はじめに
本記事は、WiFi使用を前提としたESP32の電源LDOとしてRT9080を使ってみたという内容です。
ESP32の電源問題
ESP32 Devkitなどを使っているとUSB給電で問題なくWiFi接続が行えます。
一方でESP32モジュール単体の場合、ほとんどの3.3V出力のLDOでは起動はするものの、WiFi接続をしようとした瞬間にリセットがかかってしまうブラウンアウト問題があります。
WiFi接続は瞬間的に450mA程度の突入電流が発生するため、大抵のLDOでは電圧低下が発生、ESP32の下限電圧を下回ってしまうためです。
この問題の対策として、
- 電源近辺のコンデンサを調整する
- ADP3338などの比較的高価なLDOを使用する
- 可変出力DCDCコンバータを出力高めに設定する
などを講じてきましたが、いずれもシビアな設定やコスト高などの問題がありました。
RT9080 について
RT9080-33GJ5 は、30円という安価ながら過渡応答特性と無負荷時の消費電流特性が非常に良いLDOです。
非常に小さい表面実装部品ですので、変換基板等へのはんだ付けは手はんだでは難しそうです。
主なスペック
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 出力電圧 | 3.3V |
| 出力電流max | 600mA |
| 入力電圧 | 1.2V ~ 5.5V |
| ドロップアウト電圧 | 310mV |
| 無負荷消費電流 | 2μA |
| パッケージ | TSOT23-5 |
過渡応答特性
データシートより、600mAの電流変動に対して20mV程度しか変動しないことがわかります。

回路図
ENピンで出力ON/OFFが制御できます。制御しないならVinに接続すれば常時ONになります。
CinおよびCoutは1μF以上、1mΩ以上のESRのMLCCとのことです。

ESP32で使ってみる
冒頭の回路で最低限のWiFi接続環境を作成、波形を見てみます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| モジュール | ESP32-C3-WROOM-02-N4 |
| 電源 | 単4充電池 x 4 = 4.8V |
| Cin | 47μF |
| Cout | 47μF |
WiFi使用時
WiFi接続した際のLDO出力電圧(CH1 橙)とVin側の電流(シャント抵抗1Ω CH2 青)の波形です。
電流が450mA程度まで瞬間的に増加しても、LDO出力電圧は15mV程度しか増減していないことがわかります。
600mAに対して20mVというデータシートの特性と比率が一致しました。
ディープスリープ時
ESP32-C3をディープスリープにしたときのVin側電流(シャント抵抗10kΩ)の波形です。
58mV / 10kΩ = 5.8μA
LDOの自己消費電流2μA、ESP32-C3のディープスリープ時消費電流5μAなので大雑把に一致、電池駆動させるとしても十分長持ちできる量だと言って良さそうです。
おわりに
コンデンサCinとCoutについて、1μF~100μFまで変えてみましたが特に違いがわかりませんでした。なんなら外しても問題なく使えています。(さすがに外すと過渡応答特性が少し悪くなります)
RT9080はESP32を電池駆動でWiFi接続+ディープスリープの繰り返しをするようなIoT機器、センサー用途に向いていると感じました。
最大出力600mAという点が、WiFi使用の他に何を使うかで使用の分岐点になりそうです。



