0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

介護士がAWSでAI事故報告支援ツールを作った話

0
Posted at

事故報告書を書くのが、正直しんどかった。

利用者さんが転倒した。ヒヤリハットがあった。そのたびに、同じような文章を一から書く。

「発生日時」「発生場所」「経緯」「対応内容」「今後の対策」。

書く内容は毎回似ている。でも毎回ゼロから書く。忙しい業務の合間に、疲れた頭で言葉を絞り出す。

しかも書き方は人によってバラバラだ。

ベテランスタッフが書いた報告書と、新人スタッフが書いた報告書では、情報の粒度も表現も全然違う。後で読み返したとき、何が起きたのか分かりにくいこともある。

「これ、もう少しなんとかならないのか。」

そう思い続けて数年が経った。


なぜ作ったか

介護現場には、繰り返し発生する記録業務がある。

事故報告書もその一つだ。毎回ゼロから書くため時間がかかる。さらに書く人によって品質にばらつきがあり、夜勤明けや忙しい時間帯には抜け漏れも起きやすい。こうした課題を、AIで解決できないかと考えた。

以前、現場で効率化用のプロンプトを組んでAIを活用した経験がある。そのとき感じたのは、「AIはメールやイラスト生成などの日常的なツールだけではなく、現場でも十分使える」ということだった。

ただ、既存のツールを使うだけでは限界がある。現場のフローに合わせてカスタマイズするには、自分で作るしかない。

AWSの勉強を終えた後、最初に作り始めたのがこのツールだった。


何ができるか

ツールの使い方はシンプルだ。

  1. 事故の概要を入力する(いつ、どこで、何が起きたか)
  2. 送信ボタンを押す
  3. AIが報告書のドラフトを生成する

生成されるドラフトには、発生状況・対応内容・今後の対策が含まれる。スタッフはそれを確認・修正して、最終的な報告書として提出する。

百聞は一見にしかず。実際の動作を動画で確認してほしい。

ポイントは、AIが「完成した報告書」を出すのではなく、「ドラフト」を出すことだ。

最終的な判断と責任は、あくまでスタッフが持つ。AIはその作業を助ける存在として設計している。


なぜAIに任せきりにしないか

介護の記録には、法的な意味合いもある。

事故報告書は、施設の対応を証明する書類でもある。内容が不正確だったり、事実と異なったりすれば、それは大きな問題になる。

だからこそ、AIが出したドラフトをそのまま提出する設計にはしていない。

スタッフが内容を確認し、必要であれば修正する。AIはあくまで「たたき台」を作る役割だ。

これは介護現場の感覚に近い。

ケアプランはケアマネが作るが、現場のスタッフが確認して実施する。記録もAIが下書きを作るが、スタッフが確認して提出する。役割分担の話だ。


現在の状態と今後

現在は施設内運用を想定した認証をかけており、外部からの一般公開はしていない。

使用しているAIはClaude Haiku(Anthropic)。コストを抑えながら、事故報告書の生成に十分な精度が出ることを確認している。インフラはAWS上に構築しており、構成はこうなっている。

今後は、より多くの施設で使えるよう改善を続けていく予定だ。

もし介護・福祉業界でこのツールに興味を持った方がいれば、ぜひ連絡をいただきたい。


最後に

介護士としての経験が、このツールを作る原動力になった。

現場で感じた「これ、なんとかならないのか」という感覚。その感覚がなければ、このツールは生まれなかった。

AWSを学んだから作れたのではない。

介護士として現場を知っていたから、「何を作れば役に立つか」が分かった。その上でAWSやAIという技術を身につけたことで、実際に動く形へ落とし込めた。

現場を知る人が技術を持てば、現場に本当に必要なものを作れる。

私はその可能性を、これからも形にしていきたい。

正直、ここまで「Claude Codeがあれば介護士でも作れる」と書いてきたが、実際どこまで信じられるものなのか。その本音は次の記事に書いた。


この記事は筆者のブログからの転載です → 元記事

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?