ふと思いました
2025年も変わらず、Power BI の仕事をしていました。多くは、企業さんから依頼を受けて、初学者向けに Power BI の研修を担当していました。その他、データ周りのコンサルティングもやってきました。2026年も引き続き、大きく変わらない予定です。
そんな仕事をしていて、ふと思ったのです。
「BI は多くの企業にとって、2026年も新しいものなのか?」
これについては、2つの視点で見ていかないといけないかなと思います。ひとつは組織の視点。もうひとつは個人の視点。というわけで、それぞれの視点で見ていきましょう。
BI とは何か?の確認
BI は Business Intelligence の略です。
👆図は私が「BI とは?」を説明するときに使用しているものです。
向かって左側、様々な現場があります。工場で働いている方、オフィスワークをされている方、店頭で接客業をされている方など、他にも様々な現場で様々なお仕事があるでしょう。
どんなお仕事をされていても、1日の中で IT のシステムを一切使わないという方は、2026年現在、あまりいないことでしょう。勤怠システムはもちろん、執務エリアに入る時、カードをかざすカードリーダーも IT のシステムに繋がっています。
そうして、通常業務により自然とデータが増えていきます。このデータを時系列に沿ってグラフにするだけで、一定の傾向は見えてくるものです。いわゆる、可視化というやつですね。この可視化は、何も専用の BI ツールを使わなければできないわけではありません。いまや業務用の PC であれば、必ずインストールされているであろう Excel で十分にできることです。
2026年現在は、クラウドの時代になって久しいですから、仮にグラフを作成した Excel ファイルをクラウドストレージに保存しておけば、通勤時の電車の中で、スマホを開けば、見ることができますね。つまりどこでも確認可能で、場所を選びません。
可視化されたグラフを見ていると、普段とは異なる傾向が見えたり、このままでは目標値に届かないぞとわかったりするものです。そういったインサイト(気付き)を得た時、人は原因と対策を自然と考えてしまいます。この時点では仮説に過ぎません。ですが、その仮説を確かめるために、意思決定をして、現場に指示を出します。この指示はこれまでとは違った動きを指示するものです。追加の作業なのか、あるいはこれまでの作業の方法を変更するものか。どちらにしろ、その仮説を確かめることができる変更であり指示です。
現場での動きが変われば、溜まるデータが変わります。つまり可視化されたグラフの傾向に変化が見られるはずです。この変化が推測通りであれば、仮説は正しかったということです。もし、推測通りでなければ、仮説は間違っていたということになります。
「間違っていたら、どうするんですかっ!?💢😤」
という人がたまぁ~にいらっしゃいますが、全くネガティブなことではありません。可能性がひとつなくなるわけですから、次の仮説を試せばいいのです。
そうして、ひとつずつ、何度も何度も試していく。すると、必ず改善できる。ここでポイントになるのは、このサイクルをどれだけ早く回すことができるかということ。前日のデータが今日見られるようになっていると理想ですよね。昨日試した結果が今日わかるようになっていれば、このサイクルを最速で回すことができるでしょう。
つまり、BI とはツールを導入すれば実現できるものではなく、業務プロセスの話です。言い換えれば、経営手法のひとつです。どんなツールでもそうですが、組織に合った使い方をしなければ、意味がありません。何を使うか?の前に、
- 何を改善したいのか?
- そのためにどのように使うのか?
- どんなことができるとそれが実現できそうか?
これらに対する解があって、その後に、どのツールを使うのか?(何を使うのか?)が来るのです。経営層がこれを論理的に考えて、現場に論理的に伝える必要があります。
よって、BI とはツールのことではありません。経営手法そのものです。組織をどのように経営するのか?を定義し、業務活動の結果であるデータを利用して、同じ失敗を繰り返さないよう、経験を生かしていく仕組みです。
これが私の考える「BI とは何か?」です。(異論は認めます👍
組織にとって、BI は新しいものか?
はっきり言うと、BI が新しいものだと認識している組織は、かなりヤバいでしょう。おそらく、DX はおろか、デジタル化さえ進んでいないのではないでしょうか。
上記ですでに説明した通り、BI とはツールのことではなく、業務プロセスそのもの、経営手法そのものです。もしかしたら、BI という言葉を使ってはいないが、それならばウチはこのようにやっているよ、という組織はあることでしょう。その場合は、それで OK です。
BI という言葉は、生成AIのようにここ数年で広まったものではなく、その歴史は既に20年以上経っています。言葉として、全く新しいものではありません。
組織にとって、BI がもし「新しいもの」だとしたら、可能性は2つ。
- 業務プロセスが論理的に定義されていない
- 経営層が勉強を怠っている
どちらもとても恐ろしい状況です。大航海時代に羅針盤なしで、大海原を進んでいるような状況ですね。現代で言えば、スマホもなければナビゲーションシステムもなく、またスピードメーターさえない状態で、車を運転しているような状態です。運が良ければ目的地に辿り着けますが、神のみぞ知るというところでしょうか。
- 今どこにいるのか、現在地がわからない
- 目指すべき方向がわからない
- このまま進んでいいのか、わからない
- 資金が足りるのか、わからない
- 設備や人材といったものにいくら投資できるのか、わからない
待っているのは、経験と勘と努力(根性)でしょう。
そうならないために、日々の業務活動を2次利用可能なデータにしておくことから始めるべきです。人は経験から学ぶことができますが、組織になるとその経験をデータ化しておく必要があるのです。そうしなければ、メンバーに経験を共有することができません。伝統的なものづくりがそれを物語っていますよね。もちろんデータ化できないことも多々あります。だからこそ、データ化できることはさっさとデータ化してしまう。そうすると、人間の勘や感性、個性が生かせるようになります。
組織って、人の入れ替え可能な点が最大の利点です。その利点を生かすために、共有知をデータ化しておくこと。これは昨今話題の AI の利活用にも生きることです(というか、最初の一歩です
最後に、この項の質問に答えるなら、
「所属する組織にとって、もし BI が新しいものならば、それぞれの立場でいろいろと考えるチャンスかもしれませんね」
ということです。
個人にとって、BI は新しいものか?
もし「私にとっては、BI は新しいものなんだよ」という方がおられるのであれば、それは単にこれまでやってこなかった、というだけです。何の問題もありません。
もし「BI は言葉として知っているし、ウチの組織は導入済みだけど、そんなに恩恵を受けているようには感じないな。勉強が必要だとも思えない」という方は、少し考えてみて欲しいことがあります。
先日 ITmedia にこんな記事が出ていました。
ニュースソースは Gartner Japan です。
タイトルにあるように、同調査は企業に所属する個人を対象として2025年9月に実施されたようで、データ活用の成果について「全社的に十分な成果を得ている」と回答した割合は2.4%だったそうです。記事では、日常業務で忙しいのに、従業員が専門性の高いデータ活用を実践する難しさを指摘しています。要は、できるわけないじゃんと言っているように見えます。
指摘はもっともですが、それを言ってしまったら、元も子もなくなります。
組織においては、皆さんそれぞれ役割をお持ちでしょうから、すべての人が BI を学ぶ必要があるとまでは言えないでしょう。ですが、所属組織がどのような業務プロセスで運営(経営)されているか、については、知っておく必要があります。それはビジネスモデルですからね。大枠のビジネスモデルがあって、その中で自分はこの部分を担当しているといった、マクロからミクロの視点を持っていることは、ビジネスパーソンに求められることでしょう。
気になるとしたら、「そんなに恩恵を受けているように感じない」という点です。BI は正しく使っていれば、なくてはならないものになります。先ほど挙げた例で言えば、航海にとっての羅針盤、車にとってのダッシュボード(各種メーターやナビ)です。なければ、まともに目的地に到着できません。
もし大して恩恵を受けていない(=データ活用の成果が感じられない)と思うなら、組織が BI を正しく使用できていない可能性があります。そして、BI というものが自組織にとって、どういうものと位置付けているのか?その定義がない可能性がとても高い。
個人レベルにおいても、こういったことを考えずにいると、宝の持ち腐れになってしまうことでしょう。とてももったいないことなのです。自分たちの活動の結果から学ぶ。失敗を繰り返さないために。成功するために。これは、人間だけでなく、すべての動物に備わっている「学ぶ」というスキルです。
人間が動物と異なるのは、データを利用して、さらに高度に学ぶことができるということです。時にそれは、未来予測にまで及びます。これは動物には難しいことです。時間という概念を動物は持っていませんからね。
そろそろ、人間らしく考え、現代人らしくツールを使いこなし、ビジネスマンらしく結果を残しませんか?
現状に文句を言うことは誰でもできます。それを解決できるのが、仕事ができる人です。そうしなければ、組織において、評価はされませんし、給料も上がりません。
BI について考えることは、そういった可能性を秘めているのです。なぜなら、それは経営手法ですから。
最後に
私は BI は「新しいもの」とは思っていません。仕事にしているからです。ですが、それぞれの立場で考えたとき、今でもなお「新しいもの」であるならば、いち早く、普通に使うものにしてほしいと願っています。
願わくば、何かのきっかけになれば、幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
