失敗を含めて血肉とする日々であります。

さて、改めて、自分自身が経営者となり、一スタートアップとしてVCの方々をはじめとするある種の資本市場と向き合ったり、同じ経営者との交流をする中で感じるのは、「ソフトウェアエンジニアリングを理解した経営者が少ない」ということです。
海外で活躍する起業家にはエンジニアリングを理解していると思しき方々がいらっしゃるように見えます。
(シンクエージェント株式会社の記事より)

“Software is eating the world” と言われてから早10年、
私たちの社会はソフトウェアによって成り立っているといっても過言ではない状況かと思います。

当然、ソフトウェアを扱ったビジネスも増えてきています。
しかしながら、経営者の多くはソフトウェアエンジニアリングに向き合っていることは少なく、また、ソフトウェアエンジニアもビジネスと向き合っていないと思うことが多々あります。
餅は餅屋と決め込み、半ば無関心になってしまっているように思います。

そんな中、CTOという役割はその橋渡しとして経営にもテクノロジーにも責務を負う重要なものであると考えています。
そういった意味では、もっとソフトウェアエンジニアリングやテクノロジーの話だけじゃない経営の話をできるコミュニティに日本CTO協会がなれればと考えており、少しでもその力になれればと思っております。

なお、個人的には経営者がソフトウェアエンジニアリングを学ぶよりも、ソフトウェアエンジニアリングの知識を持った人が経営を学んでいく方が早いのではないかと思っています。

そういった考えもあるので、もっと気軽に起業について考えてみてもらいたいなと思いますし、真剣にビジネスに向き合ってほしいなとも思っています。

終わりに

この文章は数年ぶりに参加しているAWS re:Invent 2022の現地会場で執筆いたしました。
私も未熟者でありますが、起業の契機になったイベントで、改めてAlways Day Oneを意識して精進して参りたいと思っています。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

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