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SORACOM ひげ付きボタンの電池残量の分析と家庭用電源の利用

SORACOM Advent Calendar 2020 の22日目の記事です。

今年はSORACOM Discovery 2020 ONLINE ナイトイベントのLT登壇もありましたので、Advent CalendarはSORACOMひげ付きボタンで、その後の運用に関する内容を投稿したいと思います。

はじめに

今年の5月に SORACOM LTE-M Button Plus(通称「ひげ付きボタン」)で冷蔵庫の開閉を管理する以下のシステムを試作して、田舎の母親の見守りを開始しました。

SORACOM LTE-M Button Plus と kintone で高齢者を見守るシステムの試作
https://qiita.com/yukataoka/items/4eb48bcbc8890b5b2277
IMG_7670.jpg
最初は順調に開閉状況を把握できていましたが、忘れた頃にやってくる電池交換が地味に面倒であることが判明しました。私の田舎は自宅から約1時間少し離れていて、往復で2時間半程度がかかります。忙しくなければなんら問題ないのですが、電池切れのタイミングに限ってバタバタしていることが多く、なんとかならないものかと考え始めました。

そこで、先ずはひげ付きボタンの電池交換のタイミングを予測できないか分析するとともに、いっそのこと開閉を計測する冷蔵庫の100Vコンセントを利用して電池交換を無くせないかと考えて、実際に試作してみました。今回はその分析と試作をこちらにまとめました。

ひげ付きボタンの電池残量の分析

先に試作した高齢者の見守りシステムではひげ付きボタンの電池残量のレベルデータも保管していました。以下は電池の残量レベルの推移をグラフにしたものです。
BTN01.png
青色が我が家の冷蔵庫の開閉を記録するひげ付きボタンですが、グラフを一見するだけで約1か月で電池交換していることがわかります。

一方で赤色は田舎の実家ですが、母親が7月下旬に体調を崩して入院後8月中旬に退院するまで冷蔵庫の開閉がなく、その後9月17日までは計測できていました。何も言わずに入院していたので、ひげ付きボタンの活躍で入院を察知するとことまでは狙いどおりでした。ですが無事退院後しばらくしてからの9月18日から24日までの間、ひげ付きボタンの開閉通知があったりなかったりが数日続き、その後完全に沈黙する現象が発生しました。母親の生活リズムと開閉件数から推察して、9月18日から24日までの間の開閉はイレギュラーな状況で、電池の電圧がLTE-M通信のにぎりぎりで推移したため、このようなな状態が5日間続いたと推測しています。

みまもり目的で利用していますので、事前に交換時期を予測して今回のような9月18日から24日までの間のイレギュラーな状況はさけたいものです。

ひげ付きボタンの開閉回数とバッテリー残量の推移

ひげ付きボタンの開閉回数とバッテリー残量の推移を調べるため、開閉回数が多くデータが確保できている自宅の冷蔵庫で、6月16日から10月21日の4か月強のデータの推移を分析してみました。ただ残念なことに、電池はコンビニやダイソーのアルカリ乾電池を交互で入れ替えたため、その辺りの差は考慮できていません。

先ず、電池交換4サイクル分の開閉回数と運用日数を分析した結果が以下になります。

計測電池 開閉回数 運用日数
1セット目 1,506回 31日
2セット目 1,893回 31日
3セット目 1,733回 31日
4セット目 1,255回 27日
平均 1,597回 30日

計測電池の4セット目は開閉回数が1,255回と最も少ないですが、1回の電池交換で平均30日間で1500回以上の開閉回数をカウントしています。

つづいて、バッテリーレベル表示毎に4セット分まとめて分析した開閉回数の結果が以下になります。

レベル 合計開閉数 平均 割合
1.00 921回 230回 14.4%
0.75 1,252回 313回 19.6%
0.50 991回 248回 15.5%
0.25 3,223回 806回 50.5%
合計 6,387回 1,597回 100.0%

バッテリーレベルは4段階計測できますが、最小の0.25レベルの表示が50%以上を占めているため、0.25のレベルに到達した時点は電池の半分程度と予想され通知を出すのには早い状況です。正直バッテリーレベルは参考程度といった感じでしょうか。

以上はあくまで1つの使用環境での計測データで、開閉間隔などで1回の電池交換で開閉できる回数は違ってくると推測されますが、一旦現在あるデータでバッテリー交換時期の最適な通知タイミングを検討してみたいと思います。

ひげ付きボタンのバッテリー交換時期の通知タイミング

先に分析したデータから、0.25のレベルの開閉回数が全開閉回数の半分を占めていますので、バッテリー全体の平均開閉回数の3/4は、バッテリー0.25レベルに到達してから開閉回数の1/2を経過した時点とほぼ同じと言えます。状況を判断する区切りとしては1回の電池交換平均開閉回数の3/4良さそうです。
また、1回の電池交換での運用平均日数が30日ですので、開閉回数の3/4到達時は電池切れ1週間前と想定されます。さらに平均開閉回数の3/4は1,198回となり、開閉回数の最も少なかった4セット目の1,255回に到達する前のタイミングで、電池切れ後に通知という事態を避けることもできます。

以上のことから、開閉回数の平均1,597回の3/4にあたる1,198回到達時点に到達で、電池交換を勧める通知を実装してみたいと思います。(無論、今後もデータを蓄積、分析しつつ通知タイミングは更新してゆくつもりです。)

ひげ付きボタンを家庭用100V電源供給に変更

とはいえ、そもそもひげボタンを設置している冷蔵庫の近くには家庭用100V電源があるので、それで運用してしまえば電池交換という面倒な作業から解放されます。でもそんな都合の良い改造できるモノはないんじゃないの?と検索すると、そんな都合の良いモノが¥3,300で入手できたのでご紹介します。

単4電池形ACアダプター接続ケーブル1m ACアダプター化で電池交換不要! [A-5521-AAABAT-R1m-Y] ¥2,000
https://www.u-nit.shop/items/13796849
ACアダプター 3.3V 2A ¥1,100
https://www.u-nit.shop/items/11608732
単4形ダミー電池 メタルタイプ [DUMMY-BAT4] ¥200
https://www.u-nit.shop/items/17604880

早速、簡単な工作でひげ付きボタンを家庭用100Vから電源を供給できるようにしてみました。
022.jpeg
少しピンとが合ってなくてわかりづらいですが、単4電池形ACアダプターからのコードをひげ付きボタンから出すために、本体のコードの元の部分に切れ込みを入れています。同じようにフタにも切れ込みを入れています。特に難しい加工ではなく、プラモデルなどにつかうニッパーで切れ込みを入れて、小さいヤスリで角をけずるだけの簡単な作業です。

フタをするとこんな感じでコードを出すことができます。
005.jpeg

1セットでこんな感じです。
009.jpeg

実際に以下のように試験運用していますが、全く問題ありません。
021.jpeg

まとめ

皆さんの参考になるかはさておき、自己メモとして結果を以下にまとめました。
・ひげボタンは1回の電池交換で1,597回程度ドアの開閉を計測
・バッテリー最低レベルの0.25の開閉回数が50%以上を占める
・電池交換を勧める最適なタイミングは開閉回数平均1,597回の3/4、1,198回到達時点
・簡単な工作でひげ付きボタンを家庭用100V電源供給に変更可能(問題なく使える)

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