Power BI Advent Calendar 2025 のオオトリです
Happy Holidays🎄🎉✨
この記事は Power BI Advent Calenar 2025 のシリーズ1 Day 25 の記事です。
Advent Calendar を立ててくれた 須藤さん、そして毎日の記事を投稿してくださった皆様、ありがとうございます。毎日、楽しみに読まれていた方も多かったことでしょう。
2025年は皆様にとって、どんな年になりましたか?
良いことも悪いこともあったかもしれません。
Power BI やデータにまつわることだと、どうでしたか?
こちらもまた良いこと悪いこと、あったかもしれません。
- 今年 Power BI を使い始めた人
- 既に Power BI を使いこなしている人
- 昨年よりも Power BI でできることが増えた人
- 来年はもっと Power BI のスキルを磨くぞという人
- 組織内で Power BI を広める役割を与えられ悩んでいる人
- Fabric でもっと便利にならないかなって思っている人
実に様々な人がいるでしょう。
どんなステージにいても、ひとつ👆を目指していれば、必ず次のステージに進めるものです。
大事なのは続けること。「継続は力なり」とはよく言ったもので、継続している限り、大丈夫です。
その力はすべて自分のものになるのですから。
来年もまた継続していきましょう。
この記事では、今年を振り返りつつ、来年に向けて備えるために何を考えればよいか?
Microsoft MVP を受賞している私の思うことを記してまいります。
Microsoft MVP は Microsoft 社員ではありません。社員以外の人を対象にしたアワード制度です。詳細は 公式の MVP サイトをご覧ください。ここから書いていくことは、現時点で私が勝手に思っていることです。あしからず。
やはり Fabric と Copilot は無視できない?
ここからは少し、Power BI の今年を振り返ってみます。
Microsoft の年次イベントといえば、Microsft Build と Microsoft Ignite でしょう。どちらも毎年恒例の技術者に向けたイベントになって久しいものです。そして 2023 年に Microsoft Fabric が出てきてから、Power BI のセッションというものはほぼなくなり、Fabric のセッションの中で、Power BI が少し出てくるようになりました。個人的にはものすごく寂しく感じていますが、セッションがないだけで、アップデートの件数は減っているものの、ないわけではありません。
ついに Power BI service に待望の機能が...⁉
そんな中、ずーっと言われていた待望の機能が Power BI service に追加されました。
Power BI service でセマンティックモデルを作成・編集できるようになったのです。
これまで、Power BI でレポートを作成して、組織内に共有する場合、
- Power BI Desktop でレポートを作成する
- Power BI Desktop でレポートを Power BI service に発行する
- Power BI service にレポートとセマンティックモデルが作成される
- Power BI service でレポートを共有する
このような流れになっていました。
そう、標準的なレポートの作成方法には、Power BI Desktop が必要でした。Power BI Desktop は Windows のデスクトップアプリケーションなので、Mac 勢にとっては使えないものでした。使用する場合には、仮想マシンに Windows をインストールして利用するなど、つまりは Windows を用意しなければならなかったのです。
これに対しては、だいぶ昔、それこそ2017年くらいだったかと思いますが、その頃から Mac 版の Desktop は作られないのか?という問い合わせがあったものです。
今年、Power BI service でセマンティックモデルを新規作成できるようになったことで、レポート作成がブラウザで完結することができるようになりました。Windows マシンを用意して、Power BI Desktop をインストールして...という作業が、Mac ユーザーにはもはや不要になったということです。
Microsoft はこの点を強調してアナウンスしていますが、私は生粋の Windows ユーザーですから、ぶっちゃけ重要な点はそこではないと考えています。
まず、セマンティックモデルだけを簡単に用意することができるようになったということが注目すべき点でしょう。これまではセマンティックモデルが必要だとなった場合、Power BI Desktop でモデリングまで行い、レポートを発行していました。ただそうすると、Power BI service 上にレポートとセマンティックモデルが作られます。この時、作成されるレポートは実際には何の意味もない空のレポートです。
この手順が不要になったということです。ブラウザで Power BI service を開き、セマンティックモデルを新規に作成する。セマンティックモデルを作成するには、当然 Power Query でデータを取得するところから作業が必要ですが、もちろんブラウザで Power Query で [データを取得] からできます。
想定されるシナリオですが、データフローと比較して考える必要があります。Power BI dataflow は Power Query Online とも呼ばれ、Power Query で ETL を行う部分とその結果を CSV 形式で保存しておくという機能が提供されています。(← Dataflow Gen1)
整形済みのデータを共有したい場合はデータフローが向いています。一方、セマンティックモデルは、モデリング済みのデータを共有することができるので、ユーザーは即座にデータを利用することが可能です。データフローもセマンティックモデルも、共有されて初めて価値を発揮するというところは共通なのですが、その形が異なるということです。これは利用シナリオに合わせて、選択するとよいでしょう。
Fabric はさらに進化をしているが、今年はそれよりも Copilot に光が...
昨年は Fabric のアナウンスがとても多かったのですが、今年は Copilot の進化と新機能のアナウンスが増えたように感じます。実際、仕事で研修をやっていると、Copilot 関連の質問もちょこちょことされるようになってきました。
ここで言及しておきたいのは、
「Power BI 勢は Copilot を使えるようになっておくべきか?」
についてです。
結論から言うと、
「そんなに気にしなくていいんじゃない?」
って感じです。
Power BI の Copilot は、
- レポート作成時のサポート
- DAX 式のサポート
- レポート閲覧時のサポート
- テナントにあるレポートやデータの検索
- セマンティックモデルのデータ分析
などが行えます。作る時も出来上がったものに対してもユーザーをサポートしてくれるというわけです。
中でも多くの人が期待するであろう機能は、データ分析をやってもらうことでしょう。レポートにはグラフが並んでいるわけですから、本来人間がグラフを見て、その特徴や傾向を捉えて、いま何が起きているのか、これからどんな対策が必要なのか、を考えるのが BI のデータ分析です。
これについて、Copilot にやらせると、特徴や傾向を捉えることはある程度できるようになってきましたが、いま何が起きているのか?どんな対策が必要なのか?については、現状ではできません。というか、この先も不可能でしょう。なぜなら、Copilot は皆さんのビジネスモデル(業務)を知らないからです。データだけを見て、現場にフィードバックできるくらいの対策案が作れたら、それはとてつもなく素晴らしいことですが、現時点では夢物語です。
可能な限り、Copilot にデータ分析をやってほしいと思うなら、準備が必要です。
- モデルをちゃんとスタースキーマにする
- AI 用のデータを準備する
1. モデルをちゃんとスタースキーマにする
Copilot は OpenAI の LLM を元に作成されていますが、他の生成AIと同様、決して万能ではありません。まして、データを見て、その傾向を捉え、分析する場合、データの品質が回答の品質に直結します。つまり、
- 汚いデータからは質の低い回答
- きれいなデータからは質の高い回答
が得られるということです。ならば、我々人間は、可能な限り、きれいでわかりやすいデータを用意しなければなりません。そして、Power BI の Copilot は Power BI のために最適化されているので、最もわかりやすいデータモデルはスタースキーマということになります。なぜなら、Power BI はスタースキーマとしてモデリングすることを前提にしているからです。
従って、
「Copilot は生成AIなんだから、スタースキーマになんてしなくてもわかってくれるだろう」
なんて考えることは、愚の骨頂だと言えます。
「郷に入っては郷に従え」
昔の人は本当に良いことを残してくれました。Power BI を使うなら、その前提に従うべきなのです。
2. AI 用のデータを準備する - Prep data for AI
Learn の記事にもあるように、スタースキーマにした後、AI 用にデータを準備する必要があります。この作業は Power BI Desktop と Power BI service のどちらでもできるようになっています。
これは「こう言われたら、これのことな」と予め定義をしておくとことで、Copilot が回答する時に可能な限り、そのルールに従ってくれるものです。
例えば、英語で「売上」を表す表現は複数存在しますが、"sales" と "revenue" という単語で考えてみましょう。モデルの中のひとつのテーブルに "Sales Amount" というメジャーがあったとします。
今月の売上を教えて欲しくて、
「Tell me this month's sales.」
「Tell me this month's revenue.」
と、尋ねられたとき、期待するのは "Sales Amount" の今月の合計値を教えてもらうことです。厳密に言えば、"sales" も "revenue" も、該当する列名やメジャーは存在しないため、答えることができないのですが、これをより"sales" または "revenue" は "Sales Amount" のことだよって、教えておくのが、この「AI 用のデータを準備する」機能です。他にも文章でこう言われたらこれのことね、と定義しておくことができますので、Power BI で Copilot を使いたければ、これを必ず定義しておいてください。
ただし、以下の [Note] を見逃さないでください。
「~AI の動作は非決定的です。Copilot は、同じ入力であっても、常にまったく同じ応答を生成するとは限りません。」
実に AI らしいですよね。AI は再現性が担保されていないので、「こう言えば、こう」ということは期待できません。極論、データがまったく変わっていないのにさっきと違うこと言い出したぞ...という可能性もあるのです。
Copilot を使おうが使うまいが...
これを読んでいる方の中には、Power BI で Copilot を使いたいと思っているが、ライセンスがないから使えないんだよって方もいるでしょう。他の AI も同様ですが、AI を使用するには、お金がかかります。それでいて、かなりその癖を理解して使わないと、金額分の恩恵は受けられないのが実情です。
👆でも既に書きましたが、Power BI で Copilot を使うにしても、必ずスタースキーマにしなければなりません。では、Copilot を使うつもりがなければ、スタースキーマにしなくてもよいのか?というと、もちろん答えは「否」です。Copilot を使わなくても、きちんとスタースキーマにする。これが失敗しない Power BI の使い方と言えるでしょう。
「いいから黙って、スタースキーマにしなさい。さすれば、失敗の確率は減る」
どうやら、2026年も Power BI を使う限り、これは変わりがないということは、確実に言えることです。
個人的に今年を振り返ってみます
仕事では、Power BI の研修を今年もたくさん担当しました。ざっと数えると400人くらいの方に参加いただいたことになります。いずれも、誰もが知っている企業の方でした。
研修の中で
「これまでなんとなく使っていたが、こうやって使うんだと初めて知った」
という趣旨のコメントを一番多くいただきました。
私の研修では、レベルが高いとされることは一切お話しません。Power BI を使うにあたって、絶対に知っておかなければならない「基本」について、お話しています。
それは以下の3つです。
- スタースキーマ
- 日付テーブル
- タイムインテリジェンス
これら3つを知っていれば、研修後に自走ができるのではないかと思っています。そのスタートラインに参加者の方を連れていくのが私の研修のゴールです。
こういった初学者向けの Power BI 研修に興味がある方は、お気軽にご連絡ください。各種 SNS で構いません。
もちろん実際には、その後、業務で使い始めて、悩むこと、考えることが多々出てくることでしょう。それでも、それら基本を知らなければ、文字通りスタートラインに立てないと考えています。これは、これまでたくさんの企業様に関わってきてたどり着いたひとつの解です。
たとえ Power BI ではなく、Fabric に興味があって、導入を進めている、あるいは既に導入したんだという場合でも、Power BI からは逃れられません。ぜひとも Power BI から学ぶことを強く推奨しております。
さて、今年10周年を迎えた Power BI ですが、現在でも上記のようなコメントをいただくのはなぜでしょうか?
やはり BI は難しい。故に Power BI も難しい
それはひとえに BI の難しさがそこにあるのでしょう。Microsoft は Power BI Desktop を無償で提供していることも理由になるかもしれません。無償で提供されているが故に、Excel の代わりに使ってしまうユーザーが後を絶たないのです。人によっては
「Power BI は Excel の上位互換(上位に位置する)」
なんて言う人(思っている人)もいます。言わずもがな、これは完全なる間違いです。それぞれ異なる製品ですからね。同業他社ならまだしも、ひとつの企業が提供している違う製品を比較することには、さほど意味がないわけです。
質が悪いとさえ言えることに、多くの Excel ユーザーが特に勉強をしないで「自分は Excel を使える」と思い込んでいることがあります。そう思ってしまっているユーザーが Power BI は Excel の上位にある製品と思ったら、どうなるか?
Power BI もまた、勉強せずに使い始めてしまい、「自分は Power BI が使える」と思い込んでしまうのです。おそらく、リリースから10年経過してなお、誰もが知っている企業に所属している人が、その基本を知らないユーザーになってしまっているのは、こういったことが原因なのではないかと、2025年は強く感じました。
誤解されると困るので、明確に書いておきますが、私はそのようなユーザーの皆さんを見下したり、馬鹿にするようなことは一切ありません。むしろ、きちんとした勉強の機会を与えていない、組織の責任者に問題があると思っています。
なぜなら、そういった企業では、Power BI または Fabric が既に導入されているからです。ということは、導入を決定した人がいるんですよね?その人は、その責任を負うべきだと考えています。
新しい製品を全社導入するなら、ユーザー教育まで計画に入れなければなりません。そこを疎かにした計画を通したのであれば、それは責任者の問題です。
Power BI は難しい。そして Excel もきちんと使うには勉強が必要です。共通するのは、データを扱うことができるという点ですから、当然データの勉強は避けて通れません。忘れてはならないのは、共に業務の中で使用するツールだということです。それは組織を良くするために使わなければなりません。そのツールを使用することで、仕事が増えているようでは、使い方を間違っている可能性があります。
もし、心当たりがある方は、ぜひとも2026年はいま一度見直しをしてみてください。
困った時には、相談に乗りますので、お気軽にご連絡をー📢
スタースキーマなどの基本はわかってるよって人へ
お願いがあります。
ご自身で
- スタースキーマ
- 日付テーブル
- タイムインテリジェンス
はわかっているし、普通に使えるけどっていう人は、ぜひとも同僚に教えてあげてください。組織の中で広めてください。コミュニティで積極的に発信してください。
分かっている人が、繰り返し説明をして、まだわかっていない人に伝えてあげないと、組織としての BI は成功しません。つまり、いずれあなたの組織では Power BI の使用をやめてしまうことにつながりかねないのです。それを防ぐには利活用を推進する必要があり、そのためにはできる人ができない人に教えてあげる必要があります。
これから組織内で Power BI を広めていくんだ!っていうフェーズの場合は、まずはできる人を育ててください。そしてできる人をさらに増やし、各部署に配置してください。各部署に配置された人はその部署内で広める役割を担います。といった具合に中央から各部署に広げていく。こういった計画が必要になります。これは外部の人間がどうこうできるものではないので、コンサルタントに依頼したり、外注にお願いするべきことではありません。自社のメンバーで頑張ることです。
組織の中で新しいスキルがどうやったら広がっていくか、これは戦略的かつ計画的に推進する人が絶対的に必要なのです。
「Power BI のご利用は、計画的に。」
最後に
Microsoft は Power BI / Fabric の開発元ですから、当然次から次へと新機能を出してきます。そして新機能をアナウンスしてきます。実際は多くのユーザーは、新機能ではなく、基本的な使い方をきちんと教えてくれーと思っているわけですが、Microsoft は直接的にそれには応えません。なぜなら、Microsoft Learn をはじめ、各種ドキュメントや勉強するための情報を既に提供しているからです。
ユーザーはそれらの情報を自ら探し、手に入れて、学ばなければなりません。もし Power BI に関して、そこをショートカットしたければ、お声がけください。お仕事として対応させていただきます。もし、個人的にスキルアップをしたいというのであれば、各種ユーザーコミュニティに参加してみてください。参考までに Power BI 勉強会のリンクを記しておきます。
皆さんの来年がより良い Power BI Year になることを願っています。Yugo でした。
