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AWSエンジニアのためのAzure Administrator対策

Last updated at Posted at 2022-02-19

はじめに

お疲れ様です。yuki_inkです。
この度、Microsoft Azure Administrator試験(AZ-104)に合格しました。
以前Azure Fundamentals試験(AZ-900)に合格した際は下記の記事を投稿しましたが、本稿はその続編です。

主に活用した教材

合格対策Microsoft認定試験AZ-104:Microsoft Azure Administratorテキスト&演習問題

2022年2月時点で日本語のAzure Administrator対策本がこれしかなく、選択の余地なしに購入しました。
全体的にバランス良くまとまっており、また演習問題・模擬試験も掲載されているため、試験対策としては本書で十分という印象です。

ただ、サービスによっては、Fundamentals対策で使った黒本には書かれてるけどこっちには書かれてない、というようなものもありました(それだけFundamentalsの試験範囲が広く浅くだった??)。
そのため、本書をメインの教材して活用しつつ、時々Fundamentalsの黒本を流し読んでその内容を思い出してみたり、実際にAzure Portalを触って具体的な設定方法のイメージを掴んだりするという形で対策を進めました。

※本番の試験では、実際の設定画面のスクショから情報を読み取ったり、「このリソース作るためにAzure Portalからどのような操作をしますか?」みたいな問題が多かったです。
 そのため、一度はAzure Portalを触っておくことをおすすめします。

AWSエンジニアのためのAzure Administrator対策

本題です。
筆者が理解に苦しんだ部分を中心にまとめます。

特にストレージアカウントについては、そもそもそんな概念はAWSにないため、非常に理解に苦しみました。
Fundamentals対策でも多少触れてはいるものの、当時は「Azureのストレージサービス使うためには事前にストレージアカウントを作っておかないといけない」というくらいの理解だったため、細かい言及は避けた(できなかった)んですが、、
今回は勇気を出して、がっつり触れておきたいと思います。

(1) アイデンティティとガバナンスの管理

アイデンティティとガナバンスを管理するための機能群について、まとめて触れる。
独断と偏見で、かつ強引に、AzureとAWSのそれぞれの機能を対応付けてみた。

Azure 概要   AWS
Azure AD テナント ユーザーと権限を管理するためのプール  -(強いて言えば踏み台アカウント) 
Azure AD ユーザー Azure環境でのログインユーザー  IAM ユーザー 
Azure AD グループ AD ユーザーを束ね、権限管理を簡素化  IAM グループ
Azure AD ロール AD テナント自身に対するアクセス権限  IAM ポリシー
RBAC ロール リソースに対するアクセス権限  IAM ポリシー / リソースベースのポリシー(※1)
サブスクリプション 請求、管理、アクセス制御の単位  AWSアカウント
管理グループ サブスクリプションをまとめるグループ  AWS Organizations
マネージド ID リソースにRBAC ロールを割り当てる仕組み  IAM ロール
Azure ポリシー AD ユーザーのリソースに対する権限を制限  IAM ポリシー / AWS OrganizationsのSCP / AWS Config(※2)

AzureではID管理の機能=Azure ADが、サブスクリプションとは切り離された場所にあるということを、まず念頭に置いていただきたい。
AWSで言えば、IAMとその他のリソースを別々に管理しなければならないようなイメージ。

そもそもAzure ADは、パブリッククラウドとしてのAzureだけでなく、Microsoft 365をはじめ数多くのSaaSアプリケーションと統合されていいる。
つまり、Azure ADユーザーはAzure Portalにログインするためだけのユーザーではない。
だからこそ、サブスクリプションの外に、大規模な認証機構として存在しているのだと思う。

RBACロールについて(上表中※1)

上記のような違いがあるからこそ、リソースに対するアクセス管理では、Azure・AWSでは発想に違いがある。
Azureでは、リソースの側からADユーザー(あるいはADグループ)に対してRBAC権限を割り当てるイメージ。
実際、RBACロールを設定するときの画面操作もそんな感じで、リソースの画面から権限設定を行う。
image.png
※RBACロールの設定は、サブスクリプション、リソースグループ、個別のリソースごとに設定が可能。
※上位の階層のRBACロール設定は、下位の階層に継承される。

一方で、AWSでのリソースに対するアクセス管理では、まずIAMユーザー(あるいはIAMグループ)に対してIAMポリシーの付与を行う。
操作はすべてIAMの画面内で完結し、その設定にリソースの存在は関係しない。
AWSの場合、リソース側からアクセス制御を実施したい場合、S3バケットポリシーなどの「リソースベースのポリシー」を利用する。
そのため、AzureでのRBACロールの設定は、AWSでのIAMポリシー設定とリソースベースのポリシー設定の両側面を持っていると言えるのではないか。

Azureポリシーについて(上表中※2)

利用できるリソースの種類やリージョンに制限をかけたいとき、Azureポリシーを使う。
Azureポリシーは管理グループ、サブスクリプション、リソースグループに割り当てることが可能。

ポリシーに反するリソースの展開の防止(拒否)の他、そのポリシーに準拠しているかどうかの評価(監査)も可能である点が興味深い。
ポリシーとして「監査」が設定されている場合、定期的に状態が検査され、ポリシー違反の有無が表示される。
ポリシーに準拠していないリソースの自動修復も可能。
mosaic_20220211160317.png
AWSの場合を考えると、例えば利用可能なリージョンを制限しようとしたとき、方法は2つある。
 ①IAMポリシーの「Condition」セクション
 ②AWS OrganizationsのSCP(Service Control Policy)機能
また、リソースのコンプライアンス準拠状態を評価したい場合、AWS Configを利用することになる。
そのため、AzureポリシーはAWSのIAM ポリシー、AWS OrganizationsのSCP、AWS Configに該当すると考えた。

(2) ストレージアカウント

各ストレージサービスの利用の前提となる。
実際にリソースを作成する前に、まずストレージアカウントで各ストレージの設定だけしておく、というイメージ。

Fundamentals対策で掲載したAWSサービスとの対応付けを再掲しておく。

ストレージサービス AWS
BLOB(Binary Large Object)ストレージ S3
Fileストレージ EFS / FSx
Tableストレージ Dynamo DB ※ 
Queueストレージ SQS

AWSの場合、S3バケットを例に挙げると、パブリックアクセス設定やバージョニング設定は、バケットを作成するその時に行う。
しかし、Azureの場合、BLOBストレージ、Fileストレージなど各種ストレージサービスの設定を最初にまとめてしておき、実際にBLOBストレージを作成する際は名前を指定するだけ、という形になる。
※ストレージアカウントの種類を「Standard 汎用 v2」としたときのイメージ

ストレージアカウントの種類

ストレージアカウントを作成する際、まずはその種類を決める必要がある。
ストレージアカウントの種類によって、下記が決定される。
  ●どのストレージサービスが利用できるか
  ●どの冗長オプションが利用できるか
  ●ストレージのパフォーマンス

ストレージアカウントの種類は近年頻繁に変わっているため、ここでは明記せず、公式ページを参照していただきたい。
(テキストで紹介されている「Standard 汎用 v1」は既に消えている。。)

冗長オプション(データのレプリケーション)

ストレージアカウントの作成時、冗長オプションも設定する必要がある。
上記のストレージアカウントの種類によって、選択できる冗長オプションが変わる点に注意。

AWSのストレージサービスでは耐久性と可用性はAWSの既定に従うケースがほとんどのため、ユーザー側でそれらを明示的にコントロールできる(しないといけない)のは新鮮。
また、読み取り専用エンドポイントも併せて利用できる冗長オプション(RA)があるのも面白いと思った。

こちらの記事が分かりやすかったです。

BLOBストレージのアクセス層

BLOBストレージには、アクセス頻度と保持期間に基づいてデータをコスト効率よく保管できるよう、「アクセス層」という機能が用意されている。
ということで、「BLOBストレージのアクセス層」=「S3 のストレージクラス」

BLOBストレージのアクセス層は下記の3種類。
- ホット
- クール
- アーカイブ

せっかくなので、S3のストレージクラスと対応付けてみる。

BLOBストレージのアクセス層 S3 のストレージクラス
ホット Standard 
- Intelligent-Tiering  
クール(ZRS:ゾーン冗長ストレージ※) Standard-IA (Infrequent Access)
クール(LRS:ローカル冗長ストレージ※) One Zone-IA
- Glacier Instant Retrieval
- Glacier Flexible Retrieval(旧Glacier)
アーカイブ   Glacier Deep Archive

※冗長オプションで別途設定

いや、S3のストレージクラス充実しすぎ。。

BLOB データのアクセス層は、「ホット」と「クール」をまとめて「オンラインアクセス層」と言ったりするらしい。
また、「アーカイブ」は最小保存期間が180日、データの取り出しに最大15時間かかることから、「Glacier Deep Archive」相当の機能と判断した。
※「Glacier Deep Archive」は最小保存期間が180日。データの標準取り出し時間は 12 時間以内。

S3同様、BLOBでもライフサイクル設定によるアクセス層の移行が可能(ただし、汎用v2 StorageおよびBlob Storageのアカウントのみ)。

ストレージアカウントへのアクセス

主に3つのパターンがあり、特徴もAWSと通ずるものがあったため、両者を対応付ける。

Azure AWS
マネージドID(IAM) IAMロール 
共有アクセス署名(SAS) 署名付きURL  
アクセスキー アクセスキーID・シークレットアクセスキー

・基本的にはマネージドID
・有効期限やIP制限をかけるなら共有アクセス署名
・アクセスキーはセキュリティリスクが高く非推奨
というように、AWSエンジニアにはお馴染みの思想がそのまま使える。

ただし、上記の対応付けが完全に正しいわけではなく、差異もある。

Azureの共有アクセス署名は「ストレージアカウント」の機能として提供され、BLOB、File,Table,Queueのいずれのストレージでも利用できる。
しかし、AWSの署名付きURLは、それぞれのストレージに対応するサービスの全てで利用できるわけではない。

また、Azureのアクセスキーはストレージアカウント作成時に自動で生成されるものであり、ユーザーの権限とは何の関係もない。
(アクセスキーを使えばストレージアカウント全体にフルコントロールでアクセスできる。震える。)
一方でAWSのアクセスキーID・シークレットアクセスキーはIAMユーザーに紐付くものであり、それらを使って引き受けられる権限はIAMユーザーに付与されている権限に依存する。

AzureとAWSの対応付けはあくまでイメージとして考えていただきたい。。(この項目に限らず)

(3) Azure App Service

ホスティングしたアプリケーションの負荷分散、スケーリングなどを自動でやってくれる、AzureのPaaSサービス。
ということで、「Azure App Service」=「AWS Elastic Beanstalk」

それぞれのサービスで出てくる概念についても対応付けてみる。

Azure App Service AWS Elastic Beanstalk
App Service プラン アプリケーション 
デプロイスロット 環境  

「App Service プラン」の作成時は、OSの種類やSKU、冗長構成を指定する。
Elastic Beanstalkの「アプリケーション」作成時は「より多くのオプションの設定」としてインスタンスタイプなどを指定できるが、それはあくまでオプションであり、特に要件がなければ気にする必要はない。
「App Service プラン」ではそれらを(ある程度)明示的に指定する必要がある、というイメージ。

「デプロイスロット」はElastic Beanstalkの「環境」と同様、URLスワップに対応しており、Blue-Greenデプロイの手段として利用可能(ただし、SKUがStandard以上のApp Serviceプランのみ)。

(4) SKU - Stock Keeping Unit

Azureには「SKU」という、価格オプションのような概念がある。
この選択内容で利用できる機能が決まる。
こちらの記事では、SKUを「作成するリソースでの選択可能な機能種類」と定義していた。

SKUを指定しなければならないサービスは、先述のAzure App Serviceをはじめ、Azure Load Balancerや仮想ネットワークゲートウェイなどがある。

SKU指定が必要なサービス(例) SKUのオプション
Azure App Service Free、Shared、Basic、Standard、Premium、Isolated 
Azure Load Balancer Basic、Standard、Gateway  
仮想ネットワーク ゲートウェイ Basic、VpnGw1、VpnGw2など...  

お気づきの通り、SKUのオプションはサービスによって異なる。
そのため、例えば同じ「SKU=Basic」でも、サービスによって意味が変わってくる点に注意。

参考

AWSとAzureのID管理の違い【AWS技術者のためのAzure入門 第1回】
Azure 勉強メモ (Azure AD と RBAC)
Azure Storage 再入門
SKUって?

終わりに

前回の記事より書くのに苦労しました(^o^;
AzureについてFundamentalsのときより深く勉強したことで、AzureとAWSの共通点より差異の方に着目するようになってしまい、この記事のテーマである共通点の方に沿ってまとめるのが難しかったです笑。

アイデンティティとガバナンスの管理については、AWSとAzureではかなり毛色が違うように思います。
個人的にはAWSのやり方のほうがシンプルで好きです。

また、ストレージサービス、PaaSサービスでは、冗長構成や性能について、AWSでは設定しなくてよい部分をAzureでは設定しなければならないというケースが多いように思いました。
逆に、AWSではブラックボックスで一律設定になっている部分が、Azureではユーザの思い通りに設定しやすいと言うこともできます。
そのあたりがAzureかAWSかを選ぶときのポイントになるかもしれないなぁと思いました。

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