#Power BI Advent Calendar 2020 のオオトリです
Merry Christmas🎄🥳🎉
今年は皆さんにとって、どんな年でしたでしょうか?
コロナウイルスで大変だったのは、言わずもがな、だと思いますが、コロナのせいにしても致し方がないことなので、1週間後に始まる新年にきっちりと準備をして臨みたいところですよね。
さて、この記事は Power BI Advent Calendar 2020 の最後の記事ですので Power BI のこの一年をちょこっと振り返りながら、来年の Power BI を考えてみましょう。
#【記事を投稿してくださった皆様へ】ご参加いただきありがとうございます!
本文を始める前に、今年は去年とはまた違った方々がバラエティーに富んだ記事で参加してくださいました。
本 Advent Calendar の発起人として、御礼申し上げます。ありがとうございます😄👍
#私の思う BI とは?など大前提
本記事を読んでいただく前に、お時間のある方は私の昨年の記事に目を通していただけると幸いです。
Power BI の今後、2020年に向けてちょっと未来のお話
https://qiita.com/yugoes1021/items/185f2292923243627b1a
- BI とは?
- 2019年の Power BI および Power Platform の進化
- 世の中の状況
- 市民開発者が必要な理由
などを書かせていただきました。
以降、昨年の内容を前提に 2020 年版を書いていきます😁
#まずは2020年2月発表のガートナーのレポートを見てみましょう
おそらく読者の方は既に読んでいらっしゃると思いますが、2020年2月に発表されている Microsoft named a Leader in Gartner's 2020 Magic Quadrant for Analytics and BI Platforms によると、Microsoft は変わらず、BI の分野の分野で Leader に位置付けられています。
Gartner のレポートはこの Power BI blog の記事からダウンロードできるのですが、読んでみるとガートナーは Analytics and Business Intelligence という言い方をしています。つまり BI with AI ということで、分析が自動で行われるのが当たり前ということを示唆しています。
ガートナーは、単純に AI 機能付きの BI を示唆しているのではなく、データを準備して、可視化をしたら、自動で傾向を分析してくれる AI を示唆しています。つまり自動分析機能です。ここが BI ツールの差別化要素になってきていると言っています。
これは非常に望ましいものですよね。可視化のために貯めたデータですから、モデリングは完了しているはずです。Power BI の場合は セマンティックモデル、つまり対象ビジネス(業務)を表現したデータモデルなわけですから、それを自動で解釈して、AI 的に分析してくれる、というのはとても理にかなっていて、可能性が高いことなのです。事実、Power BI Q&A や Smart Narrative など、既にそういった機能が提供されています。(ただし、テーブル名やカラム名を認識して動作するので、日本語だと動かないものもあります。あしからず。)
そうした Analytics and Business Intelligence (ABI) プラットフォームに求められる重要な機能(領域)として、以下の15個が挙げられています。
たしかに Power BI はこれら 15 個の機能のうち、最も多くのものを既に実装&提供していると評価され、Leader に位置付けられているのだと思われます。
##2021年の Power BI
2020年2月のガートナーのレポートを見ると、Power BI がガートナーの予測を非常に重視していることがわかります。今年のアップデートはすべてガートナーのレポートの文脈に沿っているからです。だとするならば、2021年の Power BI がどうなるのか?ガートナーのレポートに引き続き沿って、アップデートが進められることが予想されます。2021年版のガートナーのレポートが出たら、即座に読むことをオススメします。
#2020年の Power BI in Power Platform
今年の Power BI を振り返ると、セルフサービスBI と エンタープライズBI の純粋進化と融合、ということになります。ここではどんなアップデートがあったか、列挙することはしません。(数が多過ぎてできません😇)
もしどんなものがあったか確認したい方は以下をご覧ください。
Power Platform 2020 release wave 1 - Power BI: (2020.04 - 2020.09)
https://docs.microsoft.com/ja-jp/power-platform-release-plan/2020wave1/business-intelligence/planned-features
Power Platform 2020 release wave 2 - Power BI: (2020.10 - 2021.03)
https://docs.microsoft.com/ja-jp/power-platform-release-plan/2020wave2/power-bi/planned-features
release wave とはいわゆるロードマップで、Power Platform は wave 1 と wave 2 があり、4月~9月が wave 1、10月~3月が wave 2 と呼ばれています。つまり現在 wave 2 の途中です。
余談ですが、次回の Microsoft Ignite は 2021年3月2日 ~ 4日 に開催されると既に 告知 がされていますので、タイミング的に wave 2 終わりということになります。これまで 9月~10月 頃に開催されていた Ignite で wave 2 の内容が発表されていたのですが、次回は2021年は3月に開催され、ちょうど wave 2 の終わりだとすると、今後 Ignite は年2回の開催になるのか…?と思えたりもしますが、これは完全に私の個人の見解です😇
さて、話を Power BI に戻すと、セルフサービスBI と エンタープライズBI の純粋進化と融合という風に書かせていただきましたが、リリースされた機能として、大きなものを見ると、やはり記憶に新しい以下2つになるでしょう
- Power BI Premium Generation 2
- DirectQuery for Power BI datasets and Azure Analysis Services
順に触れていきます。
Power BI Premium Generation 2
Power BI Premium Generation 2
https://docs.microsoft.com/ja-jp/power-bi/admin/service-premium-what-is#power-bi-premium-generation-2-preview
Microsoft Ignite 2020 で発表された Power BI Premium Generation 2 (通称 Premium Gen2) は公式ドキュメントにて、以下のアップデートおよび改善点がアナウンスされています
ひとつ目は Ignite で驚きを持って発表されましたが、Premium per User と呼ばれているユーザー単位の Power BI Premium のライセンスです。これまで Power BI Premium は、テナントに割り当てるものでした。最低でも月額50万円以上~だったので、組織が導入していない場合は試用することも難しかったです。Azure Power BI Embedded をテナントに割り当てれば、Premium Capacity (プレミアムの機能) を一部使用することはできたのですが、従量課金かつやはりそれほどお安いものではなく、Power BI Premium の AI の機能を使おうとすると A3 以上である必要があり、月額30万円(450円/時)以上です。Premium per User は現在プレビュー中で誰でも試せるものになっており、かつ業界内で最も競争力のある価格で提供するとアナウンスされていますので、興味のある方はぜひ試してみてください。今がチャンスです。
2つ目以降は、パフォーマンスの向上、スケーリングの向上、メトリックの改善、自動スケーリングの設定、管理者への通知など、エンタープライズBIを実現する Power BI Premium に必要な機能が強化されています。詳細は公式ドキュメントをご覧ください。
DirectQuery for Power BI datasets and Azure Analysis Services
DirectQuery for Power BI datasets and Azure Analysis Services
https://docs.microsoft.com/ja-jp/power-bi/connect-data/desktop-directquery-datasets-azure-analysis-services
https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/blog/directquery-for-power-bi-datasets-and-azure-analysis-services-preview/
さて、もうひとつは DirectQuery for Power BI datasets and Azure Analysis Services です。これは Power BI Service に発行された Power BI Dataset と Azure Analysis Services に DirectQuery で接続できるようになったよ、というもの。これらに接続する際は、これまで ライブ接続 でした。今回 DirectQuery が使用できるようになったことで、別のデータソースを取り込んで、データセットが構築できるようになりました。
どういうことかというと、例えば今回リリースされたこの機能を使用して、Power BI Desktop から既に発行済みの Power BI Dataset に DirectQuery で接続したとします。ところがどうしてもひとつマスターデータが足りず、手元の Excel ファイルを追加したいとします。これまで ライブ接続 では、手元のデータを新たに追加するということができなかったのですが、DirectQuery で接続している場合は、インポートモード で取り込んだデータとの複合モデルを作ることが可能ですので、手元の Excel ファイルを取り込んで、リレーションを貼ることが可能なのです。
詳細は以下の URL がオススメです。
英語の記事ですが、大丈夫。ブラウザの翻訳機能をご利用ください。またどちらの記事にも YouTube 動画があります。とてもわかりやすい英語で見れますので、臆することなく、見てみてください。英語がわからなくても、動画を見てるだけで、わかることもあります😇
New composite models in Power BI: A milestone in Business Intelligence
https://www.sqlbi.com/articles/new-composite-models-in-power-bi-a-milestone-in-business-intelligence/?fbclid=IwAR2lNqeVapJDwSRHEkqD8mOtcsxpYPxpsn3nJdfJjWk8vRXzcv3p43yE-g4
DirectQuery for Power BI datasets and Analysis Services. The composite model with Analysis Services. What is it and why it is a big deal?
https://radacad.com/directquery-for-power-bi-datasets-and-analysis-services-the-composite-model-with-analysis-services-what-is-it-and-why-it-is-a-big-deal
特に2つ目の記事のこの画像、とても良いと思います。
最近の Power BI のアップデートを端的に表現していて、エンタープライズBI が セルフサービスBI を支えている。
エンタープライズBIが Power BI Premium で実現されていても、結局のところ、末端のメンバーまで BI 文化 が浸透していて、誰でも必要に応じてセルフサービスBIができる状態というのが、最強の組織だということは、想像に難くないと思います。
私はこの画像がとても好きです🤩👍
Power Platform のアップデート
Power BI は Power Platform のサービスですから、 Power Platform の話に触れないわけにはいきません。
Common Data Service が名称を変え、Microsoft Dataverse になりました。そして、Microsoft Teams が使えるライセンスがあれば、Teams 内で使用できる Microsoft Dataverse for Teams も提供されています。
上の図の Teams と Power Apps, Power Automate, Power Virtual Agents, Power BI が重なっている部分がそれを表しています。
ひとつ注意点があるとすれば、Teams のアプリで Power BI もあり、Power BI Home がほぼそのまま表示されますが、Power BI を Teams* 内で使用するには Power BI Pro ライセンスが必要です。この点が、Power Apps, Power Automate, Power Virtual Agents と異なります。
#情報処理推進機構(IPA) からのメッセージ
ちょっと視点を変えて、情報処理推進機構 (IPA) の「IT人材白書2020」をご紹介しておきます。その中で何が言われているか?
NoCode/LowCode (ノーコード/ローコード) 界隈だけでなく、IT 業界にはとても大事なメッセージが含まれています。
IT人材白書2020はこちらからダウンロード可能です: https://www.ipa.go.jp/jinzai/jigyou/about.html
ユーザー企業にIT人材の人数に対する過不足感をアンケート結果。過不足感なので定性的なアンケート。
年々「大幅に不足している」「やや不足している」が増えていることがわかる。
2つ目はユーザー企業におけるIT人材の質に関する定性的アンケート。
こちらもやはり「大幅に不足している」「やや不足している」が過去5年大きくは変わっていないことがわかる。2019年度に関しては実に 90.5 % が不足しているという回答。
こちらはユーザー企業内で内製化を進めているか?というアンケートを企業規模で分類した結果。
右が2018年度、左が2019年度。「企画・設計など上流の内製化を進めている」と「プログラミング工程を含めた全体工程の内製化を進めている」のを合わせて見ると 2018 年度が 47.9 %、2019 年度が 52.9 % なので、全体として内製化を進めているユーザー企業は増えていることがわかる。
こちらはユーザー企業内でITに関する業務をどの部門が担当しているかについての回答。どの分野もIT部門(紫)が多いが、内容によっては事業部門が担当していることがわかる。
そしてこちらで A:上流の内製化を進めている(N=248)、B:プログラミング工程を含めた全体工程の内製化を進めている(N=186)、C:進めていない(N=338) と分けて計算すると、
全体が N=772 となり、A: 32 %, B: 24 %, C: 44 % という割合であることがわかる。つまりこちらの結果で見ても、ユーザー企業の半分以上 ( 56 %) が何らかの内製化を進めていることがわかる。
これはとても良い傾向であると思われる。
上記の画像は エンジニアフレンドリーシティ福岡フェスティバル2020【2日目】12/12(土) で登壇させていただいた際の資料からの抜粋です。
スライドはこちら: ノーコードだよ!全員集合!! ~ 技術者も業務担当者も大歓迎 ~(仮)
YouTube はこちら: https://youtu.be/4gCuEG_6tpQ
IPA がユーザー企業に行ったアンケート調査では、自社内の IT 人材は人数も技術力も不足しているという定性的な結果が出ていることがわかります。また、日本の IT 人材は、3年前と変わらず、IT企業に所属している人が 76 % を超えています。故に内製化を進めようとしても、外注せざるを得ない現実が垣間見えます。一つ救いなのは4つ目の画像です。ユーザー企業のうち、56 % が内製化を進めているというのは朗報だと思います。
資料の中では上記の様にまとめています。ユーザー企業においては、業務担当者と開発者(技術者)が得意領域を生かしながら、コラボレーションをする。その時に作ってあげるのではなく、NoCode のツールを利用して、レクチャーし、業務担当者が自走できるようにしてあげる。結果、社内に市民開発者が増える、というわけです。
2021年はこの動きが加速するでしょうし、加速させなければなりません。IPA のアンケートを見る限り、おそらく大企業は大丈夫でしょう。IPA のアンケートで内製化を進めていると回答した割合が 50 % を超えているからです。一方で、ご存知の通り、日本は 8 割が中小企業です。ただでさえ、コロナで苦しんでいる中小企業に内製化を進めるんだ!って言ったところで、それは酷というものです。
ですが、Power Platform を始め、NoCode ツールを使えるようになれれば、自立・自走できる可能性があるわけです。
##ユーザー企業の皆さんへ
ユーザー企業の皆さんは、この点を本当によく考えてほしい。
###あなたが決裁権をもっているのであれば、この観点で社内 IT の方針を決定し進めてください。
###あなたが決裁権を持っていないのであれば、決裁権を持っている人に上申してください。
この記事を読んでいただいても結構ですし、上記の資料や YouTube を見せてあげてください。必要なら、私を呼んでいただいても結構です
(場合によって有償で対応させていただきます。ご相談ください)
##IT企業の皆さんへ
IT企業、特に SIer の皆さんは、この現状をよく考えてください。
自分達が儲けることのみを考えたら、上場企業や大企業を相手にしたくなるでしょう。しかし、「日本の IT は…」と言われて、何年が経ちますか?それを進めてきたのは誰ですか?日本の IT 企業すべてに、その責任の一端があることは否定できないでしょう。
###あなたが決裁権を持っているなら、この現状を踏まえて、来年度の方針を決定してください。
###あなたが決裁権を持っていないのであれば、上司に上申してください。
必要なら、私を呼んでいただいても結構です(場合によって有償で対応させていただきます。ご相談ください)
#この記事を読んでいる皆さんへ
いずれにしても、コロナ禍の影響は間違いなく2021年も続くでしょう。大げさでもなんでもなく、日本のために と考えてみませんか?
だって、僕らにはそれができるんですから。
#最後に
はい、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
これにて Microsoft Power BI Advent Calendar 2020 はおしまいです。まだ読まれてない記事があれば、ぜひ遡って読んでみてください。そして、感想を SNS で発信しましょう。Qiita のコメントでもいいと思います。Facebook グループの Japan Power BI User Group でも結構です。記事を書いた方は、コメントや質問ももらえるととても嬉しいものです。記事を読んで何も感じない人はいらっしゃらないと思うので、ぜひ「行動」をしましょう!
そう、来年からではなく、今この瞬間から変えていけるのです😁
それでは皆さん、
###Wish you a Merry Christmas & a Happy New Year‼🎄🎉🥳
###来年は 世界中のすべてのひとに いいことが ありますように🤗