1. はじめに
私は新卒1年目の下半期で2026 Japan All AWS Certifications Engineers クライテリアを満たし、全冠を達成しました。
この記事では、
- 全冠を目指したきっかけ
- 各資格の感想
- おすすめの取得順
- 勉強法
- 全冠して良かったこと
についてまとめています。全冠を目指す方だけでなく、AWS認定資格にチャレンジするすべての方の一助になれば幸いです。
発言は個人の見解に基づくものであり、所属組織を代表するものではありません。
2. 自己紹介
私は大学で医学物理を専攻していましたが、大学院入学後にプログラミングの魅力に惹かれ、2025年にアプリケーションエンジニアとして日系のSIerに入社しました。
アプリケーションエンジニアとしてのキャリアを選択したきっかけは、大学院在学中に医療系ソフトウェア開発企業でのアルバイト経験が大きく関係しています。アルバイトでデバッグや軽微な機能追加に携わる中で開発の楽しさを肌で感じ、アプリ開発を仕事にしたいと考え、現在のキャリアを選択しました。大学での専攻とは全く異なる分野への就職であったため、同期に遅れをとらないよう、入社前の3月に基本情報技術者を取得しました。
AWSは、大学院在学時に存在を知りました。当時は、研究に使用していたシミュレーションのためにブレードサーバーを運用していたため、クラウド上で手軽にリソースを確保できるAWSの利便性に感銘を受け、Professional Servicesのインターンシップにも参加しました。
3. AWS認定資格とは
AWS認定資格とは、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドサービスに関する技術力と知識を証明する資格制度です。AWS認定資格は2026年4月1日現在で全12種類あり、Foundational、Associate、Professional、Specialtyの4段階のレベルに分かれています。
基本的にFoundationalが初級、Associateが中級、Professionalが上級という認識で間違いありません。Specialtyは、それぞれネットワークとセキュリティの専門知識を問う資格となっており、Foundational・Associate・Professionalとは異なる立ち位置にあります。出題範囲は限定的ですが、内容は非常に専門的であるため、Professionalに匹敵する難易度です。
| 試験区分 | 資格名 | 試験コード |
|---|---|---|
| Foundational | AWS Certified Cloud Practitioner | CLF-C02 |
| Foundational | AWS Certified AI Practitioner | AIF-C01 |
| Associate | AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate | MLA-C01 |
| Associate | AWS Certified Solutions Architect - Associate | SAA-C03 |
| Associate | AWS Certified CloudOps Engineer - Associate | SOA-C03 |
| Associate | AWS Certified Developer - Associate | DVA-C02 |
| Associate | AWS Certified Data Engineer - Associate | DEA-C01 |
| Professional | AWS Certified Generative AI Developer - Professional | AIP-C01 |
| Professional | AWS Certified DevOps Engineer - Professional | DOP-C02 |
| Professional | AWS Certified Solutions Architect - Professional | SAP-C02 |
| Specialty | AWS Certified Advanced Networking - Specialty | ANS-C01 |
| Specialty | AWS Certified Security - Specialty | SCS-C03 |
いずれの資格もAWSの基礎知識や各サービスの理解が前提となるため、FoundationalやAssociateで基礎を固めることが重要です。ただ、「Foundationalを持っていないとAssociateを受験できない」ということはなく、どの難易度からでも受験可能です。
4. 全冠を目指したきっかけ
私が全冠を目指したきっかけは大きく分けて2つあります。
4.1 希望するキャリアを歩むため
私は元々、AWSを利用したモダナイゼーションに携わりたいと考えていました。大学院でブレードサーバーを運用していた頃に、サーバー運用の大変さを痛感したため、クラウド環境への移行を支援するような業務がしたいと考えていました。また、プログラミングの魅力に惹かれて入社したこともあり、クラウドネイティブなアプリケーションの開発にも興味を持っていました。
しかし、実際に配属された部署は、メインフレームからオープン系へのマイグレーションを専門とする部署でした。会社としては、まずは幅広い基盤技術を経験させたい、あるいは組織全体を見据えた配属上の配慮があったのかもしれません。その点については理解しているつもりです。
一方で、個人としては、クラウドネイティブなアプリケーションの開発に早い段階から関わりたいという思いが強く、自分の志向との間にギャップを感じたのも事実でした。「このまま待つだけでなく、自分から変えていくしかない」という思いが、最初の原動力でした。
そこで、AWSの案件に携わりたいという意思表示をするために、全冠を目指すことを決意しました。「AWSの案件に携わりたい」と口で言うだけではなく、資格を取得することによって姿勢を明確に示した方が周囲に思いが伝わりやすいと考えました。特に全冠ともなれば社内で一目置かれる存在になり、希望するキャリアへの道が開けると考え、全冠を目指しました。
4.2 Jr. Championsとの出会い
もう1つのきっかけとして、社内のJr. Championsとの出会いがあります。会社の施策で2025 Japan AWS Jr. Championsの特集があり、そこで初めてJr. Championsの存在を認知しました。Jr. Championsの方々は全冠を目指す上で最も頼りになる存在だと考え、すぐにコンタクトを取りました。Jr. Championsの方々とお話をさせていただくうちに、Jr. Championsは自分が今後目指すべき姿と感じ、その足掛かりとして全冠を目指すことを決意しました。
また、この出会いをきっかけにAWSの各種イベントへの参加やLT大会に登壇させていただくなど、社内外から多くの刺激を受けました。Jr. Championsの方々と出会っていなければ、全冠を達成できなかったのではないかと思うほど、Jr. Championsの方々との出会いが全冠に向けての大きなモチベーションアップにつながりました。
5. 各資格の取得日と点数
2025年9月から2026年2月にかけて、AWS認定資格を12冠しました。なお、10月は応用情報技術者を受けていたため、AWSの勉強を一時休止していました。応用情報技術者についても無事に取得することができました。
また、9月と10月にそれぞれ更新が発表されたSOA-C03とSCS-C03は取得済みですが、AIP-C01は取得しておらず、MLS-C01で2026 Japan All AWS Certifications Engineers クライテリアを満たしました。
MLS-C01 (AWS Certified Machine Learning - Specialty) は、2026年3月31日の最終受験日をもって廃止されました。
| 資格名 | 試験コード | 取得日 | 点数 |
|---|---|---|---|
| AWS Certified Cloud Practitioner | CLF-C02 | 2025-09-20 | 837 |
| AWS Certified Solutions Architect - Associate | SAA-C03 | 2025-09-27 | 846 |
| AWS Certified Solutions Architect - Professional | SAP-C02 | 2025-11-21 | 849 |
| AWS Certified Developer - Associate | DVA-C02 | 2025-12-24 | 877 |
| AWS Certified DevOps Engineer - Professional | DOP-C02 | 2025-12-24 | 883 |
| AWS Certified AI Practitioner | AIF-C01 | 2026-01-05 | 936 |
| AWS Certified Data Engineer - Associate | DEA-C01 | 2026-01-09 | 842 |
| AWS Certified Advanced Networking - Specialty | ANS-C01 | 2026-01-09 | 926 |
| AWS Certified CloudOps Engineer - Associate | SOA-C03 | 2026-01-17 | 1000 |
| AWS Certified Machine Learning - Specialty | MLS-C01 | 2026-02-06 | 864 |
| AWS Certified Security - Specialty | SCS-C03 | 2026-02-06 | 881 |
| AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate | MLA-C01 | 2026-02-07 | 905 |
元々は2027年度までに全冠することを目標としていましたが、クリスマスにDOP-C02を取得した時に、「このペースなら、2026 Japan All AWS Certifications Engineersに間に合うのでは?」と思い、業務終了後の時間をすべてAWSの勉強に費やしました。新卒1年目ということもあり、日々の業務に忙殺されることなく、勉強に集中できたことが短期間で全冠を達成できた要因の1つだと考えています。
6. 個人的な難易度Tier表
私が取得した12種のAWS認定資格の難易度Tier表を作成してみました。各Tierごとに左右差が若干あるため、各資格の感想も交えて各セクションで説明します。
MLS-C01 (AWS Certified Machine Learning - Specialty) は、2026年3月31日の最終受験日をもって廃止されたため、詳細な説明は省略しています。
6.1 S Tier
S Tierは、最難関との呼び声が高いSAPとANSです。受験した所感としては、S Tierに左右差はほとんどないように感じました。
6.1.1 SAP:Solutions Architect - Professional
SAPは、出題される範囲がとにかく広いです。SAPで出題される問題は高度で複雑なアーキテクチャについての出題がほとんどで、問題文に含まれるAWSのサービスすべてに対して深い理解が求められます。加えて、問題文が非常に長いため、問題文のポイントを押さえて読む技術も求められます。問題文をよく読み、「この問題では、どういう状況で、何がしたくて、何を答えさせたいのか?」を正確に読み取ることがSAP合格への近道です。問題文を読み解く技術は、他の資格でも役立つため、SAPの受験は問題文を読み解く技術を身につける良い機会だと思います。
また、SAPではAWS Migration HubやAWS Application Discovery Serviceなどのマイグレーションに関連したサービスが出題されます。これらのサービスは、他の資格ではあまり見かけないサービスであるため、Black Beltなどを利用して各サービスに対する解像度を上げることが大切です。
6.1.2 ANS:Advanced Networking - Specialty
ANSは、ネットワークのかなり深い領域まで出題されるため、AWSでのネットワーク設計の知識に加えて、ネットワークプロトコルそのものについての知識も求められます。ネットワークは、おそらく多くの方にとって勉強する機会があまり多くないと思われるため、「ネットワークはなぜつながるのか」という書籍を読むことをおすすめします。この書籍はタイトル通り、ネットワークがつながるまでの過程について詳細に説明されており、普段何気なく使っているネットワークがどのようにして繋がっているのかを学ぶことができます。
AWSでのネットワーク設計については、とにかくAWS Direct ConnectとAWS Transit Gatewayについての理解を深めることが最重要課題です。特にハイブリッドクラウドや複雑なルーティングについては、Black Beltを徹底的に読み込み、仕様や制限事項まで解像度を高めておくことが大切です。
6.2 A Tier
A Tierは、DOP、SCS、MLSの3つです。受験した所感としては、DOPとSCSは同等の難易度、MLSはこれら2つと比較すると少し難易度は落ちると感じました。
6.2.1 DOP:DevOps Engineer - Professional
DOPは、AWSのCodeサービス群(AWS CodeCommit、AWS CodeBuild、AWS CodeDeploy、AWS CodePipeline)を利用したAWS上でのシステム開発に関する問題が数多く出題されます。ただし、CI/CD環境での開発経験がある方であれば、S Tierの2つと比較して、難易度は下がると思います。もちろん、運用に関する問題も出題されますが、SOAの知識で対処できる問題が多いため、Codeサービス群に関する理解を深めることが合格への近道です。一方、CI/CD環境での開発経験がない方にとっては、S Tierの2つと並ぶ難易度に感じる可能性があります。DOP受験前にSOAとDVAの知識を結び付けて定着させることが大切です。
また、AWS OrganizationsやAWS Control Towerなどを利用したマルチアカウント環境でのアカウントの一元管理についての出題もあります。これらのサービスは後述するSOAでも出題されるため、DOP受験前にSOAを受験する計画を立て、SOAに向けての勉強で知識を蓄えることをおすすめします。
6.2.2 SCS:Security - Specialty
SCSは、ANSとは異なり、セキュリティそのものの知識よりもAWSでのワークロードとアーキテクチャの保護に関する知識が求められます。しかし、SAP、ANS、DOPと比較して出題されるサービスの数はそこまで多くないため、試験ガイドをよく読んで出題範囲のサービス群を把握し、それぞれのサービスについての理解を深めることが大切です。また、出題範囲のサービスが少ないことを利用して、「このサービスはこの場合に利用する」といったパターンを自分の中で構築することがSCS合格の近道だと考えます。
なお、SCS-C03に更新されてから、生成AIアプリケーションの保護とガードレールなどに関連する問題が追加されたため、試験ガイドの更新箇所を把握し、それに合わせて自身の知識を更新することが大切です。SCSは、AWS認定資格の中でも人気のある資格ですが、更新頻度が高いため、継続的に知識を更新することが求められます。
6.3 B Tier
B Tierは、Associate3冠と呼ばれるSAA、SOA、DVAの3つです。受験した所感としては、SAAとSOAは同等の難易度、DVAはこれら2つと比較すると少し難易度は落ちると感じました。
6.3.1 SAA:Solutions Architect - Associate
SAAは、CLFに続いて2番目に取得者数が多いAWS認定資格であり、AWSの主要なサービス群についてバランス良く出題されるため、これからAWSを学び始める人におすすめな資格です。ただし、CLFを経由せずにいきなりSAAの勉強から始めると、かなり難しく感じてしまう可能性が高いため、まずはCLFの勉強から始めることを強く推奨します。AWSの知識がまったくない状態でSAAに臨むと、AWSのサービスの多さに圧倒され、勉強のモチベーションが低下してしまいます。
CLFとSAAは取得者数が多い分、講座や問題集などの資料がネット上に充実しているため、それらを活用しながら勉強を進めていくことができます。また、SAAはソリューションの設計に重点を置いているため、Hands-on for Beginnersなどのハンズオンを通して勉強することを推奨します。
6.3.2 SOA:CloudOps Engineer - Associate
SOAは、AWSでのワークロードの管理と運用に関する問題が出題されます。特にAmazon CloudWatchとAWS CloudTrailによるロギングとモニタリングについての出題が多く、どういった場合にこれらのサービスを利用するか把握しておく必要があります。しかし、SAAの知識を応用することで対応可能な問題も多く出題されるため、SAA取得後であれば、比較的容易に取得することができます。
ちなみに、SOAは2025年9月にSysOps AdministratorからCloudOps Engineerに名称が変更された資格であり、変更に伴ってAmazon Elastic Container ServiceやAmazon Elastic Kubernetes Serviceのメトリクスとロギングに関する問題が追加されたため、コンテナに関連したサービスについても理解を深めておく必要があります。
6.3.3 DVA:Developer - Associate
DVAは、AWS上でのアプリケーション開発に関する問題が出題されます。AWSのCodeサービス群の知識に加えて、開発プロセスに伴うテストやデプロイに関する知識も求められます。特にデプロイについては、Canaryデプロイなどのブルー/グリーンデプロイ戦略についての出題が多く、デプロイ戦略についても知識を深めておく必要があります。また、問題文や選択肢の中にGitのコマンドが登場するため、Gitを使ったバージョン管理の経験があると好ましいです。
DVAは、アプリケーション開発に特化した問題が数多く出題されるため、開発経験があまり多くない方にとっては、難しく感じる可能性があります。また、SAAとSOAとは問題の系統が若干異なるため、これまでの知識が活きづらいと感じる可能性もあります。しかし、問題文をよく読むと、SAAとSOAの知識で太刀打ちできる問題も多くあるため、本番の試験で知らない単語が登場しても諦めずに問題文をよく読むことが大切です。
6.4 C Tier
C Tierは、MLAとDEAです。受験した所感としては、MLAの方がDEAより若干難しいと感じました。
6.4.1 MLA:Machine Learning Engineer - Associate
MLAは、AWS上での機械学習に関する問題が出題されますが、機械学習自体の知識が必要になる問題がいくつかあります。そのため、AWSの機械学習系サービスの勉強を始める前に、機械学習自体の知識を身につけることをおすすめします。AWSの機械学習系のサービスについては、Amazon SageMakerに関する出題がほとんどになります。特に、MLAはデータ準備という観点において、DEAと重複している出題範囲があり、AWS GlueやGlue DataBrewとSageMaker Data Wranglerの使い分けを理解しておく必要があります。
また、MLAでは、従来の出題形式である択一選択問題と複数選択問題に加えて、並び替え・内容一致・ケーススタディの設問が出題されます。複雑な出題形式ではありませんが、本番の試験でのミスを減らすために、模擬試験などで一度経験しておくことをおすすめします。
6.4.2 DEA:Data Engineer - Associate
DEAは、AWS上でのデータ分析に関する問題が出題されます。DEAで出題されるサービスは、範囲がかなり限られているため、SCSと同様に、出題範囲のサービス群についての理解を深め、「このサービスはこの場合に利用する」といったパターンを自分の中で構築することが大切です。しかし、データ分析系のサービスは似たサービスが多く、それらの違いについても把握しておく必要があります。例えば、Amazon Kinesis Data FirehoseとAmazon Kinesis Data Streamsの使い分けや、AWS Glueサービス群の使い分けなどが挙げられます。
また、前述したとおり、MLAと出題範囲が重複しているため、DEAでデータ分析系のサービスを把握しておくことによって、MLAの勉強を楽に進めることができます。そのため、DEAを取得してからMLAの勉強に着手することをおすすめします。
6.5 D Tier
D Tierは、CLFとAIFです。受験した所感としては、CLFの方がAIFより若干難しいと感じました。
6.5.1 CLF:Cloud Practitioner
CLFは、最も取得者数が多いAWS認定資格であり、エンジニアだけでなく、AWSに関わるすべての方にとって、AWSの学習や資格取得の第一歩として最適な資格です。出題範囲としては、AWSの主要なサービスに加え、AWSサポートプランやAWS Well-Architected フレームワークに関する問題が出題されます。AWSサポートプランとAWS Well-Architected フレームワークは、CLFでしか出題されないため、既にSAAを取得しているから勉強しなくても大丈夫と油断していると、足元を掬われる可能性があります。
個人的には、CLFからAWS認定資格の勉強を始めることを強く推奨します。CLFの講座を1つ受講し、AWSの基礎知識をしっかり固めることが、後にAssociateやProfessionalを取得する際に大きく役立ちます。
6.5.2 AIF:AI Practitioner
AIFは、AWSの生成AIサービスと機械学習サービスの活用に関する問題が出題されます。特に、Amazon BedrockやAmazon SageMakerについての出題が多く、これらのサービスを十分に理解しておく必要があります。また、MLAと同様にAIと機械学習自体の基本知識も必要であり、特にAIの基本概念、倫理的かつ安全なAI活用、責任あるAIの実装についての知識が重視されています。AIFでも、CLFで出題されるようなAWSの基礎が出題されるため、CLFを取得してからAIFの勉強に着手することを推奨します。
AIFは、CLFと同様にエンジニア以外の幅広い層を対象とした資格であるため、技術的な深掘りよりもAIサービスの概要と活用方法に重点が置かれています。そのため、AIの学習の第一歩としても最適な資格です。また、MLAと同様に、並び替え・内容一致の設問が出題されるため、模擬試験などで一度経験しておくことをおすすめします。
7. おすすめの取得順
私が全冠を目指す過程で感じた経験をもとに、効率的な取得順をご紹介します。資格によっては、出題範囲が重複しているものも多く、資格を取得する順番を工夫することで学習効率を向上させることができます。
7.1 全体像
全12種の資格を3つのステップに分けて受験することをおすすめします。
Step 1:設計・開発・運用編
Step 2:AI・機械学習・データ分析編
Step 3:ネットワーク・セキュリティ編
Step 2とStep 3は前後しても大きな問題はありませんが、Step 1に関しては、最初に取得することを強く推奨します。Step 1でAWSの設計・開発・運用の土台を構築することによって、その後の試験に登場するアーキテクチャを脳内でイメージしやすくなり、問題の解きやすさが大幅に向上します。可能であれば、SAP、DOPまで取得することが望ましいですが、Associate3冠(SAA、SOA、DVA)時点でも、十分にアーキテクチャをイメージできる力が身についていると思われるため、SAP、DOPをスキップして、Step 2、3に移ることも選択肢の1つだと思います。
7.1.1 Step 1:設計・開発・運用編
Step 1は、すべての資格の基礎部分が共通しているため、連続して受験することを強く推奨します。CLFでAWSの基礎概念を理解し、SAAで主要サービスの知識を固め、SOAとDVAで運用・開発の知識を深めてから、Professional資格に挑戦するのが王道ルートです。
特にCLFからSAAへの移行は、基礎知識を土台により実践的な知識を積み上げる重要なステップです。CLFは「これができるサービスは何か?」のような出題形式が多いですが、SAAでは「このユースケースで最適なサービスは何か?」のような出題形式が多く、CLFで得た基礎知識を実践的な知識に昇華させる必要があります。そのため、CLFでAWSにおける基礎知識の土台を確立することが大切です。
SOAとDVAは、どちらもSAAの知識を活用することができるため、基本的に順不同です。両者ともSAAで培った設計の知識を、運用(SOA)と開発(DVA)それぞれの専門領域へと拡張させる内容であるため、SAAの直後に受験することで記憶が新しいうちに効率良く取得することができます。
ProfessionalのSAPとDOPは、Associate3冠(SAA、SOA、DVA)で得た知識の集大成です。最初は、Professional特有の問題文の長さと複雑さに圧倒されますが、Associateで培った知識を武器に、問題文を1つ1つ紐解いていくことによって、十分に対応できると思います。
7.1.2 Step 2:AI・機械学習・データ分析編
Step 2は、AIFの知識をその後のDEAとMLAに活かすことができるため、AIFを最初に受験することをおすすめします。AIFでAWSのAIサービスの全体像を掴んでから、DEAでデータ分析、MLAで機械学習の専門知識を深めるという流れが効率的です。
また、MLAとDEAは試験範囲が重複している部分があります。特にAWS Glueやデータ準備に関する知識は共通しているため、DEAを取得してからMLAの学習に着手することによって、学習効率を向上させることができます。
AIPについては、現在、受験に向けて勉強中であるため、あくまで予想ですが、Step 2の最後に取得することが望ましいと思われます。特に、AIF、DEA、MLAで培った知識が、AIP取得に向けての学習に活きていると感じるため、AI・機械学習・データ分析編の集大成としての受験がふさわしいと考えます。
7.1.3 Step 3:ネットワーク・セキュリティ編
Step 3のSpecialtyであるANSとSCSは、他の資格とは独立した専門領域であるため、できるだけ最後に受験することをおすすめします。これらの資格は特定の専門知識に特化しており、他の資格の知識をそのまま活用しづらいためです。しかし、前述したとおり、Step 1の後に受験することも選択肢の1つとして有効だと思います。
また、ANSとSCSの順番については特に制約はありません。自分の業務や興味に応じて選択することを推奨します。私の場合は、ANSから先に取得しましたが、どちらも独立した難易度の高い資格であるため、十分な準備期間を確保することが重要です。
7.2 取得順を工夫するメリット
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 学習効率の向上 | 前の資格で学んだ知識を次の資格でそのまま活用できる |
| モチベーションの維持 | 基礎から応用へと段階的にレベルアップできる |
| 記憶の定着 | 関連する資格を受験することで、知識の定着率が向上する |
| 時間の短縮 | 重複する出題範囲の学習を最小限に抑えることができる |
こちらはあくまで私の経験に基づく推奨順序です。皆さんの業務内容や既存の知識、学習可能な時間などに応じて、柔軟に調整することを推奨します。最も重要なのは、自分にとって最も効率的で継続しやすい順序を見つけることです。
8. 勉強法
私が利用していたリソースと学習の進め方をご紹介します。
8.1 リソース
AWSは学習のリソースが多く、どの講座や問題集を利用すべきか迷うことがあると思います。その場合に、私の勉強法を選択肢の1つとして思い出していただけると幸いです。
8.1.1 Udemy
Udemyは、AWS認定資格の勉強を進める上で最もおすすめの学習リソースです。私が全冠を達成できた最大の理由は、Udemyの充実したコンテンツにあると言っても過言ではありません。
Udemyを推奨する理由
-
各資格に対応した講座が充実
各資格に対応した体系的な講座が用意されており、基礎から応用まで段階的に学習できる -
ハンズオンのリソースが豊富
実際にAWSのコンソールを操作しながら学べるリソースが豊富にあり、実践的な知識が身に付く -
問題集の量が多い
本試験に近い形式の問題が数多く用意されており、試験対策として効果的
Udemyは有料のサービスですが、頻繁にセールが開催されており、1,000円台で高品質な講座を受講することができます。私は、所属している会社の施策でUdemy Businessのアカウントを付与していただいたことをきっかけに、Udemyの利用を開始しましたが、全冠を目指すなら、間違いなく投資する価値があります。実際、私も会社のアカウントでは受講できない講座については、自費でいくつか購入しました。お財布と相談しながら、Udemyの利用を積極的に検討してみてください。
8.1.2 Hands-on for Beginners
Hands-on for Beginnersは、AWSが公式に提供しているハンズオン資料であり、資格取得に直接的に寄与するわけではありませんが、ハンズオンを実施することで知識を深く定着させることができます。
特にSAAやSOAなどの資格では、実際にサービスを触った経験があるかどうかで理解度が大きく変わります。私は各資格の勉強と並行して、関連するハンズオンを実施することで、理論と実践の両方から知識を固めました。
ただし、AWSのサービスは頻繁にアップデートされるため、ハンズオンの手順と実際のコンソール画面が異なる場合や、手順通りに構築したのに上手く動作しないことがあります。その際は、最新の公式ドキュメントを参照しながら進めてください。苦しんで覚えるC言語のように、苦しんで覚えるAWSだと思って頑張りましょう!
8.1.3 Black Belt
Black Beltは、各サービスの辞書のようなサイトです。問題集を解いていてわからないサービスや機能があった際に、Black Beltで詳細を調べることで、そのサービスへの理解を格段に深めることができます。
Black Beltは各サービスの開発チームや専門家が解説しているため、情報の信頼性が非常に高く、多くの機能について高品質なリソースを享受することができます。
しかし、最新のサービスについては資料が用意されていないため、Qiita、Zenn、DevelopersIOなどで、実際にそのサービスを使ってみた記事をいくつか読んでみることをお勧めします。
8.2 学習の進め方
基本的に、先ほどご紹介したリソースをフル活用して学習を進めることを推奨します。
【おすすめの学習サイクル】
- 講座を受講する(基礎知識のインプット)
- ハンズオンを実践する(実践的な理解を深める)
- 問題集を解く(知識の定着確認)
- Black Beltで補強する(弱点の克服・知識のアップデート)
学習を進めていくうちにAWSの理解が深まってくると、講座の受講とハンズオンの実践を実施しなくても、試験自体には合格できるようになると思います。しかし、それでは資格を取得する意味が薄れてしまうので、定期的に講座の受講やハンズオンの実践を実施することを推奨します。
最近、YouTubeで期間限定配信されていた「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」に、「結果だけを求めていると近道をしたがる」という有名なセリフがあります。私は、このセリフは資格取得にも当てはまっていると考えています。資格取得という結果だけを求めていると、「問題演習のみで対策する」という近道をしてしまいます。資格取得には、取得までの過程にも大きな価値があります。そのため、近道をせずに「資格取得を通じて知識を身につける」という目的を達成できるように学習を進めることを推奨します。
また、学んだことをLT大会や個人開発を通じて、アウトプットすることも大切だと思います。身につけた知識を言語化し、実践することは、単なる資格取得だけでなく、その先を見据えた行動につながると考えています。
9. 受験する上で知っておきたいこと
AWS認定資格を受験する上で知っておきたいことを4つご紹介します。これらの情報は、知っておいて損はしないと思うので、お時間のある時に読んでみて下さい。
9.1 AWS認定試験ガイドを読む
AWS認定試験ガイドは、出題されるAWSのサービスと機能などの詳細情報をまとめた公式のドキュメントです。受験者が学習すべき項目を正確に把握し、効率的に対策を立てるための不可欠な指針となります。
そのため、各資格のAWS認定試験ガイドは、試験前に一度は目を通すことを推奨します。個人的には、勉強前に目を通し、受験前に読み直すといった使い方がベストだと思います。具体的には、勉強前に目を通すことによって、勉強の計画を立て、受験前に読み直すことによって、知識の抜け漏れを確認するという使い方を推奨します。
9.2 採点対象外の問題がある
AWS認定試験には、採点対象外の問題が含まれています。これらの問題は、将来の試験で使用する可能性のある問題を事前にテストするためのものであり、受験者の最終スコアには影響しません。
試験区分によって採点対象外の問題数は異なり、Professional以外は65問中15問、Professionalのみ75問中10問、採点対象外の問題が含まれています。
| 試験区分 | 採点対象外の問題数 | 採点対象の問題数 |
|---|---|---|
| Foundational, Associate, Specialty | 15 | 50 |
| Professional | 10 | 65 |
受験中・受験後に関わらず、どの問題が採点対象外の問題かは分からない仕様になっています。しかし、受験中に「なんだこの問題は!」と感じる問題は、採点対象外の問題であることが多いように感じます。これまでに、難しく感じた試験でも意外と点数が取れていたという経験が何度かあり、おそらく出来が悪い問題は採点対象外の問題だったのではないかと思います。そのため、試験の出来が悪いと感じた時でも合格の可能性は十分にあります。
9.3 有効期限は取得してから3年
AWS認定資格の有効期限は取得日から3年間です。有効期限を更新するには、同じ資格を再受験するか、上位資格を取得することで下位資格も同時に更新することができます。
(例:DOPを取得 → CLF、SOA、DVAも自動的に更新)。
有効期限が切れる一か月前にメールが届きますが、一か月で試験の準備を整えるのは難しいため、取得日をしっかり記録し、更新スケジュールを計画的に管理することが大切です。
9.4 不合格の場合、同一試験の受験が2週間不可
AWS認定試験で不合格となった場合、再受験は不合格日から2週間経過後に可能になります。再受験の回数に制限はありませんが、受験ごとに料金を支払う必要があります。
特に、Japan All AWS Certifications Engineers クライテリアの申し込み締め切り直前に全冠を目指す場合、不合格によって申し込みに間に合わなくなる可能性があります。そのため、クライテリアに申し込む場合は余裕を持って、受験のスケジュールを設定することを推奨します。
10. 全冠して良かったこと
AWS認定資格の全冠を達成したことで、想像していた以上に多くの良い変化がありました。単なる資格取得にとどまらず、技術者として、そして一人の人間として大きく成長できたと実感しています。
10.1 体系的な知識を網羅的に得られた
全冠を通じて、AWSに関する体系的で網羅的な知識を身につけることができました。資格取得に向けた勉強が、AWSを体系的に学ぶ最良の機会になったと感じています。
特に、単一の資格だけでは得られない、AWSサービス間の関連性や全体的なアーキテクチャへの理解を深めることができたと感じています。例えば、SAAで学んだアーキテクチャの知識がSAPで活かされ、SOAで学んだ運用の知識がDOPで発展し、MLAとDEAで学んだデータ系サービスが相互に補完し合うといった具合に、各資格の知識が有機的に結びつき、より深い理解に到達することができました。
また、業務では触れる機会の少ないサービスや、普段意識しない運用面の知識まで、幅広く学ぶことができたのは資格勉強の大きなメリットです。特に、ANSで学んだネットワーク関連の深い知識や、SCSで学んだセキュリティのベストプラクティスなど、資格取得を通じて体系的に知識を蓄えたことで、今後の案件でも自信を持って技術選択ができるのではないかと考えています。
資格という明確な目標があったからこそ、継続的かつ集中的に学習を続けることができ、結果として短期間で大幅なスキルアップを実現できました。この体系的な知識は、現在の業務においても大きな力になっていると感じています。
10.2 コミュニティでのつながりと刺激
全冠を目指す過程で、AWSコミュニティへの参加を通じて、他事業部や他社の方々とつながることができ、大きな刺激を受けました。Jr. Championsの方々との出会いをきっかけに、AWSの各種イベントへの参加やLT大会での登壇など、多くの貴重な経験をさせていただきました。
コミュニティに参加することによって、日々の業務では関わることが難しい方々とつながることができた上に、AWS AmbassadorsとAWS Top Engineersをはじめとした、AWSのスペシャリストの方々とお話をさせていただくこともできました。これらのつながりは、一時的なモチベーションアップだけでなく、現在でも技術的な相談などをさせていただいており、大きな財産になっていると感じています。
最初は、コミュニティに参加することのハードルが高く感じると思います。実際、私も最初は、一人でコミュニティに参加したため、かなり心細く感じました。しかし、コミュニティへの参加を通じて得られるものは、かけがえのない財産です。そのため、勇気を出してコミュニティに参加し、たくさんの人に話しかけてみましょう!
10.3 技術に熱中する楽しさの再発見
ハンズオンやLT大会への登壇経験を通じて、技術に熱中することの楽しさを思い出すことができました。資格勉強の一環として取り組んだ数多くのハンズオンで、実際にサービスを構築し、動作させる体験は、純粋に技術を楽しむ気持ちを呼び起こしてくれました。
大学院での研究からSIerでの業務へと環境が変わる中で、少しずつ薄れていた「技術そのものへの情熱」を再び強く感じることができたと思います。構築したサービスが動作した時の感覚は、プログラミングに熱中していた頃に似ており、その経験から技術に熱中する楽しさを思い起こすことができたと感じています。
また、アーキテクチャを考え、実際に手を動かして形にするという一連のプロセスの楽しさを改めて実感できたことは、エンジニアとしてのモチベーション向上にも大きく寄与していると感じます。直近では、Amazon RekognitionとAmazon Bedrockを組み合わせて、食べ物の画像からカロリーを推定するWebアプリケーションを開発しました。資格勉強で得たAWSの幅広いサービス知識を組み合わせて、自分だけのアプリケーションを作り上げる経験は、さらなる技術探求への起爆剤にもつながっていると考えています。
10.4 希望するキャリアと異動の実現
全冠達成という実績と強い意思が認められ、2年目からは念願だったAWS関連の案件を扱う部署への異動が叶いました。4. 全冠を目指したきっかけのセクションで触れたとおり、AWSを利用したモダナイゼーション案件に携わりたいという希望を現実にすることができました。
新卒1年目での全冠達成は、想像以上に大きなインパクトを与えたと思われます。私の事業部では「新卒1年目で全冠」という事例があまりなかったため、部内で全冠までの取り組みを発表する機会をいただくなど、AWSといえば◯◯さんというイメージが徐々に浸透しつつあると感じています。
当初の配属部署での業務に感じていた違和感から始まった全冠への挑戦が、理想的なキャリアパスへの扉を開く結果となりました。この経験から、明確な目標設定と目標に向けた具体的なアクションの重要性を改めて実感しました。
11. おわりに
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。新卒1年目の半年間でAWS認定資格全冠に挑戦することによって、当初想像していた以上に多くのものを得ることができたと感じています。配属部署への違和感から始まったこの挑戦は、単なる資格取得を超えて、技術者としての成長、人とのつながり、そして理想のキャリアへの道筋を切り開く貴重な経験となりました。
AWS認定資格にチャレンジされるすべての方々が、技術的な成長はもちろん、素晴らしい出会いや機会に恵まれることを心から願っています。皆さんの挑戦を応援しています!
何かご質問やご相談がございましたら、お気軽にお声がけください。この記事が、AWSの学習を始める方、資格取得を目指す方、そして全冠にチャレンジされる方々の少しでもお役に立てれば幸いです。
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改めて、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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