本記事は、クリスマスに向けデータに関する想いや技術をぶっちゃける Advent Calendar 2022 8日目の記事です。
お絵かきつみ木バトルとは
SinkCapitalデータギルドではweb系の知見が多く溜まっていますが、
アプリに関するデータ分析知見が比較的少ないことが将来的な可能性を狭めるリスクがあると考えていました。
そんな中アプリ側のデータ分析の知見も貯めることができるよう、
自社内で作成したスマホアプリが「お絵かきつみ木バトル」になります。
(ここで「なぜゲームなのか」というツッコミがありますが、その理由は櫻井の完全なる趣味です...笑)
幸いゲームにしたことである程度データ量も集まってきたので、
本記事ではそれらのデータを見つつ過去一年間の推移を振り返ってみようと思います。
アプリにおけるデータの所在
まず最初にiosアプリに関わるデータの種類と概要をまとめます
app store connect
app store connectはiosアプリを公開する際に利用するサービスであり、
開発者はiOS、macOS、tvOS、iPadOS用のアプリケーションやゲームをそこで管理することができます。
それと同時にApp Storeにおける閲覧数やダウンロード数などを知ることができます。
そのためデータ観点でいうとAdobe AnalyticsやGoogle Analyticsといった、
アクセス解析ツールと似た役割を担うことができます。
firebase
firebaseはモバイルアプリやウェブアプリ向けプラットフォームであり、
swiftにSDKを入れることでメッセージ送信や機能ログ取得など様々な機能を追加することができます。
データ関連でいうとFirebase Analyticsを利用することが多く、
デフォルトでアプリ内の画面遷移ログを取ることができ、
別途イベントを仕込むことでボタンのクリックなど特殊なイベントを取得することもできます。
イベントログの例
例えば「お絵かきつみ木バトル」では称号システムが有り、
以下のようなイベントを称号取得時に飛ばすことで、
いつどの称号を取得することができたかをログから確認することができます。
Analytics.logEvent("unlock_achievement", parameters: [ "achievement_id": key])
直近12ヶ月のデータを振り返る
今回振り返るにあたって確認したデータはそれぞれ以下のものになります。
- app store connect : ダウンロードまでの数値
- インプレッション数 : App StoreでAppのアイコンが表示された回数
- コンバージョン率 : ダウンロード数 / インプレッション数
- ダウンロード数 : アプリダウンロード数
- firebase : ダウンロード後の数値
- ユーザーのアクティビティの推移 : 特定機関にアプリを使用したユーザーの数
- ユーザー維持率 : 毎日の新規リピーターの割合
- エンゲージメント時間 : フォアグラウンド表示されていた時間の平均値
app store connect
- 季節性はありますが夏休みの期間を除き、インプレッション数はほぼ横ばいになっているように見受けられます
- ASO(App Store Optimization, webでいうSEO)は主に以下内容が影響すると言われていますが、直近12ヶ月では大きく変化がなかったことが伺えます
- キーワード : 説明等は変えていない影響なし
- アプリダウンロード数 : 上記図の通り微増しています
- アプリ利用率 : 後述するエンゲージメント時間でいうと若干下がっているように見えます
- レビュー : リリース初期から4.3~4.5を推移しており、全体数は増加しています
- ASO(App Store Optimization, webでいうSEO)は主に以下内容が影響すると言われていますが、直近12ヶ月では大きく変化がなかったことが伺えます
- コンバージョン率は4月中期から全体的に改善されています
- 2022/04/24にバージョン3.0.0がリリースされ、アイコンや説明画像をデザイナーに作成していただいたものに差し替えた効果が大きくでていると考えられます
- なお2022/08/18から公式ツイッターにてリツイートキャンペーンを実施しましたが、それによる大きな影響は見受けられませんでした...
firebase
- アクティビティの推移は「2022/04のデザイン刷新」「2022/08の夏休み」の影響を大きく受け、数値が2回スパイクしています
- ユーザー維持率は推移が見れませんが、1~3日目に大きく下がっていることから課題がありそうです
- エンゲージメント時間は少し下がっているように見受けられます
まとめ
今回開発したアプリについてデフォルトで見れるダッシュボードを見つつ、
1年間(2021/11~2022/11)の数値を振り返ってみました。
それらをまとめた結果以下のような課題感がありそうだと感じました。
- 流入に関わるASOは結果とともに上がる数値のため、改善活動を行うことは困難だと思われる
- 一方コンバージョンの箇所はデザイン刷新で大きな結果が得られたため、ほぼスクショになっている説明画像の差し替えは改善余地として考えられる
- 利用側は比較が行えていないですが感覚的にユーザー維持率が低いように思われるため、インストール後2~3日目も利用したくなるコンテンツの準備が課題だと思われる
これまではデータ取得方法などの確認を主に行ってきましたが、
今後はデータを使った改善活動なども行っていければと考えています。
ひとまずログインボーナスをつけてみる...?笑
おまけ...
デフォルトのダッシュボードを見るだけだと少し物足りないので、
最後に利用称号別の傾向を軽く見てみようと思います。
※利用が多い代表的な称号における称号別ユーザーあたりのイベント数(≒ゲームプレイ数)
ユーザーあたりのイベント数が多い「faithfulDog」「patient」に当たる称号は入手難易度が高めの称号であり、
獲得できているユーザーのモチベーションも高いことが伺えます。
「エンジョイ勢(casual)」以下の称号は初期から得られる称号ですが、
「ガチ勢(hardcore)」の称号がエンジョイ勢よりゲームプレイ数が少ないのは面白いですね!
やはりエンジョイすることが重要です笑!