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Power BI の今後、2020年に向けてちょっと未来のお話

Last updated at Posted at 2019-12-24

Power BI Advent Calendar 2019 のオオトリです

はい、皆さん メリークリスマス!!(*'▽')
この記事は Microsoft Power BI Advent Calendar 2019 の最終日の記事です。
この Advent Calendar は私が立ち上げました。投稿にご協力していただいた皆さん、そして楽しみに読んでくださった皆さん、ありがとうございました!

まだすべての記事を読まれていないという方は、年末年始にじっくりと読んでみてくださいー。

早いもので2019年ももうすぐ終わります。今年は平成が終わり、令和という新時代が始まりましたね。消費税も増税され、同時にキャッシュレス決済が一般化してきました。
皆さんにとってはどんな1年だったでしょうか?辛かったことも楽しかったこともひっくるめて思い出すのもまた楽しいですね。

さて、最終日は2019年の Power BI がどのように進化して、2020年はどうなっていくのか?について、私の個人的な私見を書かせていただきます。
ちなみに昨年も同様の記事を Microsoft Power BI Advent Calendar 2018 で書かせていただきました。

Power BI の今後、2019年に向けてちょっと未来のお話
今年の Power BI の進化と照らし合わせてみてください!

お断り

私は米国 Microsoft 社から Microsoft MVP Award for Data Platform - Power BI をいただいております。2017年2月に初受賞で現在までに3回受賞しています。Micrsoft MVP は1年ごとの更新です。MVP AwardMicrosoft 社と受賞者個人との間で NDA が結ばれています。従って、本記事はその NDA に反しない範囲で書かせていただきます。またたぶんに私個人の意見を含むことをご了承ください。

MVP Award については Microsoft の MVP 担当 森口さん による MVP Award の紹介を参考にしてください。

MVP 公式ページ:https://mvp.microsoft.com/ja-jp
私のMVPプロフィール:https://mvp.microsoft.com/ja-jp/PublicProfile/5002429?fullName=Yugo%20Shimizu

前置きはこのくらいにして、本編に参りましょう!

BI とは (去年の内容を再掲)

BI とは Business Intelligence の略であることはもちろんご存知だと思います。
image.png

私が BI を説明する際に使う図です。
「様々な現場で、日常の通常業務によって自然と溜まるデータを可視化して、それを見て、次のアクションに繋げて、現場へ反映、試行する。そしてその結果がデータに反映されて、可視化され…」というループにより、どんどんどんどん改善されていく。これが BI です。間違っても、きれいでカッコいいグラフや表で可視化することが目的ではございませんし、ネクストアクションにキチンと繋がるのであれば、Excel で実現しても何の問題もありません。

大事なことは BI とは経営手法のひとつであり、その目的を達成するための一助になるのが BI ツールであると認識しておくことです。
(ツールを導入したら解決する、なんていう甘いモノではないことは、明らかです。)

ちなみに BI は2つに大別されます

  1. エンタープライズ BI
  2. セルフサービス BI

エンタープライズ BI とは、企業内で統一されたひとつのデータからみんなが同じレポートを参照して、それぞれが必要なネクストアクションを取るための BI です。通常は企業内のシステム部門がデータとレポートを用意して、トップダウン的に全社に共有します。
セルフサービス BI とは、各部門でユーザー自身が必要なデータを使用して、必要なレポートを作成しネクストアクションを取るための BI です。

ケースによっては セルフサービス BI の文脈で作成したレポートの出来が良く、それが全社的に使われるようになると、エンタープライズ BI に昇格することもあります。

Power BI とは (去年の内容を再掲)

おそらくこの記事を読んでいる方は Power BI ってなに?という疑問は既に乗り越えてきていて、ご自身の解をお持ちなのではないかと思いますが、いちおう簡単に表現すると、

Power BI とは Microsoft が提供するスイートサービスで BI(Business Intelligence) の可視化はもちろん、その前の Data Prep(データ準備), ETL、データストア、その後のネクストアクションを効率的に行うための機能などが包括的に提供されています。組織内はもちろん、Azure と連携することで、独自の Web サービスのダッシュボードなどに Power BI のダッシュボードを提供することも可能ですが、ID 基盤に Azure Active Directory が使用されていることからもわかる通り、基本的にはひとつの組織内で使用するよう設計がされています。

という感じです。

なお、Power BI は セルフサービス BI から エンタープライズ BI まで、すべてをカバーします。

2019 年の Power BI

Power BI 単独で考えると エンタープライズ BI の強化 ということになります。
主に Power BI Service の管理系の機能、セキュリティの強化が多かったように思います。エンタープライズでの用途で必要となる機能の強化ですね。

New capabilities in Microsoft Power BI | 2019 release wave 2 overview
https://youtu.be/fQ0PX--k2i8
⇒ この動画は 2019年の Release wave 2 と呼ばれるリリースプランを紹介してます

  1. Data protection
  2. Shared and certified datasets
  3. Lineage view
  4. Open platform connectivity (XMLA)
  5. Large datasets
  6. Power BI service new look and feel

動画の中で紹介されている機能はこんな感じです。日本語にすると、

  1. データ保護
  2. 組織内におけるデータセットの共有と認定
  3. レポートがどのデータフロー、データセットからできるているかをひと目でわかるようにする UI
  4. XMLA によるデータセットへのアクセス
  5. 10 GB を超えるデータセットの取扱
  6. Power BI service での新しい UI

機能によっては Power BI Premium がないと使用できないものがあります。つまりそれが エンタープライズ BI の機能ということになります。
その他にも今後のリリースプランは以下で見ることができます。

ビジネス インテリジェンスの新機能と予定されている機能
https://docs.microsoft.com/ja-jp/power-platform-release-plan/2019wave2/business-intelligence/planned-features

このページでは Power BI のみならず、Power Platform の各サービスごとにリリースプランが公開されているので、ぜひ定期的にご覧になってください。現在公開されているものは 2020 年 4 月までのものです。

ちなみにこちらのページには Power Platform だけでなく Dyanmics 365 のリリースプランも見ることができます。
Dynamics 365 および Power Platform のリリース計画
https://docs.microsoft.com/ja-jp/dynamics365/release-plans/#pivot=dyn365-relplan

そしてもちろん「Power Platform の他のサービスとの連携」がより強化されています。

image.png

  1. Power Platform dataflowsGA し、CDS はもちろん ADLS Gen2 も保存先として選択可能
  2. Power BI dataflowsPower Platform dataflows の両方とも Power Query Online が強化され、使用可能な関数が増えた
  3. AI Builder の進化
  4. ノーコードでボットが作れる Power Virtual Agents が4番目のサービスとして Power Platform に追加
  5. PowerApps の名称変更 ⇒ Power Apps (間に半角スペースが入った)
  6. Microsoft Flow の名称変更 ⇒ Power Automate (同時に UI flows と呼ばれる RPA 機能が追加。クラウドとオンプレミスを問わずにすべての 自動化 を目指す)
  7. Azure との連携強化 (自身のサブスクリプションで作成した ADLS Gen2 を使用することで、他の Azure のサービス連携が可能。その他 AIML も連携可能)
  8. Dynamics 365 のデータ基盤の一部が CDS に変更されたことで Dynamics 365 を使用しているユーザーは自身の CDS に自動的にデータが溜まるものがあり、それらについては明示的なデータ連携不要で Power Apps, Power Automate, Power BI, Dataflows にて Dynamics 365 のデータを2次利用可能になった。自動的に CDS に溜まらないものでも、Dataflows を利用することで必要なデータがエンティティ単位に連携可能

とまぁ、代表的なところを挙げるとザっとこのくらいです。Power BIBI サービスに留まらず、エンタープライズレベルに耐えうる データプラットフォーム になってきていますが、Power Platform の他のサービスや Azure と連携することでその本当の価値が発揮されます。もはや Power BI 単独で使用していることがもったいないレベルです。もちろん Office 365 のライセンスだけでは使用できず、個々の有償ライセンスが必要となります。が、それとて非常に安価でユーザー単位かつ月単位でのサブスクリプション契約が可能だったりするので、まずは試用版を使用してみてください。ちゃんと試用したら、絶対に離れられなくなります。

Citizen Developer, Citizen Data Analyst など Citizen 系ユーザーが必要な理由

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上記はガートナーとハーバードビジネスレビューによる発表です。
簡単に言うと、

企業が持ってるデータはバラバラにサイロ化されていて、データ準備にめちゃくちゃ時間がかかり、プロのデータサイエンティストやエンジニアでもその80%の時間とコストを データ準備 にかけてしまっていて、意思決定が遅れている、または活用できていない。そんな中で、ノーコードで非エンジニアでも使用可能なサービスが SaaS として提供されてきた昨今、プロのデータサイエンティストよりも非エンジニアのデータサイエンティストが行う分析の量が2020年までに上回ると予測している

ということです。

Citizen という言葉が付くと、非エンジニアで営業、マーケター、会計担当といった普通の業務担当者を指すことになります。つまりデータ分析の恩恵を本当に受ける人たちです。そしてネクストアクションを取るべきユーザーのことです。データから得られる価値を実際に受ける人たち自身が自分で作れる時代なのです。

  • Citizen Developer
  • Citizen Data Scientist
  • Citizen Data Analyst

2020年はユーザーが自分で必要なものを作る時代です。ユーザー企業(事業会社)は もはや外注して作ってもらう時代ではありません。日本で流行り言葉になっている DX (Digital Transformation), や 2025年の壁 を解決するには、ユーザーが自ら行動することが必要なのです。 Power Platform はそのためのプラットフォームとツールをサービスとして提供しています。

"To do, or not to do: That is the question."
「やるか、やらないか。それが問題だ」

昨年 も書きましたが

ユーザー企業(事業会社)の皆さん、外注 することはやめて、内製 することを本気で考えてください。

SIer の皆さん、いつまで顧客の SI を請け負うのですか?

と強く訴えたい。

欧米企業では、エンジニアの 70% 以上が ユーザー企業(事業会社) に所属しているそうです。
日本企業では、エンジニアの 70% 以上が IT の会社 に所属しているとのことです。

これが何を意味しているのか、もうわかりますよね!?

個人的な目標と宣言

私は上記の理由から、2020年はコミュニティを通して、仲間たちと Power Platformチカラで本気でこの問題に取り組みます。それはもしかしたら、仕事かもしれませんし、ボランティアかもしれません。必要に応じてその形は変わってよいと思っています。が、日本は、日本の IT は、もはや待ったなしです。IT が企業と個人にとって当たり前のインフラになっている現在において、ダメなものをなくして、改善し、あるべき姿にする。IT 業界の端っこにいる自身として、取り組むべき課題だと強く思っています。そのためにダメな 巨人 とケンカしても、です。それが必要なら喜んでやりますし、付き合う意味がないと感じたら、関わりを断ちます。

何度も言いますが、Power Platform にはそれだけのチカラがあります。他のプラットフォームで同じことが実現できるなら、それでよいと思います。私は、他のプラットフォームを知らないので、そして、Power Platform ならそれができるので、これを選択します。そう、すべては 選択 だと思います。

皆さん、ちゃんと 選択 しましょう:sunglasses:

最後に

はい、Power Platform の今後とあわせて日本の今後も書いてしまいました。これもまた Power PlatformPower だとご理解ください。それだけの可能性を感じさせるものなのです。

ここに書いたことが大げさでもなんでもない現在進行形の事実であることは、ニュースや政治、経済を把握している方なら、わかると思います。
そんな中であなたは何を 選択 しますか?

すべての人がちょっと先の未来を考える社会がいいなぁーと思っています。

それでは皆さん、

Wish you a Merry Christmas & a Happy New Year!!:grinning:

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