💻 SONY VAIO Z (VJZ131A11N) への Nobara 42 Official インストール時のトラブルと解決策
お役御免となったVAIO Zに最近話題のLinuxディストリビューション「Nobara Linux」を入れて復活させようと試みたところ、トラブルが続出。盛大にハマってしまいました。
解決までの道のりをまとめたので、同じ現象で困っている方の助けになれば幸いです。
⚙️ 環境
- PC: SONY VAIO Z (VJZ131A11N)
- CPU: Intel Core i7-6567U (Skylake)
- GPU: Intel Iris Graphics 550
- OS: Nobara 42 Official(Based on Fedora 40)
- DE: KDE Plasma 6
⚠️ 発生した現象
1. インストール後の再起動でフリーズ
USBディスクから起動し内臓のSSDにOSを上書きしてインストール。もろもろ設定を終えていざ再起動。
すると、VAIOロゴとローディングアニメーション(クルクル)が表示されるが、途中で完全停止。
2. nomodeset は効果なし
起動オプションに nomodeset を付けても、ローディング後に画面が**真っ黒(ブラックアウト)**になり操作不能。
3. ログインできない(ログインループ)
なんとかログイン画面まで辿り着いても、パスワード入力後に一瞬画面が暗転し、すぐに再びログイン画面に戻される(ログインループ)。
💡 補足:
フリーズ時やログインループ時でも、Ctrl + Alt + F2でCUIへのログインは可能でした。
🔎 原因の特定
色々検証して(これにめちゃくちゃ時間がかかった。。。)最終的に特定された原因は、以下の3つの複合的なトラブルでした。
1. CPU/GPUの省電力機能のバグ (c-state)
Skylake世代のCPUとLinuxカーネルの間の相性問題。CPUが深い省電力モードに入った瞬間に、GPUを巻き込んでシステム全体がフリーズしていました。
2. Waylandと旧Intel GPUの相性
Nobara (Fedora) の標準描画方式である Wayland が、安定動作せず(この世代の Intel Iris Graphics が原因?)、グラフィックシステムがクラッシュしていました。
3. SDDM (ログイン画面) の不具合
標準のディスプレイマネージャーである SDDM も、Waylandベースでの動作を試みてクラッシュしていました。
✅ 解決手順
以降の作業は、起動後のフリーズ状態で Ctrl + Alt + F2 を押し、CUIでユーザー名とパスワードを入力してログインし、インターネットへの接続を完了してから実行してください。
Step 1: カーネルパラメータでフリーズを回避する
VAIO Z特有の「起動時のフリーズ」を防ぐため、CPUとGPUの省電力機能を一部制限します。
-
/etc/default/grubを編集します。
sudo nano /etc/default/grub
-
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULTの行に以下のパラメータを追記します。
⚠️ 注意:
resume=UUID=...など既存のUUIDに関する記述は消さないでください。quiet splashやnomodesetが残っていれば消してください。
intel_idle.max_cstate=1 i915.enable_dc=0
-
intel_idle.max_cstate=1: CPUが深い省電力ステート(アイドル状態)に入るのを防ぎ、フリーズを回避します。 -
i915.enable_dc=0: GPU(ディスプレイコントローラー)の省電力機能(Display C-state)を無効化します。
- 編集後、GRUBを更新して再起動します。
sudo grub2-mkconfig -o /boot/grub2/grub.cfg
sudo reboot
Step 2: システム全体の更新を行う(トラブル防止)
Step 4で導入するX11環境とのバージョン不整合(シンボルエラーなど)を防ぐため、システム全体を最新に同期させます。
sudo dnf upgrade --refresh -y
💡 注意:
dnfの処理中、ダウンロードやインストール待ちで数分間フリーズしたように見えますが、電源を切らずに辛抱強く待ってください。
完了したら、必ず一度再起動してください。
sudo reboot
Step 3: Display Managerを LightDM に変更する
標準の SDDM が不安定と判断し、より軽量で枯れた技術である LightDM に入れ替えます。
# LightDMのインストール
sudo dnf install lightdm lightdm-gtk -y
# SDDMを無効化し、LightDMを有効化
sudo systemctl disable sddm
sudo systemctl enable lightdm
Step 4: X11セッションを導入してログインループを解消
Waylandセッションのクラッシュによるログインループを解消するため、安定した描画環境である X11 環境をインストールします。
sudo dnf install plasma-workspace-x11 -y
sudo reboot
再起動後、ログイン画面(LightDM)の右上にある**歯車アイコン**をクリックし、セッションの中から:
- Plasma (X11)
を選択します。この状態でログインすると、無事にデスクトップ画面が表示され、ログインループが解消されます。やったね。
📝 まとめ
今回のVAIO Zのような少し前のハイエンド機に、最新のLinuxを入れる際のtipsです。
-
Skylake世代のCPUには
intel_idle.max_cstate=1を設定する。
これがないと、アイドル状態に入った瞬間にフリーズする可能性が高いです。 -
nomodesetは万能ではない。
KDE PlasmaなどはGPUアクセラレーションがないと、逆に画面が表示されないことがあるようです。 -
困ったら Wayland を捨てて X11 に逃げる。
古いハードウェアでは、大人しく、圧倒的に安定しているX11セッションを選択するのが賢明です。
日本語入力対応とかまだまだやることはたくさんありますが、私の場合はとりあえずこれらの方法で、VAIO Zがサクサク動く(はずの)Linuxマシンとして復活しました。