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Power BI の今後、2019年に向けてちょっと未来のお話

Last updated at Posted at 2018-12-24

Power BI Advent Calendar 2018 のオオトリです

はい、皆さんメリークリスマスー(*'▽')
この記事は Microsoft Power BI Advent Calendar の最終日の記事です。

この Advent Calendar はワタクシが立ち上げたこともあり、この場を借りてご参加いただいた皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました!
皆様のおかげで、多種多様な記事が集まりました。まだすべてを見れてませんが、年末年始にゆっくりと読ませていただきますー。まだ読まれていない方もぜひ!

さて、最終日はタイトルの通り、2018年の Power BI の進化とロードマップから2019年どうなっていくのか?ということを考えてみたいと思います。

一応断っておきますと、米国 Microsoft 社から Microsoft MVP Award for Data Platform - Power BI をいただいている私ですが、MVP は Microsoft 社と私個人との間の NDA になりますので、この NDA に反しない範囲で、本記事は書かせていただきます。また私個人の推測・予測も含みますこと、ご了承ください。

MVP について知りたい方、なりたい方は ⇒ Microsoft MVP Award とは
私が本当に MVP かどうか確認したい方は ⇒ こちら

BI とは

BI とは Business Intelligence の略であることはもちろんご存知だと思います。
image.png

私が BI を説明する際に使う図です。
「様々な現場で、日常の通常業務によって自然と溜まるデータを可視化して、それを見て、次のアクションに繋げて、現場へ反映、試行する。そしてその結果がデータに反映されて、可視化され…」というループにより、どんどんどんどん改善されていく。これが BI です。間違っても、きれいでカッコいいグラフや表で可視化することが目的ではございませんし、ネクストアクションにキチンと繋がるのであれば、Excel で実現しても何の問題もありません。

大事なことは BI とは経営手法のひとつであり、その目的を達成するための一助になるのが BI ツールであると認識しておくことです。
(ツールを導入したら解決する、なんていう甘いモノではないことは、明らかです。)

Power BI とは

おそらくこの記事を読んでいる方は Power BI ってなに?という疑問は既に乗り越えてきていて、ご自身の解をお持ちなのではないかと思いますが、いちおう簡単に表現すると、

Power BI とは Microsoft が提供するスイートサービスで BI(Business Intelligence) の可視化はもちろん、その前の Data Prep(データ準備), ETL、データストア、その後のネクストアクションを効率的に行うための機能などが包括的に提供されています。組織内はもちろん、Azure と連携することで、独自の Web サービスのダッシュボードなどに Power BI のダッシュボードを提供することも可能ですが、ID 基盤に Azure Active Directory が使用されていることからもわかる通り、基本的にはひとつの組織内で使用するよう設計がされています。

という感じです。

2018 - 2019 の Power BI

一言で言うと「Power Platform の進化」ということになります。

Power Platform とは PowerApps, Microsoft Flow, Power BI の3つを合わせた総称になります。
image.png

Power BI は Power Platform の中にあって、BI とデータ分析という "Data" に関わることを担当しています。Data に関わることとは、データを効率的に集めること、データを必要な形に整形すること、必要なデータを溜めること、などを含みます。これまでは、こういったところは Power BI Desktop を使用して頑張っていたり、必要に応じて Azure の機構を利用して、補っていました。できなかった訳ではなく、Power BI 単体では不足していた部分を、他のサービスで補っていたという感じです。従って、いわゆるユーザー層の方には「そこは Azure の〇〇を使用すればできます」と言われても??という感じになっていました。

2018年~2019年の Power Platform の進化における Power BI は図で表すとこんな感じです。
image.png

簡単に言うと

  1. Power BI Dataflows を提供。これによりおっきいデータを取得・収集するのはサービス側に任せることが可能に
  2. Power BI Dataflows には Azure Data Lake Storage (ADLS) を包括。データを溜める領域が提供
  3. Power BI に AI の機能を提供
  4. Power BI に機械学習の機能を提供
  5. CDM, CDS for Apps の進化により、Power Platform 内での連携強化

といったところでしょうか。

上記の図にある CDS for Apps や Power BI Dataflows, ADLS はまだパブリックプレビュー中なので、GA(Generally Available:いわゆる一般提供)はまだです。従って、本番運用はできないですし、使おうとするとまだ使えない(エラーになって先に進めない)ところもありますが、徐々に使えるものが増えてくることでしょう。

私の予想では2019年の春~夏までには GA すると予想していますので、今のうちに使えるものを試しておいて、GA したら、速攻で使い倒して、実運用に持っていく!というのがベストだと思います。

BI, AI, 機械学習など、データに関する日本と欧米の違い

2019年の話を始める前に残念なお知らせをしておかなければなりません。それはデータに関する日本と欧米の違いです。

まずは BI について

欧米においては、BI は既に実現されています。2000年代に実現をされて、2010年代でモダンなものに置き換えられて、2019年を迎えます。
日本においては、BI はまだ実現されていません。Power BI が出てきて、安価に試して、実現ができると知って、ようやく検討から PoC をやり始め、実現した企業が出てきた状況です。

決定的に異なるのは、
欧米では既に BI は実現されているので、既にかなりの量のデータが自社に溜まっている状態です。
日本ではようやくデータが溜まり始めた状態かこれからどうやって溜めようか考えている状態です。

皆さんの所属企業では、どうですか?

次に AI や機械学習について

AI にしても機械学習にしても、ある一定量以上のデータがなければ、実運用では役に立ちません。
データがないのに「AI を導入しろ!」や「機械学習でなんかやれ」というのは
「まったく努力をせずに五輪に出ろ」と言っているようなものです。
「財産がゼロなのに、資産運用どうしようか?何がもっとも効率的に運用できるのかな?」と考えるようなものです。

そう、BI も実現できていないのに、AI やら機械学習やらの導入をしようとするのは、まったくの無駄です。まだそのスタートラインにも立っていないということをきちんと理解することが重要です。

Power Platform を適切に使用すると

そんな残念な日本の状態で、先述した Power Platform が提供されるとしたら、どうしておけばよいのか?
それは「社内システムにおいては、適切に Power Platform を使用すること」が重要になります。

Power Platform を適切に理解し、データをきちんとその中に溜めておけば、それだけで AI に分析させることが可能になります。
用意された AI のデータモデルで十分でない場合は、そのデータを利用し、Power Platform 内で機械学習のモデルを構築することも可能です。そしてその解析結果を BI で表示することができます。

Power BI x AI, 機械学習の詳細が知りたい方は以下をご覧ください。現状で発表されている記事です。

「AIの民主化」を目指すMicrosoft。大幅アップデートで非エンジニアとAIをつなぐ
https://ledge.ai/microsoft-power-bi-update/

Announcing new AI Capabilities for Power BI to make AI Accessible for Everyone
https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/blog/power-bi-announces-new-ai-capabilities/

最後に

いかがでしょうか?ワクワクしてきませんか?

Power Platform が現在のロードマップ通りに進化していくと、日本では面白いことが起こるのではないかと思っています。
AI が導入できない、機械学習が PoC 止まりで実運用に移行できないというのはよく聞く話です。エンジニアが不足していることも事実です。
データサイエンティスト、データアナリスト、データプラットフォームエンジニア。いずれも絶対数として足りていません。

ですが、そういった専門家がいなくても、Power Platform を信じて、データを溜めるだけで
- AI による分析結果が手に入る可能性があります
- 機械学習により、自社独自のデータからモデルを構築し、2020年には最適解を出してくれるような唯一無二のデータモデルが手に入る可能性があります

ユーザー企業においては

  • 内製するか?
  • 外注するか?

という選択肢があります。Power Platform に関して言えば、間違っても外注などしないことをお勧めします。

「そんなこと言っても、社内の人じゃ誰も Power Platform を使いこなせないよ」

そんな声が聞こえてきます。ご安心を。そういった方は、専門家や経験者を採用するか、コンサルタントとして呼んできて、アドバイスとレクチャーを受けながら、自分達で構築してください。なぜなら Power Platform はユーザーのモノだからです。

まさか、構築のために SIer さんにお見積りとか、お願いしていないですよね…?

すべては選択です。Power User がエンジニアや専門家を超える Power を持つ可能性があるのです。ツールは用意され、サービスは提供されるようになります。

皆さんは何を選択しますか?

2019年も良い年になりますように。

Wish you a Merry Christmas & a Happy New Year!!:grinning:

参考URL

最後に参考URLを載せておきます。

**Power Platform の最新情報について解説した動画です
https://youtu.be/EsQthfhM6gw

え?まだフルスクラッチで開発してるの!?Power Platform をフル活用すると普通にシステムができるんですよ
⇒ 2018年最後の私のスライドです
https://www.slideshare.net/yugoes1021/power-platform-126612714

Open Data Initiative
https://www.microsoft.com/en-us/open-data-initiative

Adobe、マイクロソフト、SAP が新世代の顧客体験を支援するための Open Data Initiative を発表
https://news.microsoft.com/ja-jp/2018/09/25/180925-ignite-2018-open-data-initiative/

Microsoft Power BI roadmap
https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/roadmap/

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